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『狐狸ない奴等』 作者: NutsIn先任曹長
こっくりさん……、
こっくりさん……。
おいでください……。
「参ったぞ」
「儂らを召喚した(よんだ)のは、お前等かや?」
ウィジャボード上の十円玉に指を置いているのは、涙と鼻血を流した気弱そうな少年が一人。
その後方。
彼を嗤ったままの表情で硬直した、髪を金色に染めた少年と、暴力が好きそうな少年。
「召喚者よ、願いを言え」
冷徹そうな金髪、九尾の美女が言った。
「何でも良いぞい♪」
頭に葉っぱを乗せた、極太ストライプテイルの眼鏡美女は、スカートの裾をたくし上げた。
「ヤらせろ!!」
案の定。
召喚者、ではなく、彼の後ろにいた連中の一人が叫んだ。
召喚者の少年には、別の願いがあったのだが……。
「はぁっ……、はぁぁっ!!」
八雲 藍は、金髪少年の上で豊満な胸と九つの尻尾を波打たせ、絶頂した。
「ふんっ!! ふんっ!! ふ、うううううっっっん!!!!!」
二ッ岩 マミゾウは、四つんばいになった粗暴そうな少年の肛門に、本来男にあるべき生殖器を突き入れ、絶頂した。
「召喚者よ。願いを叶えたぞ」
「まぁ、儂らも、楽しませてもらったがの♪」
八雲 藍は、金髪が抜け落ちた少年のミイラの干からびたナニを、股間から引き抜いた。
二ッ岩 マミゾウは、口から内臓とザーメンを吐き出して果てた、やつれ果てた少年の死体から、いまだそそり勃っている逸物を引き抜いた。
「では――」
「参ろうか――」
少年は、彼女達が差し伸べた手を掴んだ。
「こっくりさん……。ありがとう……、ございました……。
僕を連れて……、
この世から……、
お離れください……!!」
ウィジャボード上の十円玉がひとりでに動き、
鳥居の上で静止すると忽然と消え、
部屋は炎に包まれた。
「ようこそ、幻想郷へ!! 歓迎いたしますわ♪」
金髪の美女、八雲 紫は、幻想入りした少年を蕩けるような笑顔で迎え入れた。
「はぁ……、めんどくさいわねぇ……」
パッと見、巫女服のような、ノースリーブの衣服に大きな袖を腕に付けた、教室に一人はいるレベルの美少女が顔をしかめていた。
「霊夢、お仕事なさい」
「っち。 『お賽銭』貰っちゃったからね……」
金髪美女に言われ、美少女――博麗 霊夢は、手にした十円玉を一度指で弾くと器用にキャッチして袖にしまった。
「あんた!! こっち来て!! 幻想郷での生活について、チャチャッとレクチャーするわよ!!」
幻想郷に連れて来られ、博麗神社に厄介になった外来人の少年は、霊夢から幻想郷についての知識と常識、それに家事全般を叩き込まれ、徹底的にシャバッ気を抜かれた。
一週間ほど霊夢のシゴキと、遊びに来た妖怪達の本気とも冗談ともつかぬ脅しに曝された少年は、無事、幻想郷に適応した。
彼に『合格』の判断を下した霊夢は、人里から世話役を務めているという、半人半妖の女性を連れて来た。
その慧音という名の女性は、少年にいくつか質問をして、その返答内容を吟味した。
それからまたしばらくして、慧音は二人の男性を連れて来た。
一人は身の丈二メートルを超えた筋肉質の偉丈夫。
もう一人は、女性と見間違えそうなほどに容姿の整った人だった。
「君、彼ら『夫婦』の養子(コドモ)にならないか?」
少年は、慧音の言葉に愕然とした。
一応、知識として、幻想郷では同性婚は珍しくないと聞いてはいたが……。
博麗神社でも霊夢と紫が、しばしば結界の張られた寝室でナニやらヤッていたとは思っていたが……。
『実物』を目にして、まだ自分は外界の常識が抜けきっていなかったのだと自覚した。
とりあえず、お試し期間として、一ヶ月ほど彼らの家に住むことになった少年。
昼は巨漢の田吾作さんと一緒に家事と畑仕事――繊細さと力が絶妙のバランスで必要とされる作業を手伝い、
夜は優男の与平さんが勤めている商店から持ち帰った帳簿付けを、幻想郷では高級品であるノートPCを駆使して手伝った。
一月の間で、少年は筋肉痛と旧世紀のOSで動くPC操作にすっかり馴染んだ。
紫、霊夢、慧音が見守る中、
少年は、
田吾作さんを『母』と、与平さんを『父』と呼んだ。
男三人は、泣いて抱き合った。
女三人は、静かにもらい泣きした。
人里にある、とある金貸しの店。
「マミゾーっ!! おきゃくさーん!!」
「んぁ?」
昼休み。食事を済ませ、鈴奈庵で借りてきた小説なんぞを読んでいたマミゾウは顔を上げ、眼鏡の位置を直した。
「どうも……」
マミゾウの助手をしているぬえと、人間の少年が社長室に入ってきた。
「おおっ!! いつぞやの坊主か!! 元気でやっている様じゃの!!」
かつて外界で、稚拙な術で藍とマミゾウを召喚した少年は、浅黒くなった顔に照れ笑いを浮かべた。
幻想郷まで届いた彼の魂の叫びを聞き、配下の式神である藍と招聘したマミゾウを外界に派遣した、幻想郷の管理人である紫の目に狂いは無かった。
少年の手土産のうち、少年の『母』が焼いた洋菓子の詰め合わせはぬえに渡し、マミゾウは大吟醸の一升瓶の栓を口で開けた。
「礼なぞせんでも良いのに〜☆」
そう言いながら、マミゾウは少年の『父』が経営する店で扱っている上物の酒を早速飲み始めた。
「いえ、貴女方に会わなかったら、自分は外界で自分の存在価値すら見出せずに、無様に果てていたでしょう」
「無価値な死なぞ、それ相応の業を負った者しかせぬわ」
マミゾウは、少年を玩具として苛め抜き、最後は肉欲の果てに、死因を特定出来ぬ程に焼却された連中の事を酔った頭に思い浮かべた。
「幻想郷の暮らしはどうじゃ? 一歩、里から出たら、力ある者が無き者を喰らう人外魔境じゃぞ?」
「『両親』のいいつけを守り、自重しております」
外界の理不尽で鬼畜な目に遭っていた彼なら、理(ルール)がスキマ妖怪と博麗の巫女に守護された幻想郷で、これからも暮らしていけるだろう。
そう、マミゾウは金貸しの審美眼で判断し、太鼓判を押した。
幻想郷の住民となった外来人の少年が帰ろうとするのを、マミゾウは呼び止めた。
特に他意はない。
酒の酔いが仏心を出させたのだろう。
「少年よ。九尾のヤツに礼は言ったかいな?」
「それが……」
少年は釈然としない表情を浮かべた。
「神社の池で溺れていた黒猫を助けたら、
逆に藍さんからお礼を言われました……」
人間が幻想入りした場合の、幸せな一例。
2013年10月27日(日):頂いたコメントにお返事いたしました。
>ギョウヘルインニ様
おぉっ!! 良く覚えていましたね!!
そのうち、ネタにしますね。また忘れなければ。
>県警巡査長殿
外道には死、あるのみ!!
それも、とびきり滑稽で残酷なヤツ!!
外界に帰るにしろ、幻想郷に永住するにしろ、基本的に、博麗神社か人里に辿り着ければ何とかなるみたいですが。
それ以外は妖怪の腹の中だったり、苛酷な自然環境で遭難したり……。
幻想入りした公僕達は外界じゃ公務員ですが、幻想郷じゃ道楽で自警団まがいの事をやっています(と、周囲から思われている)から、
人当たりが良くて、何か一芸に秀でていたりすれば、やっていけそうですね。
>まいん様
遊びで怪異を呼び出したりすれば、報いを受けることは必定。
まして、相手が外道なら容赦をする必要も無い!!
新天地に誘われた少年に幸あれ!!
>4様
一応、男女のカップルや夫婦もいますからね。こっちが大多数ですから!!
>5様
「ちぇえええええんっっっ!!」「らんしゃまあああああっっっ!!」
藍と生還した橙の雄たけびは、幻想郷中に轟いたそうな。
少年はこの礼に、藍からは重箱にぎっしり詰まったお稲荷さんを、
橙からは『自宅』(マヨヒガ)にあった根付(今で言う、キーホルダーやストラップ的な物)を貰ったそうな。
NutsIn先任曹長
http://twitter.com/McpoNutsin
作品情報
作品集:
9
投稿日時:
2013/10/12 07:24:36
更新日時:
2013/10/27 23:47:19
評価:
4/6
POINT:
430
Rate:
15.17
分類
八雲藍
二ッ岩マミゾウ
博麗霊夢
八雲紫
上白沢慧音
封獣ぬえ
幻想入りの例
今回はこの少年は無事幻想郷で過ごせる保証つきで暮らすことができましたが、それ以外に幻想入りした人間はどうなのでしょうかね…。
大抵はここがどこなのかと彷徨っているうちに野生妖怪の腹の中でしょうね。これも仕方のない事だとは思いますけどね…。
そう考えるとこの少年は本当に運が良かったですね。いつまでもお幸せに…。
彼以外にも警察官など様々な人間たちも彼みたいに一人でも多く平和に過ごせたらいいなと思いますが…。
以前に見た、いじめに対する報復の話を思い出しました。
少年にこれ以上の幸せが訪れる事を望みます。