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『フンボルトペンギンの群れに同化したときは辛かった』 作者: ギョウヘルインニ
早苗さんは朝起きたら身体がギロチンになっていた。多分奇跡だと思う。
まあ、それならこの話は時間が経てば奇跡の余韻が醒めて早苗さんは自分の身体を取り返し元に戻るはずだった。あいつが来るまでは。
「こんなことはやめてくれ。なあ、小町、私は無実だ。これは何かの間違いだぜ」
「別に魔理沙が無実だろうが、有罪だろうがそれはあたいには関係ないね。もう、映姫様の判決は下ってしまったんだから」
早苗さんが、諦めて眠っていると魔理沙が悪いことをして処刑されるために連行されてきた。後ろ手に有刺鉄線を巻き付けられている。ポタポタと、血が滴って痛いんだとギロチンの早苗さんでもわかった。
「あれ、魔理沙さん。私に処刑されるんですか?」
「早苗? どうして、お前がギロチンになってるんだ?」
早苗さんはギロチンですが普通に話しをすることが出来た。また、いかにもギロチンといった風貌なのに、魔理沙は早苗さんだということ認識することができた。
「早苗の初仕事だね。せめて苦しまないように一撃で首と胴をはなしてあげて」
もちろん、小町も早苗さんがギロチンになって居ることを認識しています。
「やめろ。早苗ふざけるなよ。私を殺すなんてそんなことするなよ」
「殺すのは、私じゃありません。あくまでも私はギロチン台です。執行するのは、そう」
「そうだね。あたいが、魔理沙の首をセットして、最期の言葉を聴いて、後ろのロープで切り落とす」
小町は誇らしげに、死神の鎌を魔理沙の鼻先に当てた。刃が少し鼻の頭を切った。少しの血が出たが、それ以上に魔理沙は血の気の引いた表情になった。
「待って、待ってくれ。パチュリーを呼んでくれ。あいつは敏腕な弁護士って聞いたぜ。あいつなら、この裁判の結果をひっくり返してくれるかもしれない」
「あ、忘れてた。あたい、パチュリーから伝言預かってたんだ」
「伝言だって?」
「パチュリーからの伝言『文無しには、興味ないの』だってさ」
絶望的な状況に陥っている魔理沙をさらに絶望させるには十分な伝言だった。
早苗さんはその話を横合いから聞いたが、これと言った感慨等は無かった。早苗さん自信も文無しに興味はない。
「魔理沙さん。私は眠いんで早く済ませてもらえませんか? それに、この格好を見られるのって結構恥ずかしくて、嫌なんですけど」
この秋の寒空の下、処刑場にある一つのギロチンが今の早苗さんだ。早苗さんだって、お年頃の少女、ギロチンになって衆目を晒している。
もちろん、ギロチンだから服を着ていない。そう、早苗さんは裸だった。
木製の身体は冷えても風邪は引くこと無いだろう。また、ギロチンに性的興奮を覚える者は多分居ないが、やはり恥ずかしかった。
今は眼をつぶって何も考えないで、眠っていたい。
「ふざけるな、何が早く済ませてだ。私の命をなんだと思っている」
「……魔理沙さん。人の命は皆平等です。そして、尊いものだと私は思います。それでも、映姫さんが死刑判決を下したんです。多分濡れ衣なんでしょうが、あの人が法律なんですから諦めてください」
「まあね。あたいも思うよ。別に、魔理沙は濡れ衣なのかもしれないって。でもね。上司が黒っていったら白黒の魔理沙は黒なんだ」
この処刑には陰謀がある。たいしたことではないが、霊夢が妖怪と間違えて人を殺してしまった。やわらかく表現すれば退治してしまった。
霊夢は殺した後にそれに気付いて、そのことを、紫に相談したのだった。すると、紫は霊夢の頭をやさしく撫でた。それから、やさしく耳元で『霊夢、貴女は何も悪くないわ。後のことは私に任せて、貴女はいつものように神社に戻りなさい』と囁いた。
紫の行動は早かった。式神の藍を呼び出して、屋敷に有った。蓬莱の珠を手渡し、それを映姫に送るように命令したのだった。
今、蓬莱の珠は映姫が競売にかけてる。
「お前等、分かっているなら助けてくれよ」
「残念だけど、その願いは却下だね。ほら、周りをみてごらんよ。この処刑は公開だから、民衆が魔理沙の処刑を待っている」
「そうですよ。処刑は民衆の娯楽の一つだって、諏訪子様が言ってましたよ。これを止めることはギロチンの私には止められませんし、小町さんだって無理です」
「ふざけるな! やめろ! うあああああ」
今さら、お構いすることも無い。魔理沙は暴れ出した。後ろ手の有刺鉄線を振りほどこうと、両の手を外に内側に振り回す。何も効果なんて無い。ただ深く、食い込むだけそれでもやめない。小町の鎌に体当たりしようとして、その場で躓く。
呻く、騒ぐ、噛み付く。土に鼻血が染み付く。知ったことではない。
「死刑囚が発狂した! おさえろ。押し込め、ギロチンに!」
魔理沙はとうとう発狂して、小町とその他数人のどうでもいい男たちにおさえられ今の早苗さんの太ももに乗せられた。
処刑のときは近い。
「ふぅ!! ふう。 こんなことはやめろ」
「何か言い残すことは有るかい?」
「ふざけるな。私は無実だ」
「この期に及んで、まだ無実だというなんて、証拠だってあるのに」
小町は大声で言った。民衆に聞こえるように、映姫に聞こえるように。自分の保身のために、自分は何も気付いていない、愚鈍な死神をアピールしたのだった。
民衆は知っていた。現場に残された針や御札には、魔理沙の指紋がべったりついていること。
「魔理沙さん。私頑張りますから。一回でちゃんとできるように頑張りますから」
「やめろ! やめてくれ。 霊夢! 助けて」
魔理沙は最期に陰謀なんか露知らず。霊夢の名を叫んだ。
同時に、早苗さんの刃が落ちてきて、魔理沙の喉に食い込んだのだった。
その後、早苗さんは59人の処刑に立ち会って、元の人間に戻った。
もちろん、目覚めてしまったことは言うまでも無い。
早苗さんに呼び出された。阿求は、遺書をしたためて家をでたところを、何者かに拉致されてしまった話でした。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
9
投稿日時:
2013/10/23 10:21:01
更新日時:
2013/10/23 20:24:12
評価:
6/7
POINT:
600
Rate:
17.86
分類
小町
魔理沙
早苗さん
発想がいかれてる。
金が無ければ潔白の黒であっても魔理沙を見捨てる。
ゾルダの資格者に相応しい。
魔理沙にガッツがあれば、王蛇の資格者になれたかもだけどね……。
霊夢が困った時に救いの手を差し伸べる紫、素敵です♪
ゆかれいむ、バンザイッ!!
それにしてもパチュリーひどいな。
地獄の沙汰も金次第か