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『うまれる』 作者: 糞団子
霧雨魔理沙はいつものように香霖堂を訪れました。そこでいつものようにお茶のひとつでも飲んで霖之助のやつとでも話すかな、そう思い勢いよくドアを開けるのでした。
「よう!香霖。遊びにきてやったぜ」
「何だ魔理沙かいい加減にしてくれないか?こっちは忙しいんだよ」
「そう固いこと言うなって。さっそく上がらせてもらうぜ」
そう言うと魔理沙はどかどかと部屋に上がって行きます。それを見て霖之助はまたため息をつくのでした。
しかしどこか霖之助の様子がおかしいです。
お腹が異様に膨らみ太っているというよりこれは妊娠しているようでした。
「なあ香霖、お前その腹どうしたんだ?」
すぐにその異変に気付き魔理沙は聞きます。
「ああ、君には言ってなかったね」
霖之助は今読んでいた本にしおりを挟むと真剣な表情で魔理沙に向き直ります。
「僕妊娠したんだ」
その場に沈黙が流れます。
「...何言ってんだお前?香霖、お前の性別は?」
「?男に決まってるだろ。変なことを聞くなぁ魔理沙。それより聞いてくれよ。最近この子が僕のお腹を蹴ってくるんだよ!もうすぐ生まれてくるのかなぁ....」
「...なあ冗談だろ。私をからかってるならもうやめてくれないか、気持ち悪い」
「気持ち悪い!?今気持ち悪いって言ったのかい!!」
お腹を撫で優しそうなな顔から一変、激昂してしまいました。
「僕はこの子のことを真剣に愛しているんだ!それをなんだ!君は気持ち悪いだと」
「いや...そんなつもりじゃ...」
霖之助はそう言うと魔理沙に一瞥もせずに本を手に取りました。
「不愉快だ、帰ってくれ」
「ッ....そうするぜ!!なんだよ!不愉快なのはこっちの方だぜ」
魔理沙はドアを乱暴に開け外に飛び出しました。
「はぁ...はぁ...なんだよ一体。マジであいつ妊娠してんのかよ」
「その通りよ」
そう声をかけたのは霊夢でした。
「れ...霊夢。お前はこのことをしってたのか!?」
「ええ、それより魔理沙、あなた最低ね」
「え?」
親友にそう言われ魔理沙はたじろぎます。
「見なさい、あの人の姿を」
「痛い、ちょっ...なんだってんだ.....」
魔理沙は声を失いました。
彼女が目にしたのは霖之助が優しくお腹を撫でている。たったそれだけの光景です。たったそれだけの行動が魔理沙の目から涙を流させます。
「あの姿をみてもまだそんなことが言える?見なさい!あの優しい目を、我が子に向けられた暖かい感情を!あなたは霖之助さんが男だという理由だけで罵倒し非難したのよ!」
「うふふ、またお腹を蹴ってる。やっぱりもうすぐ生まれるんだな」
「う...うううう。霊夢、私が...私が悪かったよ」
「これからは応援してくれるわよね?霖之助さんのこと」
「うん...する、一生懸命、霖之助が元気な赤ちゃん産めるように協力するよ」
彼女の目から溢れる大粒の涙、それはいま生命の尊さを知ったどんなものよりも美しい涙でした。
「そうだ...名前も決めておかなきゃな」
「さあ、魔理沙行きましょう。明日から忙しくなるわよ」
「おう、分かったぜ!あいつの為に頑張らなきゃな」
「男の子だったら霖太郎。女の子だったら霖子にしよう。ちょっと安直すぎるかな」
ちなみに三日後、流産した。
「フッフッフー、フッフッフー、ううううう」
「お母さんもう少し!もう少しで生まれますよ!はい力んで!」
「う"う"う"う"う"!!」ブリブリブリブリ
最近この出産ごっこにはまってます。
糞団子
- 作品情報
- 作品集:
- 9
- 投稿日時:
- 2013/10/25 16:45:56
- 更新日時:
- 2013/10/26 01:46:34
- 評価:
- 3/3
- POINT:
- 300
- Rate:
- 16.25
- 分類
- 霖之助
- 魔理沙
- 霊夢
- 短編
ちなみに、私のSSでは別に珍しいことではなかったりする。
しかし、何と言う素晴らしくも尊い話なんだ。
オチなんかサラリとしすぎて特にいい。
流産しても生存能力がある可能性がありますね。