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『地位と名誉が欲しいお年頃』 作者: 和多
「魔理沙とは普段接点の無い私を呼び出して何の用ですか?」
「まあまあ、良いだろ。今日は寅丸に聞きたいことがあるんだぜ」
ある日、魔理沙は寅丸を呼び出した。普通、魔理沙の呼び出しなどには、誰も応じない誰も相手にしない。
ただ、寅丸は心優しいから、呼び出しに応じてきた。ただ、魔理沙が普段孤立していて辛そうだから宗教の勧誘が出来そうだと思ったという側面もある。
「聞きたいことって何ですか?」
「そのなんだ。毘沙門天の代理ってどうやってなるんだ?」
聞きたいこと、質問は無理難題だった。そもそも、魔理沙には一生関係の無いことだった。
「……聞いてどうするのですか?」
「あれだぜ。私もそろそろ、社会的に地位とか名誉が欲しくなったんだぜ」
確かに、毘沙門天の代理といえば社会的に地位とか名誉がある。寅丸もそのおかげで、多くの人に慕われている。
もしも、寅丸が毘沙門天の代理で無かったら命蓮寺での影響力は無かったはずだ。そうでなければ今頃"ナズーリン"が無くした宝塔を地べたを這いつくばって捜す身分になっていたはずだ。
「多分、魔理沙には無理です」
「なんだって? 何が無理なんだ?」
多分という言葉を無理という言葉にオブラートのように被せて、寅丸は言っているのに魔理沙はわからない。
なぜ無理なのか聞いてくる。理由はいくつもあるが、その一つを挙げると魔理沙という時点でもう無理だった。
「無理な物は無理です。諦めて今までどおりの白黒魔法使いのまま幻想郷で生きてください」
「……ふん。まあ、そういわれると思ってたぜ」
そう言われる。言われるということは分かっているらしい。
だったら、魔理沙はいったいなぜ寅丸を呼び出したのだろう。
「言われると、分かっているなら。何で、わざわざこんなところに呼び出したのですか?」
「だって、アレだろ? 金ならあるぜ。幾らだ?」
地位も名誉も金で買えると魔理沙は思っている。あながち、間違いでも無いかも知れない。
「お金で、毘沙門天の代理になれると思っているのですか?」
「ん? なれないのか?」
しかし、毘沙門天の代理には金ではなれない。そもそも、そういう考えでは絶対になれない。
「なれるわけ無いでしょう」
「なんだ。金でもなれないのか」
欲深い魔理沙は珍しくなれないと分かると諦めたようだった。実際武器になるのは、金だけなのだろう。
それは何処で手にいれたか分からないが総じて汚いことやって手に入れた金なのだろう。
「納得してもらえましたか」
「あ〜あ、下らないことに時間使った」
下らないことに時間を使ったのは、寅丸も一緒だ。魔理沙の呼び出しなどには、誰も応じない誰も相手にしないに、時間を割いて呼び出しに応じて来たのだった。
だから、その一言が無性に腹立たしかった。
「だから、他人に対しての考慮が無い魔理沙には特に毘沙門天の代理など無理です」
「あ? 説教か? 私は毘沙門天の代理になりたいんじゃなくて、地位と名誉がほしいんだぜ。他のことでも地位と名誉が得られることがあるから、お前はさっさと帰れ。今さらやっぱり金って言っても鐚一問出さないぜ」
そして、続く一言に寅丸は長く忘れていた何か心の黒いところを思い出した。
「……そういえば」
「ん? 世間話は他でしろよ。私は忙しいんだぜ」
そう言うと、魔理沙は背を向けてその場を立ち去ろうとした。その背後で寅丸は三叉の槍を構えて臨戦態勢をとった。
そして、もう一度、魔理沙に話かけたのだった。魔理沙を毘沙門天の代理にしてあげられなかった埋め合わせ思いついたのだった。
「魔理沙は毘沙門天の代理にはなれません。が、そのかわりに毘沙門天様に会わせてあげますよ」
作品情報
作品集:
9
投稿日時:
2013/11/09 16:12:56
更新日時:
2013/11/10 01:12:56
評価:
5/6
POINT:
500
Rate:
17.50
分類
寅丸星
その後堕ちる場所なら、金でどうにかなるかもしれませんね。
ほら、『地獄の沙汰も金次第』と申しますし。
星ちゃんが金を巻き上げなくて良かったね。