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『コラーゲンたっぷり』 作者: ギョウヘルインニ
困りましたね。まさか、私が仕掛けた猪用の罠にフランさんがかかるとは思わなかったです。
最近は外で自由に行動しているようですが、残念なことに見たこと触ったことのない物に見境なく興味を持ってしまうようです。
それで、こういうことになってしまったんでしょう。足に強靭なロープが絡まっています。
「お願いそこのあなた助けて!」
「あやややや、困りましたね。それ今日の宴会用に仕掛けてた罠だったんですよ」
椛は怒るでしょうね。大好きな猪鍋が食べられなくて、怒るでしょう。
「聞いてるの? 助けてって言っているの」
「フランさんは食べられないです。いや、食べられますか?」
酒が入っているし、煮ちゃえば、椛を騙すことはできるかもしれません。味なんて関係ありませんからね。
ただ、それだと私が食べるものが無いですね。
「助けて! 助けて!」
「うるさいですね」
フランさん、ちょっとうるさいです。私は考え事をしているのです。
それに、私が考えなくてはいけないのはあなたのせいでしょう?少し黙ってられないのでしょうか?
椛だったら、空気を読んで黙っていますよ。
「どうして、助けてくれないの? 足が痛いの、冷たいの」
「別に仕掛けた罠を見に行きますか」
こういうこともあろうかと、罠は複数仕掛けています。そっちに猪がかかっていれば、問題ありませんね。
結局結論としてはフランさんは食べられませんね。私はその場を立ち去ることにしました。
「まあ、そういうことがあって、私は次の罠に期待していたんですよ」
「もしかして、その期待を私は裏切らせてしまったのか?」
「そうですよ、魔理沙さん」
「だからと言って私の足をちぎること無いじゃないか」
「意外と冷静なんですね。足がもがれているのに」
「……まだ、足の一本がもげただけだぜ」
さて、次の罠に来て見ると魔理沙さんがかかっているじゃないですか。大方は罠を茸か何かと間違えたのでしょう。なんで、皆邪魔をするんでしょう。
少しこれにはイラっと来てしまいました。それで、魔理沙さんもフランさんみたいに助けてと言うので、足をちぎって罠を外してあげました。
そうしたら、魔理沙さんは這いずりながら話かけてきたのです。
「そうですか。じゃあ、そういうことで後は頑張って下さいね」
別に魔理沙さんをこれ以上どうこうする気はありません。今日は椛達と宴会なんです。
楽しい宴会の前に殺生とかそういう血なまぐさいのは結構です。もう、ちょっとだけやってしまいましたが。
「まあ、待ってくれ。私は片足になってしまったから家に帰ることが出来ないぜ。なあ、文。途中まで送ってくれないか」
「あやや、残念ですね。じゃあ、野宿したらどうです?」
魔理沙さんを送っている暇なんてありません。自力でどうにかしてもらうしかありません。
「え?」
「えって、言われても。そうだ、これをあげます。何かやくにたつかもしれません」
私は仕方が無いのでポケットの中にはいっていた。どっかのスーパーのレシートをあげました。感熱紙なので何か工夫してください。
「レシートで何が出来るってんだ」
「さあ。それは私に言われても分かりません。そうだ。霊夢さんとかなら御札のように投げつけて敵を倒すかもしれません。早苗さんなら、偽お払い棒の先に付いている紙の代用に使うかもしれません」
思ったよりも、レシートの使い道が思いついて怖いです。私なら、メモ用紙のかわりに使いますね。
だから魔理沙さんも何か考えて今の状況から脱出することでしょう。
「そんな」
「まあ、魔理沙さんなら何とかなりますよ。じゃあ、さようなら」
魔理沙さんが立ち去る私の背後で何か言っていましたが、私もそんなに暇じゃないのでその場を立ち去ったのです。
「まあ、そんなことがあって最後の罠にきてみたのですが、なんで椛がここにいるんですか?」
「文さん、えっと、これには深い訳があってですね」
なんとなくそういうことになってるんじゃないかなと思って居たんですよ。とっても、残念ですね。
「言い訳なんて聞きたくありません。哨戒天狗としてすることは分かっていますよね」
「え?」
そう言ったものの、哨戒天狗ってこの場合どうするんでしょうか?
「名誉を重んじる、あなたたちなら。もう、分かっているでしょう」
「それは……、はい、分かっています」
おっと、何か始めましたよ。まあ、大方自害するんでしょう。それで、許されると思っているのでしょう。何から?
「で? どうするんですか?」
「えっと、罠を外します。強靭なロープですが後少しで切れそうなんです」
あ、そういえば、何でフランさんも魔理沙さんも罠を外すという発想が無かったんでしょう。
それに、私もそこに失念していました。恥ずかしいです。
「……でも、あなたがその罠にかかったせいで猪が獲れなかったんですよ。どうするんですか?」
「そうでしたね。……やっと、切れた」
椛は罠から脱出しました。なんか態度が気に食いません。少しなじってやろうと思います。
「やっと、切れたじゃありませんよ。猪が獲れなかった責任とって下さい」
肉の入っていない鍋なんてさびしいじゃないですか。そんなんじゃ宴会を楽しむことなんて出来ないです。
「文さん。それは、大丈夫です。……代用として鶏肉は獲れましたから。飛び切り上等な奴ですよ」
「え?」
そのとき、私の上に大きな布のようなものが落ちてきたのです。
「今日は、文さんと一緒に鍋ですね。きっと、おいしいと思いますよ」
寒いから毎日鍋しようと思います。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
9
投稿日時:
2014/01/12 15:47:47
更新日時:
2014/01/13 00:47:47
評価:
6/7
POINT:
600
Rate:
17.86
分類
射命丸
椛
フラン
魔理沙
四人の登場人物の中で、自分で困難に立ち向かい、解決したのが椛だけって……。
魔理沙の手足が合計三本も残っているのは奇跡ですね
それにしても文、外道の極み