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『火起請』 作者: 戸隠
お姉ちゃんが私のこと嫌いって分かってるんだよ
こいし、そんなこと無い。
ううん。良いの、お姉ちゃん隠さなくても良いんだよ。
隠すとかじゃなくて、こいしは私にとって大事な妹、家族じゃない。
「じゃあ、なんで、私のご飯のお皿は木なの?」
「え? 特に理由なんてない」
言われてみれば、こいしのお皿は木製で、さとりのお皿は紅く焼けた鉄製だった。
これでは、こいしは火起請出来ない。
火起請ができないと、無実が証明できない。
え?
火起請ってなんなのって?産廃裁判だよ。
「お姉ちゃんは私のこと嫌いだからデザート隠してるんでしょう?」
「デザート?」
「そう、デザート」
「今日は、デザートは最初からない」
ゼッタイ嘘だ。だったら、なんで、紅く焼けた鉄の皿を用意する必要があるの?
ゼッタイ、デザートを後ろで隠していて1人で食べたときにばれるから。お姉ちゃんは、どじだから、ほっぺたに何かしらしょうこが残るよ。
それを、私が怒ると、火起請して誤魔化すに違いない。
「だったら、もっと、焼いて! そのお皿を地獄の獄炎のように焼いて見せてよ」
「それよりも、何で私のお皿はこんなに焼かれ居るの? これじゃあ、ご飯が食べられない。と、言うよりも、全部炭化していて既に食べられない」
「お姉ちゃんが望んだんでしょう? だから、私が準備していてあげたんだよ」
思い出した。私がお姉ちゃんのお皿準備したんだった。私は無実だから火起請を最初からする必要が無いから木のお皿だった。
でも、お姉ちゃんは有罪だから。でも、お姉ちゃんが大好きだから嘘のでも無罪にしてあげないといけないって思ったんだった。
「余計な、おせっかいよ。明らかに」
「最初にデザートを隠したのはお姉ちゃんでしょ。私のこと嫌いだから」
許されない。
嘘つきは許されない。死なないと許されない。
でもね。お姉ちゃんが私のこと嫌いでも、私はお姉ちゃんが大好きだから、火起請が出来たら嘘でも本当になるんだよ。
周りの心無い妖怪達が、嘘つき者としてさげずみお姉ちゃんを見ても私は許してあげるから。
「本当にそんなことないよ。あなたはたった一人しかない大事な妹じゃない。皆が気付いてくれなくて、私だけは気付いてあげるから」
「そんあ、言葉に騙されないよ。だったら、今すぐ火起請してよ」
「ん? 火起請って何?」
「言い逃れしようとしても無駄だよ。嘘つきお姉ちゃんにはしょうがないことなんだよ」
怒っちゃ駄目だよ。ここで怒ったら子供、お姉ちゃんと一緒。
だから、年齢はお姉ちゃんのほうが上だけど精神年齢は私の方がずっとお姉ちゃんなんです。
「だから。火起請って何?」
「分からないの? お姉ちゃん」
「だから聞いているんでしょう? 分からないのこいし?」
「分かるよ。分かる。私だけがお姉ちゃん気持ち分かるよ」
「はぁ、本当に、なんて言ったらいいのか」
「お姉ちゃんの罪は、私だけが知っていることだから、早く火起請すれば良いよ」
お姉ちゃんなんで、早く火起請してくれないの?そんなにデザートを1人で食べたいの?私だって、デザート食べたいのにお姉ちゃんが火起請すれば許してあげるのに。
どうして、火起請が出来ないの?
やっぱり嘘つきなんですね。
「こいし様、まずは火起請について説明してみては?」
「お燐はいつから一緒に食卓を囲むようになったの、あなたは猫なんだからキャットフードを床で食べてれば良いの!」
「あんまりです。こいし様」
「……仕方ない。今日だけだよ。その代わりにお姉ちゃんにが、火起請出来るようにサポートしてあげて」
そうです。ナイスアシストで、さとりお姉ちゃんは火起請出来るんです。
「分かりました。ささ、さとり様、早くその焼けた皿を持って向こうに持って行ってくださいよ。もちろん素手で」
「嫌よ。お燐は主人に向かってなんてことを言うの」
お姉ちゃん、お姉ちゃん、それは違うよ。お燐はもう私のだから私の言うことしか聞かないよ。
毎日毎日電気ショックを与えてあげて私だけのになったんだよ。
「さあお姉ちゃん。早く!」
「こんなの嫌」
本当にお姉ちゃんは我侭なんだね。それとも、火起請が本当に分からないの?
だったら嘘つきって言ったこと謝らないと。お姉ちゃんに嫌われちゃう。
「もういい。分かった。じゃあ、私がかわりに火起請するね」
「さすがです。嘘つきさとり様のかわりに、火起請するなんて」
「だから、火起請ってなんなの?」
私は焼けたお皿に手を伸ばしてそれを掴んだ。
そこまでは全然怖くなかった。だって、これでお姉ちゃんの無実が証明されるんだよ。
でも、お姉ちゃんはやっぱり咎人だった。
「熱い! あつい!!!! いいいいいいいい!! お姉ちゃんの嘘つき熱い!!」
私の手が壊れちゃう。どんどん、爛れて行きました。
そうです。お姉ちゃんはやっぱり有罪だったんです。
「こんな、酷い目にあわせるなんて、お姉ちゃんなんて大嫌いだ!!」
「こいし止めなさい!」
「うああああううう!」
私は、お皿をお姉ちゃんに投げつけました。
「いややや!! 嫌!」
お姉ちゃんのお顔にお皿は当たりました。
自業自得です。お姉ちゃん。
なお、火起請は0000ではありません。
戸隠
- 作品情報
- 作品集:
- 9
- 投稿日時:
- 2014/02/02 08:35:16
- 更新日時:
- 2014/02/02 18:36:47
- 評価:
- 4/5
- POINT:
- 430
- Rate:
- 15.17
- 分類
- さとり
- こいし
- お燐