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『鼠花火』 作者: ヘルニア

鼠花火

作品集: 9 投稿日時: 2014/02/03 12:00:54 更新日時: 2014/02/03 21:00:54 評価: 7/9 POINT: 730 Rate: 16.78
「あの、それでナズーリンはいったいなんだったのですか? 永琳先生ならわかったと思いますが」

「寅丸さん、非常に言い辛いことなんですが」

「大丈夫、ナズーリンがどんなに汚い病気持っていても私は大丈夫です」

「そのために別居してるんですよね」

「そうです。ナズーリンなんかと同居していたらどんな病気になるか分かったものじゃ有りません」

「女の子の部分の病気を染つされた日には自殺物ですね」

「それで、永琳先生。いったい、ナズーリンは?」

「本当に聞きたいですか?」

「聞きたいかと、聞かれれば。聞きたくなんて有りません。でも、逃げてはいけない時ってあるじゃないですか。覚悟は出来ています」

「それもそうですね。寅丸さんの覚悟に私の態度は失礼でしたね。済みませんでした」

「私なんぞに、頭を下げないで下さい。さあ、それよりもナズーリンはいったいなんだったのでしょうか?」

「ナズーリンは......」

「ナズーリンは?」

「ナズーリンは、鼠花火でした。それも、末期の鼠花火でした」

「なんと、あの花火の鼠花火ですか?」

「ええ、もう既に全身に火薬が転移していていつ点火されるか分かりません」

「毘沙門天様になんて申し開きしていいものでしょうか?」

「それは、私の仕事では有りませんが、その。同情します」

「ナズーリンはこのことを知っていますか?」

「いいえ、こんなこと言える訳無いじゃないですか。本人に何て言っていいのか」

「お願いします。このまま、ナズーリン本人には黙っておいてください」

「分かりました。本人には軽い不整脈だと伝えましょう」

「ありがとうございます。それで、導火線はやはり尻尾ですか?」

「それが、尻尾ならまだ手の施しようがありました。まだ、尻尾なら切除してしまえば済みました」

「では、もしかして」

「ええ、前歯です」

「鼠の前歯を取ってしまったら」

「餓死です。だから、もう施しようがないです」

「そんな」

「余命はあと2ヶ月位です」

「2ヶ月、短い」

「それも、炙られたり燃やされたりすればその場で、地面を勢いよく走り回ってから破裂してしまいます」

「……あんまり。ですね」

「私の力がおよばず申し訳ありません」

「永琳先生のせいではありませんよ」

「そう言ってもらえると助かります」

「ナズーリンはその短い命で何か残せるでしょうか?」

「……アリスと一緒に爆発というのはどうでしょう。いっそ爆発するのであれば、まだ鼠花火として大仰に逝かせてあげることが出来るかもしれません」

「郷の子供たちを少しでも楽しませて爆発させてあげるのですね。送り火ならぬ送り花火ですね」

「もし、それを望まれるのであれば、郷で優曇華を売った際に知り合った良い花火師を紹介して差し上げますが」

「とても、とても善い話ですね。とても、とても」

「では、そのようにしましょう。命を救うことが出来ず本当に済みません」

「その話は、少し待ってもらえますか?」

「なぜですか? いえ、聞くだけ野暮かもしれませんが」

「最期の時をどう過ごしたいかは、ナズーリン本人に決めさせようと思います」

「寅丸さん、もしも、マッチがいりようでしたら私が」

「いいえ、お気遣いだけで結構です。永琳先生にそこまでしてもらうわけにはいきません」

「本当に何も出来ず済みません」

「いいえ、永琳先生には十分に良くしてもらいました。今日はありがとうございました」

「……お大事に」

「今日は本当にありがとうございました」

「帰ることはできますか?」

「大丈夫です。外でナズーリンを待たせています。ナズーリンの方が大変なのにこんなんじゃ駄目ですね」

「ご自愛を」
「……ご主人様」

「ナズーリン! てゐさんと遊んでいたのでは?」

「てゐなら、とっくに蒸発した。それよりも、今の話は本当か?」

「いったい、なんのことですか?」

「しらばくれないでくれ。今、そこで永琳と話していたことだ」

「いつから、聞いていたのですか?」

「鼠花火の所からだ」

「……ナズーリン、私は貴女に」

「良いんだご主人様。なんとなく、そうなんじゃないかなと思ってたんだ。自分の体のことだし、火薬の臭いがするからな」

「ナズーリン!」

「ただ、惜しいことがあるんだ」

「なんですか?」

「どうせ、花火になるなら、鼠花火じゃなくて打ち上げ花火になりたかった。大きな火になって夜空に大輪の花を咲かせたかった」

「ナズーリン」

「はは、鼠の私には大きすぎる夢だったな」

「……出来ます。アリスと一緒に打ち上げてあげます」

「え? ご主人様?」

「さあ、行きましょう。アリスのところに!」
ヘルニア
作品情報
作品集:
9
投稿日時:
2014/02/03 12:00:54
更新日時:
2014/02/03 21:00:54
評価:
7/9
POINT:
730
Rate:
16.78
分類
寅丸星
永琳
ナズーリン(原材料の一部にアリスを含む)
一部レーンではてゐを取り扱っております
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1. 100 名無し ■2014/02/03 21:19:41
喜劇な悲劇
面白かった!
2. 100 NutsIn先任曹長 ■2014/02/03 21:22:00
アリスが最後の一花を咲かせるのに役立つなんて!!
マッチじゃなくて、チャッカマンはいかがですか?
3. フリーレス 名無し ■2014/02/04 01:30:22
やっぱり東方キャラは爆発してなんぼですよねー。
鼠花火ちゃんのもってる劣等感を解消してあげる寅丸ちゃんマジ聖人
4. 100 名無し ■2014/02/04 01:31:00
↑っと評価入れ忘れ
5. 100 名無し ■2014/02/04 20:39:07
アリスのおかげでハッピーエンド!よかったねアリス!
7. 100 名無し ■2014/02/11 04:07:09
まさかアリスが役に立つ日がくるとは
8. 100 まいん ■2014/03/29 20:43:55
こうして、毎年夏にはナズーリンが打ち上げられる光景が見られるようになったとさ。
9. 100 ふすま ■2014/06/12 19:03:49
星とナズーリンは別居していたのか。
ってかどこかで見た話だな
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