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『歩く、歩く、そして、歩く』 作者: ギョウヘルインニ
「アリス、今日は先に言っておくがひたすら歩くだけの話だぜ」
「私は信じている魔理沙に全部任せるわ」
「じゃあ、とりあえず歩き始めるぜ」
「そうね。何処に行くの?」
「目的地とかはないぜ。ひたすら歩くんだ」
「途中で地雷とか踏んだりするのよね」
「何を言って居るんだ? ひたすら歩くだけだぜ」
「ふーん」
「なあ、最近面白いことあったか?」
「私はこうやって魔理沙と歩いていることが楽しいわ」
「そうか? 私は全然楽しくないぜ」
「もしかして、照れてる?」
「いや、別に照れてないぜ。それよりもアリスが先頭を歩け」
「もう、本当は照れちゃってるクセに」
「お前何か勘違いしてないか?」
「え? 勘違いって?」
「止まるな。歩き続けろ」
「私が勘違いしてるって」
「あのな、本当に私は照れてない」
「そうなの? ちょっと、淋しい」
「ふん」
「……ふんって、ちょっと酷い。傷ついた泣きそう」
「おいおい、まだ歩き始めて5分も経ってないぜ」
「だって、魔理沙の態度が酷い」
「アリス。私を否定するのは勝手で良い。泣きたければ好きに泣いて良い。だけどな、歩くのは止めるなよ」
「そんな」
「ほら、歩け」
「うう」
「そうだ。そのまま歩け」
「……さっきね。楽しいこと無いか聞いたわね」
「聞いたな」
「楽しいこととは少しずれるけど、今日はクッキー焼いて来たの」
「クッキーは食べても良いが、歩きながらだぜ」
「そういうことじゃなくて、一緒に食べたいなと思って」
「分かった。お前の好意を受け取るぜ」
「……はい、魔理沙の分」
「ありがとう」
「え? ポケットに仕舞って、魔理沙は食べないの?」
「歩き終わったら、食べるぜ」
「何で? せっかく焼いて来たのに。今食べて欲しいな」
「歩きながら物を食べるなんて行儀悪いぜ」
「淋しいな、少しで良いから食べて。ね?」
「あのな、いい加減学習しろよ。これは歩くだけの話だぜ。ぶらり何とか食べ歩きの話とは違うんだぜ。私は食べない」
「でも」
「歩け」
「はい」
「さて、アリスこの後の予定だが、歩くそのあと歩く、で、歩く」
「本当に、歩くだけの話なのね」
「最近な人死にばかりでこういう究極に日常の話で一話作るんだぜ」
「それって、魔理沙の意思なの?」
「さぁ? 朝起きたらそういう気持ちだったんだ」
「あ、ねえ。魔理沙、あそこで人が倒れてる。助けないと」
「かまうな、人なんて助けている暇なんてない」
「鬼ね」
「私は歩くためなら心を鬼にすることだって躊躇わない」
「本当に良いの?」
「今は歩くことだけに集中しろ」
「分かった」
「この先どんな障害があっても歩くだけだぜ」
「それで、この話の落ちについて教えて欲しいのだけど。その、やっぱりなんだかんだで私が爆発するのよね?」
「……」
「無視しないで」
「お前はただ歩くだけなのに、落ちを要求するのか? 何様のつもりだ」
「そこまで、言わなくても」
「余計なことは、考えるな」
「ねえ、もう。30分になるわ。休憩しましょう」
「歩きながらなら休憩しても良いぜ」
「それって、休んでないわ」
「そうだな。だから?」
「そこの気の木陰で休みましょうよ」
「……」
「例えば、車で何とか耐久レースあるでしょう? 何時間も走り続けるやつね。でも、あれだってピットインというのが有って止まるのよ」
「人は人、お前の言うのは車のレースの話だろ?」
「そうね、でも」
「歩け」
「わかったわ。ただ、もう少しやさしく接して。最近ね魔理沙の態度は少し怖い」
「……よーし、いくぜぇ。アリス! 歩こうぜ!」
「そうそう、そっちの魔理沙の方が良い」
「楽しいな! 楽しいな! 歩くの! どんどん歩くペース上げてこうぜ」
「そうねどんどん行きましょう」
「歩くの大好きだぜ」
「そうね」
「おいおい、アリス! お前、歩くの早いな! 追いつけないぜ」
「別に、私は普通に歩いているだけなんだけど。魔理沙が遅いだけじゃない?」
「何言ってる? 私はアウトドアな魔女だぜ。インドアなお前に負けるわけ無いぜ」
「根本的に、人間と妖怪の差じゃない?」
「なんだと? 人間がお前等、種族魔法使いに劣っているというのか?」
「え? 種族で言われてたら、確かにそうだと思うけど」
「歩くだけだけだって言うのにも、こんなにも差が出るなんて」
「ねえ、魔理沙? だんだん、歩くペース落ちているけど大丈夫? 疲れて来たようね」
「はぁぁ、ああクソ。私は疲れていないぜ。何まだ2時間歩いているだけだぜ」
「そうなら良いわ」
「……さっきから、少し足が痛いんだ」
「疲れてきたからじゃない?」
「そうかもしれないな」
「休む? 私は休んでも良いけど?」
「駄目だ。歩みを止めてはいけないぜ。歩くことをやめたら。歩くだけのSSじゃなくなってしまう」
「そういう無駄な固執が毎度毎度自分の身を滅ぼしているというのに」
「耳元で、囁くな悪魔め。私は最期まで自分の足で歩くんだ」
「まだ、3時間しか歩いていないのにもう生死が掛かっているのね」
「私の足頑張れ!」
「うーん」
「魔理沙さん頑張って下さい!」
「さ、早苗? なぜ、お前がここに?」
「アリスさんだけでは話が持たないので、私が参加することになりました。歩くだけのSSですからね。準備するものは、この鉄下駄だけだったのですぐに用意できました」
「鉄下駄って、馬鹿なの?」
「いいや、早苗は馬鹿じゃないぜ」
「え、でも」
「……大馬鹿だぜ」
「ちょっと、え? 鉄下駄履いてSSを面白くしようとしているこの私の何処が馬鹿なんですか?」
「その安い発想が、馬鹿なんだぜ。歩くだけの話で、鉄下駄なんて履いてたらすぐにへばるじゃないか」
「へばったら、見捨ててもらってかまいません。魔理沙さん達はそのまま歩き続けて下さい」
「それじゃ、駄目だぜ。そうすると、この話は歩き続けて疲れて力尽きた早苗を見捨てた話になってしまうぜ」
「確かにそうですね」
「ねえ、魔理沙」
「なんだ、アリス? 下らない事言ったらずっと無視するからな」
「魔理沙の発想で言うと、この話って、喋りながら歩く話よね?」
「あ、言われてみればそうですね」
「……」
「なんで、無視するの魔理沙? 痛いところ突かれて逃げているだけなんじゃないの?」
「……」
「その沈黙は魔理沙さんの負けですね」
「……」
「魔理沙、いい加減何か言いなさいよ」
「……この話は、アリスが歩いて居ると地雷を踏んで爆発する話にするぜ」
それから、3人は歩き続けました。
アリスが歩いて居ると地雷を踏んで爆発する話にするために歩き続けたのです。
しかし、アリスは地雷を踏みません。歩いて歩いて歩いた先に地雷が仕掛けて有るのです。
魔理沙は足に出来た血豆が破けて、また同じ場所に血豆が出来て破けてを繰り返しました。一回目の血豆が破けたときにはもう涙は乾いていました。
もう、足の感覚がありません。
お腹が空いて、アリスから貰ったクッキーを食べようとしましたが、iパッドと間違えて充電していたため発熱して焦げていました。
それでも、足は止まりませんでした。
まるで何かに操られているようでした。
魔理沙は後悔するしか出来ませんでした。
今では薄ら笑いを浮かべているだけです。
ちなみに、アリスは魔法使いで食べたり寝なくても平気でどうやら歩くのも平気のようです。
早苗さんは裏取引していつの間にか離脱していました。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
9
投稿日時:
2014/02/22 14:06:48
更新日時:
2014/02/22 23:06:48
評価:
5/8
POINT:
590
Rate:
13.67
分類
魔理沙
アリス
早苗さん
誰も死ねない
アリスがかわいそうな話かと思ったら魔理沙がかわいそうになる話でした。