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『コロブダルマ』 作者: 安倉 理沙
(あら、咲夜じゃない、どうしたの)
(はい、妹様に会われたいという人間がおりまして…」
(面白そうね、通してちょうだい、大丈夫よ、殺したりしないから)
(かしこまりました…)
(お兄さんは人間?)
(そうだよ、フランちゃん、君が地下室で閉じこもっていると聞いてね、遊びに来たんだ)
(ふーん…)
(お兄さん、遊ぼうよ!)
(いいよ、なにして遊ぶ?)
(んー、弾幕ごっこ!)
(フランちゃんはなんでも壊せるんだっけ?)
(うん!そうだよ!あ、お兄ちゃんは絶対壊さないよ!)
(ありがとう、フランちゃん)
(えへへ…)
(あの日々は何だったのだろうか…、あの時の私が見たらきっと今の私を笑うんでしょうね、人間が壊れないで、私が壊れちゃったって…)
フランドールはバラバラになった自分の身体、腹から出てきた臓物を見て、動くはずのない頬の筋肉を動かそうとした
―どうしてこうなってしまったのか、誰か教えてちょうだい…―
あの夜、私はいつもどおりお兄さんと遊んでいた、よく思い出してみれば、すこし笑顔がぎこちなかったような気がする、最初からこうするつもりだったんだろう
「お兄さん、どうしたの?表情暗いよ?」
「ああ、ごめんね、ちょっと悩みを抱えてね…」
あぁ、この時聞き流していつもどおり遊んでいれば…
そう思ったところで時間をもとに戻すのは、時を操る咲夜といえども無理だろう
「どんな悩み?聞かせてよ、そりゃ力にはなれないだろうけど、話すと楽になるかもよ?」
「そうだね…、じゃあちょっと聞いてくれるかい?」
「僕は… 人形性愛者なんだ…」
「ニンギョウセイアイシャ?なにそれ」
聞かなければよかった、そう思ったのはすぐだった
どうみてもその話をするお兄ちゃんの目はいつもの優しい目ではなく、どうみても狂気をはらんでいた
「ちょっとバンザイして、そのまま動かないでね?」
おかしなことを言うと思いながらも言われたとおりにしてしまった、少しも疑問に思わなかった私を呪った
その直後、謎の金属音が響いた、私自身を拘束する手錠の音が響く
「えっ?お兄ちゃん、なにするの?」
なにをするのか、それはみると芸術家が持つようなモノを持っていた
学校でも使うような道具、石膏だった
それを身体にペタペタと塗っていく、まるでマッサージを受けているような感覚に陥ってしまい、そのまま寝てしまっていた、これが私の運命を決定づけることになってしまった
どれぐらい寝てしまっていたのか、大体2時間ほどだろうか、起きた時には石膏は外されており、服は切り裂かれて全裸であり、体の所々にその後が見受けられた
「お兄ちゃん、なにしてるの…?」
問いかけてみても反応はなし、どうやらのこぎりで何かを切っているようだった
そしてその切っているものは先ほど石膏で型を取られ、樹脂で固められたフランドールと同じ体を持つニンギョウだと気づくのには幾分も時間はかからなかった
それと同時に軽い吐き気に襲われる
「みて、フランちゃん、これが、君の足だよ」
切り終えてそうしゃべる男は目が血走っており、興奮しているのが目に見えてわかる
「やめて!そんなもの見せないで!」
「なにを言ってるんだ、君だって同じ事を今までやってきただろ?」
男の言うことは正しかった、今まで何人もの人間を「破壊」してきた
「確かに…そうだけど…」
そして、男は一言
「それじゃあ、ニンギョウと同じように罰を受けないとね」
その言葉は、私を絶望へたたき落とすには十分な言葉だった
「罰を受けないといけないけど、手錠は外してあげるよ」
男はそう言った、そして私は少し気が晴れた
この時に既に罰が始まっていたことも知らずに、のんきに喜んでいたのだ
左腕にのこぎりを置いた男
フランドールは嫌な汗をかきながら問う
「ね、ねぇ… そののこぎり、どうするの…?」
「決まってるでしょ?こういうふうに使うんだよ」
そう言った矢先、男は腕に当てたのこぎりを全身の力で動かす
「ぎゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
悲鳴を上げるが、男は意に介さない
ただひたすら腕を切っていく
30秒ぐらいすると不意に身体が右側に重たくなる
左腕は無残にも切り落とされ、腕からは血が噴水のように吹き出している
間髪入れず、右側も切り落とす、コツがつかめたのだろうか今度は20秒ぐらいだった
「ひ、ひいいいぃぃぃぃ…」
怯えながらガタガタ震えるが、男にはタダのニンギョウと思われているのだろうか、我関せずといったように足へ刃を動かす
「……………………」
男は無言でのこぎりを動かす
「やめてええええええええええええええええええええ!!!!」
やめてと叫ぼうが
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!」
いくら謝ろうが
その刃は止まらず、流れ出る血がいたずらに増えるだけであった
「あは…あは、あはは…」
ようやく終わったのだろうか、男はのこぎりについた血を拭きながらタバコに火をつける
「さぁて、フランちゃん、もうひと頑張りだよ?」
―それは、最後の意識を粉々に破壊する一言だった―
男はダルマになってしまったフランドールを見下ろしながら、タバコをふかしつつ、ナイフを手にとった
「あくまでお仕置きだから、殺すようなことはしないよ、まぁ吸血鬼の治癒能力がアレば多分元の体に戻ることができるよ」
そういいながら
男は
フランドールの喉に
ナイフを当て
ザシュッ
安倉 理沙
- 作品情報
- 作品集:
- 9
- 投稿日時:
- 2014/03/03 19:08:04
- 更新日時:
- 2014/03/04 04:08:04
- 評価:
- 5/7
- POINT:
- 480
- Rate:
- 16.83
- 分類
- フランドール
- ダルマ
殺しても死なないフランちゃんも同じようなモノ。
玩具として遊んで壊す。楽しい♪
ただ、ニンギョウは壊れるが、
フランちゃんは壊すことができる。
最初からココロの壊れたお兄ちゃんを壊せるかなぁ?