塵箱夢箱

「なんじゃこれは、マミゾウまだこれ食べられそうじゃ」
「妖忌よ、何度言ったら分かるゾイ？ゴミ箱を漁るなんて人としての尊厳を失っているゾイ」
「尊厳？そんなものは孫娘と共に捨てたのじゃ」
「お主それはそんなに胸を張って言える事かそれ？」





　ワシと妖忌は霊夢に追い出されてから一緒に暮らしているゾイ。ワシ、妖忌の立派なのに騙されて一緒に成ったが今は後悔してるゾイ！！！！！
　ワシが捨てた大根の尻尾なんぞを妖忌の奴は漁っていたゾイ。食おうと思えば食えるがゴミだゾイ。



「お百姓さんが一生懸命育てたのじゃ。全部食わぬは外道というもの」
「大根の尻尾を食べなかったからと言ってお百姓さんは怒らぬゾイ」
「食べ物を大事にするのじゃ」
「この飽食の時代なにを言うゾイ」
「時代は関係無いのじゃ」


　しかし。この大根は勝手にワシが畑から抜いて来たものゾイ。ばれたら怒られるゾイ。
　犯罪だゾイ。罪悪感はもう無くなったゾイ。どれもこれも妖忌の奴が自分食い扶持すら稼がないせいだぞい。


「うるさいゾイ。それよりも妖忌は働く気になったゾイ？」
「話をすりかえるのはやめるのじゃ。今は大根の尻尾について議論しているのじゃ」
「妖忌や。だったら、その大根の尻尾は食っても良いゾイ。さっさ食うのゾイ」
「嫌じゃ。マミゾウが食うのじゃ。大根の尻尾は辛いのじゃ。ワシはフロフキ大根じゃなきゃ嫌じゃ」
「まったくお主というものは」



　味噌すら買う金が無いというのにこのジジイめ。


「なんじゃ？？？？」
「わかった。わかった。それは明日調理して食べるゾイ」
「うん。よろしい」
「・・・お主」
「なんじゃこれも食べられそうじゃ」
「いい加減にするゾイ」


　今度は妖忌の奴は、大根の皮を取り出して文句を言い出し始めたゾイ。
　いい加減に頭に来たゾイ。

「マミゾウは何を怒っておるのじゃ？？？？？？」
「ゴミ箱を漁るなゾイ。お主は小姑か？」
「小姑？」
「そうだゾイ」
「馬鹿にするな。この魂魄妖忌は死ぬまで武人じゃ」

　ポントウのかわりに大根の皮持ってすごんでも何も感じないゾイ。
　こんな奴について来たワシが馬鹿だったゾイ。