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『幽々子様がくれた万年筆』 作者: ギョウヘルインニ

幽々子様がくれた万年筆

作品集: 10 投稿日時: 2014/05/02 14:28:37 更新日時: 2014/05/03 14:17:49 評価: 11/12 POINT: 1090 Rate: 17.15
 生きててごめんなさい。

 生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。

 生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。
生きててごめんなさい。
 生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。

 生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。


 妖夢は畳に正座して、机の上に乗った紙に書き続けていた。文字の勉強の為に書いていたのだった。

 最近始めたばかりの勉強だった。

「どう? 書き終った?」

「いいえ、まだ書き終わって居ません」

「まだ終わってないの只単純に生きててごめんなさい。って一万回書くだけじゃない」

「でも、これ。すごく手が痛いんです」

 まだ筆のようなものなら書きやすいかもしれないが、無機質な金属で出来た万年筆は確実に指に豆を作って妖夢を苦しめていた。

「手が痛いの? そう。でもね。馬鹿で文字も覚えられないから書けないのね。妖夢のせいで私の心はもっと痛いの。だから、早く一万回書きなさい」

「そんな。それに、なんで生きててごめんなさいなんですか?」

「文字のままよ。あなたは生きていることが罪なのよ」

 別に妖夢が何かしたわけでは無い。ちょっと、文字の先生である幽々子のそういう心の闇が表に出ているだけだった。

「そんな」

「言うことが聞けないの? ねえ?」

 こういう時の幽々子は恐ろしい。言うことを聞かなければ、耳元で囁いたかと思ったら耳たぶを噛み切ってしまうだろう。

 妖夢は、既に痛む手でまた。書き始めた。

 生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。生きてごめんなさい。生きて

「痛!」

「……いま、てが一個抜けたわ。本当に生きててごめんなさいって気持で書いているの? 覚える気で書いて居るの? 嘘でしょう?」

「そ……んなこと。……無いです」

 妖夢も一文字抜けたことに気がついて修正しようとしたが、それよりも幽々子の方が早くその抜けを見つけた。正座する妖夢の背後から見下す位置に居るので、持っていた扇で妖夢の手を叩いたのだった。

「そう。だったら、もっと書きなさい」

「もっとですか?」

「そうよ。わからないの? あと、百万回追加ってことよ」

「百万回......」

 一万回ですら、書けそうも無いのに百万回も書かなくてはいけないなんて。既に妖夢は完全に生きててごめんなさいという文字は完全に会得していた。が、次の文字は教えられることなく書き続けなくてはならない。

「文句があるの? いえ、その表情は文句があるのね。主人である私、他の仕事で忙しい私がせっかく勉強見ていてあげてるのに。ねえ!」

「ありません! ありません!」

 豆が潰れて、また同じ所に豆が出来て、また潰れて。血豆になって、また潰れて、潰れて、幽々子に扇で叩かれて、回数増やされて、間違えて、また増えて、また叩かれて。視界がボヤケル。疲労? 涙? 

 生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。生きててごめんなさい。もうこの生きててごめんなさいは妖夢が書いて居るのか考えているのか本人には分からない。

「……生きていてごめんなあいい」

「妖夢。良い表情に成ったわ」

 ボロボロの泣き顔に幽々子は大変に満足した。

「幽々子様、馬鹿な私は生きててごめんなさい」

 とめどなく、涙が溢れて来たがその感情のせいで止められなかった。

「そうそう、そういうことよ」

 もうすでに、文字を書く手は止まっていたが、幽々子は咎めなかった。

 出来の悪い子供が今日、生きててごめんなさいという文字を永遠に忘れぬだろうから。

「生きててごめんなさい」

「そうね。じゃあ、次は産まれて来てごめんなさいね」
「今日は妖夢の誕生日ね」

「はい、誕生日です」

「妖夢も最近頑張っているから、私からのぷれぜんとがあるの」

「なんですか?」

「これよ」

「細長くて小さな箱、開けてみても良いですか?」

「良いわ」

「……んっと、まずは包装紙ですね」

「せろはんてうぷが取り辛いの? もっと雑に開けても良いのに」

「でも、大切なプレゼントですから包装紙も残しておきたいんです」

「そう?」

「あ、開きました。これは? 棒状のピストルですか?」

「いいえ。それは、万年筆っていって文字を書く道具よ」

「文字? でも私は文字が」

「大丈夫よ。私が文字を教えてあげるわ。いつまでも文字が読めないと不便でしょう?」

「あ、あ、ありがとうございます。私の為に忙しい幽々子様みずから」

「いいのよ、大切な貴女の為だから。苦でもないわ」
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
10
投稿日時:
2014/05/02 14:28:37
更新日時:
2014/05/03 14:17:49
評価:
11/12
POINT:
1090
Rate:
17.15
分類
幽々子
妖夢
あとがきは救済処置
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0. 30点 匿名評価
1. 100 名無し ■2014/05/02 23:45:04
精神汚染
2. 100 ゲス野郎 ■2014/05/03 01:48:19
これは良い救済
3. 60 ラビィ・ソー ■2014/05/03 03:21:27
万年筆と時間もったいなすぎワロタ
4. 100 名無し ■2014/05/03 07:51:03
謝罪を続けよう
5. 100 名無し ■2014/05/03 09:30:34
下衆幽々子様に精神的調教される妖夢ちゃんprpr
6. 100 NutsIn先任曹長 ■2014/05/03 10:08:20
ある日、いつものように『文字の書き取り』をしていた妖夢が突如、幽々子様の目に万年筆を突き立ててゲラゲラ笑い出す光景を夢想☆
7. 100 名無し ■2014/05/03 17:38:49
後書きが救済になってないんだよなぁ
8. 100 名無し ■2014/05/04 02:31:22
作品コンクールのお題に使ってほしい
9. 100 名無し ■2014/05/06 11:03:13
家庭崩壊待ったなし。
11. 100 名無し ■2014/05/17 21:22:03
こちらこそごめん。
12. 100 ふすま ■2014/06/09 18:49:34
幽々子様マジ外道。
妖夢考え方が物騒だw
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