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『晒し骸』 作者: ただの屍
日暮れ時、魔理沙が自宅で夕刊を読んでいると玄関が蹴破られた。まず厳つい中年男性が宅内に踏み込んだ。若い衆の大部分が彼に続き、残りは家を取り囲む。自警団、それが戦闘服に身を包んだ彼らの呼び名であった。団員は刺又を手にしていた。
彼らが魔理沙を見つけ出すよりも先に向こうから現れた。「動くなよ。お前らもだ」魔理沙はミニ八卦炉を団長に向ける。「こりゃどういうこった」
団長は動じなかった。「もしかしてそういうのが流行っていたりするのか。それとも疚しい事に覚えがあってそうするのか」
魔理沙は舌打ちした。「そっちがぞろぞろ引き連れて来たんだろ。こっちは女性一人だ」
団長は嘲笑する。「女性か。おまえを語るにはもっと相応しい言葉があるだろう。咎人」
魔理沙は彼らを睨みつけた。「出て行け。ドアを直してからな」
団長が懐に手を入れると魔理沙は怒鳴った。「手を止めろ」団長は意に介さず懐から手帳を取り出した。魔理沙は床を踏み鳴らす。「聞こえただろう」団員は安心して団長の行動を見守っていた。団長はその昔、後任の巫女を探す八雲紫に才を認められたほどの人物であった。結局彼は巫女にも男巫にも成らず自警団に入団した。
団長は手帳に目を落として赤い付箋の付いたページを開いた。「それならこう呼ぼうか。悪意ある製作者、スーパーアイドル、おぞましいバケモノ、スカトロジスト、SM気違い、モツ見せストリッパー、ホモショタ、シスコンでロリコン、向精神性儀式依存者、遅刻者」
魔理沙は鼻で笑う。「それってあれだろ。新聞に載ってたの。わたしには関係のないことだぜ」
「ある。事件の配役や舞台を変えたり幾つかの事件を一纏めにしたりだとか天狗はよくやる。そのほうが面白いから、だそうだ」団長は歯を見せた。「おまえは読者人気が無いからな」
「んなもん信憑性なんてないだろう」魔理沙は前者に反論した。
「裏付けは取った」
「わたしは絶対やってない」
団長は青い付箋の付いたページまで捲る。「5月17日0時2分、おまえは人里のトウモロコシ畑を荒らすついでに子供を食った。ミスティアを吊るし、命蓮寺の食料を略奪した。子供を食い、更にもう一人殺した。」団長は淡々と続ける。「5月18日8時32分、アリスを用いて永遠亭を爆破。同日16時7分、香霖堂に放火。同日19時28分、病に苦しむ人々を虐殺。5月19日3時9分、大量の武器弾薬及び化学兵器を購入。幻想郷中での殺戮と略奪。環境破壊。月の都での爆弾テロ。アリスを用いた毒ガス散布。5月22日18時54分、女を犯し殺す低級妖怪を召喚。5月24日2時24分、お金持ちでお嬢様で吸血鬼で特に美少女なレミリア・スカーレットへの無断取材。平凡な日常を謳歌する美少女レミリア・スカーレットをアリスの人形化。同日10時52分、アリスの家に放火。同日16時52分、輝夜と妹紅を拉致し苛んだ。同日20時37分、子供を食った。その子の祖母を吊るし、仏像を盗んだ」
団長は手帳を仕舞った。「先に、もう一度、言っておくが裏付けは取ってある。あとこれは未来予知だがおまえはいつか人にかぼちゃパンツを洗わせ、円匙を盗み、賭け麻雀に手を出す」
「罠だ」魔理沙は金切り声を上げた。「真犯人がいてそいつがわたしを」
団長はその言葉を打ち消す。「そんなやつはいない。おまえの凶状は皆が知っている。悪党ならみみっちい言い訳をするな」団員が刺又を構える。「晒し骸の刑に処す。おまえは少々はしゃぎすぎた」同名の呪術を用いるその刑罰の恐ろしさを魔理沙は知っていた。決して冗談で口にしていい言葉ではなかった。
魔理沙は絶句したがそれも一瞬の事だった。魔理沙は絶叫した。家の外にいる団員が耳を塞ぎたくなるほどに大きく、狂った声であった。団長の投げた針がミニ八卦炉を破壊した。団員が前に出て刺又が魔理沙に伸びた。
我に返った魔理沙は振り向くと窓に向かって飛翔した。魔理沙の纏った魔力が窓ガラスを吹き飛ばす。そのタイミングを見計らって投げた団長の御札が魔力を散らせ魔理沙を墜落させた。外で待機していた団員が数人がかりで魔理沙を取り押さえ猿轡を噛ませた。追いついた団員はガラス片を魔理沙から遠ざける。自殺の手段を取り上げられた魔理沙は為す術無く身柄を拘束された。手枷足枷を嵌められた魔理沙は自警団一の大男に担がれ処刑場まで運ばれることになった。
カナディアン・バックブリーカーをかけられている状態の魔理沙は何度も暴れ、その度に痛めつけられた。
大男に並んで歩く団長が言う。「やり過ぎるなよ。うっかり殺させる腹かもしれない」
チルノがこちらを見ていた。先頭の団員が追い払うジェスチャーを取った。「邪魔するなよ」
魔理沙がくぐもった声を上げて暴れる。大男は小さめに魔理沙を揺さぶったが抵抗が止まないので強く速く揺さぶる。それでも魔理沙は暴れ続ける。
「ばーか」魔理沙と目が合ったチルノはあかんべえをして飛び去った。魔理沙ははたと大人しくなった。
団員らは大笑いした。「助けを求めていたのかも」「堕ちるとこまで堕ちたな」「考えりゃ分かるのに」
しばらくすると屋台を引くミスティアが見えた。魔理沙が暴れだしたが反らせてやると静かになった。救いを求むるが故の足掻きというよりも光に寄せられる虫に近かった。目の焦点は合わず口は開きっぱなしであった。
団員がミスティアに声をかけた。「ミスティアさん」
それを受けたミスティアは振り向いて微笑んだ。「あ、自警団のみなさん。こんばんは」
彼らは歩を緩めた。「店、出すんですか」
「ええ」
「手伝いますよ」団員は鉄パイプのハンドルに手をかけた。
団長はミスティアの首に浮かぶうっすらとした縄の跡を見た。団長は団員を手招きした。「止めろ。先に行くぞ」
「あの」ミスティアは団長を呼び止めた。「それについては大丈夫です。気にしないでください。大丈夫なので。本当に、大丈夫ですので」
「そうですか」団長は魔理沙をちらりと見る。魔理沙の生気は押し花のように萎れていた。「このまま行こうか。事件が少なくなったとはいえ、物騒だからな」
団員はハンドルをくぐった。
ミスティアは言う。「ところでお時間はいいんですか」
「ええ。むしろ今までが早すぎたくらいでして」
「これっ、屋台、重いですね」早くも団員の肌には汗が浮かんでいた。
「人間が引くように作られてはいませんから。でもおかげさまでいつもよりは楽です」
「ヤマさんなら引けるかもしれないな」自ずと大男に視線が集まる。
「どうだろう」大男は自信なげに言った。「所詮おれも人間だしなあ。団長に会って実感したよ。団長ならどうですか」
団長は首を振った。「力技は得意じゃない」
「団長にもできないことってあるんですか」
「当たり前だろ」団長は即答した。
団員はかわるがわるに屋台引きを手伝った。処刑場が近づく頃にもなると日は沈み、辺りは薄暗くなっていた。
ミスティアが尋ねる。「席、取っておきましょうか」
「お願いします」団長は団員に声をかける。「奢るから、飲みたい奴は飲め」
「やったっ」
「あのひまわりの焼酎好きなんだよな」
「ブレンズ食いたくなってきた」
団員が俄に盛り上がる中、団長はミスティアに近づき遠慮がちに囁く。「いいんですか。こいつに借りを返さなくて」
「いいんです。もう区切りはつけました。それに手が汚れていてはお酌もできませんから」団長は霊夢と同じく妖怪の興味を惹く質であった。そういう意味で、ミスティアとしては勇気を出して一歩踏み込んだ台詞であったが団長はただ微笑みを返すだけだった。
団員らは処刑場に到着しミスティアと別れた。処刑場は僻地にあるのだが人集りは相当なものだった。団員らが中央に向かう最中、魔理沙に恨みを晴らさねばならない連中がじりじりと詰めてくる。そうでもない連中にとってはお祭りであり既に酒や飯をかっ食らっていた。
魔理沙が処刑地点に降ろされると団長は魔理沙の額に魂魄離脱の効がある御札を貼った。団員は魔理沙の枷を解き大の字に体を押さえつけると四本の五寸釘と金槌を団長に渡す。
魔理沙の右掌に釘が当てられ金槌が振り下ろされた。一打で釘は十分に刺さった。
処刑場にいる誰もが魔理沙の悲鳴を聞いた。魔理沙が人間らしくいられる時間も僅かだった。魔理沙の嗚咽が断続して木霊する。
団長は左掌に釘を打ち込んだ。魔理沙は団長の持つ釘を見ていたが意味があってそうしているとは思えなかった。釘の先は左足のくるぶし辺りに向けられている。魔理沙の喉は震えるばかりであった。魔理沙に救いを差し伸べるものは現れなかった。
左足への釘が打たれ、団長は右足へ狙いをつける。団長は最後の釘を素早く打ち付ける。復讐者共の昂ぶりが団長を急かしていた。 幻想郷は夜を迎え、人々は提灯を掲げはじめる。四方八方から伸びてくる薄い影はじりじりと魔理沙に迫っていた。魔理沙は糞尿を出るに任せる。
魔理沙への処刑は終わった。残されたのは正当なる復仇だけである。晒し骸の呪によって魔理沙の魂は六百年間この地に縛られ続ける。与えられた長き時間は後悔を促す為のものではなく更なる苦しみのためである。肉体に下された報復は途切れることなく魂に再現されることとなる。浄土とも奈落とも切り離された魂は摩滅することすら許されない。今日を以って六百年のうちの一日目が始まった。
団長は猿轡を回収し立ち上がった。団員らを取り囲む復讐鬼は道を空けようとしなかった。憎し恨めしに囚われるあまり団員らが見えなくなっていた。彼らは血を欲していた。
「助けてください」魔理沙のか細い声は彼らの怒りを燃え上がらせた。
「飛び越すぞ」団長の指示に従い、団員らは三歩助走した後大きくジャンプする。それは彼らが堪りかねたとの同時であった。怒号が雪崩れ込んだ。
団員らが着地する頃には死臭が便臭を払拭していた。団長の頬に血が跳ねる。団長は血を拭って嗅いだ。「これは美少女吸血鬼たるレミリア嬢の血だ」
団員らは振り返ることなく安寧を求めてミスティアの屋台へと歩きだした。
咲夜は外から眺めていた。レミリアを始めとする紅魔館の面々は魔理沙を八つ裂きにするために勇ましく飛び込んでいったが人間である咲夜には厳しかった。復讐に際し能力や飛翔、弾幕は被害拡大の防止のために禁じられている。
咲夜は子宮を押さえ、思う。この機会を逃せば純潔を失った痛みは取り除けない。レミリアは咲夜の分の仇も取ると言ったがそんな言葉では救われない。
咲夜は主人の言いつけを破ることを決意した。咲夜は輪を離れて駆けだす。たとえ殺されても文句は言えないし主人に背いたという誹りへの抗議もできない。咲夜の鼓動が速まった。異常なまでに昂ぶっていた。
外から早苗が飛びだした。咲夜につられたのかもしれない。咲夜はナイフを構えて群衆の薄い場所を目掛けひた走った。
最後尾についた咲夜はとりあえず目の前にある頭を掴む。それはアリスだった。自爆しないアリスなど恐れるに足りない。咲夜はアリスの眼球を摘んで引っ張りだすと赤のコードを切断した。般若の形相で振り向いたアリスは面の皮を手早く剥がれた。蹲ったアリスを踏みつけて咲夜は前進した。
「終わりだ。もう終わった。終わった。止めろ。止めろ。下がれ」前線から声が上がった。「魔理沙の肉体はおろか、毛一本だって残っちゃいない」
「ふざけるな」椛は前線にいた九十九姉妹を纏めて斬り捨てた。
「ならばお前らが代わりに殺されろ」ムラサの振り回した錨が美鈴の背中を抉った。
咲夜も同感だった。「死ね」咲夜は霖之助の脳天にナイフを突き刺し、一歩進んだ。
目の前の慧音が振り向いて殴りかかってきた。その拳は咲夜の横にいた蓮子の顔面にめり込んだ。咲夜は慧音の角を掴んだ。へし折ってやろうと思ったが固くて無理だった。そばにいた霧雨が叫んだ。「こいつ手え、魔理沙ん血が付いとる」
「殺せ」周りから伸びた無数の手が慧音を倒した。慧音は全身を踏み砕かれた。
「レミリアは魔理沙を殺っているぞ」向こう側で声が上がった。
咲夜はレミリアの元にすぐにでも駆けつけたかったが人が混みすぎていて思うようにいかなかった。咲夜は雷鼓の胸にナイフを突き刺す。
「痛いじゃないか」雷鼓の前蹴りを咲夜が躱すとその蹴りは依姫の腹を貫通した。怒った依姫はむやみやたらに斬り裂く。
「何する」「てっめえ」「やりやがったな」「ちくしょう、ぶっ殺す」咲夜は動乱に生じたわずかな隙間を潜り抜けながらレミリアを目指す。
矛を収める者はおらず、そこかしこで血が流れはじめた。
ヤマメは釣り上げた獲物を引きずり回している。ヤマメの握る縄の先端はこころと輝夜の足に結ばれている。砂礫で削られた二人の顔形から表情を読み取ることはできなかった。
正邪は相手を選びながら戦っていた。紫やフランといった強者がその候補である。今、紫は正邪に背を向けている。正邪はぬえから奪い取った槍を構えて突撃した。
斬れば分かる。この一太刀で妖夢が知り得たことはアーサーがエクスカリバーとその鞘を持っていたということだ。「完全に入ったのに」アーサーのエクスカリバーが妖夢の胴を斬り払う瞬間、妖夢は斬られて分かることもあるのだと悟った。
大男は青澤巡査を棍棒代わりにして暴れていた。既に棍棒の芯はへたって使い物にならなくなっていた。大男は団長を見つけた。割れた酒瓶でミスティアを串刺しにした団長もまた大男に気がついた。大男は吠えた。そして得物を団長に投げつけ、肩から突貫する。ここに平穏などあるわけがなかった。
小傘は拾った拳銃で早苗を狙撃していた。なかなか難しいもので、最後の一発でようやく早苗の頭部に命中し偽お祓い棒が宙に舞った。次いで小傘は響子に銃口を向ける。「あれ」引き金を引いても弾は出なかった。よく分からぬままに扱っている小傘は拳銃をバンバン叩いてみる。「この」そうしたところで駄目だった。「使えねー。ゴミじゃん」ふと小傘は唐傘が盗まれているのに気がついた。小傘は非常に困ってしまった。
ルールを無意識のうちに破ったこいしは悠々と処刑場を散歩していたが一流の忍者である風魔、甲賀、伊賀には通じず忍刀で首を刎ねられた。三羽烏は同じようなことをしているにとりを次なる標的に定め闇に紛れた。
マミゾウは内なる獣に身を委ね四つ足で駆けることの心地よさを思い出していた。覚醒した太古の怪物はパチュリーの腸を貪り、空腹をそこそこに満たすと狩りの相手を新たに求めた。暴れ虎に自分と似た臭いを感じ取った。美味そうだと、面白そうだと思った。
霊夢は人語を解さぬ悪魔となって黒い気を放っていた。そこに萃香が現れた。「いよいよ乳無しになるときが来たね」黒い気が球体を形作る。「わたしも混ぜてください」超人となった白蓮が割り込んできた。白蓮は明らかに魔法を使っていたがそれを言うのも野暮だと萃香は思った。霊夢は二人だろうが百人だろうが物の数ではないと思っていた。
暴動は処刑場の至る所で起きていた。念仏を唱えるものもおらず、提灯は地に落とされた。微かに残る灯火も踏みにじらるか血が掛かるかして消えていった。そうやって飛び散った火の粉がたまたまアリスに触れ、引火した。アリスは爆発した。一帯は血の海に加え火の海とも化した。
メリーは蓮子の名を叫びながら走り回っている。こんな世界なんかに興味を持たなければよかったという後悔が頭の中を占めていた。頭を振りながら蓮子を探すメリーは一輪にぶつかって転んだ。「あっ、すみません」そんな言葉が出てきたのは一輪の手が真っ白で、菩薩みたいな笑みを浮かべていたからであった。メリーは凍りついた。一輪が操る雲山の血に塗れた拳を見てしまった。
秘密警察の長官と幻想郷警察署長は死闘を繰り広げていた。銃弾を撃ち尽くした後は泥臭い取っ組み合いが始まり、まだ続いていた。長官は拾った石で署長の頭部をかち割る。署長は長官の銃痕から内臓を引きずり出す。二人の過去には決定的な亀裂があり、どちらかが死ぬまで続くように見えたがどちらも相手を殺すまで死にそうになかった。
アイテムをばらまく正体不明の光源が撃破されたらしく1UPが浮遊していた。文は記者業で培った観察眼でいち早くそれを発見すると「やられる前に殺る、やられたら殺る」のモットーに従い猛進する。「わたしのものだ」四方の確認を怠らなかった文であったが頭上への警戒は薄かった。上空を飛んでいるやつなんていなかったからなのだが、飛び跳ねている者はいた。キスメが落ちてきて文の頭蓋を砕いた。
とびきりかわいいフレッシュゴーレムは屍肉を纏って幾重にも成長した。かわいさと引き換えに巨体を得たゴーレムはダイダラボッチと呼ぶに相応しかった。ゴーレムの重量の前には天人の頑健な肉体も茹で豆に等しかった。ゴーレムは妹紅を潰し、幽香を潰し、妹紅の元に戻ってきた。ゴーレムは復活した妹紅を再度潰す。プチプチを潰す子供のようにゴーレムは妹紅殺しに夢中になった。
誰が開いたのか、アマザの扉から難民が溢れ出た。無限とも思えるほどの圧倒的な数であった。彼らは世に言うゾンビだった。扉の近くにいた幽々子はこれは何なんだと彼らを死に誘ったが、アンデッドには意味を成さなかった。あっという間に彼らに取り囲まれ、幽々子は脳を食われた。アマザ難民がゾンビだと聞いて喜んだのは燐と青娥であった。二人のネクロフィリアは服を脱ぎ捨て難民の群れに飛び込んだ。達磨にされた二人は至福の笑みを浮かべていた。
闇夜にぎらつく双眼。上機嫌で10tトラックを運転する布都はクラクションを連打した。10tトラックについて説明すると、船を改造していたら自然とこうなった。ワイパーが血糊を拭う。「幾らでも轢き殺してやる、ゾンビども」布都は進行方向に、ゾンビの群れに掴まれた神子を見つけたが進路変更も減速も間に合うわけがないので轢き殺すことした。ワイパーが血糊を拭う。「あー、すまん。でもよく考えたら、あれじゃどのみち死んでいたし、むしろ苦しまず殺してあげたんだから、感謝しているはずだな。うん」
咲夜は長年のメイド生活の賜物によってこれら不運の被害に遭うことなくレミリアの元へとたどり着いたがレミリアは逆にこれら全てのとばっちりを受けていた。穢れの大量混入により自然再生が止まっていた。
咲夜は静かに涙した。怒りに目が眩むことはなかったものの無念は大きかった。咲夜は無慈悲な混乱の終焉を願った。そのとき咲夜はフルパワー咲夜となった。
・フルパワー咲夜
能力 触手使役:LV5
素質 [寄生]
咲夜の腹部が膨れ上がり弾けると大量の触手が産み落とされた。たちまち触手が、処刑場を埋め尽くす難民を更に覆い尽くす。触手は一人一人に絡みつき容赦なく極楽四重絶頂させた。4294967296人近くの諸々の体液によって火は洗い流された。皆冷静な思考を取り戻し争うことを止めた。ゴーレムやアマザ難民も例外ではなかった。咲夜が指を鳴らすと触手は母胎に帰っていった。咲夜は傷口を縫って立ち上がりマイクを手にした。「永琳さん」
永琳もマイクを手にする。「はい。なんでしょう」
「今回傷ついた人々の治療と蘇生をお願いします」
「わたしじゃなくてもできますよ」永琳は足踏みしてその音を拾った。「材料がこれだけあるんだから。粘土をこねたことがあれば誰でもできるはずです。人によってはコツを掴むのに時間がかかるでしょうが」
永琳の言う通り蘇生は滞りなく進んでいったが念のためレミリアは永琳にこねてもらった。
体液でずぶ濡れのレミリアは同じくずぶ濡れの咲夜の頭を撫でた。「咲夜、ありがとう。あなたやればできたのね」
「従者なれば当然の事でございます」咲夜の涙とその意味にレミリアだけが気づいた。
「You're a champion」やってきたアーサーはそう叫ぶなり咲夜にペッティングをかました。セックス依存症というだけあってあれだけイッても満足していなかった。流れでファックに至ろうとしたがレミリアが睨んだのでアーサーはペニスを渋々しまった。
「胴上げだ」アーサーの声がマイクを通して響き渡るとここぞとばかりに今まで出てこなった人々(おばさん、戸隠、稗田、あんちゃん、妖忌、不思議の国の時計を持ったシロウサギ、カフェテラスの幽霊、ナズーリン、豊姫、レイセン、山の二柱の神とその他の神々、さとりとそのペット、秘密警察の長官の愛人、はたて、小悪魔、パルスィ、ジャニーズ、メイド服を着た妹紅、メイド服を着たぬえ、小人、紫マント仙人、ヘッドホン仙人、高速回転する狐、虫、僕、てゐ、正邪くん、ぬえくん、大妖精、同僚、地域課長、副署長、その他)が押し寄せ、びちゃびちゃな胴上げが始まった。
レミリアも一緒に胴上げされた。「ちょっと、なんでわたしまで」
咲夜は満面の笑みを浮かべる。「いいじゃないですか」
その一言でレミリアは状況を受け入れた。処刑場は祝福に満ちていた。魔理沙のことなど誰も思い出さなかった。
- 作品情報
- 作品集:
- 10
- 投稿日時:
- 2014/07/05 00:48:52
- 更新日時:
- 2014/07/05 09:48:52
- 評価:
- 6/6
- POINT:
- 600
- Rate:
- 17.86
- 分類
- 便乗
てっきり冤罪かと思ったら本当だったのかよっ!? まあ、魔理沙はゴミクズですからね〜。
物理的な酒池肉林の饗宴、狂宴、凶宴!!
作品群の登場キャラ達が物理的に渾然一体となった後夜祭!!
私があっけなく殺した秘密警察長官が、まさか警察署長と死闘を繰り広げるとはベネです☆
最後はレミリアおぜう様♪
万歳!! 万歳!! 万歳!!
アーサー