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『ハクタク先生月に行く』 作者: 木質
月面。
出来たばかりの巨大なクレーターの中心に何者かが仁王立ちしていた。
「おい応答しろヒューストン!…ッチ、やはりこの距離じゃブルートゥースは無理か」
角が生えた女性。半獣である上白沢慧音が完全に妖怪化した存在であるハクタクは、耳に掛かる通信機を乱暴にポケットに仕舞う。
そして、
「地球からこんにちは! 気付かなければ殺戮の天使でいられた! ハクタク先生です! 男の子と合体したい!」
竹ヤリを手に集まってきた玉兎の少女たちにそう宣言をした。
「そしてこっちが相棒の妹紅だ。オッス、ヨロシクモコ」←腹話術
人の形の炭化した塊を玉兎達に見せる。
「カグヤモッコロース!!」←腹話術
「うぷっ」
「おえっ」
妹紅の変わり果てた姿に玉兎の数名が嘔吐した。
「リザレクション!」
消し炭から復活する妹紅。
「てめぇハクタク! 生身で宇宙遊泳とかイカれたことするんじゃねぇモコ!!」
妹紅が抗議の声を上げていると、玉兎に誘導された二人の女性が到着する。
綿月姉妹である。
「貴女達、この子達の報告だと『地球から来た』とか。地上の民なのかしら?」
「オフコース。オダカズマサ」
「オダカズマサ? ゴホン、地上の民がどうやってここに? ゲートは閉じていたはず。ロケットの打ち上げがあったなんて報告もなかったわ」
「基本学級に置いてあるトランポリンの弾力を知らないのか? 月まで余裕だぞ? 伊達にクレイジーチルドレンの相手を務めてるだけある」
「教育者がぜってぇ言ったら駄目なこと言いやがったモコ」
「いつぞやの一行みたいに暴れられたら厄介ね。捕らえましょう」
「はい、お姉様」
依姫は剣を抜くと地面に突き立てた。ハクタク達の足元から無数の剣が飛び出し、彼女らを取り囲む。
「ウオモコ!!?」
「ずいぶんな挨拶だな」
「動かない方が身の為よ。祇園様の怒りに触れるわ」
「スナノオが怖くてショタチンポが愛でられるか」
ハクタクが踵で地面を踏み鳴らす。地面がヒビ割れ、生えた剣が全て消滅した。
「そんな! 祇園様の力よ!? 易々と返せるはずが…」
「アイツとは八岐大蛇を一緒に倒した仲だ。ダブルライダーキックでな。大蛇の野郎、メスガキだけでは飽き足らず男の子まで生贄要求するようになったから、私が直々に鉄槌を下してやった」
「このなんちゃって女騎士が! 輝夜の舎弟ごときが妹紅に刃向かおうなんざ百億光年早ぇモコ!」
依姫に向け、一直線に駆け出す妹紅。
「そのGペンで書いたような輪郭の顔面! いますぐモコモコにして! クレヨンしんちゃんみたいな形に変えてやるモコ!」
「愚かね」
依姫の腕が燃え上がり、その手が妹紅に翳される。
「妹紅に火とか舐めんなモコ!!」
ぶつかり合う拳と拳。依姫は一瞬だけ驚いたように眼を開くが、それも一瞬で、すぐに余裕の表情に戻った。
「そこそこやるようね。ならば…『火雷神』よ」
「モギャン!!」
落雷が直撃し白眼を剥く妹紅。追い討ちといわんばかりに落雷を落とした龍の群れが迫る。
「邪魔だ」
ハクタクのデコピンが、妹紅に喰らいつこうとした龍達を霧散させた。
「友好的なトラベラーに向かっていきなり剣おっ立てて来たかと思えば落雷で迎撃って、とんだ先住民族だな。火星のゴキブリといい、宇宙人は野蛮人ばっかだ」
不機嫌な表情のハクタク。
「ここに来た目的すらわからない者達を歓迎するわけがないでしょう?」
「なら訊けよ!!!!」
「ヒッ」
物凄い剣幕で怒鳴るハクタクにたじろぐ依姫。
「ウサ耳のガキどもは竹槍向けてきて話になんねーし! 上司のお前らもいきなり地面から剣生やすし!! まずは訊け! なんも訊かずにおっ始めるのはシューティングゲーの時だけにしていただきたい!!」
「そこまで言うなら尋ねましょう。貴女方の目的は?」
豊姫が尋ねる。
「月にいるショタ玉兎きゅん達のアソコと鼻をヒクヒクさせにだ」
「お姉様。戦闘続行の許可を」
「任せるわ。あれらを強制送還なさい」
「交渉決裂か、ならば押し通るまで!」
跳躍し、一瞬で依姫との距離を詰める。
「『金山彦命』よ」
依姫は手を前にかざす。
目の前に砂が集まり、やがてそれが一枚の分厚く広い金属板に姿を変えた。
「甘い!」
ハクタクは首を振り一閃。角が金属板を真っ二つに切断。
「馬鹿な! 地上に存在しない硬度の金属よ!? 切れるわけが…」
「私の角はオリハルコンすら豆腐のように貫く。金属って時点でもう駄目なんだよお前の防御は!」
ハクタクの鉄拳がうなる。
「『天宇受売命』よ。我が身に降り立ち舞いを見せよ」
依姫の身体が輝きだし、ハクタクの拳をなんなくかわした。
(完全に決まったかと思ったがハズしたか!? ならば!)
ハクタクは攻めの手を緩めず、ひたすら攻撃を繰り返す。
「くそっ、なぜ当たらん!?」
ハクタクの連撃をまるで舞でも踊るような優雅な動きで回避していく。
「さて、ではそろそろ反撃を……?」
いざ反撃に転じようとした依姫だが、ここで異変に気付いた。
(反撃に移れない?)
避ける事に身体が精一杯で、攻めに転じることができないでいた。
(一発目を避けたかと思えば、もう次の攻撃が来ている!? 技の連携が完璧で、動きに無駄がなく、技と技の間にまったく隙がない!)
「どうだ“煉獄”の味は! 人間を舐めるなよ宇宙人ども!!」
「ならば!」
依姫は動きを止めた。
「はっはー! とうとう観念したか!!」
「『石凝姥命』よ!!」
依姫の前に三種の神器であるヤタノカガミが現れる。
「なに!?」
あらゆる攻撃を跳ね返す無敵の鏡。ハクタクの拳は止めることができず、そのまま鏡に突っ込んでいく。
「でもそんなのカンけーねぇ!!」
拳は鏡を粉砕し、依姫の顔面を捉えた。
「ぶえへぁ!!」
吹っ飛ぶ依姫。
「三種の神器使いである私にヤタノカガミを向けるとは笑止! あんな鏡、風呂上りの時とか部屋の掃除中の時とかに、うっかり踏んだりして、よく割ってんだよ!」
「人間時のけーねは偶におっちょこちょいモコよ」
地面に倒れる依姫を見下ろす。
「神獣の最高峰である私に八百万の神で挑むとはなんとも無謀な女だ。私と対等に戦いたければゼウスか邪神か、立川の安アパートでバカンス中の聖人二人でも下ろすんだなぁ? 最も全員、私のまーぶ(マブダチの意)だがな」
「ここは一旦退くわよ依姫」
姉である豊姫が妹に触れると、二人の姿はその場から消えた。
「ちぃ、八雲紫みたいな能力使いやがってあの女」
「輝夜の舎弟は一匹も残さねぇモコ。追うぞモコ」
「合点だモコタン」
綿月家の屋敷。
「顔は大丈夫?」
「ええ平気です、痛みも腫れもだいぶ引きました。危ないところをありがとうございました」
自室まで逃げ帰った姉妹。
「対策を立てて、すぐに捕らえに向かうわよ」
「はいお姉様」
「それまで、あの地上の民が暴れていないか心配ね。外の様子を見てみましょう」
部屋に置いてあるディスプレイにスイッチを入れる。
『カウントダウンTVをご覧の皆さん、KONOYO NO OWARI です』
ピエロの覆面を被ったハクタクと妹紅が画面に映る。
「なぁっ!?」
『それでは利いてください。新作の…』
ディスプレイが倒れ、部屋の壁が倒壊するその向こうに人影があった。
『RPGィィィィィィィィィィ!!(対戦車投擲弾)』
引き金が引かれ。飛び出す先端。
着弾し、部屋がまるまる吹き飛んだ。
「汚ぇ花火だなモコタン?」
「輝夜の舎弟には当然の末路……モコ?」
晴れた煙の中、無傷の二人が立っていた。豊姫が先頭に立つ。
「どうやら手心の必要は無いみたいね」
扇を取り出すと、大きく手を振りかざし、煽いだ。
煽いだ風に触れた端から、粒子となって分解されていった。
「うおおおおおおおお!! なんじゃこりゃあモコォォォ!!」
風を受けた妹紅は全身が泡立ち、指先から徐々に粒子となって分解されていく自分の姿に恐怖する。
「リザレクションが追いつかねぇモコォォォ!!」
断末魔を残し、妹紅の身体は粒子となり、消滅した。
「モコタン!? ってうわああああ! 私もヤバイ!!」
ハクタクも妹紅と同様、身体から塵のようなものが滲み出し始める。
「さあ、無に帰りなさい」
「うがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
舞い上がる塵、両手を広げたまま残るハクタク。
「すっげぇ身体が軽い! もう何も怖くない!!」
「なぜ!! 森すら一瞬で粒子に変える扇よ! 煽がれてなぜ平気なわけが!?」
「ちゃんと分解されたぞ? 身体の疲労となる蓄積された乳酸や、肩こりの原因だった血栓やらが」
「貴女にとって都合が悪いモノだけじゃない!!」
「おお!! なんだこの湧き上がる力は!!」
この時、人間体である時の負荷である、教師としての仕事、自警団としての責務、里の人間との付き合い、慧音を良く思わない連中から与えられるストレス。日頃の激務で不養生となった慧音の身体はボロボロだった。
その身体に蓄積されていた悪いものが全て、身体から消えた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
全身から金色のオーラを出すハクタク。
「すごいぞ!? 力が湧いてくる! 今なら宇宙の理すら変えられそうだ!」
ここが月面であることと、体調全快になったことで、ハクタクの身体はこれ以上にないくらい万全だった。
翌日。上白沢邸。
「おいけーね。ちょっと起きるモコ」
「どうした妹紅。ハクタクになった翌日は体調が崩れるから、朝食はコーンフレークに牛乳をかけろと…」
妹紅に揺すられて起床する慧音。この時、自身の異変に気付く。
「身体がどこも痛くない」
日頃から悩まされている肩こりや頭痛、関節の痛みが消えていた。
「なんだ今日は身体の調子がいい」
「けーねの体調なんざ二の次モコ。あれを見てくれモコ」
窓から、早朝に浮かぶ月を指差す。
「餅をついてる兎の模様が、男の餓鬼同士がアナルファックしてるみたいに見えるモコよ」
「おやすみモコタン」
深く布団を被り、疲労を一切感じない身体で二度寝に勤しむ慧音であった。
- 作品情報
- 作品集:
- 10
- 投稿日時:
- 2014/07/21 13:30:35
- 更新日時:
- 2014/07/21 22:30:35
- 評価:
- 5/5
- POINT:
- 500
- Rate:
- 17.50
- 分類
- ハクタク先生はショタコン
- 妹紅
- モコモコ王国スピンオフ
- 綿月姉妹
『もう何も怖くない』は死亡フラグモコよ……。
依姫が召喚した神全員がマブで、豊姫の素粒子分解で己の体の負荷を消滅させるとキたかっ☆ ハクタクさいきょーH
ショタ玉兎がアナル処女喪失した際のトコロテン射精で精通を迎えるシーンとか拝見したかったナ♪