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『暴力』 作者: 山蜥蜴
硬く握られた拳が突き出される。
椅子に縄で縛られ身動きの取れない彼女に、それを防ぐ術は無い。
拘束はシンプルで有りながら巧妙で、例えば何処かの骨を外しても抜けられる類の縛り方では無かった。
鳩尾へ吸い込まれた打撃は『効果的』だった。
彼女は身体の中心から、じわりと上方へ広がる苦痛に耐えた。
いや、正確に言えば、彼女が耐える事を選択した訳ではなく、耐える以外の選択肢が彼女には無かったのだ。
彼女を拘束し傷めつけている相手は、彼女に何も要求をしていなかった。
金品、情報、服従…… 何一つ要求せずに、ただ暴力をふるった。
あえて言うならば、この暴力の行使こそが相手の要求なのかもしれない。
幸いというべきか、山の哨戒任務を長く続ける内に暴力には慣れていた。
自らが暴力を振う事にも、自らが暴力を振るわれる事にも。
それが当然だったのだ。
暴力で以って要求を成さんとする相手を、暴力で以って阻止する。
それは山が幻想郷へと組み込まれる、ずっと以前から行っていた日常だった。
それが自分の存在理由と言っても過言ではないと彼女は考えていた。
仲間からはそれが上手く行える事で評価されていたし、自身もそれを満足に思っていた。
自分が部屋に入った時に、一瞬視線が集まり室内が静まる。
畏敬。
地位や階級とはまた別の、一種の位階で彼女は高い場所に居た。
それは学歴や教養、家柄が無くとも高い技術を誇る職人へ向けられる眼差しと同じものだった。
この狭い業界において、彼女は一目置かれていたのだ。
最近流行りの弾幕の才能は余り無かったし、妖力にも然程恵まれてはいない。
それでも部隊で彼女を軽んじる者が居ない程度に、単純な暴力の才能と経験があった。
彼女が戦闘に余り恐怖を感じた事が無かったのは、その自負と無関係ではあるまい。
しかし、負ける事を考えていないから怖く無いというだけでは無い。
そこには一つの諦観と覚悟があった。
暴力で自分が劣っていたならば、死もまた仕方のない事だ、というもの。
それは自身の死を覚悟するだけではなく、相手を殺害する事実を受け入れる為の思想でもあった。
自分が死んでいないのは単純に強かったから。
相手が私に殺されたのは単純に弱かったから。
動機や正当性を考えていて続けられる仕事ではなかった。
いつか自分も、自分より強い相手に殺されるから、私に殺されたお前も納得して死んでくれ。
だから、互いに暴力を振るい振るわれる事は、恐怖ではなく一つの過程に過ぎなかった。
しかし今、彼女は一切の抵抗を許されない状態で、一方的に暴力を振るわれている。
それは彼女にとって、許容範囲を遥かに超えた恐怖だった。
過去、彼女より遥かに妖力で勝る相手と戦闘になり、一方的に傷めつけられた事はある。
その時は実質的に手も足も出ずに、味方増援部隊に辛くも助けられた。
だが、その時に感じたのは恐怖というよりは、焦燥と怒りだった。
任務を全う出来ない事へ感じる焦り、不甲斐ない自身への怒り。
今回のこれは違う。
昨日、仕事を終えて自宅に帰り、夕食をとって寝床に入ったところまでは覚えている。
だが気が付けばこうして、見覚えの無い薄暗い室内で縛りあげられていた。
そこに抵抗のプロセスは一切なかった。
手も足も出ないというのは比喩では無く、物理的な事象の単純な状況説明だった。
それが耐え難い恐怖だった。
彼女の腹部へ拳を放った相手は特徴の無い着物を着ており、覆面をしていて喋らず、性別すら定かではない。
体格も中肉中背といったところか。
知り合いの誰でもあり得るし、未知の相手かも知れない。
不気味であった。
目が覚めた時、相手は既にこの部屋に居た。
彼女の眠っている様子を、床に座って眺めていたらしい。
当然、彼女は相手に話しかけた。
状況、意図、正体…… 何一つ答えは得られなかった。
彼女が問いかける間は何もせずに、その様子を黙って見ていた。
彼女が応答を諦めて、徐々にこの状況の意味不明への恐怖を顕わにするのを楽しんでいるようでもあった。
殴ったのはその後だった。
この相手は、暴力を振う事に余り慣れてはいないらしく、拳はそう鋭い訳では無かった。
だが、それも彼女にとっては恐怖の一つだった。
過去、山中の下らない諍いの仲裁をした事も多い。
その経験から言えば、相手が素人らしいというのは余り嬉しい予想ではなかった。
荒くれ者の多い部隊内の喧嘩より、酒場の素人同士での喧嘩の方が悲惨な結果を巻き起こすのを何度も見ていた。
素人は暴力の手加減を知らないし、喧嘩の始め方は分っても、終わり方を知らない場合が多いのだ。
大抵の怪我は見慣れた彼女も、喧嘩の現場で助け起こした河童の男の顔が、ガラス片でズタズタだった時には、一瞬眉を顰めた。
相手は彼女が腹部への打撃に、軽く呻いて息を漏らすのを静かに眺めていた。
彼女の発達した腹筋に自分の拳では効果が薄いと考えたか、二発目はない。
代わりに、蹴りがとんだ。
余り正しい打ち方とは言えない、素人らしい前蹴りだったが十分な威力を持っていた。
防御も受け身も出来ずに、彼女は椅子ごと床に転がった。
苦しげに呻き、口の端からは唾液が流れる。
その様子に満足したのか、相手はしゃがみ込んで彼女の悶える様子を間近で見ている。
背を丸めようという防御の生理が彼女の身体に起こるが、拘束されておりそれすらままならない。
ただ、縄がぎしぎしと軋み、服の上から身体に食いこむだけだ。
静かな室内に、縄と椅子の軋む音、彼女の微かな呻き声と荒い息だけが響く。
少しして、彼女の腹部の痛みがようやく薄れて呼吸も整いつつあった頃、相手が立ちあがった。
再度の蹴り。
下駄の爪先が、腹部にめり込んだ。
胃が持ち上がり、肋骨が広がり、鼻と口から胃液と空気が吹き出す。
悲鳴というよりも、蹴りによって身体から追い出された空気が、通り道の喉を鳴らしたと言った方が正しいだろう。
また、相手はしゃがんで彼女の様子を眺めている。
冷徹な観察というよりは、興味本位の鑑賞に近い雰囲気だった。
その後、何度かその暴力と鑑賞は繰り返された。
幾度目かに、彼女の目から涙が流れた。
相手はそれを見て、椅子と彼女を引き起こして、愛おしげに彼女の頬を撫でた。
彼女はそれを拒否する事を、顔を反らす事と、睨みつける事で表現した。
相手はそれを見ると、尚更のこと愛おしげに頭を撫でた。
大変お久しぶりです。
やっぱり椛もみもみ。
相手ってのは誰でも良いです。
筆者や読者様でも良いですし、射名丸やはたて、にとりや早苗でも良いでしょう。
はたまたエロ同人で勇猛を馳せて久しい村人Aや天狗Bでも良いし、霊夢や霖之助でも面白いかも知れません。
それぞれだった場合、こういう動機や物語が成り立つのかも、と楽しんで頂ければ幸いです。
個人的に椛は暴力に近しいキャラクターに思えます。
振う方も、振われる方も。
他の大抵のキャラクターは戦うにしても、暴力って程泥臭いものじゃなくて、もっとマジカルな何か。
所謂、武器キャラは他にも居ますが、妖夢は道場剣術、星君は儀式用、って感じに思えて。
小町の鎌には魅力を感じていまして、イミテーションなんて嘯いていますが、アレは結構血を吸っているんじゃないかな、って。
次点で暴力的な空気を感じるのは美鈴や鈴仙でしょうか。
まぁ、はい、短くて物語も無いモンでお目汚し失礼しました。
20140809
>NutsIn先任曹長さん
お変わりない様でなによりです!
単純な暴力は、単純な献愛と同じく、愛が無くては行えない!
理不尽は一種の純愛!
>2さん
興奮して頂けたなら何より!
山蜥蜴
作品情報
作品集:
11
投稿日時:
2014/08/06 19:00:31
更新日時:
2014/08/09 18:30:31
評価:
2/4
POINT:
240
Rate:
10.60
分類
犬走椛
単純明快な暴力!! すなわち『理不尽』!! すなわち『愛』!!