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『慣例』 作者: ギョウヘルインニ
「私を呼び出して、用事ってなんだ早苗?」
「あ、魔理沙さん来ましたね」
「来なくてもよかったのか?」
「強制したつもりはありませんでしたが?」
「そうだったのか? じゃあ、帰って良いか?」
「別にかまいませんが、無事に帰れる補償は有りませんよ? 生命保険でも掛けておきますか? 帰り道物騒な目に遭うかもしれません。それで、死んだら保険金が入ります。受取人は私ですが」
「生命保険には入らないぜ。私の命は私だけのものだ」
「はぁ? そうなんですか? それは知りませんでした」
「まあ仕方ないな。お前は幻想郷に来てまだ日が浅いからな」
「そうですか。それはそれで良いとしてあげましょう。私の心が狭かったら今頃もうお墓の中ですよ」
「お墓の中はもう見飽きたぜ。今まで何回殺されたと思っているんだ」
「でも、それだけきちんと埋葬してもらえてるってことですよ。素敵で瀟洒な黒曜石のお墓とか魔理沙さんには似合うと思いますよ」
「生憎、私は十字架っぽい墓に埋葬されることが多いぜ」
「へぇ、そーですかー。それは知りませんでした。まあ、どっちにしてもお花を飾ってあげますね。とびきり可愛いお花です」
「可愛い花か。嫌いじゃないぜ」
「女の子らしいところもあるんですね」
「そうだな」
「……白いスプレーギクなんかどうです?」
「生憎、私は供えてもらうなら大輪の菊って決めているんだ」
「え、大輪ですか? あれは、道に生えてないから買うか育てるかしなきゃいけないじゃないですか? 遺した人々の手を煩わせるのですか?」
「道草を私に供えるつもりだったのか?」
「この場合、道花って言うんでしょうか?」
「知らないぜ」
「じゃあ、タンポポにしておきますよ。それで、文句ないですね」
「なんで、タンポポになったんだ? タンポポなんって全然価値が無い」
「蒲公英って漢字で書けば三文字、菊は一文字、どっちが偉いのかよく考えてから発言してください」
「それって、結局どっちなんだ?」
「う〜ん。難しいですね。いっそ、死んで墓に入って確かめてみます?」
「なぜそうなる?」
「だって、他に試しようがないじゃないですか。実際、墓前に供えてみないとわかりませんよ」
「なあ、早苗」
「なんですか?」
「どうして、お前と話すといつも私は死ぬんだ? 普通に話しちゃいけないのか?」
「高貴な私と喋れるだけで幸せなのに、ずいぶんと欲の皮が厚いんですね」
「自分で高貴とかいうやつ初めて見たぜ」
「夢ではいつも逢っているのに?」
「なんの話だ?」
「私の夢では魔理沙さんがいつも出てくるんです」
「じゃあこれも夢か?」
「いいえ、これは夢ではありません会話文です」
「だよな? やっぱり、夢じゃないよな」
「それにしても、なんで私はいつも魔理沙さんを呼び出してしまうのでしょう。もしかして、心のどこかで魔理沙さんの事」
「殺すためだろ?」
「そうですね。それが、本音かもしれませんね」
「ここから生きて帰る方法は無いか? 国に残して恋人が待ってるんだぜ」
「魔理沙さんには恋人は居ないでしょう? それに、それは自ら火に飛び居る虫のようにあっけなく死んでいく人のセリフですよ」
「待て、今のは口が勝手に」
「また、意味の分からないことを言って。これじゃいつまでも退院できないですよ」
「退院できない?」
「そうですね。魔理沙さんは被害妄想が酷すぎて精神科に入院させられた哀れな患者さんだったのです」
「何だ、そういうことか。そういうオチか! だったら、私は狂うのには慣れているからそのうち退院して生きて帰ることが出来るんだな」
「そういうオチだったら良かったですね」
「え?」
「残念ながら、ここ精神科じゃ無いんですよ」
「私には精神科に見えてたんだがな」
「ここが精神科に見えるなら一度精神科で診察を受ける事をお奨めします」
「早苗って精神科の先生なのか?」
「どうしたんですか? 何回か喋って居る間に、本当に病んだんですか?」
「大丈夫だぜ! 狂うのには慣れている」
「……魔理沙さんが狂うのに慣れていても、その対処に私は慣れてないですよ」
「何回か対応してるうちに慣れるぜ」
「そんな面倒なことわたしがすると思いますか?」
「まあ、無理だろうな」
「あれ? 魔理沙さん普通にもどりました?」
「だから、狂うのに慣れてるからすぐに直るぜ」
「どういう、精神状態なんですか?」
「あれだぜ、急に眩しい光が私の魂を包んでくれるんだぜ。そうしたら、何か温かい気持になって元の場所に戻ってこれるんだ」
「意味が分かりませんね」
「一蹴するな」
「魔理沙さんの下らない妄想に付き合っているほど暇じゃないんですよ。いい加減にそこのところを理解してください」
「だったら、なんで私を呼び出すんだ?」
「何ででしょう? もしかしたら魔理沙さんの事」
「やっぱり、殺すためだろ?」
「なんですか? よっぽど殺されたいようですね?」
「早苗に呼び出された時点で私の死は決まっているんだ。このまま、座して死をまつより潔く首を差し出すぜ。さあ、殺れよ。どうせ殺すんだろ?」
「そんなに、この後始まる拷問が怖いんですか?」
「拷問ってなんだ? 聞いてないぞ?」
「魔理沙さんと話していて魔理沙さん自らが切り開いた話じゃないですか?」
「え?」
「今日は魔理沙さんを呼び出したのは殺したり拷問するつもりはなかったのに」
「じゃあ、どういうことだったんだ?」
「お茶したかっただけだったんです」
「お茶? なんで、私が早苗なんかと、お茶しなきゃならないんだ?」
「それは、私が魔理沙さんの事」
「お茶に毒入れて殺す気だったんだろう?」
「……所詮は交わることの無い関係だったってことですね」
「は? 何を今さら?」
「私は魔理沙さんの事」
「殺すんだろ! さあ、殺せよ! ……でも、痛くしないでくれ!」
「分かりましたそうしましょう。私はとても悲しい」
「何でだ? 痛くしないことか?」
「……そうかもしれませんねぇ」
レミリアを怒らせるどうでも良い方法 第壱羽
「咲夜」
「なんでしょう。お嬢様」
「この紅茶不味い。味しない」
「紅茶?」
「何? 何かおかしい事言った?」
「おかしいも何もそれがおかしいですか?」
「だからこの紅茶!」
「それお湯ですよ」
「お湯?」
「色見て分かりません? 透明ですよ」
「これが仕様なのかと思って」
「はぁ、フラン様だって間違えませんよ」
レミリアは凄くイラって来た。
ギョウヘルインニ
- 作品情報
- 作品集:
- 11
- 投稿日時:
- 2014/11/16 08:43:48
- 更新日時:
- 2014/11/16 17:43:48
- 評価:
- 5/5
- POINT:
- 500
- Rate:
- 17.50
- 分類
- 魔理沙
- 早苗さん
従者には、主の皮肉が通用しないのか……?
逃げられない巫女ってなんかすごい怖い気がしますね。
霊夢……魔理沙を助けてやってくれ……