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『食って掛かられる一寸法師』 作者: NutsIn先任曹長
コレを虫篭というには、あまりに居住性に優れていた。
例えるなら、監獄の一般雑居房に対する死刑囚の隔離部屋。
キィィ……。
『虫篭』の側面にある扉が開いた。
「ふ、ぅわぁあああああぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜……♪」
大欠伸をしながら出てきたのは、小ちゃなお姫様。
「霊夢さぁん、お茶を一杯いただけます、か……?」
寝ぼけ眼の少名 針妙丸が見た部屋は、博麗神社の生活臭が溢れる居間ではなかった。
病院の手術室のような、霊安室のような――、調理場?
「ちんちんっ♪」
「ひゃっ!?」
済んだ声で卑猥なことを言う、妖怪の美少女。
針妙丸は、かつて文々。新聞に大きく取り上げられていたグラビアと、目の前のエプロンを着用した妖怪少女が同じだと認識した。
「え、ええと……。貴女は『鳥獣伎楽』の……」
「ミスティア・ローレライよ♪ よろしく♪」
「ど、どもです……」
針妙丸は両手でミスティアが差し出した右手の指一本と『握手』した。
「そ・し・て♪」
ぞぶり☆
「――え?」
「さようなら♪」
ミスティアは、先ほど針妙丸と握手した右手で握った――
――針妙丸の針の刀よりも長くて硬くて太い鉄串で、
針妙丸の腹を突き刺した。
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
「ちゅう、ちゅう、たこ、かい、な――。はい、確かに☆」
幻想郷を守護する巫女、博麗 霊夢はミスティアが支払った高額紙幣を数え、霊夢が提示した額と同じだと確認した。
霊夢は札びらを手提げ金庫に仕舞うと、それを持って中座して、しばらくして金庫の代わりに『虫篭』を持って戻ってきた。
「はい、これでこの幻想郷に反逆した『死刑囚』はあんたのモノよ。ミスティア」
「確認しますけど、コレをどうしようと私の勝手なんですよね?」
大事な事なので、ミスティアは博麗の巫女に確認した。
「ええ。煮るなり焼くなり御自由に」
「ふふ♪ 蒸しても揚げてもいいんですよね♪」
ミスティアは受け取った『虫篭』を風呂敷に包むと、博麗神社をお暇することにした。
「霊夢さん、八雲様といっしょに屋台にいらしてください。今の時期はウナギが美味しいですよ♪」
「丼じゃなくてお重でお願いね♪」
「たっぷりサービスさせていただきます♪」
博麗の巫女と、彼女の恋人である幻想郷の管理人であるスキマ妖怪。
幻想郷最強のバカップルに媚を売っておいて損は無い。
かくして、ミスティア・ローレライは、大罪人の一人である少名 針妙丸の『死刑執行権』を購入したのであった。
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
「――と、いうわけ♪」
「え、えぇぇ……。そんな……」
霊夢から針妙丸の身柄を殺すために買い取った事を、ミスティアは若干オペラ仕立てで死に掛けの針妙丸に説明してやった。
「わ……、私は赦されたんじゃ……?」
「貴女、あンだけ幻想郷を引っ掻き回しといて、霊夢さんに飼われるだけで赦されると思ってンのォ?」
はは☆と嗤うミスティア。
「こンなンだから、あの天邪鬼にコロリと騙されるわけだ〜♪」
「く……」
針妙丸が呻いたのは、刺された傷が痛むせいだけではないようだ。
「正、邪は……、弱者……、救済の為、に……、下克上を……」
「反省の色無し。さすが、たった二人で幻想郷を滅ぼそうとしたレジスタンスねっ!! 自由の戦士様っ♪」
平穏に暮らす妖怪達や付喪神化させた道具を暴走させ、その野望が潰えた後もなおも幻想郷中を敵に回した鬼神 正邪。
哀れ、一寸法師の末裔であるお姫さんは、見事に骨の髄まで洗脳されていた。
「まったく!! アイツが生み出した付喪神のおかげで、『鳥獣伎楽』の人気はランクダウンしちまったわっ♪」
外界でモマれ垢抜けた太鼓の付喪神と、彼女に率いられた琵琶と琴の付喪神姉妹。
3人の美女付喪神の歌とお色気にファンを奪われたミスティア達は、腸が煮えくり返る思いをしていた。
屋台のお客に雷鼓のハスキーボイスが紡ぐ人気曲をリクエストされ、反吐を吐きそうになったのを飲食店経営者の矜持で噛み殺したのも二度や三度ではない。
諸悪の根源の一人である針妙丸に殺意を覚えるのも当然であろう。
「わた、私は関係――」「あるでしょっ!! あの天邪鬼の相棒なんだからっ!!」
バシィッ!!
「ぎゃっ!!」
ミスティアの鋭い爪から繰り出されたデコピンで、死にかけの針妙丸はお椀の帽子を弾き飛ばされ、自分の居室である『虫篭』に激突した。
「げほっごほっ……!!」
「あらあら、可哀想に♪ 鞭の次は飴ちゃんをあげましょね〜♪」
針妙丸を左手で鷲掴みにしたミスティアは、針妙丸の股から指二本で器用に小さいドロワーズを脱がし――引き裂いた。
「ぅうう……」
「それじゃ、甘ぁいキャンディーをガバマンで味わってねぇぇぇぇっ♪」
右手の中指を立てて『凸』の字型――『F○CK YOU!!』の形にしたミスティア。
真っ直ぐ伸ばされた中指。
指の先端から伸ばされた刃物同然の妖怪の爪。
それを――。
「い、嫌……」
針妙丸のピッチリ閉じた股間の秘裂に当てると――。
「やめ、止めて……」
一気に――。
「い――」
ジュブッッッ!!!!!
突き入れたっ!!
「い゛――、やぎゃああ゛ああああああああ……っっっ――――」
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
「ちょっと、コレ生きてンの?」
「一応は♪」
ミスティアは、腹を開き内臓を引きずり出された針妙丸の身体に塩をパラパラ降りかけた。
「――っ!? ――!! ――――っっっ!!!!!」
ビクビクビクッ!!!!!
「ははっ☆ ホントだぁ♪ イキがいいねぇ、女将さんっ!!」
ミスティアの屋台。
そのカウンター席に座った、『試食会』のたった一人の招待客。
伊吹 萃香は手を叩いて喜んだ。
ミスティアは下ごしらえの済んだ針妙丸を、高熱を発する炭火にかざした。
「――――――――――っっっ!?!?!?」
ビクビクビビクッッッ!!!!!
じわじわとクる高熱源に命を削る痙攣で答える針妙丸。
「さて、メインディッシュがローストされるまで、取って置きのお酒をお召し上がりください♪」
「おっとっと♪ ――っっっぷはぁぁぁぁぁっ☆ んまいっ!!」
屋台のカウンター裏に備え付けられた冷蔵庫でキンキンに冷された大吟醸を飲み干した萃香はクールダウンした。
いや、ヒートアップしたか……?
「ぷはぁ♪ 勇儀のヤツ、ようやく捕らえた天邪鬼にヤキを入れるのに忙しくて来られないなんて、かわいそー☆」
「地底は景気が良くなったとかで、勇儀さんやさとりさん達はお忙しいようですね♪」
正邪と針妙丸が起こした下克上異変は、下手したら幻想郷の仕組みそのものをひっくり返されかねなかった危険なものだった。
強者と弱者の立場が入れ替わるだけ?
否!! そんな単純なものではない!!
この異変のキーアイテムである『打ち出の小槌』は、もし本来のユーザーである『鬼』が使った場合、文字通り天地がひっくり返る大厄災を引き起こすことが可能だった。
地底世界の怨霊や最近の工業化で林立するコンビナートや核関連施設が天空に打ち上げられ、風光明媚な天界や高慢ちきな月人が住まう月の都が大地に堕ちる!!
小槌を使ったのが鬼の亜種である『天邪鬼』や本来は非力な小人族の針妙丸だったからこそ、スペルカード・ルールに乗っ取った通常の異変として処理できたのだ。
それを知ってか知らずか、正邪は追っ手として現れた幻想郷中の有力者達から、異変時に放出された小槌の魔力が残留している神具、魔具を強奪して己の力の底上げを図った。
自らも被害にあった幻想郷の管理人である八雲 紫は、まんまと逃げおおせた正邪の討伐を友人の萃香達が率いる鬼の軍勢に依頼した。
萃香達は快諾した。
自分達の宝具を悪用して、セカイを破滅させようとした『鬼』の面汚しを討つ!!
タイムリミット無しの鬼ごっこの末、幻想郷最大の嫌われ者となった正邪は囚われた。
正邪の仕置きを萃香と同じ鬼の四天王である星熊 勇儀に任せると、紫は禍根を絶つため次の一手を打った。
天邪鬼と小人族の撲滅である。
この二種族が居住する場所は、勇儀と覚り妖怪、古明地 さとりが正邪から心身共にタップリ可愛がった末に聞きだした。
正邪と異なり野心など持たず、とある集落で平穏に暮らす正邪の親兄弟は、無関係の集落の住民共々皆殺しにされた。
丁度、正邪の弟と純朴な村娘の祝言を祝うため、集落中の人妖達が一人残らず鬼神邸に招かれていたのだ。
屋敷を包囲して火を放つだけで仕事が済んだ。
予定よりも早く帰還した、紫配下の汚れ仕事専門部隊の頭は嬉しそうにそう言うと、家族サービスの為に定時退社したとか。
そして、針妙丸を姫と崇める小人族であるが――。
全員、地霊殿の敷地の一角に設けられた強制収容所――というより、理想的な小さな世界に移住させられた。
最初は虐殺の対象であった小人達であったが、各方面からの助命嘆願でそれを免れた。
少名 針妙丸に感謝しろ。
そう鬼達に言われ、無理矢理連れて来られた非力な者達は、予想外の待遇に感謝した。
常に虐げられ搾取される立場だった小人族は運命に玩ばれた末、ようやく平穏を得られたのだ。
新天地で彼らは生まれ、仕事に恋に生き、子を産み、育て、死んでいった……。
全ては地霊殿当主、さとりによって管理されているが。
殺すより、『資源』として彼奴等の命を利用しよう。
『一口サイズの人間』である小人は、小腹が空いた妖怪が頬張るのに丁度良いサイズだった。
『合法的に食える人間』として、食肉としての小人は瞬く間に幻想郷の妖怪達に大人気となった。
小人達の理想郷――『養殖場』から歓声が上がった。
サッカーめいた球技で、勝敗が決したようだ。
さとりの使いとしてやって来た火焔猫 燐は優勝チームと彼らの家族達を送迎バス――と称した死体運搬用の猫車に乗せた。
これから彼らは地上へ移住するのだ。
針妙丸が治めている小人達の楽園。今住んでいる場所以上の天国へと。
今更いうまでも無いが、彼らが聞かされたこの話は、天国逝き以外は嘘っぱちである。
歓喜から一転、絶望に打ちひしがれながら腹の中に堕ちる様が最高だと、恐怖を啜る種族の妖怪はアンケートに答えてくれた。
大量の需要を見込み、小人達の偽りの楽園ではフリーセックスが推奨され、彼らは昼と夜のスポーツにせっせと汗を流した。
もっともっと、大勢の妖怪達の腹を満たすために――。
「――てな事をさとりさん家のヒト達が話していましたから、『材料』もじきに安定して入荷できるようになるでしょう♪」
「では、私がコレをいただく客一号か♪」
「しかもプレミア物ですよ♪ ……おっと、そろそろ焼けますね♪」
炭火に脂が落ち、食欲をそそる香りを立てながら焦げた。
ミスティアはコンロから針妙丸の丸焼きを降ろして、八目用やウナギ用とは異なる新しいタレにそれをくぐらせた。
「まだ味付けが試行錯誤の段階なので、お口に合うかどうか……」
「ビシバシ、お客様の意見を言ってあげるよ☆」
「どうか、お手柔らかに♪」
針妙丸だった料理を焼き魚用の長い皿に盛り付けたミスティアは、それを萃香に供する前に卓の片づけを行なった。
空の瓶や突き出しの小鉢を回収し、少々汚れた萃香の前を拭き清めた。
ミスティアが手にしている台拭きは霊夢から高価な買い物の『おまけ』に貰ったもので、掌サイズの着物の形をしており、仄かに霊夢の髪の香りがした。
「おまちどうさま!! 少名 針妙丸の丸焼きでございます♪」
「おおっ☆ んまそうっ♪」
御馳走を前に、鬼の四天王の一角を担う萃香の表情は、外見年齢かそれよりも幼い少女の喜びに彩られた。
猪口に残った酒で口を軽く漱ぐと、萃香は両手で香ばしそうな火あぶり小人の頭と足を掴んだ。
「いただきまぁす☆」
ぱくっ♪
柔らかい腹に喰らいつくと、懐かしい人肉の味が女将さんの手間隙愛情でべき乗されて、萃香の舌を愛撫した。
不覚にも、萃香は泣いてしまった。
『鬼の目にも涙』。これは、感動の涙である。
まだ若い頃、人を襲って丸齧りした時、それを御馳走だと思ったことはあっても、感動などしたことが無かった。
料理って、素晴らしい……。
「んまんまんま……♪」
萃香は涙と鼻水と涎を零しながら、針妙丸の肉を、骨を、一心不乱に咀嚼した。
「小骨に気をつけてくださいね♪」
「お、おうよっ!! 針でお腹の中をチクリとやられるのは勘弁だ☆」
萃香は泣きつつ口を動かす回数を増やし、死せる一寸法師の僅かな抵抗の可能性を噛み砕いた。
屋台をやっていて、本当に良かった。
忙しくても『鳥獣伎楽』の活動と平行して、ツケだらけの常連客相手に愛想を振りまくミスティアの屋台経営が報われた瞬間であった。
彼女もまたもらい泣きをしつつ、針妙丸の臓物で作った逸品を準備するのであった。
『試食会』は、唯一の客である美食家から大絶賛され、成功裏に終わろうとしていた。
シメの冷酒を手酌で猪口に注ぐ萃香。
「ほい、女将さんも一杯飲りねぇ☆」
「いただきます♪」
萃香が差し出した冷酒にガラスの猪口を近づけ、お酌してもらうミスティア。
「女将さん、乾杯の音頭を♪」
「えっと、では、下克上異変の完全終結を祝して♪」
「新メニュー開発を祝って☆」
「「かんぱいっ☆」」
ちんちんっ♪
屋台に備え付けられた簡単な流し。
その片隅にある三角コーナー。
生ゴミの一つと化した、針妙丸の頭蓋骨。
萃香に顔の肉を削ぎ取られ、脳みそも食われ、いたるところが欠け、焦げた、小さなしゃれこうべ。
いずれ、ここは針妙丸の同族達の骨や残骸で満ち溢れるであろう。
ミスティアの収入に比例して。
実はまだ、『弾幕アマノジャク』をPCにインストールしてないんですよ……。
2015年1月25日(日):頂いたコメントへのお返事を追加しました。
>ギョウヘルインニ様
ブロイラー小人ですか♪
ただ食って寝て、食われるだけの存在……。
>2様
その話を小耳に挟んだことがありますが、人口増加に対する悪夢だとか。
そんな『楽園』なんてある訳ない♪
>県警巡査長殿
したたかな女将さんが好き♪
小人の丸焼き、グロいというのなら『加工』もしましょう♪
みすちーは『食えない』よ☆
NutsIn先任曹長
http://twitter.com/McpoNutsin
作品情報
作品集:
11
投稿日時:
2014/12/06 08:42:30
更新日時:
2015/01/25 23:04:51
評価:
4/7
POINT:
490
Rate:
12.88
分類
少名針妙丸
ミスティア・ローレライ
おかみすちー
博麗霊夢
伊吹萃香
カニバリズム
下克上異変終結
品種改良して、もっと肉が付いているのを作るしか有りません。
みすちーめ、やりおる…。上手く紫と霊夢に尻尾を振ったみたいですね。
これで彼女が報われたというのなら何よりです。
(調子に乗って紫と霊夢から制裁される事がなければいいですけどね…)
そんなわけで、僕も彼女の屋台に小人の丸焼きの試食、およびみすちーを食べに(ただし性的な意味で)突入したいと思います!
みんな命は大切にね。