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『パンジャンドラム』 作者: NutsIn先任曹長
夜の幻想郷。
人里と妖怪の領域の境界。
等間隔に並んだ電柱。
これは妖怪の山の発電所から人里に電力を供給しているものだ。
その内の一本。
取り付けられた街灯の下に、夜雀が経営する赤提灯の屋台があった。
そこから漂う美味そうな匂いと美しい歌声。
「はぁ……」
客のため息を聞き、女将のミスティア・ローレライは歌と煮込みをかき混ぜる手を止めた。
「どうしたんですか、雷鼓さん?」
ミスティアは唯一の客である堀川 雷鼓に浮かない顔の理由と追加注文を促した。
「いえね……。あ、もう一杯。それとモツ煮込み」
雷鼓は七味をタップリ降りかけた煮込みを頬張り、冷酒で口を潤してからミスティアに愚痴りだした。
「最近、バンドの仕事が無くてねぇ……」
「そうなんですか?」
「女将さん、嫌味?」
「あ、あはは……」
雷鼓が自分と『同族』の姉妹と組んで音楽活動をしているように、ミスティアも山彦や騒霊姉妹達と幻想郷の住民達の耳に癒しを与えていた。
人気で言えば、一時は雷鼓達がライブハウスを満員御礼にしたものだが、やはり年季の差か、ミスティア達のグループ『鳥獣伎楽』に巻き返されてしまった。
おかげでここ最近は、雷鼓達に音楽関係の仕事が全く来ない来ない♪
雷鼓は自分達が一発屋だと呼ばれていることを知っていた。そしてそんな陰口を叩いていた者の筆頭が、何を隠そうミスティア自身であることだって知っていた。
「ま、まぁ。これ店のオゴリです♪」
「どーも」
ミスティアから八目の蒲焼と追加の酒を供され、雷鼓はありがたくそれを頂いた。
すっかり酔いの回った雷鼓。
「あぁ、叩いてスカッとしたいなぁ……」
箸を一本手にした雷鼓は空になったコップを軽く叩いた。
ちーん。
太鼓というより仏具の鈴(りん)みたいだった。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
どんっ!!
がらがっちゃんっ!!
「ひゃぁっ!? な、ナニぃっ!?」
騒々しい音に、楽園の素敵な巫女の二つ名を持つ博麗 霊夢は布団から飛び起きた。
しーん……。
「……?」
寝巻き姿で御祓い棒を持った霊夢は闇に包まれた寝室をしばしウロウロしたが、騒音も微かな物音もあれから全くしなかった。
枕元のスタンドに燈を灯して目覚まし時計を見ると、霊夢が普段起床する時間に1,2時間早かった。
「寝なおそ……」
ブルッと早朝の冷気に身震いした霊夢は御祓い棒を定位置に置くと、まだ温もりの残る布団に潜り込んだ。
霊夢が寝息を立て始めてからさらに数分経過した頃――。
博麗神社の居住部の庭。
雨戸が締め切られた縁側のすぐ側にドラムセットがぶちまけられていた。
「あたたた……」
刹那の間にドラムセットは消え失せ、代わりに垢抜けた格好の女性が尻餅をついた格好でへたり込んでいた。
雷鼓のような付喪神は、自らを本来の姿である『道具』に戻すことによって幻想郷を隔てる結界や境界を出入りすることができた。
だが、何処に出るかは運任せのようで――。
「うわぁ……。ヤバかったわ……」
用事で外界に出かけていた雷鼓は、自分が『帰ってきた』場所が博麗神社だと知って肝を冷やした。
もし霊夢が雨戸を開けて外を確認していたら一発アウトだった。
「とっとと退散退散……♪」
雷鼓は立ち上がるとズシリと重いズタ袋を拾い上げて担ぎ、そそくさと境内を走り鳥居をくぐっていった。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
「はぁっ♪ ね、ねぇさぁんっ♪」
「いいわぁっ♪ 八橋ぃっ♪」
くっちゅくっちゅ……。
アパートの一室。
布団の上では、二人の女性が水音を立ててまぐわっていた。
お互いに相手の片足を抱きかかえて股同士を結合させ、しとどに濡れた女性器を擦り合わせて快楽を貪っていた。
「いぃっ!! イッちゃうぅぅぅぅぅっ!!!!!」
「ふあぁっ!! わ、私もぉぉぉぉぉっっっ!!!!!」
ビクビクビクゥッ!!!!!
同時に達し、脱力する二人。
しばらく快楽の余韻に浸りながら相手の足の裏を眺めた。
一人は愛おしげに、足の指をしゃぶった。
「あんっ♪ 八橋ぃ♪ くすぐったい……」
「れろれろ♪ 弁々姉さんの足、美味しい♪」
「終わったかしら? お二人さん♪」
「「きゃああああぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜っ!?」」
座布団に胡坐をかいている雷鼓に気づき、慌てる二人の女――九十九姉妹。
ガッ!!
「「ぎゃっ☆」」
慌てすぎ、貝合わせのために股で身体を交互に差し込んだ姿勢であることを忘れ、互いの顔面を蹴ってしまった。
「まだイき足りないなら、もう少し続けていても良いわよ♪」
そう雷鼓は言ったが、姉貴分にレズセックスを見られた羞恥と顔面の痛みに冷めてしまった弁々と八橋は早々に服を着込んでしまった。
「で、何の用ですか、雷鼓姐さん……///」
身支度を終え、雷鼓に茶と灰皿を出した弁々の顔が赤いのは、妹に蹴られた所為ばかりではないだろう。
「二人とも、景気はどう?」
茶を啜り、メンソールに火をつけた雷鼓は、最初に九十九姉妹と世間話を始めた。
「え、ええ……」
「あンの糞マネージャー!! 女優にしてやるって言いながらヒトを裸にしていっぱい嫌らしい事するくせにぃっ!!」
「はした金しかくれない、と♪」
言葉を濁す弁々と鬱憤をぶちまける八橋を見ながら、雷鼓はニヤつきながら紫煙をふぅっと吐いた。
「でね、用件というのは、一発デカいのブチかまさないかなって思ってねぇ♪」
「へ?」
「源平合戦よりド派手なの?」
少なくとも、八橋は乗り気のようだ。
「ええ♪ お宝ザックザク♪ 鬱憤晴らしに最適の戦よぉ♪」
傍らに置かれたズタ袋を軽く叩く雷鼓。
「外のセカイに行って得物を調達してきたわ。刀や弓矢なんか目じゃないわ♪」
袋から漂う鉄とオイルと火薬の臭いに息を飲む弁々と八橋。
二人も付喪神である。
袋の中の『モノ』が発する『気配』から、それらの用途と使用方法を瞬時に理解した。
雷鼓は改めて九十九姉妹に問うた。
「一緒に宝船を叩かない?」
二人は唾を飲むと、コクリと頷いた。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
幻想郷の夜空を遊弋する船。
命蓮寺の――『命蓮寺』そのものである聖輦船である。
命蓮寺では運営資金を稼ぐために、幻想郷の富裕層を対象にナイトクルーズを催していた。
だが、それは表向き。
空飛ぶ船の広大な一室――名目上では『講堂』となっている――は、カジノとなっていた。
スロットがメダルを吐き出す軽快な音。
ルーレットで白黒付けられるたびに増減するチップ。
トランプの卓では、ディーラーが巧みな手さばきで客達の前に寸分違わず、『店』が儲けるのに都合の良い札を配置していった。
傍らのバーカウンターではカクテルを舐めながら、やはり船内に設けられた『それ用』の部屋で一夜の逢瀬を約束する男女。――いずれも既婚者だ。
灰皿を満杯にした葉巻や大麻煙草の退廃的な香り。
そして交換所では、チップと大金が客とスタッフの間を行き交っていた。
聖域に設けられた、この快楽と悪徳を詰め込んだような部屋は厳重な結界によってあらゆる呪術が無効となっていた。
だからスキマ妖怪や博麗の巫女に露見する事はないし、覚り妖怪の読心やその妹の無意識操作といった無粋も通用しない。
尤も――、今挙げた者達もしばしば遊びに来るのだが。当然彼女達が大儲けする事は『決まっている』。
カジノの扉は施錠されている。
入室には、部屋の前に陣取ったスタッフに莫大な入会費の支払いと入念な身元調査の末に発行される『会員証』を見せる必要がある。
カジノのドアの前で、袈裟ではなくタキシードを着込んだ一輪はコーヒーのカップから唇を離し、やって来た客達をいぶかしんだ。
現れたのはドレス姿の女性を左右に侍らせたスーツ姿の女性。
いずれも予め客に配った仮面で目元を隠していた。
幻想郷では同性愛者など珍しくない。
酒やクスリのヤり過ぎでトイレとカジノを行ったり来たりするのも珍しくない。
一輪が不審に思ったのは――。
(今夜の『客』は、全員チェックしたはずだけど……?)
数え間違えたか。
とにかく、一輪は営業スマイルを浮かべて仕事に取り掛かった。
「お客様、会員証を拝見」
「はい」
スーツ女が返事すると、左側のショートボブの女性が見せた。
スーツ女の身体で隠されていた、銃身と銃床が切り詰められた散弾銃――いわゆる『ソウドオフ』を。
鹿撃ち用の散弾は一輪のコーヒーカップと受け皿、両手首、腹を粉砕した。
銃声と一輪が背後の扉にぶち当たった音は結構響いたが、船内の乗員とカジノに聞こえることは無かった。
雲入道の雲山を呼ぶ間もなく絶命した一輪からカジノの扉の鍵を入手した長髪の女。
スーツ女は受け取った鍵でカジノの扉を解錠すると、両手で扉を開け放った。
途端にムワッと湧き出す人いきれと喧騒。
「んじゃ、私達も遊ばせてもらおうかしら♪」
堀川 雷鼓、九十九 弁々、九十九 八橋。
三人の付喪神によるカジノ強盗(タタキ)は、こうして幕を開けた。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
カジノに入室した三人はすぐさま扉を閉めて施錠した。
鍵を閉めているスーツ姿の雷鼓を、スタッフの一人が見咎めた。
「お客様、どうなさいましたか?」
その彼の背後に迫った弁々は、隠し持っていたMP40短機関銃の折りたたみ式銃床で後頭部を痛打した。
呻き声を一つあげて昏倒したスタッフを、雷鼓と弁々は引きずって閉ざされた扉の前から移動させた。
ここまでの行動は件のスタッフ以外、目撃した者はいなかった。
続いて、雷鼓は誰が聞いているのか分からないBGMを流している放送担当者の元に向かった。
ヒマそうに五月蝿そうに犬耳を伏せているタキシード姿の幽谷 響子に、仮面をつけた雷鼓は話しかけた。
「ちょっと良いかしら?」
「は、はい!! なんでしょうか?」
響子の大声も、カジノのバカ騒ぎに負けていた。
「ちょっと音楽止めてマイクを貸して」
「え? あの、何を……」
雷鼓はスーツのジャケットで隠していたスターリング短機関銃を響子に突きつけた。
「愚図な山彦ねぇ。とっととマイクをよこしやがれ!!」
「ひゃ、はいぃ!!」
「音楽も止めろ!!」
BGMが消えても騒々しいカジノ。
だが――。
ダダダダダ――――……ン
雷鼓が天井に9mmパラベラム弾を一連射すると、すぐに静かになった。
キーン♪
『あ、あーっ。テステス♪』
マイクの感度は良好。
『どーも、強盗でーす♪ 紳士淑女の皆さん、静粛に♪』
「キャアアアアアアアアアアッッッ!!!!!」
雷鼓の指示に反して、女性の誰かが金切り声を上げた。
それに触発されたように、少なくない人数が唯一の出入り口に向かおうとした。
ダダッ!! ダダダンッ!!
だが、その行動は扉の前に陣取った弁々の威嚇発砲で挫ける事となった。
カチッ!! カチッ!!
先ほどからルーレット担当のディーラーが冷や汗をかきながら、台の下に手を伸ばしてゴソゴソしていた。
「ざぁんねん♪ 警報は全部切ったよ〜ん☆」
ずどんっ!!
八橋はソウドオフを発砲。
ディーラーは顔面を粉砕された。
『――と、いうわけでぇ』
カジノにいる全員が状況を理解したと判断した雷鼓。
『我々の仕事が終わるまで、皆さんはただ、じっとしていてください』
全員、言われるまでも無くじっとしていた。
『我々が欲しいのは、クソ寺の破戒僧が荒稼ぎしたダーティーマネーでーす☆ 皆さんのお財布ではありませーん♪』
ほっ、という声が聞こえた気がした。
『変に英雄を気取ったりすると――。おい、来い!!』
「ナンマンダブナンマンダブ……」
雷鼓は一旦マイクを置いて、空いた左手で響子を引き出した。
響子はいつもの般若心経ではない念仏をブツブツ小声で呟いていた。
雷鼓はへたり込んだ響子から若干の距離を取り、その後頭部に短機関銃の照準を定めた。
躊躇無く引かれる引き金。
ダダダダダダダダダダ――……ン
『こうなりますので、御注意くださ〜い♪』
客達は悲鳴こそ上げなかったが、座り込んだ数名の股間の前に水溜りができていた。
『鳥獣伎楽』の一員でもある響子と雷鼓達はしばしばライブハウスで顔を合わせていた。
声から正体に感づいていた、或いは後から思い出すかもしれない。
彼女がカジノにいた場合は始末する。
『タタキ』の計画段階からの決定事項である。
ターンッ!!
「きゃぁっ!!」
銃声が一発轟き、八橋が悲鳴を上げた。
「大丈夫!! バーカウンター!!」
八橋を仕留めそこなったガンマンはバーテンダーだった。
カウンターに隠していたレバーアクションのライフルを発砲したのだ。
雷鼓と弁々は、ガチャリとレバーを操作して次弾を装填したライフルを構えたバーテンダー目掛けて短機関銃を発砲した。
ダッダダダダダダッ!!
ダダダダダッ!! ダダダダッ!!
銃撃で粉砕されるグラスや酒瓶!!
ビールサーバーの栓が撃ち抜かれ、噴水のように生ビールが噴出した!!
バーテンダーは無数の銃弾を全身に喰らい、ガラスの破片と零れた酒に満ちた床に倒れこみ、二度と起き上がらなかった。
カジノ内に設けられた、メダルと現金の交換所にはシャッターが下りていた。
担当スタッフのナズーリンが銃声を聞いたと同時に交換所を封鎖したのだ。
中でナズーリンは震えながら何度も内線電話を操作していた。
「ご、御主人……。聖ぃ……。キャプテンでもいい……。誰か、誰か出てくれえ……!!」
何度番号をプッシュしても、何度受話器の上げ下げを行なっても、電話線を切られた内線は奇跡的な復旧を遂げることは無かった。
ガンガンッ!!
「ひぃっ!?」
突然の音に、ナズーリンはネズミ耳を両手で押さえて蹲った。
賊が窓口の出入り口であるドアを叩いたようだ。
交換所はパッと見、カジノ室内にとって付けたような部屋、というより窓口だが防犯設備は万全だった。
ドアやシャッターは防弾、防呪に優れ、室外との連絡手段も備えていた。
しかし、賊によって通信機器は無力化されており、封鎖も――。
「――」
「――♪」
「っ!!」
外では賊が何やら言い合っていた。
声がくぐもっていてよく聞き取れない。
ナズーリンはネズミ耳を立てて、話し声を聞こうとした。
爆音を最後に、ナズーリンの耳は鼓膜が破れ、その機能を喪失した。
ズゥゥゥゥン……。
しこたま仕掛けられた可塑性高性能爆発物――いわゆるプラスチック爆弾によって、交換所は完膚無きまでに破壊された。
「今ので他の連中にも気付かれたわね」
「5分以内よ!!」
「ガッテン!!」
雷鼓達三人はそれぞれ空の旅行カバンを取り出すと、瓦礫と化した交換所に蓄えられた高額紙幣のみを詰め込み始めた。
「あと4分!!」
カバンを満たした物は周囲の警戒を担当し、頭を抱えたカジノの客やスタッフ達に得物を向けて牽制した。
「あと3分!!」
八橋は耳と目から血を流して痙攣するナズーリンを引っ張り出すと、その小柄な身体をポーカー用のテーブルに投げ出した。
「何やってるのっ!?」
「ほんの余興よ♪」
「あと2分!!」
ナズーリンは八橋によってタイトスカートとレースのショーツを引き裂かれた。
「短小だけど、楽しんで逝ってねぇぇぇぇっ!!!!!」
アンダーヘアーが整えられた秘裂にソウドオフの銃身を捻じ込むと、八橋は引き金を引いた!!
ナズーリンは口からズタズタになった内臓を吐き出して絶命した。
「ぎゃはははははぁっ!! おっもしろぉい♪」
これには雷鼓も弁々もドン引いた。
(この娘には、このヤマは刺激が強すぎたかしら……?)
少々精神を病んでしまった八橋を見て、雷鼓はちょっぴり後悔した。
「あと1分!!」
「っ!! 離脱!! 大丈夫?」
「あはは……。大丈夫。大丈夫よ……♪」
三人は重いカバンと銃を持ってカジノから出ると改めて扉を施錠して、鍵穴に瞬間接着剤を流し込んだ。
ブービートラップを置き土産に最寄の非常口から夜空に雷鼓達がダイブしたのと入れ違いに、上層階からバタバタと足音が響いてきた。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
「ぁあんっ♪ や、八橋ぃ……。激しすぎるぅぅぅ……!!」
「ねぇさぁん♪ あああっ!! 弁々ねぇさぁんっ!!」
アパートの一室。
永遠亭で大枚はたいて購入した女性が男性器を生やすクスリを早速服用した八橋。
布団に横たわると、天空を向いてそそり勃つ肉棒に弁々を跨らせた。
「ひぃっ!! ひぃぃぃぃぃっ!!!!!」
「あひぃっ!! さ、最高ぅぅぅぅぅっっっ♪」
高みに上り詰めて行く九十九姉妹。
「「い……っ、イぐううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ!!!!!」」
ズドンッ!!
弁々の膣内に盛大に射精する八橋。
八橋はしばし、弁々の血と脳漿に塗れてオスのセックスの余韻に浸っていた。
「ふぅぅぅぅ……♪ 癖になりそう……☆ どうだった、ねえさ――ん?」
ここでようやく、八橋は弁々の頭が粉砕されていることに気づいた。
「ひ――」
ズドンッズドンッズドンッズドンッズドンッズドンッズドンッ!!
悲鳴も上げられず、八橋は弁々の身体もろとも、自動装填式の散弾銃から放たれた一発弾――いわゆるスラッグ弾で穴だらけにされた。
「ナズ……。敵は取りましたよ……」
布団の上の肉塊を見下ろしながら、伊太利亜製の散弾銃を持った寅丸 星は無表情で涙を流した。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
堀川 雷鼓はミスティアの屋台で飲んでいた。
「このお酒も飲み納めね……」
「どうしたんですか?」
雷鼓はコップに残った酒を呷ると、女将にお代わりを催促した。
「幻想郷を出て、新天地でやり直そうと思ってね……」
一口酒をクピリ。
あの『タタキ』の後、九十九姉妹が殺された。
十中八九、命蓮寺の連中にバレてバラされたのだろう。
自警団の連中にカネを渡して現場の写真を見せてもらったが、砕け散った琵琶と琴が血の海に沈んでいるという凄惨なものだった。
いずれは自分も……。
依り代(カラダ)を換えて高飛びするに限る。
だがその前にやることがあった。
「すいません。ちょっとお花を摘みに――」
「ここで垂れ流しなさいよ♪」
顔を赤くしてソワソワしたミスティアを笑顔で制止する雷鼓。
手にはスターリング短機関銃を握っていた。
「ひぃぃ……」
「女将さん。あんたが弁々と八橋を『寺』に売ったんでしょ?」
そもそも、寺のカジノの事はミスティアが響子経由で仕入れたネタを雷鼓が買ったのだ。
通信、防犯設備諸々についても詳細なネタを。
「あ、あなた達が響子を!! 私の相棒を殺したから!!」
「懐のポチ袋、結構分厚いわね。敵討ちが聞いて呆れるわ♪」
雷鼓を命蓮寺に売った『情報料』を指摘され、より顔を赤くするミスティア。
突如、屋台の周りが昼間のように明るくなった。
屋台の真上に聖輦船がおり、無数のサーチライトで投光していた。
「こ、これであなたはお終いよ!!」
「女将さん、あんたもよ♪ カジノの情報を漏らしたお喋り雀を、連中は舌を切るだけで勘弁してくれるかしらねぇ?」
「ひ……!!」
サーチライトの光も相まって顔色が真っ白になったミスティアに、雷鼓は優しく語りかけた。
「安心して♪ あんたは連中に殺させないわ♪」
「えぇ?」
「私が殺すもの♪」
ミスティアに鉛玉で引導を渡した雷鼓が屋台から出ると、聖輦船からの銃撃が始まった。
今まで屋台の屋根で『標的』を確認できなかったので、雷鼓が出てくるのを待っていたようだ。
雷鼓は短機関銃を連射から単射に切り替えると、聖輦船に発砲した。
雷鼓が一発撃つごとに、聖輦船のサーチライトが一つ明かりを消した。
サーチライトの残存が半分を切ったところで、聖輦船は高度を上げて屋台上空から去り始めた。
雷鼓には敵わないと思い知って撤退するのだろうか?
否!!
聖輦船から誰かが飛び降りた。
飛び降りた人影は空中で一旦制止すると、真っ直ぐ雷鼓の方へ飛んできた!!
オーラのような淡い光で、人影がまとう紅白装束が目視できた。
さらに近づき、人影の周囲を4つの陰陽玉が周回しているのが確認できた。
「は、はは……。あははははっ!!」
一連の騒動を『異変』と認定したのか。
或いは、命蓮寺の連中にカネで雇われたのか。
博麗の巫女の御登場に、雷鼓は笑いながら足元のズタ袋を開けた。
中には九十九姉妹の『形見』とも言うべき銃やそれら用の弾薬。
『タタキ』で使わなかった武器もまだまだ大量に詰まっていた。
「あはは、はは、あ〜っははははははははは――――」
雷鼓は楽しそうに、
本当に楽しそうに、
霊夢に向け、ただひたすらに撃ちまくった。
雷鼓は自分の末路が、
暴走して空回りして自爆した哀れなドラムとして笑い話になるという事を、
十二分に理解していた。
『パンジャンドラム』とは、一言で言ってしまえばトンデモ兵器です。詳しくはWikiで調べてください♪
雷鼓姐さんが破滅に向かってひた走る様をこの兵器に重ねてタイトルをつけました。
2015年5月7日(木):頂いたコメントへのお返事を追加しました。
>1様
産廃創想話らしいでしょ♪
>県警巡査長殿
趣味丸出しで執筆しました♪
そうです。寅丸さんのショットガンはそれです☆
>5様
スプラッターレズファックだ!! ヒャッハーッ☆
>まいん様
霊夢はイイモンキャラなら最強、ワルモンなら最狂♪
結局、雷鼓は空転してドカン♪
>8様
爆発するまで幻想郷を駆けずり回るのかいっ!?
>9様
分かってくれますか♪
NutsIn先任曹長
http://twitter.com/McpoNutsin
作品情報
作品集:
11
投稿日時:
2015/01/25 13:53:16
更新日時:
2015/05/07 00:53:38
評価:
5/9
POINT:
580
Rate:
13.44
分類
堀川雷鼓
九十九弁々
九十九八橋
ミスティア・ローレライ
命蓮寺の面々:雲居一輪、幽谷響子、ナズーリン、寅丸星
博麗霊夢
クライムサスペンス自滅物
今回も所々に先任曹長さんの趣味(例・時々仰るお持ちの"立体資料"...)が垣間見るような描写が満載でしたね。星ちゃんが持っていたのは僕も大好きなSPAS-12でしょうか。
クソッタレの姉妹は後で僕が死姦してやりたいです♪
雷鼓も、もう少し耐えていれば良かったのに、ミスティアだって復帰するまで長かったんだよ?
悲劇と喜劇の道家と化したパンジャンドラムの雷鼓は本当にご愁傷様でした。
破滅に向かって直走るって、マジであれは破滅的(砂浜で勝手に横転して自爆)じゃないか!