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『聖とにとりと該当者無しの猪八戒〜素敵な天竺入門〜』 作者: ギョウヘルインニ
ほのぼのは死に、優雅は落日しました。だから、日はもう昇りません。このままでは、笑えない世の中になってしまいます。世にもきみょんな物語です。
だから、魔理沙は旅の仲間である霊夢と早苗さんを連れ出して天竺を目指すことにしたのです。
「天竺に行けば何とかなると思うんだぜ」
「はぁ、そうですか」
「なんだよ。早苗は随分やる気がないな」
「だって、河童ですよ。なんで、幻想郷には、にとりさんが居るのに私が河童のコスプレしなきゃいけないんですか?」
「良いだろ。ほら、あれだ。私だって魔女のコスプレしてるんだぜ」
今回の話は西遊記から着想を得ているので、必然的に各々そういう格好になったのです。早苗さんはいつもの巫女服でしたが、いつもの蛇と蛙の髪飾りを外して、鼈甲飾りと宝石が付いた髪飾りを優雅につけて河童の格好をしています。魔理沙は子豚さんに首輪をつけてリードで引っ張っているので魔女の格好です。
「ねえ、喉が渇いたわ。水頂戴」
そして、白い服と袈裟をクリーニングに出した霊夢が馬上に居るのです。そうです。三蔵法師的な立場に立って物事を見つめているのです。
「おい、早苗。霊夢が喉乾いたそうだ。水出せ」
「え? 水なんてないですよ。魔理沙さんが急に連れ出したので、お化粧しかできませんでしたから」
そうです。早苗さんはおっとな〜な女性だったので、どんな時でもお化粧は欠かさないのです。アジアンビューティーです。
「え、じゃあ、水は誰が持ってるんだ?」
この時初めて気が付いたのですが、天竺にいくというのに旅の準備をしていなかったのです。
「誰も持ってないですね」
早苗さんは魔理沙のことをキッと睨みつけて怒りの表情を浮かべています。こんなことだから。旅のご利用と返済は計画的に行わないといけないのです。
無計画に子供作って育てられずネグレスト起こした母親の心境とはこのようなものなのでしょう。魔理沙はすごく責任を感じて、次の瞬間には言い訳と責任転換を実行するのです。
「そういえば、悟空的な。御供的な、人身御供的な立場の輝夜が居たはずなんだが。あいつが、水係だぜ」
「え? 私?」
そして、空気のような存在でそこに確かに居た輝夜になすりつけたのでした。因みに、輝夜はこれからインドに買い物に行こうとしていたところでした。
「水係はお前しかいないんだ。当然だろ? 出せ」
「ちょ、触らないで」
魔理沙は無理やり、輝夜の荷物と服のをまさぐり始めました。あんまりな光景で、とても可哀想です。でも、今はほのぼのが死に絶え、優雅が落日の国なので誰も助けてくれません。
そうこうするうちに、輝夜の首から下げられていたピンクの本体に、ウサギさんのキャップが付いた可愛い水筒が出てきました。
旅立つ輝夜を不憫に思った永琳が持たせてくれたのです。いつの日かの師弟関係は、今や親子関係なんでしょう。
「酷い。返して! それは、永琳が私にくれたの」
「じゃあ、霊夢にあげたも同然だな」
輝夜必死の抵抗でしたが、水筒は奪われ霊夢に渡されてしましました。輝夜は霊夢を睨みつけましたが、残念まったく効果はありません。
「悪いわね」
「なら、返して」
霊夢は水筒の蓋を開けて勝手に飲んでしましました。
「……? これ、何? マズ!」
「返して!」
「こんなの、いらないわ」
「待って、あ! やめて」
水筒の中身は、輝夜が大好きなとても甘いお汁粉でした。あまあまお汁粉ドリンクです。
喉が渇いていたのに、これでは余計に喉が渇いてしまいます。だから、霊夢は怒りにまかせて水筒を放り投げてしまいました。
放り投げられた水筒は車道に落ちていきました。輝夜はそれを追いかけて拾いに行こうとしましたがそれが更なる悲劇を産んだのです。
そう、水筒ばかりに気を取られていたので目の前に迫るトラックに気が付かなかったのです。
「……こんな、奇跡があるのね」
「あ、そこは私が居ますから」
「輝夜はよくやったぜ」
奇跡でした。輝夜を引いたトラックはミネラルウォーターをたくさん積んだトラックだったのです。つぶれた輝夜のことを黙って置くかわりに運転手を脅して水を接収したのです。
これで、水の心配をする必要が無くなった一向は再び天竺を目指し始めました。
「ところで、ここは何処なの?」
「ここは……だぜ」
「え? 何処」
「だから……だぜ」
霊夢の質問に魔理沙は目をそらしながら答えます。やましい事があったからです。きっと、悪い事したことを隠そうとする幼子のようにたったひたすら盲目にかくしているのです。
今回のこの話は予算不足と準備不足、建築業者の持ち逃げという事もあって大陸に渡ることが出来ず実は目本国内だったのです。尚、目本国というのは日本のような国で想像上の国です。
でも、それでも、魔理沙はまだあきらめていないのです。きらめく星を背に綺麗な金髪を風になびかせ天竺を目指しているのです。
「天竺じゃなくたっていいんじゃないですか? 問題が解決するなら」
「いや、天竺じゃなきゃダメだぜ」
「なんですか、そのこだわり。せっかく助け舟出したのに」
早苗さんは、妥協を知って居ます。だから魔理沙が無理しすぎないようにやさしい気持ちで言ってあげたのです。早苗さんはとってもピュアでやさしい心の持ち主なんです。
「天竺に行って天竺してこなきゃ駄目なんだぜ」
天竺がそもそもどういうところだかわかっていないのです。天竺に行けば、天竺できるってそういう気がするのです。
「ねえ。天竺するってどういうこと?」
「天竺はな、天竺は、、、、、、」
天竺について本気だして、魔理沙は考えてみました。きっと、天竺ですから天竺なんでしょう。
空気や、川や湖はみんな天竺で満たされていて、とってもみんな天竺しているに違いありません。
でも、その天竺という物がいまいち想像できなかったのです。偶像を想像するよりも安易で無像を想像するよりもそれは困難なんでしょう。
「もういいわ。天竺は豊なの?」
「それだけは、言えるぜ豊だ」
「ならいいわ。早く行きましょう」
二人の間の豊はまた別物だという事は薄々感じている早苗さんはそろそろ逃げ出そうと準備を始めました。
一先ず天竺を目指し、西遊記なので西に進みます。西にはこれから沢山の困難があるでしょう。天竺までは長い長い道のりなのです。
「西に50m進んだけど天竺はまだなの?」
「霊夢、正確には59mだぜ」
「それで? 天竺はまだ?」
「まだだぜ」
だいたいここは、目本のどこだかわかっていないのです。天竺なんて夢のまた夢なのです。
「ねえ、疲れたわ」
「あれ、前にもこんなことありませんでしたか?」
そうです。霊夢は、すぐに疲れてしまうのです。余りにも脆くおかしいのです。
「前にって何?」
「霊夢さんはすぐに疲れてしまうんです。もしかして、何か内臓に重篤な疾患を抱えているんじゃないですか?」
「重篤な疾患ね。まだ、私若いから大丈夫だと思うんだけど」
その思い込みが悲劇を産むってことが若い霊夢には思いもよらぬことなんです。
「そんなことありません。私と懇意にしているドクターを紹介しますのでそこで受診してもらうことをお薦めします」
「あんたと懇意にしているドクターって、どうせ碌でもない医者でしょ? 男性向け同人誌に出てくるような」
どうせ早苗さんと懇意にしているなんていうのは、形振り構わず手を出すセクハラドクターに違いないと霊夢は思いました。
「え? あ、大学病院の研修医ですよ。今回は彼の将来性を見越しての青田買いです」
「そう、イケメンなの?」
「生憎、人種が違いますので同じ顔にしか見えませんが。出身地ではモテたそうですよ」
早苗さんが大事にしているのは見た目でも心でもなくお金でした。いつかのサバンナの時に引っかけたのです。
「なら、一度受けてみても悪くないわね」
こうして、大学病院に行くことになったのです。
「……天竺は?」
魔理沙は二人の会話に入れず。1人その場にのこされたのです。
「ブーブー」
子豚さんだけが魔理沙を慰めてくれました。魔理沙は子豚さんが大人になったら結婚するんだって。
「いやこれはすごい」
研修医の医者は、輝夜の身体に驚いていました。先ほどまで死んでいたのに、細胞が復活しているのです。これって、万能……いやなんでもです。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
12
投稿日時:
2015/06/06 12:10:11
更新日時:
2015/06/06 21:10:11
評価:
2/3
POINT:
210
Rate:
11.75
分類
霊夢
魔理沙
早苗さん
輝夜
というかこれは西遊記なのか。
というか幻想郷に天竺はないだろう