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『Sakuya, Butcher of Alice』 作者: HJ

Sakuya, Butcher of Alice

作品集: 12 投稿日時: 2015/07/18 23:25:53 更新日時: 2015/07/19 08:25:53 評価: 1/2 POINT: 130 Rate: 10.33
「好きよ、咲夜……」


 十六夜咲夜の腕の中で小さく呟いたのは、アリス・マーガトロイドであった。二人とも一糸纏わぬ生まれたままの姿で、一つのベッドの上で抱き合っている。大きな部屋にはこの二人しかいない。二人だけの時間、二人だけの空間。それまでの行為を想起させるように、シーツはひどく乱れ、二人の身体は粘つくような汗で濡れていた。


「そうね、私もアリスが好きよ」


 咲夜はアリスの金色に輝くアリスの髪をそっと撫でた。アリスはくすぐったそうに微笑んで目を閉じると、咲夜へと顔を寄せる。 アリスの求めに応えるように、瑞々しく膨らんだ彼女の唇を、咲夜は自らのそれでそっと塞ぐ。口全体で大きく頬張るようにアリスの唇を覆うと、右手でアリスの乳房をそっと弄る。咲夜の口の中で、アリスが微かな嬌声を上げた。アリスも負けじと、咲夜の乳房に手を伸ばす。

 いつの間にだろうか。どこからともなく現れたナイフを、咲夜は右手に握っていた。よく手入れされた、鋭い先端だった。咲夜は一片も躊躇することなく、銀色の刃をアリスの胸部目掛けて勢いよく突き立てる。


「!? ――っ、――!!」


 突然の咲夜の凶行に、当然ながらアリスは叫び声を上げる。しかし、唇を塞がれていては、どれだけ声を上げても外に漏れようがない。助けを呼ぶことは出来ないのだ――もっとも、呼んだところで誰も助けが来るはずもないが。アリスは手足をバタつかせて必死で抵抗するが、咲夜はそれをいなすように抑えつけて、突き刺したナイフをぐるりと捩じる。ナイフは咲夜にとって手であり、また足であった。指先から伝わる僅かな感覚で、アリスの心臓の動脈を断ち切ったことを感じ取る。その瞬間アリスはかちりと歯を閉じて、その拍子に咲夜の唇をいくらか削ぎ取った。咲夜は眉を顰めたが、それくらいで口を離すほど冷静さを欠いてもいなかった。出来ることなら静かに、誰にも邪魔されずにアリスと過ごしたかった。ナイフの先端を通じて、アリスの脈動が手の平へと伝わってくる。行き場を失った血液が、アリスの胸の中へとどんどん溢れ出してくる。

 一秒、二秒、三秒――。頭の中でカウントするたびに、アリスの抵抗がどんどん弱まっていく。数が三ケタに達する前に、アリスは完全に動かなくなった。心臓の音も全く聞こえない。それからもう十秒だけ数えて、咲夜はようやく唇を離した。アリスの唇に付いた僅かな血液を、咲夜は指先でそっと拭う。咲夜の血だった。一滴の血も漏らすことなく、アリスは失血死した。胸の中央に開いた小さな傷跡だけが、その死を証明するものだった。

 一つ嘆息してから、咲夜は部屋の隅に置かれた七輪を持ちだした。古びた七輪には既に煌々と火が灯っている。洋風な部屋には全く似つかわしくない和製の家具であったが、ちょっとした調理器具になったり、あるいは暖房器具の代わりにもなると何かと便利な代物であった。香霖堂で手に入れたこの家具のことを、咲夜はそれなりに気に入っていた。

 七輪を用意して、咲夜はアリスの死体に目を向けた。先程と変わらぬ体勢で、アリスはベッドの上で仰向けになっている。まるで物言わぬ人形か、あるいは美しい彫像のようで、永遠と眠り続けているかのようだった。大きく見開かれたままの瞳と胸の傷さえ無視すれば、の話だが。咲夜の視線は仰向けとなっても死体となってもなお形を保ったままの、アリスの美しい二つの乳房に注がれていた。

 アリスの乳房は通常のアリスからたったの二切れしか取れない貴重な部位である。市場で出回っている、アリスの乳房とされる商品のほとんどが、尻肉と内臓などの硬い部位で加工した合成乳房なのである。あるいはよくて品種改良で生み出された複乳種アリスから採れたものだが、こちらも本物の――そう、本物としておこう、一度口にすればこれ以外の乳房は偽物だと叫びだしたくなるだろうから――乳房と比べると、味も見た目も遥かに劣るものだ。その貴重なアリスの乳房を、炭火で焼いて直に頂くことが出来るとするならば。アリスを愛する者にとって、これ以上ない贅沢と言えるだろう。そして咲夜がこれからしようとすることは、まさにその通りであった。

 ナイフをアリスの乳房に当て、大きく切り取る。死亡したてのアリスの肉は非常に柔らかく、血もほとんど出なかった。先程心臓の動脈を切った際に、体中を流れる血は全て胸郭に吐き出されたからだ。咲夜がその気になれば、この場で一滴の血も落とさずにアリスを解体してのけただろう(とはいえ、自分の部屋に血の臭いが付くことを彼女はよしとしないだろうが)。切り取ったアリスの乳房を、温まった七輪の網の端へと乗せる。いきなり網の中央に乗せてはいけない。火力の強い中央で焼くと、脂肪分の多い乳房はあっという間に焦げてしまい、せっかくの貴重な乳房が台無しになってしまう。かといって表面を焼いただけだと、中は生焼けということになってしまい、アリスの魅力の半分も引き出せないままになってしまうのだ。弱火で炙られるアリスからはなんとも言えぬ香ばしい匂いが漂ってくる。本能的に食欲を刺激され、咲夜は堪らず生唾を飲み込んだ。アリスの表面にアリス汁がじわりと溢れ出てきたところで、咲夜はアリスを網の中央へと移す。アリス全体に程よく火が通ったところでさっと表面を強火で焼いてしまい、旨味も栄養も全て閉じ込めてしまおうという訳だ。

 よく素人齧りが「アリスは表面を強火で焼いて、中まで弱火でじっくり火を通すといい」などと知ったかぶりを述べるが、咲夜からすればまさに噴飯物に他ならなかった。あるいは「殺してすぐ食べるアリスが、一番美味かった」とか、そう嘯くのだろう。咲夜は嘲笑した。貴方たちはせいぜいそうやって不味いアリスを食べているといい。アリスにはアリスに相応しい調理法があるのだ。そしてそのアリスの内でも、部位によってまた的確な調理法が異なってくる。それを知らずにアリスを語るなど千年早い。殺してすぐのアリス? 本当にそれは、殺して『すぐ』のアリスなのかしら? どれだけ頑張ったところで、普通に屠殺すれば、『時間』と共に必ず死後硬直が訪れる。通常ならば死後硬直の解けるまで熟成させて、このアリスが普段市場に出回っているものなのだが、それから食卓に上るのである。屠殺してすぐの死後硬直真っ最中の肉なんて、とてもじゃないが硬くて食べられたものではない。そんな硬くて不味い肉を美味そうに食べるのは、ただ強がっているだけなのか、それとも味覚がどうしようもなく貧相なのかしら。その意味でも私ほどアリスを美味く扱える女はいないだろうと、咲夜は秘かに自負していた。

 調味料はいらない。先程までじっとりと汗をかかせておいたからだ。アリスなんかに少しばかり熱を入れ過ぎていたことを思い出して、咲夜は僅かに赤面した。その目的が何であれ、もしアリスと性交しているところを見られたならば、咲夜は哀れな目撃者の口を永遠に封じなければならなかっただろう。ともかく、身体の表面から肉に染み込んだ汗ならぬアリス塩が、最高の天然調味料になるのだ。これも他の場所では口に出来ない、咲夜だけの秘密の下味であった。

 そろそろ頃合いね。咲夜はナイフで掬うようにアリスを持ち上げると、そのまま器用に口へと運ぶ。アリスは舌の上であっという間にとろけてしまうくらいに柔らかいのに、しっかりとした存在感を発揮している。少し歯を立てただけでアリスの繊維はほどけるように弾け飛んで、甘い甘いアリス汁で口の中は溢れんばかりの大洪水。余計な調味料を付けなくて正解だった。アリスは、アリスで食べるのがやはり一番美味い。独特の歯ごたえを持つアリスの乳頭も、噛めば噛むほど甘みがじわじわと染み出してきて、いつまでも飽きることがない。それでいて心地よい弾力を残したまま、いつの間にか蜃気楼のように喉の奥へと消えてしまっているのだから、これ程面白いことはない。悪い乳首はまるでタイヤみたいで、ぶよぶよとした気味の悪い食感と乳臭い感じだけが残り続けるからね。――ああ、堪らないわ。思わず頬が綻ぶ。素人ではこうはいかない。アリスの隅から隅に至るまで火を通さなければ、溶けきっていない脂肪は舌に必ず違和感を残してしまう。まずは全体の脂を溶かさねばならない。かといって、アリス汁を逃したり焦がしてしまっては元も子もない。全てが調和して、まるでアリスという一つの宇宙を創造したかのような気分だった。やはり、私が一番アリスを美味く扱える。至福の表情を咲夜は浮かべていた。

 加えて今回はアリスそのものもよかった。今となっては乳房二つ、健康的な少女体系のアリスなどほとんど口にすることが出来ない。最近のアリスは乳房の数を増やした種が多くなってきたからだ。アリス乳採取の効率化と、珍味として重宝される乳房の大量生産を目論んだものだという。まったく、とんだ笑い話だ。ニつしかないからこそアリスの乳房は貴重なのであって、その数を無理矢理増やしてしまえばまったく価値のない品になってしまう。採肉量増産のために無駄に太らせるのもどうだ。見るからに不健康そうなぶくぶくと肥え太ったアリスを見て、食欲が湧いてくるだろうか? アリスは手を掛ければ掛けるほど美味しい女になる。面倒と言えば面倒であるが、自分が手塩を掛けて育てて、そして最後に自分が『手を掛けた』アリスが、この世で一番美味しいアリスなのだ。

 最近のアリスに対する不満をぶつぶつと呟きながらも、もう一つの乳房も同じく心行くまで堪能して、咲夜はやれやれとばかりに嘆息する。これからこのアリスの他の部位を調理して、主人の夕食の準備をせねばならない。胸郭に溜まったアリスの血も、勿論調理する。アリスの各部位は熟成の為にしばらく寝かしておく必要があるが、腐りやすい内臓にそんなことは言っていられない。この内臓をみじん切りにしてアリスの血と混ぜて、アリスの腸へと詰めたアリスソーセージは、彼女の主人の大好物であった。苦手なニンニクをこっそりと混ぜていても、それに気づかず美味そうに食べているくらいである。それから館内の掃除、主人やメイド達の衣服の洗濯、ああ、そろそろ居候の魔女へとアフタヌーン・ティーも用意しなければ。妹君の遊び相手のアリスもそろそろ取り替えなければなるまい。まったく時間が無限にあっても足りないくらいだった。

 だからこそ、こういったアリスとの些細な息抜きが、十六夜咲夜にとって何よりの休息となるのだ。咲夜は真っ赤な舌を伸ばして、己の唇をぺろりと舐めた。出血はいつの間にか止まっていた。
アリスの肉屋、サクヤ

イスラームの十六夜咲夜はアリスを斬首してから解体します。血は不浄なのです。


/実は一番の推しは咲アリなんですよね(突然の告白)
/孤独のグルメみたいなのを書きたいなって思ってたら、なんかネタが降りてきて一晩で書けました。
/全然っぽくないですね。たぶん。おやすみなさい。
HJ
https://twitter.com/H4rdJu5t1ce
作品情報
作品集:
12
投稿日時:
2015/07/18 23:25:53
更新日時:
2015/07/19 08:25:53
評価:
1/2
POINT:
130
Rate:
10.33
分類
アリス
咲夜
カニバ
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POINT
0. 30点 匿名評価
2. 100 ■2015/07/22 00:47:29
一番美味い部位を堪能、咲夜は天国気分。アリスは天国から地獄へ
オリジナルのアリスは、生きてんのかな。もう食われたんかな。
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