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『ミマの部屋』 作者: ラビィ・ソー

ミマの部屋

作品集: 1 投稿日時: 2011/10/05 16:17:25 更新日時: 2011/10/06 01:17:25 評価: 4/13 POINT: 380 Rate: 6.75
おおミマさま、私は昨日神秘的な体験をいたしました。
大量の唐辛子を使用して水煮牛肉をつくって食べましたところ、
頭蓋骨の内側に汗をかいたような感覚を受けました。
そしてあたかも運動後に汗が引くときに感じるようなひんやりとした
涼しさを、脳全体が享受したのであります。
するとどうでしょう。私が大人になる過程で掛かっていった麻痺、
それが霧が晴れるように解けていったのであります。


ふむ、それは頭頂部のチャクラが活性化されたときに起こる
現象だよ。唐辛子はそのきっかけになったに過ぎない。
確かに唐辛子はチャクラにスイッチを入れる作用がある。
でもね、頭頂部のチャクラというのは体にある全てのチャクラが
健康で自然な状態になったとき、最後に活性化される場所なんだ。
だから最近の君の生活が、俗世の雑音に惑わされず真実を愛し、
自然を愛し、力の強さを悪ではなく宇宙からの贈り物であると
理解したものであったから、そのような体験ができたのだよ。


滅相もございませんミマさま。私の最近の生活ぶりときたら、
散歩と読書、それに仏像彫刻くらいしかやっておりません。
もっと人と関わり、社会での喜びをもとめに行かなくてはならない
のではないですか?


ふふ。私がここ60年ほど人間社会を観察して気づいたことを教えよう。
それは多くの人間が、人を愛し人を敬うことに溺れすぎた。
誰にも理解されず、誰からもはねつけられる意見には意味がないと
どうして言えるのだね?人生は人と人とのふれあいが全てではない。
それどころか、ふれあいを最終目的に行動を組成するのは邪悪なのだよ。
自然に生かされ、真理に生かされる過程で出会う人、それは縁だ。
しかし、愛情を受けて気持ちよくなりたいためにその人と会うことだけに
意識をとらわれ、周辺世界から断絶されることは、金銭欲に駆られて
人を貶める類の人間と同列の醜い行いなのだよ。


しかし、人を愛せ、人のために行動しろというのは世界のあらゆる土地で
徳の高い行動理念とされ称賛されています。


そこにはある種のからくりが潜んでいるんだ。これは最も意見を反するものを
黙らせやすい価値観だ。そしてひとたび事業が失敗しても悲しみや殉じた人へ

の労いの念こそ残れ、標榜者への怒り、憎しみ、反骨心は生まれにくい。
どうだね、便利だろう。・・・ひとつ予言しよう。この国の若者の多く、
それもメインストリームにおける若者の多くが死ぬよ。君は意識してそうした

のではないだろうが、よく逃げおおせてきたものだ。君は助かったのだよ。
このからくりを人間が完全に使いこなせるようになったのは私が知る限り産業

革命以降のことだ。社会に属し、世の中に顔向けできる人並みの生き方をして

いれば、自分で真実を見つける仕事はしなくてもよいことになった。
本当は周りの人全てに称賛されていても、間違った生き方をしている場合も
あるのだ。それでもし彼が死んでも、不幸な事故として片付けられるだけだろ

う。
でもそれは死ぬべくして死んだんだよ。


ミマはおもむろに水晶玉を取り出す。
ん?水晶玉を見つめてどうするつもりだいきみは。
これはプロジェクターの光源だよ。反対側をみたまえ。


橋の歩道を歩く少女の姿が映し出された。携帯電話でメールを打ちながら歩い

ている。
映像がズームされ彼女の手元がうつる。友達への律儀な返事のメールを打って

いるもののようだ。と、携帯の画面にぴゅぴゅっと赤い水玉模様が2〜3付い

たかと思うと、それは彼女の手元を離れて宙を舞った。そしてけだるい昼の日

光が、携帯のボディの角度と合致した一瞬だけ、こちらにキラリと光を向け、
下の川へと落ちていった。
そして映像が再び少女に向けられると、横たわる少女の傍らには
頑丈なフルフロートのダブルタイヤがあるのだった。
溝の一つ一つに血液が入り込んでいく。



どう思うかねきみは。


ミマさまが相手で、ほかの誰もこの場所にいないからこの言葉が
言える、臆病な私だということを前もって言わなくてはなりませんが・・・
・・・何とも思いません。
相手が俗世のものならば、歩道を歩いているのだから安全は守られなくてはな

らない、とでも答えていたでしょう。


道交法など人が決めたものだからな。そしてこの事故は実は、彼女自身が
引き寄せたものなんだよ。彼女は橋の上が信号のない直線であることを
いいことに、ここを通るときに携帯をいじるのを習慣にしていた。
すれ違う歩行者の迷惑も省みずね。そのカルマがこの事故を呼び寄せた。
携帯の先の相手への礼儀を大切にし、すれ違う歩行者への配慮を蔑ろにしてい

ればカルマは溜まるよ。これが愛欲におぼれる、一見非のない人間の
不幸な事故死というものだ。私にはぶざまに思えてならないがね。



ミマの弟子、マリサが番茶を持ってやってきた。

おお、マリサやありがとう。おまえはよく働くね。
ラビィ・ソー
作品情報
作品集:
1
投稿日時:
2011/10/05 16:17:25
更新日時:
2011/10/06 01:17:25
評価:
4/13
POINT:
380
Rate:
6.75
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3. 60 NutsIn先任曹長 ■2011/10/06 06:45:42
カルトがテロ行為を正当化しているように見えました。
5. 10 名無し ■2011/10/06 16:39:10
登場人物がよくわからない
区切りが悪い
改行が変
締めかたも物足りない
6. フリーレス ラビィ・ソー ■2011/10/06 18:04:47
>>Nutin先任曹長さま

曹長、いつもどうもです。^^さすがに鋭いですねー。
これを書くに当たってオウムの本を読みました。
8. 100 名無し ■2011/10/06 20:32:13
よく働くマリサはミマの為に働いてるだろうか
だったらいいな。マリサは不幸になる
9. フリーレス ラビィ・ソー ■2011/10/07 00:08:49
>>8
えっ、8さんマリサ嫌いなんですか?><
13. 100 レベル0 ■2014/07/24 11:34:14
今の俺も正しい行為をしているのだろうか……
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