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『廻る廻る2人の地獄』 作者: 零雨

廻る廻る2人の地獄

作品集: 1 投稿日時: 2011/10/08 07:32:53 更新日時: 2011/10/08 16:32:53 評価: 6/9 POINT: 490 Rate: 10.30
魔理沙とアリスは、紅魔館に向かっていた。
紅魔館の図書館の主、パチュリーにパーティーに誘われたからだ。
内容は、魔理沙の妊娠を祝うというもの。
そう、魔理沙とアリスは付き合っている。
この場合、突きあっているでも間違いではないが。
既に6ヶ月目に入り、だいぶお腹も膨らんできている。
このタイミングでのパーティーは出歩くことないパチュリーらしい。

「アリスー、まだ着かないのかー?」

「もう少しよ魔理沙。箒で飛ぶのもだいぶ慣れてきたしね。」

アリスが箒で飛ぶのは、もちろん魔理沙に負担をかけないためだ。
アリスが前で魔理沙が後、2人乗りで幸せそうに飛んでいく。

「それにしても、あのパチュリーが祝ってくれるとはなぁ。衝撃的だぜ。」

「そういえば、魔理沙。パチュリーに本は返したの?」

「いや、まだだ。死ぬまで借りるつもりだぜ。」

「はぁ……。折角祝ってくれるのに、本は返しておきなさいよ。」

「アリスが言うなら仕方ないなぁ。今度2人で一緒に返しにいこうか。」

「ええ、それがいいわね。ちゃんと謝るのよ?」

「はいはい。分かったよ。」

仲睦まじく会話している内に紅魔館に到着した2人。
久しぶりに出会った美鈴に図書館まで案内してもらうことになった。

「いやぁ、本当におめでとうございます。話は聞いてたんですけど、私は門番なので。お祝いを言いに行けなくてすいませんね。」

「いやいや、気にしなくていいぜ。」

「そうよ。そんなに気にすることはないわ。ありがとう美鈴。」

「そろそろ図書館ですね。では、私はこれで。」

「案内サンキュー、美鈴。」

「いえいえ、これも門番の仕事のうちですからね。」

美鈴と別れ、図書館に入る2人。
図書館では、小悪魔が2人を待っていた。

「ああ、お久しぶりです。魔理沙さん、アリスさん。本日は楽しんでいってくださいね。」

「もちろん、そのつもりだぜ。ところで、パチュリーはどこだ?」

「ああ、パチュリー様ならそこにいますよ。」

小悪魔が指差した方向を見ようと振り向く魔理沙。
そこに、小悪魔が魔理沙の首を狙って手刀を叩き込む。
そのまま、倒れる魔理沙。

「小悪魔!?一体何のつグウッ!?」

叫んだアリスに、隠れていたパチュリーが分厚い本で後頭部を叩きつけた。
魔理沙と同じように、気を失って倒れるアリス。

「さあ、ここからがパーティーの始まりですよ。お2人さん……。」

小悪魔が妖しく嗤った。






「ん……。」

私は気がつくと、石造りの部屋にいた。
?確か私はパーティーに来たはず……。

「あら、目が覚めたみたいね。気分はどうかしら、魔理沙?」

声の聴こえた方を見る。
そこには驚くべき光景が広がっていた。
私と同じ、いやそれ以上におなかの膨らんだアリスがいた。

「おい!アリスに何をした!!?」

「ちょっと魔法を使っただけよ。子供もちゃんと出来てるわよ?」

「魔理沙…助けて……。」

「待ってろ!今助ける!」

「おっと、そうはさせませんよ。私を忘れてもらっては困りますね。」

走り出そうとした私は、小悪魔に押さえつけられてしまった。
そのまま、魔法の鎖で拘束されてしまった。

「クソッ、鎖を解け!」

「解きませんよ。魔理沙さんはそこで大人しくしておいてくださいね。」

「じゃあ、早速始めるわよ。」

パチュリーは懐からナイフを取り出した。
そして、そのナイフをアリスのお腹に刺し込んだ。
響く絶叫、飛び散る鮮血。
返り血でパチュリーの服がドス黒く染まる。
そのまま、ナイフを動かすパチュリー。

「ぎゃああああッッ!!痛いぃいい!?」

暴れて逃げ出そうとするアリス。
だが、動けば動くほどナイフは深く食い込んでいく。
アリスのお腹が裂け広がる。

「だいぶ広がってきたわねぇ。」

パチュリーがアリスのお腹を覗き込む。
そのまま、細い腕を突っ込んだ。

「あぐぅぅうううう!!?」

激痛に悶えるアリス。
パチュリーは容赦なく手を深くまで伸ばしていく。
そして、胎児を引きずり出した。

「あら、やっぱり出来損ないね。使えないわ。よく育ってたら使い魔にでもしようと思ったのに。」

アリスの中から引きずり出されたソレは、異形だった。
人の形をしているものの、体色は灰がかった青色で、所々に赤い斑点が浮かんでいる。
目は忙しなく動いており、不気味に輝いている。

「気持ち悪いだけで使い道はなさそうね。」

パチュリーは胎児を掴んでいた手を放した。
石造りの床に胎児が落ちる。
仮にも魔力はあるのか、熟れた果実のように潰れはしなかった。
ぎぃ、と胎児が呻く。
その胎児をパチュリーは虫でも殺すかのように、思い切り踏み潰した。
ぶちゅり、と汚い音が鼓膜に届く。
緑色の血液が石の床を染めていく。

「後で掃除しておいてね、小悪魔。」

「えぇー。自分で掃除してくださいよ。」

「嫌よ。面倒じゃない。……さて、次は魔理沙の番ね。」

パチュリーがアリスから引き抜いたナイフを片手に、こちらにゆらりと近づいてくる。
私は逃げようと必死に抵抗したが、小悪魔の力は想像以上に強かった。

「抵抗しても無駄ですよ魔理沙さん。観念してください。」

「い、嫌だ!助けてくれアリス!」

助けを求めるも、アリスは恐怖と出血で気を失っているようだ。

「そんな……。」

「さあ、魔理沙。覚悟はいいかしら?」

そう言うとパチュリーは赤く染まったナイフで私のお腹を切り裂いていく。
あまりの痛みに声が出ない。
私が激痛で悶えている間にも、私のお腹は切り裂かれる。
赤ちゃんだけは、私の命に代えても……。
だが、私の思いは無慈悲にも打ち砕かれた。
パチュリーの手によって私の赤ちゃんは奪われてしまった。

「あらあら、なかなかかわいい赤ちゃんね。もう死にそうよ。」

「ぎゃぁあああああぁああ!!返せぇ!返せよおぉ!?」

私はお腹の痛みなど、もう忘れていた。
今は私の赤ちゃんを助けねば。
それだけしか考えられなかった。

「うるさいわねぇ。そうだ小悪魔、アレ持ってきなさい。私はアリスを起こしておくわ。」

「はいはい。アレですねー。」

小悪魔は何かを取りに行ったようだ。
私は拘束から解放された。
しかし、体に力が入らない。
当然だ。お腹を切り裂かれ、胎児を引きずり出されたのだから。

「アリスー、起きなさいよー。」

パチュリーがアリスのお腹を蹴る。
傷口を蹴られた痛みからか、アリスが目を覚ました。

「嫌ああぁああぁッッ!!?」

「パチュリー様ー。持ってきましたよー。」

小悪魔が運んで来たものは、巨大なミキサーだった。
ぎゅいんぎゅいんと凶悪な音を立てて回転している。
人が入れそうな大きさだ。
まさか、そのミキサーで……。
最悪のイメージが頭に浮かぶ。
しかし、今の私には抵抗できる力がない。

「アリスー?今からこの中に、あなたの赤ちゃんを放り投げるわよー?死なせたくなかったら、全力でキャッチしてみなさいな。」

「うぅ……?赤ちゃん……!?」

アリスが呻きながら立ち上がった。
裂けたお腹からは血が流れ出ている。

「じゃあ、いくわよー。」

パチュリーが赤ちゃんをミキサーに向けて高く放り投げた。
ミキサーが激しく回転している。
餌を待つ食虫植物のようだ。

「ああぁあああぁあ!!」

アリスがお腹を庇いながら必死になって飛ぶ。
ミキサーの真上。
赤ちゃんに向けて伸ばした手は、むなしく空を切った。

ぎゅいぃぃいん ギチギチ ミチミチ

「きゃあぁあああぁあ!!!?嫌あぁあああぁ!!」

アリスが絶叫する。
赤ちゃんだったものは、ミキサーによって物言わぬ肉片になってしまった。
ミキサーはそれでも回転し続ける。

「なかなか綺麗にミンチになったわね。」

「嘘だろ……。これは夢なんだろ?なあ、そうだよなパチュリー?」

「そんなわけないじゃない魔理沙。ちゃんと現実を見なさい。あなたの子供はミンチになったのよ。」

「うぅ、うわああぁぁぁぁぁぁあああ!!?」

私は頭がどうにかなりそうだった。
いや、むしろ気が狂ったほうが楽だったのかもしれない。
この後に起こった出来事を見なくてすんだのだから。

アリスがミキサーの中に落ちた。

ミキサーは獰猛な唸り声を上げて、アリスを引き裂いていく。
飛び散る赤とピンク、血と肉。
肉片は掻き回され、どろどろになった。

「あら、よかったわね。赤ちゃんと一緒になれて。」

「アリスぅううあぁぁあぁあああ!!!?何でぇええぇ!?どうしてぇええぇ!??」

私はもう叫ぶことしか出来なかった。
一番大切なものを目の前で失ってしまった。
私はもう生きる気力を失ってしまった。
ミキサーで私も一緒に混ぜてほしいぐらいだ。

「さあ、魔理沙。あなたもアレと一緒になりたいのかしら?」

私は無言でうなずいた。
早く楽になりたかったからだ。
しかし、パチュリーはそれを許さなかった。

「小悪魔、ミキサーを止めなさい。」

「はいはい、分かりましたー。」

ミキサーを止めたのだ。
回転していた刃は止まり、不気味に赤く輝いている。
どろどろとした血肉がミキサーの底に溜まっている。
パチュリーはミキサーに近づくと、どこからともなくコップを取り出し、血肉を掬った。

「はい、魔理沙。一緒になりたいんでしょう?コレを飲むといいわ。」

私に血肉の入ったコップを差し出してくるパチュリー。
飲めるはずがない……。

「どうしたの?一緒になりたいんじゃなかったの?あなとの望んだモノよ?」

「ち、違う。私はこんなものはいらない……。死なせてくれよ……。」

「えぇ?まだ早いわよ。それより、早く飲みなさいよ。」

パチュリーがグイグイカップを押し付けてくる。
私は口を固く閉ざし、必死に抵抗した。

「面倒ねぇ。小悪魔、魔理沙の口をこじ開けなさい。」

「分かりました。パチュリー様。」

小悪魔によって、私の口は強引に開かれた。
そこに、血肉が流し込まれる。
不味い、でも力が漲る……。
私は、不味さに耐え切れず吐いた。
それでも、パチュリーはどんどん血肉を流し込んでくる。
力がどんどん漲ってくる。
お腹の痛みが引いていく。

「そろそろいいかしらね。どう、魔理沙?魔力が増えた感想は?」

「魔力が……?」

「鈍いわねぇ。魔力を持つ妖怪の血肉を飲んだのよ?当然、妖怪の魔力が手に入るわ。強ければ強いほど、大きい魔力がね。」

「そうか……。」

「じゃあ、魔理沙が強くなったことだし、ミキサーのスイッチを入れなさい小悪魔。」

小悪魔が再びミキサーを起動させる。
ぎゅいんぎゅいん、忌まわしき音が部屋に響く。
私は、殺されるのか……。

「さあ、魔理沙。あなたが望んでいたものよ。存分に死になさい。」

私は言われたとおり、ミキサーに近づく。
そのまま、中に飛び込んだ。

ぎゅいぃぃいん ギチギチ ミチミチ

再び、音が聞こえる。
しだいに、音が遠ざかっていく……。
私の体が削られていく……。

意識が遠ざかり、消える直前に私が見たのは、アリスと、私の赤ちゃんの笑顔。
ああ、今からそっちにいくよ。
幸せな世界に私は足を踏み出した……。




















私が目を覚ますと、そこは石造りの部屋の中だった。

「あ、パチュリー様!気がついたみたいですよ!」

「案外うまくいったわねぇ。どう、魔理沙?私がわかる?」

「お前は……、う、うわぁああぁぁあああ!!!?」

「ちゃんと記憶も引き継いでるわね。実験は成功よ、小悪魔。アリスをつれてきなさい。」

「はーい。あ、ミキサーも要りますか?」

「当然よ。さあ、魔理沙。パーティーはまだまだ始まったばかりよ。あなたが壊れるまで、いや壊れても終わらないわよ。」

「うわぁあぁあああああ!?嫌だぁあぁああああぁああ!!?」

私の地獄は終わってはいなかった。
いや、そもそも終わりがない……。
終わることのない輪廻に囚われて、身も心も全てが破壊されるのだろう……。
潰された奇形児が、どこかでにやりと笑った気がした……。
そこそこグロイ作品になったと思います。
産廃全体から見れば、あまりグロく無いかもしれませんけどね。

次は、人狼SSです。
書いてる自分も驚く展開になりそうです。
零雨
作品情報
作品集:
1
投稿日時:
2011/10/08 07:32:53
更新日時:
2011/10/08 16:32:53
評価:
6/9
POINT:
490
Rate:
10.30
分類
アリス
魔理沙
パチュリー
小悪魔
グロ
胎児
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POINT
0. 90点 匿名評価 投稿数: 3
2. 40 名無し ■2011/10/09 00:23:32
もう一捻りほど欲しいものだ

パッチェさん、この実験って咲夜さんが死んだときの保険ですかい
3. 30 名無し ■2011/10/09 02:00:11
最後の所新徒で、見た。 零雨さんの作品の中では、見劣りする感じだった。
4. 50 NutsIn先任曹長 ■2011/10/09 03:34:56
冒頭以外、魔理沙視点の話ですか。

魔理沙の魔力を強化してから殺すことは、この『パーティー』の趣旨に適ったことかな?
こんなことを何十、何百回と繰り返して行くと、魔理沙に『ノイズ』が生じそう……。
7. 80 名無し ■2011/10/10 18:53:18
産廃らしい内容でした。周りの作品に食われたみたいですね。
8. 100 名無し ■2011/10/13 16:54:31
結構グロの正道だと思うけど。
9. 100 名無し ■2011/10/30 06:17:26
すばらしい
名前 メール
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