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『忠犬咲』 作者: ギョウヘルインニ

忠犬咲

作品集: 1 投稿日時: 2011/10/23 08:01:47 更新日時: 2011/10/26 03:38:59 評価: 6/10 POINT: 610 Rate: 11.55
 幻禄15年12月14日 未明

  雪の降る中、湖のほとりに陣取り、十六夜咲夜が一同に号令をかけました。  


「今日は憎い、西行寺幽々子を討ち取る機会が来た! 討ち入りよ!」


 総勢47人いると思う元紅魔館一同に大きな声で言ました。主人レミリア・スカーレットのため、あだ討ちが幕を開けたのでした。



 

 幻禄15年3月14日 午後


 白玉楼でお茶会でもしようとレミリアは、幽々子に招待されました。レミリアはご機嫌で楽しみにしていました。ところが当日朝のことでした。従者咲夜は季節の変わり目で、風邪を引いてしまいました。
 レミリアは、咲夜を心配しました。咲夜は心配してくれている主人に1人でお茶会に行くことを薦めました。レミリアも折角招待されたのに行かないは、失礼だと思って1番お気に入りの洋服を着て出かけました。
 レミリアが白玉楼に到着すると、なにやらニヤニヤする魂魄妖夢に広い茶室に通されました。そこには、幽々子と何人かの客人が豪華な和服で着飾っていました。レミリア以外は皆和服でした。

「あら、れみりあさん今日は随分派手な格好なんですね」

 茶室に通されたレミリアに挨拶もせず上座に座り扇子で口元を隠しながら、幽々子がレミリアに話しかけました。
 その目はレミリアのことを笑っていました。他の客人も笑いをこらえているようでした。

「幽々子、畳の部屋は和服じゃないと駄目だったかしら?」

 レミリアは、笑われていることに気がつきました。それでも、適当なことを言って受け流しました。

「それに、れみりあさん靴はお脱ぎになりましたか?」

 幽々子は扇子を閉じて、扇子でレミリアの足の方を指しました。レミリアは靴を履いたままでした。

「....靴箱が無かったわ」

 普段洋館に住むレミリアにとって、家に上がるとき靴を脱ぐ習慣が有りませんでした。そういえば、霊夢の神社に行ったときは、咲夜が靴を脱がしてくれていました。

「あらら、それはいけませんね、土足で畳に上がるなんて無作法ですね」

 ひとまず、靴を脱いで近くで様子を見ていた妖夢に渡しレミリアは座ることにしました。幽々子のそばに胡坐で座ったのですが、それについては言及されませんでした。
 しばらくして、幽々子の指示で妖夢がお茶を客人たちの為に入れ始めました。レミリア以外の客人たちには焼き物の器が準備されていましたが、レミリアには準備されていませんでした。

「幽々子、私の器が無いわ」
「れみりあさん、何を言っているのですか? 先ほどれみりあさんが、持参した。器があるじゃ無いですか」

 妖夢が、レミリアの前に先ほど脱いだレミリアの靴を丁寧に置きました。そこにお茶を注いだのでした。お茶を入れた後妖夢は奥の部屋に行きました。

「なかなか、珍しい器を所有されているのですね」

 うんうんと、幽々子はうなずきました。明らかな、嫌がらせでした。

「こんなの、飲めないわ」

 当然レミリアは、靴に入れられたお茶など、飲みませんでした。

「飲めない? お茶の作法もわからないのですか? 2回転半まわした後それを飲むんですよ。これだから、田舎物のれみりあさんは、かりすまが無いといわれるのですよ」
「いい加減にしなさい、私をからかわないで!」

 幽々子がからかっていると、とうとうレミリアは怒ってしまいました。立ち上がって素手で幽々子に殴りかかろうとしました。

 ものすごい勢いで奥の部屋から妖夢が飛び出して来ました。そして、レミリアを一太刀で切り殺してしまいました。

「この、フナ吸血鬼め」

 レミリアが胡坐で座ったことに何も言わなかったのは、正座より胡坐の方が立ち上がりづらいからでした。

「あははははは、どうですか皆さん。今日の余興はおばかなれみりあの、活花完成ですよ」

 レミリアは、茶室の中央に見世物にするため投げ捨てらてしまいました。 

「お見事! 流石幽々子さん今日はいいお茶が飲めそうだ」

 客人の1人がお茶に焼酎を入れて飲みながら言いました。他の客も楽しそうにビールやウイスキーを飲み始めていました。レミリアは宴会の余興でした。咲夜が一緒に来ていればもしかしたらこうはならなかったかもしれないです。そもそも、お茶の飲み方など誰も知りません、気にしないのです。

「ありがとう、妖夢の刀捌きが良かったから出来たから。妖夢もほめてあげて」

 客人達は拍手喝采で妖夢をほめました。



 幻禄15年3月19日 昼


 風邪が直った咲夜は数日たっても、帰ってこない主人が心配になりました。咲夜は、紅美鈴に命令して白玉楼に行って様子を見てくるように命じました。
 このとき咲夜は、白玉楼の居心地がいいので帰ってこないのだろうと思っていました。
 それから数時間後、美鈴がレミリアを背負って帰って来ました。門の辺りで、レミリアを背負っている美鈴を見つけた咲夜は2人の様子がおかしいということに気が付きました。
 まず、美鈴の表情が今にも泣き出しそうな表情でした。レミリアはまったく同じ姿勢のまま背負われて動きません。嫌な予感がしました。近くまで、2人が来たときに予感は確信に変わりました。

「咲夜さん、お嬢様が」
「............」
「咲夜さん、お嬢様が!」
「お嬢様は怪我をされて今は死んでいるだけよ。それより、お嬢様はどこで怪我をしたの?」

 無表情で咲夜は美鈴に聞きました。刀の切り傷、妖夢のしわさだということに咲夜はすでに気がついていました。

「白玉楼で、お嬢様が西行寺に辱められて怒ったところ。妖夢に切られたそうです」

 白玉楼まで、美鈴が行くと妖夢が現れました。14日からずっと、宴会をしているらしく妖夢は疲れた表情で事の次第を話しました。そして、余興も終わって要らなくなった、レミリアを美鈴に渡しました。

「余計なことは考えずに、そのゴミ持って帰って下さい」

 美鈴が怒ってるので妖夢は言いました。美鈴は何もすることが出来ず帰って来たのでした。
 それから、咲夜はレミリアのを湖のほとりに埋めて墓を作りました。


最近のレミリアは、確かに昔ほどに比べると目立って強くカリスマを感じることは減りました。しかし、咲夜にとっては、1人しかいない主人だったのでした。


 咲夜はレミリアの墓前にあだ討ちを誓ったのでした。
 
 



 幻禄15年7月 昼


 レミリアの跡を継ぐはずだったフランドール・スカーレットが、八雲紫の仲介で博霊霊夢に預けられることになりました。そして、紅魔館に住む咲夜たちには、紅魔館から早々に立ち退くようにという通告がありました。事実上の紅魔館解体でした。
 その通告をしに霊夢が紫の変わりにやって来ました。霊夢がそのままフランを連れて行ってしまいました。仕返しを恐れた、幽々子の根回しでした。
 咲夜は当然嫌がりました。そこへパチュリーが現れて忠告ししました。レミリアの復讐をしたいのであれば今八雲といざこざを、起こすべきでない。咲夜は気に喰わなかったが、パチュリーの言うこを聞いて忠告を受け入れることにしました。
 数日後、レミリアの墓の近くに、仮設テントを設置して暮らすことになりました。大部分の妖精メイド達は帰ってしまいましたが、咲夜と美鈴の話を聞いて復讐を誓った総勢47人ほどの残りました。生活は質素でしたが、資金や食料は潤沢にありしばらくは問題は無いのでした。
 仮設テントに移ってからはそれぞれ、あだ討ちのために準備し始めていました。
 作戦参謀を自称するパチュリーは、喘息の治療のため病院へ行きました。
 門が無いときは自称番の美鈴は番の仕事をしていました。
 小悪魔は、戦いの準備をしていました。
 他の妖精メイド達は、実尾島に居るゲリラメイドの訓練キャンプに合流して、血の滲むような努力をしました。あだ討ちの日までには、1人でも幽々子を倒せるようになりますと言っていました。 
 咲夜は、あだ討ちのことしか考えていませんでした。物理攻撃が効かない幽々子を倒すためには、霊夢の符が必要と考えました。金庫から大金を持ち出して博霊神社に向かいました。


 
 幻禄15年12月14日 未明


「今日は憎い、幽々子を討ち取る機会が来た! 討ち入りよ!」

 総勢47人いると思う元紅魔館一同集め号令をかけました。
 レミリアが殺された日から、季節が過ぎ夏になり冬になりました。始めのうちはあだ討ちを恐れ警戒していた白玉楼でしたが、最近は警戒を解いていました。これを待っていた咲夜は元紅魔館一同を集めました。号令を掛けた後は、太陽が沈んだ後静かにばれないように白玉楼まで来たのでした。

「咲夜さん、パチュリー様病欠です。途中で帰りました。早退です」

 これから、白玉楼の門を破ろうという時でした。他の元紅魔館一同は、普段着なのに1人だけ甲冑姿の小悪魔が言いました。さらに甲冑の下には、鎖帷子を仕込んでいるようです。

「自称作戦参謀が病欠ってどういうこと? ・・・・・・まあいい、討ち入りよ!」

 47人が46人になってしまいましたが、非戦闘員だったので気にしないことにしました。
 まずは非常勤で門を守っていたプリズムリバー3姉妹を倒し捕虜にしました。3姉妹に門を開けさせて、一同は白玉楼内部に侵入しました。用済みになった3姉妹は、蟹工船をプレゼントして開放しました。長い階段を上っていると、巡回している悪い妖精や恐い幽霊と何度か遭遇しました。大体は無力化しましたが一部取り逃がしてしまいました。白玉楼の本殿の近くまで来たときに、しらせを受けた妖夢が奴隷妖精を引き連れて現れました。そこからは、乱戦になってしまいました。
 戦いの途中、本気の妖夢とやる気の無い小悪魔が出会いました。

「お前は、紅魔館の誰だっけ?」

 妖夢は小悪魔を知りませんでした。妖夢は素早い動きで、小悪魔に切り掛かりました。レミリアも一撃で倒した剣技、小悪魔は避けれませんでした。
 
「どうですか! 咲夜さん、切れてなーい」

 咲夜の近くで戦っていた小悪魔は妖夢に袈裟から切りつけられました。しかし、小悪魔の着ている甲冑はやたらに丈夫で無傷でした。小悪魔は妖夢にふざけた反撃、持っていたヒ素を酒に混ぜて妖夢に飲ませようとしました。

「はい、のんで、のんで、のんで、のんで」
「私、下戸ですから」
「あー、めんどくさい他の人と遊びます」

 小悪魔は妖夢との戦いを放棄してどこかに行ってしまいました。酒に罪は無いので小悪魔が美味しくいただきました。

「咲夜さんあなたが首謀者ですね。覚悟してください」

 他の敵と戦っていた咲夜はピンチになってしまいました。もっとも、余り咲夜は小悪魔をしんらいしていません。

「ちっ、妖夢あんたを相手にしている暇は無い」

 咲夜は焦った。このままでは、多勢に無勢やられてしまう。

「咲夜さん、ここは私に任せてください!」

 美鈴が血だらけで現れました。美鈴の血では無く倒した妖精の帰り血のようでしだ。

「美鈴さん邪魔をしないで下さい」

 妖夢は、すぐ美鈴を倒そうと切りかかりました。やはり、妖夢の動きは素早く美鈴は避けきれず肩や腿を切られてしまいました。

「止めです」

 足をやられて動きが鈍くなった美鈴に妖夢が止めをさそうとしました。

「くそ」

 避けられないと悟った美鈴は身構えました。

「今です。美鈴さん!」

 突然後ろから、小悪魔が戻ってきて羽交い絞めにしました。美味しい所を狙っていたわけです。

「覚悟しろ魂魄」

 美鈴がすぐに必殺の一撃を叩き込もうと構えました。すごい怖い表情でした。レミリアを殺されて、咲夜は幽々子恨んでいます。美鈴としては、直接手を掛けた妖夢を恨んでいました。

「ひっ!」

 妖夢は美鈴が怖いのと、羽交い絞めにされていて身動きがとれないのでした。

「え? 嘘、美鈴さんちょっと待って下さい」

 小悪魔がニヤついて、突然美鈴を止めました。そして、とてもうれしそうな表情をして笑い始めました。

「ははははは、この子ったら」

 羽交い絞めにしていた小悪魔は甲冑越しでも気が付くほどに、妖夢は恐怖でおしっこを漏らしてしまいました。

「はははははははは......射命丸命さん居るんでしょう? 面白い物が撮れますよ」

 笑い続ける小悪魔、そして戦場(扇情)カメラマンで騒ぎを聞きつけて来ているはずの射命丸を呼びました。どんなに、隠密活動をしても射命丸にはばれてしまうのです。

「取材の協力ありがとうございます」

 すぐに、射命丸が現れて写真を撮り始めました。美鈴は3人の様子を見て、妖夢の武器を奪い取って地面に叩きつけて壊してしまいました。

「やめてください、やめてくださいよぅ」

 妖夢は泣き出してしまいました。それでもかまわず小悪魔は羽交い絞めにしたまま、射命丸は撮り続けます。美鈴は空気をよんで、今度は妖夢の服に手を掛けて破いて半裸にしてしまいました。

「いいですね、いいですね2人ともいい仕事してますよ」

 射命丸がうれしそうにすごい速度で写真を、撮り続けながら言いました。

「う、うっううう」

 武器を壊され半裸にされ、写真を撮り続けられる妖夢は脱力してしまいました。

「これ持って帰っていいですか? 処分はこちらでおこないますので」

 射命丸は写真の撮りすぎで、フイルムを使い切ってしいました。まだ撮りたいので持って帰りたかったのでした。処分も費用が掛かるわけではなく、むしろ儲かるのでした。

「処分の費用を一部こちらで、負担させて貰えるならいいですよ」
「わかりました。処分の費用を一部負担して貰います」

 射命丸と小悪魔はニコニコしながら話しました。悪乗りして、妖夢の胸を揉みながら聞いていた美鈴は、殆どわけがわからなかりませんでした。話の中で妖夢を持って帰るみたいな話になっているようでした。それでは、あだ討ち出来ないじゃないかと思い2人に聞きました。

「魂魄を持って帰られると、お嬢様の復讐が出来ない返してください」
「美鈴さん、これで良いのですよ。妖夢は死ぬより酷い目にあってこちらの懐は暖かくなるのですから。美鈴さんにも、後で何か美味しい物でもおごりますから」

 頭の余り良くない、美鈴はまだ余り理解していませんでした。ただ、死ぬよりつらい目に合うと聞いて納得したのでした。

「納得したようですね、じゃあ、皆さんさようなら」

 射命丸は妖夢を担いで飛んで帰りました。後日、律儀にも小悪魔の所には、かなりの額のお金が送られて来ました。  

「あとは、幽々子だけだ! 探せ」

 大方の敵を片付けた咲夜が号令を掛けました。必死に白玉楼内部を捜索しましたが、見あたらりませんでした。もしかして、逃げてしまったのかと一同が思い始めていました。
 あせった咲夜は辺りを走り回りました。今日、倒せなければ今度は自分達がやられてしまいます。お嬢様のあだ討ちが出来なくなってしまうのです。レミリアが居なくなってしまって、生きる意味など咲夜には残っていないのでした。ただ、幽々子にあだ討ちが出来ればそれで良かったのでした。咲夜は必死で探しました。そして、外に向かい浮遊している妖夢の半霊を見つけました。半霊いつもより、大きく動きがおかしかった。これは何かあると考えました、咲夜は半霊を捕まえました。
 咲夜が妖夢の半霊を解剖してみると、中に隠れていた幽々子を見つけました。

「あらー、見つかっちゃった......」

 幽々子はあきらめているのか、ゆっくりと妖夢の半霊から出て来ました。

「レミリアお穣様の敵、覚悟!」
「ここに、来たということは妖夢を倒したのですね。いやー、れみりあさんの部下はお強いことですね。どうでしょう? 私は従者を失った。あなたは主人を失った。私があなたを雇えば全て丸く収まるとおもいますが?」

 幽々子はあきらめていませんでした。何か話して咲夜を懐柔しようとしました。

「ふざけるな!」

 咲夜は、懐柔されるどころか怒りました。霊夢のところで購入してきた武器を構えました。

「……そうだ、待遇の話がまだでしたね。月収10円でどうでしょう? 足りないですか? 福利厚生も充実していますよ。あなたが着ているはいからな格好も許しますから」

 これ以上考えていなかった幽々子は焦り始めました。まだ、能力で咲夜を即死させることが出来るはずなのに普段使わないので忘れています。

「そうだ、そうだ、えっと、そうだ、地位ですか? 位ですか? あなたの望むままに与えますよ」
「……もう、あなたと話すことはない」
「待って、話せばわか!」

 霊夢から事前に残った財産の半分を払って準備していた武器を使いました。BZガス(毒ガス)を幽々子に吸わせたのです。物理攻撃が効かない幽々子に対する攻撃でした。霊夢から御札を購入しようとしたときに、こちらをすすめられえたのでした。ガスを吸った幽々子は、幻覚をみて錯乱し精神崩壊してしまいました。討ち取りではありませんが、2度と表舞台に立つことは無いでしょう。



「お嬢様、敵を討ちました!」



 大きな声で咲夜は言いました。咲夜は涙が出てきてしばらく、泣いてしまいました。

 そこに、咲夜の声を聞いた元紅魔館一同が集まって来ました。咲夜は泣くのを止め明るく言いました。 

「あとは、みんなの大好きな略奪タイムよ、奪った分だけ自分のものしていいから」

 実は残った妖精メイドと小悪魔の目的は、あだ討ちというよりも略奪が目的に残ったのが大半でした。咲夜としては悲しい事でしたが、あだ討ち出来ればそれで良かったのです。美鈴は純粋にあだ討ち目的できていましたが、結局略奪を楽しみました。むしろ、このメンバーでは2番目に強いので1番の収穫を得たようでした。

「コマッスムニダ」

 幽々子は群がる妖精メイドに言いました。幽々子は着ていた服まで妖精メイドに剥ぎ取られていました。

「チェ チャルモシ アニセヨ タンスナン サゴヨッソヨ」

 幽々子は、ただおかしなことをつぶやいていました。


 幻禄15年12月14日 朝

 元紅魔館一同は略奪と破壊活動をして、仮設テントに戻ってきました。帰る途中、あだ討ち成功の知らせを受けて霊夢がフランを連れて合流していました。
 一同は疲れたので、とりあえず一箇所に集まって休んでいました。

「私もレミリアお嬢さまの所に参ります」

 一段落ついたところで咲夜が突然、ナイフで腹を突き刺しました。それは見事な切腹をしたのでした。その様子を見ていた他の一同は困りました。
 そのなかでも特に、今回戦いに参加できなかったパチュリーが、仮設テントの裏から出てきて困って話死んだ咲夜に話かけました。

「ちょっと、咲夜なんで自害したの? せっかくこれから、戦いに勝ったお祝いと忘年会しようと思ったのに」

 病欠で休んでいたはずのパチュリーは、宴会の準備のため仮病でした。咲夜以外は、宴会のことみんな知っていました。
 復讐と戦いのことしか考えていない咲夜には、余興として秘密にしておいたのでした。

「え? じゃあ、とりあえず切腹はやめます。切れた内臓とかどうしましょう?」

 死んだ咲夜が、パチュリーに聞きました。咲夜は出てきてしまった腸が、邪魔だったのでパチュリーに雑に切り取って渡しました。

「丁度いいわ、鍋にでもしましょう」

 手頃な鍋にツユと野菜を放り込んで、適当に切った腸をに洗ってその鍋に放り込みました。
 それから、元紅魔館一同は仮設テントの裏に準備してあった宴会を楽しんだのでした。



「あら、美味しそうな咲夜のにおい」

 鍋の美味しいにおいでレミリアが復活したのでした。
  橙と妖夢がもめた。



 白玉楼に唯の大きな桜がある。その枝が、成長しすぎて隣に住む八雲家の庭まで来ていて、日を遮り邪魔で迷惑だった。
 橙は迷惑なので、その邪魔な枝を切ってしまった。桜は切られたり折られたりして傷が付き、その後、適切な処置をしないとかなりの確立で、病気になってしまう。そういうことを、橙は知らなかった。
 橙が枝を切った日からしばらくして、妖夢は桜が病気だということに気づいた。唯の桜ではあるが、樹齢が長く大きく育てた木だった。ひとまず、どこかに傷があるのか探した。ところが、白玉楼の敷地で目立った外傷はない。いくらかの枝が敷地を越えてお隣の八雲さんの屋敷に入っている枝があるようだ。その枝の先を見ると切られた後があった。そこから病気になってしまったようだ。怒った妖夢は、八雲さんの屋敷に抗議しに行くことにした。

 同刻、こないだ枝を切ったばかりだというのに、また枝が庭を侵食している。橙は困った。しかたがなく、枝が伸びてきている白玉楼に、抗議に行くことにした。

 そして、二人が同時にお互いの屋敷を出たところ、出くわした。
「あなた! 八雲さんの所の、ちょっと! 勝手に人の家の木を切らないでもらえますか?」
 妖夢は挨拶もせずに橙の顔を見るなり抗議を始めた。
「こんにちはぁ、植木? あぁ? もしかして、木の枝ことかなぁ。人の家に勝手に入ってきたやつ、邪魔だから切ったよぉ」
 橙はマイペースに話す。

 ビシ! 橙の態度がしゃくに障った、妖夢がいきなり橙に手を出した。刀の鞘で橙の腿をぶった。
 「痛いよぅ」
 突然ぶたれた橙は痛がった。腿の辺りが、すぐに膨らんで赤くなっている。
 スパッ! こんどは、痛がって腿を押さえる橙の耳を引っ張って刀で切ってしまった。
「......? 頭が熱い? あれぇ......頭ぁ! 痛い! 耳! 耳! 無いよぉ!」
 橙は最初耳を切られていることに気が付かなかった。腿を押さえていたら、だんだん、頭が熱くなって来た。おかしいと思った橙は、頭を触ってみた。すると、耳が無かった。耳が無いことに気が付くと、どんどん痛くなってきた。
「どうですか? 切られたら痛いでしょう? あなたが、うちの木にやったことですよ」
 妖夢はさも当然のように、痛がる橙に話しかけた。妖夢は、当然橙が、くいを改めて謝るだろうと思った。ところが、橙の反応は違った。
「藍しゃま! 痛いよぉ! 痛い、助けて!」
 大声を上げて泣き出してしまった。
 予想外の反応、妖夢は困った。このままでは、騒ぎを聞きつけた八雲さんが出てきてしまう。私はなにも悪くないのに悪者にされてしまうと思った。
「たす! ぐぬぬぬ!」
 大声で泣く橙を黙らせるために、妖夢は無理やり手を橙の口に入れて黙らせた。反射的に橙が噛み付いて、妖夢の手から血が出た。かまわずに、さらにぐいぐい口に手を入れ続けた。橙は爪を振って、妖夢に抵抗した。爪は妖夢の肩を抉ったり、目の下を切った。いくらか抵抗したものの手が喉の奥まで来ていたので呼吸が出来ず。橙は気を失ってしまった。
 妖夢は、橙が気を失うのを確認した。妖夢はあやまらない橙が気にくわないのと、怪我させられた罪には罰が与えられるべきだと考えた。白玉楼に持って帰って、さらに説教が必要だと思った。橙はそのまま白玉楼に連れ去られてしまった。


橙は気がついた。
 


 ここは、何処だろうなぁ。なんだろうなぁ、頭が痛いよぉ。あれぇ?動けないよぉ?おかしいなぁ?私はなんでこうなったんだっけぇ?音がおかしいようなぁ?スースーするよぉ? 確か隣の家から、なんだっけなぁ?それからしばらく考えた後ようやく橙は自分の置かれている状況を理解した。妖夢に枝について抗議された。その後いじめられて、どこかに閉じ込められている。服を着ていない、おそらく椅子のようなものに縛りつけられている。口に何かつめ物をされていてしゃべれない。
 ............夢だ!橙はきっと自分は今日悪い夢を見ている。きっと、なんだろうわからない。違うよぉ。きっと、夢を見ているだけだよぉ。体が動かないよぉ、なんだろうなぁ?夢だだからだよぉ、理解しているにも関わらずに、現実逃避をしている橙であった。早く起こしてよぉ......

 しばらくして、現実逃避している橙が閉じ込められているところに、妖夢が顔と上半身に包帯巻いて現れた。怪我の治療をしていたのだろうか、噛み付いた手は、まだ血が止まっておらず触ったところに血がついていた。
「起きましたか、では今からあなたに罰を与えます」
 妖夢は、怪我で血の滲む包帯を指でなぞった。これから、お前にも同じことするぞという意味だった。その動作がとても怖くて橙は、震えだした。
「うー!」
 橙は口に詰められた物のせいでしゃべれない。
「理解しましたか、じゃあまず目の下からやりますよ」
「うーうううう」
 橙は嫌がって首を振ったりして、何とか抵抗しようとしたが、徒労に終わった。妖夢は、彫刻刀で橙の目の下を、深く切った。
「にゃううううううううう!」




コメントの返信


 1. NutsIn先任曹長さんへ

2本立てにしてみました。

 仇討ちのほうは、最初は咲夜さんが自害して終わりの予定でした。がハッピーエンドにしてみることにしました。橙の話の残りはご想像にお任せです。

 2. 名無しさんへ

 12月14日はテレビの前で忠臣蔵ですか?
   
 3. 名無しさんへ

 作品をほめて貰ってありがとうございます。素敵なんて初めてコメント貰いました。うれしいです。

  4. 名無しさんへ

 ということは、赤穂浪士側ではなく吉良側の視点でシナリオを作れば、理不尽で面白い忠臣蔵になりますか?

 5. 名無しさんへ
 
 自分でも把握できゅい無いぐらいの誤字があって、泣きそうになります。
 本編は後書きに負けてしまいました。






小早川秀秋の冒険 2011 10 26 
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
1
投稿日時:
2011/10/23 08:01:47
更新日時:
2011/10/26 03:38:59
評価:
6/10
POINT:
610
Rate:
11.55
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紅魔館と白玉楼
かわいそうな橙
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0. 120点 匿名評価 投稿数: 4
1. 60 NutsIn先任曹長 ■2011/10/23 19:34:01
実質的に二本立てですね、この作品。



・仇討ちの話の感想

さすが咲夜さん!!
悪魔の犬だけあって、犬死ですか!! あれ?
これは、ハッピーエンド、か?



・拉致された橙の話の感想

どの道、橙は生きて帰れないでしょうね……。
妖夢もね……、血が……、血が……、止まらなくなっちゃったり……。
2. 100 名無し ■2011/10/23 23:31:08
忠臣蔵来た!
3. 100 名無し ■2011/10/24 01:13:35
素敵な話じゃないですか
笑いあり感動あり
時間をとらせないシンプルさ
なんとも王道でいいじゃないですか
4. 50 名無し ■2011/10/24 10:20:11
忠臣蔵って絶対クソシナリオだと思ってるんですが、この話は面白かったです。
こんくらい無茶苦茶で理不尽だと逆になっとくできるものなんだなあ。
5. 80 名無し ■2011/10/25 05:39:02
前半後半は良いが、中盤が今一つな印象がありました。あと安心と信頼の誤字率。
後書きは私の下半身に大絶賛だったので点数に加味しときますね。
10. 100 名無し ■2012/01/20 21:04:36
もっと、評価されるべき
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