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『わらぐつの中の魔理沙』 作者: 桁
「うわ、べしょべしょだぜ」
今日はいつもよりうまく滑れたから、そんなに濡れてはいない筈だと魔理沙はそう思っていた。しかし、脱いでみて あぁやってしまった と思った。魔理沙のスキー靴は、いや中の厚手の靴下までびしょ濡れであった。
「うわぁ、明日の学校のスキーの授業どうしよう」
「んならぁ、わらぐつさ履いたらええ。わらぐつは温かくてえぇどー」
魔理沙の通っている学校は冬になると体育がスキーになるのだ。だから、明日の授業で今使っていたびしょびしょの物を再び使用するのは避けたかった。
そんな風に困っていた所に、早苗ばあちゃんが口を出してきた。
「早苗ばあちゃん...どうやってわらぐつをスキー板にはめるんだ?だいたい、このご時勢にわらぐつ履いてるやつなんかいないぜ」
あんな古臭い物履いてるやつなんか魔理沙の周りには居なかった。
しかも、ダサい...DaPumpのダンスくらいダサい。
「そんな事言わんと、履いていったらええやないの」
「いやだぜ、かっこ悪い」
スキー靴に新聞紙を詰めつつ、魔理沙は適当に返事をして、早苗ばあちゃんには何を言っても無駄だろうと思った。
いや、早苗ばあちゃんに限った事ではない。この位の年齢になると人間という者は思考が凝り固まって他人の意見なんか聞かなくなるのだ。
早苗ばあちゃんはそんな私の返事を馬耳東風といった様子で、半ば独り言のように呟いている。
「わらぐつはええど〜。わらぐつの中には神様がいるんだど〜」
「神様?」
話半分に適当に返事をして流そうと思っていた魔理沙であったが、なんだか聞きなれない怪しげな単語を聞いて、思わず本気で聞き返してしまう。
それ光明、といった様子で早苗おばあちゃんは続ける。
「んだよ〜。縁結びの神様が居るんだど〜、今もそのお陰で幸せに暮らしている人がいるんだど〜」
「縁結びか...なんだかロマンチックだぜ。まぁ今の私はそれどころではないからまた今度話してくてくれ」
ちょっと冷たかったかな?
と、魔理沙はそう思ったが正直に言って婆の布教活動になんか興味が無かったので、そう返事をした。
自分から聞き返しておいて、可愛そうではある。
芦田まなの台頭によって芸能界を引退してしまった大橋のぞみ位可愛そうかもしれない。
そんな魔理沙の心情なんぞは、全く意を解さない早苗ばあちゃん。
魔理沙は結構だといったにも拘らず、勝手に話を続ける。
「魔理沙や。ちょっと昔話をしようか」
そう言って、早苗おばあちゃんはとても楽しげな様子で顔を綻ばせる。
「いや結構だぜ」
「あれは......もう60年程も以前のことでのぅ.....」
早苗おばあちゃんは、ぽつりぽつりと思い出を辿っていくように徐に語り始めた。
*
「おっかあ、行って来る」
神奈子お母さんにそう告げ、早苗は朝市へ野菜を売りに出かける。
家の畑で作った野菜を週に一度町で行われている朝市に売りに行く、それが早苗の家での役割だった。
農業一筋で生活は決して楽ではない、でも早苗は文句一つ零さずに家の手伝いをこなす。
私が頑張ってお母さんがちょっとでも楽になるなら、それでいい。
早苗は典型的な良い子だった。母のためならどんなきつい仕事も、汚い仕事もこなした。
市の道すがらに落ちている野菜くずも目ざとく拾って帰った。いやらしい、そう思う人もいるだろう。
今で言うところの、消しゴムのカスを集めて再び消しゴムを作っている奴くらいいやらしいのだ。
実際、そんな行為を笑う人間もいた。
でも、そんな事はどうでも良かった。母に少しでも元気を与えられれば良かったのだ。
そんな中早苗は少しでも生活を改善しようと、努力をしてみた。その結果行き着いたのが、わらぐつの生産、販売だった。
材料は市に落ちている、作り方は教本を読めばわかる。なんと、手ごろではないか。
朝市への道を一人行く。
今日は野菜だけでは無い。右手には昨晩完成させたわらぐつの記念すべき一作目が握られている。
売れるだろうか?買ってくれるだろうか?いや、きっと大丈夫だよね。
心には不安と、浅はかながら期待。そして、罰と少しの勇気と変化した明日を......yeah!
☆
「ご一緒にわらぐつもどうですか?」
「え?これわらぐつなの?腰みのかと思ったわ」
野菜を買ってくれた客に、ついでに勧めてみる。
すると、なんということか、目の前の客__紅白の腋丸出しの巫女風な服を着た女__は、あろうことかそんな事を言った。
ショックだった。わらぐつと腰みのでは似ているようで全然違う。
えなりかずきとウィル・スミスくらい違う。
巫女風な女は、野菜だけを買ってショックを受けている早苗を一瞥して去っていった。
......いや、きっと今の女の感性がおかしかっただけだ。頭が残念な奴だったんだ。
そう思うことで、早苗はなんとか自我を保つことが出来た。いや、そうでも思い込まなければやっていられなかった。
自分の全てを否定されたようで・・・・・・
わらぐつ何ぞで、何を大げさなと思うかもしれない。しかし早苗にはわらぐつだけでなく生活もかかっている。
そう強く意識したことは、早苗自身には無かった。しかし、精神の根底には無意識の感情がしっかりと根を張り早苗の矜持を確実にすり減らしていた。
早苗の精神は脆かったのだ。
先の事項だけで、半ば壊れ去っていくようで......
早苗は気づかぬうちに滴っていた涙を袖で拭った。
次は、売れるから。「大丈夫、腰みのじゃないよ、わらぐつだよ」って、
自身に言い聞かせるように、信じ込ませるように。そうやって、精神と感覚、自我を保った。それは、心の楼閣の様でもあった。
☆
しかし所詮、砂漠に浮かんだ蜃気楼でしかなかったのだ。
「あら、この腰みのすてきですね」
「うわぁ腰みのだ!かっこいい!」
「いい腰みのですね。素材の味が生きているようです」
......
「ッツ!!!」
違う!と、舌打ちをする。
賞賛の方向が違うんだ。
わらぐつなの、腰みのじゃないわ!
もしかして皆わざとそう言って私を悲しませるの?それとも嫌がらせをしたいの?わたしが悲しむのをみてそんなにたのしいの?みんあおかしい。趣味が悪いそんなやつは死かねがいいっていもうのだっていきていたってわわしとおっかああさんをかなしませてっしいねばいいておもっていいてどうえみんなかみなさんそうおもってるんだしおさなうぇなんっかいらいいなんておもってああるんですあああああああああああああああああああああおおおおううううううううさあああいこいじゃはなぼううづっすううええ何dddddddっだあああああああああええうううえのえきいいいいいいいいいいいいいうえええええええええええええええええええええええええええええええええええじゅうううううううええええええええうううううええびふらいいいううううううううじゃじゃっじゃうううう!!!!!!!うううううううううあああああああああああいいいいいいいいいいいいあああああああああああああ3あああふうううううううあああああああああああああああああああああいううううううおおいおおおおおおおいいいおおおおおおちんこおおおおおきおこいおきおおおおおおおおおおおおおおおおおかうううううううううううううううう嗚呼あっはハハハはおおおおおおお生尾濃いコキおおおおおおおおおおおっぱいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいんてるうう獲えええううウイ嗚呼嗚呼ああじゃああか穴箱ううううさういいいいいいいいいいうううううはいってるうううううううううさあ嗚呼ああsうううううううう嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああsおいいいい食うウイ言いいい意いいいいいいいいおいいいいいおいぉおk朝さささくぁっさかかお赤尾海s期kkkkkkkっぉ大尾大嗚呼和え獲え獲え獲えううううううこ大オオ大オオ大オオおいいいいいいい大オオオオオオオオオオオオオオオオ多い言いいい言いいい飯尾いいいいいいいいいいいいいいいううううううううううううういいいいいいいえええええええああしょ?だってみああなそうじゃないおのいつでおもわたしがびびびっつみたいにかきなぐあああった嗚呼太嗚いいいいいいいいいいええれれあいいいい呼ああああれ絵ええええ得れええええええれえええええええええああ架カカぁ嗚呼ああ嗚呼嗚呼嗚呼ああああ嗚呼ああああああああいいいい言いいい言いいい言いええええええええええ破邪じゃばあ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼アあああああおおおおえええええるううううううううはああああああしねえええええええええええええええええええきえれええええjkhづいでゃ負ちねうああああああおおおおっぱいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっパイ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああいいいおおおさでいくきおいじあさささs嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼あああああああなるううううううううううううぬうううううががっがががががgぁぁきさあきるうううううううううう歯は嗚呼嗚呼嗚呼ああいい言いいい言いいい尾大オオ大オオ大江うしあjううううううううんこううううううああああウェえええええええうぇえええええええうぇえええあああああxxっあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
......限界だったのだ。
早苗の精神はもう重圧には耐えられなかった。
早苗の姿が見る見る変化していく。
一匹の巨大な魚がそこには居た。
☆
穏やかな市は、戦場のように様変わりしていた。
人が泣き叫び、ゴミくずのように死体が道の隅に無残に散っている。屋台はなぎ倒され火を上げているものもある。そんな中、皆が一様に思うことがあった。
あの魚はなんだ。
巨大な魚が、確かな殺意を持って人を食い荒らし、屋台をなぎ倒し、この惨劇を繰り広げ続けている。
それは早苗そのものであったが、人々は知る由も無い。
早苗の日頃の鬱憤が爆発して、潜んでいた悪魔のような心が体現したのだ。
「っく、なによこの魚!!」
人間側も屈強な者が巨大魚へと立ち向かっていたが、皆一様に無残に、残酷に命を散らしていくのである。
「!!アリス!!!危ない、防御するんだ!!」
「防御って...上海も蓬莱もバラバラなのに......あッ!!」
ふと、思考に気を摂られた暫時にアリスに魚が突撃しアリスを吹き飛ばし屋台の残骸に叩きつける。
「痛たた......ふぅ、運よく外傷は無いみたいね」
そう呟くアリスの下に霖之助が青い顔をして駆け寄ってくる。
「大丈夫よ霖之助さん。怪我はないわよ」
「なにを言っているんだ!!早く止血しないと!!」
霖之助が必死の形相でアリスの下腹部を指差し叫んでくる。アリスこそ、なにを言っているんだと思い、視線を自身の下半身へと......
「ッキャアアアアァアアァアアア!!!!!!!!」
アリスは図らずも絶叫した。
なんと、アリスの股から睾丸が垂れ下がっているのだ!!
体への衝撃で気が付かなかったのであろうが、視認した瞬間に脳髄へ痛みが駆け上がる。
「痛い痛い痛いいいいいいぃぃいぃ!!!!!」
「アリス!落ち着いてくれ!傷を見せるんだ!!」
巨大魚は体当たり様にアリスの睾丸を食いちぎったのだろう。
鈍重そうに見えて確かな知性を持ち、人間の弱点を付いたクレバーな攻撃を仕掛ける危険な奴だと霖之助は確証した。
「さぁ、これで大丈夫だ」
「うぅ痛いよう......」
アリスの睾丸の変わりにトローチをぶち込んで簡単な応急処置を済ますと、霖之助は決意とともにスッと立ち上がった。
「霖之助さん......?」
そう、あの魚を倒すという決意だ。
「アリス......知っているかい?」
霖之助は幼子に言い聞かせるように、なるたけ優しく、しかし言い聞かせるようにアリスへ言葉を向ける。
「動物という物はね、自分より大きな物を恐れるんだ。奴を倒す術はそこにある」
一息つく。
アリスは不思議そうに...そして不安そうに霖之助の顔を見上げている。
「僕が目になって奴より大きな魚に化けるんだ」
そう言って霖之助は目を伏せた。
アリスは、その一言だけで全てを察した様子である。
「ダメよ!!魚の目にはDNAが豊富だから奴は一番に狙ってくるわ!!そしたら......そしたら霖之助さんが食べられちゃうじゃない!!」
気がつくとアリスは涙を流していた。しかし、しゃくり上げながらもなお続ける。
「私ね、霖之助さんが死んじゃったら悲しいの。カップ焼き蕎麦の湯きりの時に一緒に麺を流してしまった時くらい悲しいの......どうしてだか、わかるかしら?」
霖之助にはわからなかった。だが、誰かが結局はこの役目を負わねばならないのだと、そう言った。
アリスは 真面目ね と一言いい、そして緩やかに微笑みまっすぐ霖之助の目を見ながら言った。
「私ね、霖之助さんのこと好きなの。だから死んじゃったら悲しいの、だから・・・・・・・・・・」
霖之助は無言でアリスを抱きしめて耳元でそっと呟いた。
彼自身もこんな声が出るのかと思うほど優しく、赤子に言い聞かせるように。
「アリス、KEKKONNしよう」
「霖之助さん......いや、あなた...!!!!!」
*
「と、いう話じゃ」
早苗ばあちゃんは誇らしげにそう言った。
しかし、魔理沙は全く聞いていなかったし聞く義理も無かったし。
そもそも早苗ばあちゃんが勝手に話し始めたんだし。
どうでもよかった。
初期DaPumpのISSA以外の奴くらいどうでもよかった。
(完)
小学校の時の教科書にこんな感じの話があったような気がする。
>>5
修正いたした。指摘ありがとうございます。
桁
- 作品情報
- 作品集:
- 1
- 投稿日時:
- 2011/12/10 03:35:54
- 更新日時:
- 2011/12/11 08:50:24
- 評価:
- 5/10
- POINT:
- 420
- Rate:
- 8.90
- 分類
- 魔理沙
- 魚
- 幻想郷の皆様
陸地で魚は生きられるのか?
混乱の中での一人の女性の愛と別れの話。
だが、所詮はババァの繰言だったとさ。
部隊に配属された部下の新兵が見所のあるヤツだと思ったら、
あっけなく戦死してしまったのを目の当たりにしたときくらい、
何の意味も無い事だ。
めでたし、めでたし。
なのをいっているんだと思い
→なにをでは?