アグロバクテリウム導入株

「これから、手術を始める」
「先生この手術は何の手術なんですか？」
「あなたの腫瘍を取り除く手術ですよ」
「やめて！」
「残念なことに、あなたはアグロバクテリウムに感染しているのよ」
「嫌です。そんなの嘘です」
「嘘じゃない、このまま体内でこのウイルスが増殖し続ければあなたは神じゃなくなる」
「そんなことない、私は神信仰さえあればここに存在する」
「そうね、貴女とウイルスとが結びついたおかしな秋の神になることはできるでしょう」
「そんなことない」
「じゃあ何で貴女の腫瘍はそんな緑色で発光しているの？」
「え？　あ」
「既にそこは貴女ではなくなり、貴女とウイルスが結合した別の生き物になっているのよ」
「姉さん助けて！」
「……残念ながら貴女の姉さまは、ウイルスに乗っ取られて全身緑色に光る不気味な植物になったわ」
「！　ねえさーん！」
「あなたと、話していたらどうやら手遅れになったみたい貴女も全身緑色に光り始めた」
「師匠、この神どうしますか？」
「あら、そうね見世物小屋に姉妹セットでうろうかしら」
「姉さーん、姉さーん、姉さーん」
「壊れた」
「壊れましたね」
「姉さーん、姉さーん、姉さーん」