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『貴女の御側に置かせて下さい』 作者: まいん

貴女の御側に置かせて下さい

作品集: 3 投稿日時: 2012/04/13 10:43:29 更新日時: 2012/04/30 11:50:42 評価: 6/8 POINT: 570 Rate: 13.22
注意、この作品は東方projectの二次創作です。
   オリ設定、オリキャラが存在する可能性があります。





壁、血の様に赤くムラがある。 ずっと見ていると目が痛いが、所々に黒い正方形があり赤と黒のチェック柄になっている。 どちらの色も色というよりは生物の色彩といった方が良いのかもしれない。
椅子、革張りの椅子。 いやソファー、畳の部屋には不釣合いの二人掛けの立派なソファー。
下には毛皮の敷物。 紫と茶色の鮮やかなグラデーションと紫というよりは空色に近い二種類。 綺麗になめされて踏み心地もよい、そのまま寝ても不快な香りはしてこないだろう。
ライトのスタンド。 燭台といった方がいいか? 開いて蝋燭に火を灯せば暖かな光が部屋を包む。

壁に掛けられた服、愛しのあの人に似合うかな?
棚に飾られた置物、部屋に不釣合いではないかな?
愛しの愛しのあの人、これからも一緒に居てくれますか?



「すみません!また宝塔を失くしてしまいました。 助けて下さいナズーリン」

「はぁ、またか……、一体いつになったら、この癖は治るのかな? ご主人」

命蓮寺に響く声、この寺ではいつもの事である。 声の主は寅丸星、話かけられた相手は星の部下、ナズーリン。 彼女の癖は失くし物をよくする事、普段は……特に門下の弟子たちが居る時はこういった事はなく、決まって部下のナズーリンが居る時に限って失くし物をするのだ。 その為にナズーリンはもう何回目か分からぬ主人の失くし物を一緒に探さなければならなくなった。
その様子を見ていた一同は二人を微笑みながら見守っていた。
二人は主従の関係である為、共同の部屋の方が都合が良く、見慣れた部屋に二人で入り、これまた見慣れた場所を次々にひっくり返していく、あれでもない、これでもないと方々を探している最中に星はナズーリンに顔を向け、いつもの様に思う事があった。

(嫌な顔をしながらも一緒に探してくれる貴女が好きです。 いつも言おうとしても貴女は逃げてしまいます。 ああ、この想いが届けばいいのに……)

顔を探している風に戻しながら彼女は能力を発動させる……すると何処からともなく宝塔が現れ、その宝塔はナズーリンの探している箇所の近くで確認のし難い場所に最初からあるかの様に収まった。

「んっ? あったぞ、ご主人。 本当にいい加減にしてくれよ」

「ありがとうございます。 ええ、もう失くしたりしません。 ところでお詫びに買物でもどうですか?」

「すまない。 私も色々と忙しいのだ、話があればまた今度頼む」

そう言うとナズーリンは立ち上がり、スタスタと部屋から出て行った。 その彼女を追いかけてゆっくりと部屋を出る星。 辺りを見回し彼女の後を見送ろうとしたが唐突に別の人物と出会った。

「あれ? 二人とも私の部屋の前でどうしたんですか?」

「いやいや、二人とも仲良いな〜って思ってね……」

「いかがわしい事でもしていないか見に来たんだよ」

そこに居たのは村紗と一輪、先にナズーリンが部屋から出たのでその言い訳はおかしいのだが、彼女は疑問に思う事もなく、そうですかと言って散乱した部屋の片付けに戻ろうとする。 彼女が気づく事はなかったが二人のナズーリンを追う目は嫉妬の醜い炎を上げていた。

〜〜

「その目か? その目で私を見ていたのか? 私を哀れみ、憎しみの視線を向けていたのか?」

「違うわ! 私は貴女にそんな事を思った事は無いの、だって貴女は私の……」

「黙れぇぇぇぇぇ!!!」

鋭い爪が両目を捉え突き立てられる。 目を貫く鋭い刃、寒天質の球体を破り固いモノにまで到達する。 彼女は返り血を浴び、辺りに痛みを如実に知らせる絶叫が響いた。指を根元まで押し込み、素早く引き抜く。 当然といえば当然であるが悲鳴は鳴り止まず、その声に苛立ちは収まる事は無かった。 苛立ちに任せるまま次は腹に手刀を放つ。 肉体強化を得意とし刀を振り下ろしても傷一つ付かない筈の腹を手が何の抵抗も無く貫通する。一方的なその状況であっても、苛立ちは最高潮に達した。そのまま押し倒して馬乗りの姿勢にし、次の一手に繋げようとする。

「お願い、星。 もうやめて……謝るから、私達が貴女の為に……」

「黙れと言っただろうが! もう口先ばかりの戯言は沢山だ! 死ね死ね死ね死ね……」

彼女の発した言葉は苛立ちが最高潮の星に更なる起爆剤となって投下された。 突き刺した手を捻って抉って引き抜き、何度も何度も同じ場所に執拗に手を突き刺す……彼女は口から呪詛を吐きつつ腹を破り裂き、内臓を抉り続けた。 綺麗な桃色に染まり健康的にピッチリと体内に納まっていた内臓は、突き刺し、捻り抉るうちに血と肉と内臓が混ざり合い挽肉の果汁を思わせる物体に変貌を遂げた。組み敷かれた人は絶命し痙攣も既に止まっていた。
それでも彼女は怒りに身を任せて手を止める事は無かった……。

〜〜〜

「星、これから説教に参ります。 共をなさい」

「わかりました。準備は終わっていますので、いつでも大丈夫です」

その日は人里への遊説の日。 星に声を掛けたのは寺の住職、聖白蓮。 普段の温和な表情はなく敬虔な信徒としての慎ましい表情で話かけた。 一方の星も温和な表情ではなく引き締まった凛々しい顔をしていた。 聖はいつもの通り、星はこういう時は普段のおっちょこちょいな面は影を潜める。
もっとも彼女が物を失くす事は彼女の能力を考えれば有り得ない話であるのだが……。

里の集会場、話す内容は経典より。話す事は人生に対してどう挑むかといったことが世俗的に話されるので、必ずしも重い話やつまらない話という訳ではない。 むしろ聞いた人を唸らせる事も少なくは無い。 彼女たちが金を取る事はなく欲しい人には経典もタダで配っていた。

今日は離別や死別、寿命について話がされた。 差別、中傷、弟の死、人の裏切り、法界への封印、彼女の半生は多くの哀しみを受けそれを他人の為に話せば唸らせられない事は無い、事実老人など人生経験の固まりの者達は涙を流すものも少なからず居た。

説教を終え二人は寺へと帰っていく。 行きは写経の経典等を持っていた為大変であったがすべて配り終えたので帰りの荷物は軽かった。 いつもの表情に戻った二人、歩きながら聖は彼女に話かけた。

「星、貴女は他人に愛情を持って接していますか?」

「はい、勿論です。 好きな人と一緒にいれれば自ずと愛と言うものは伴ってくれますから」

「寺の皆の事は好きですか?」

「はい好きです。 でも他にも……思いの届かない大好きな人がいます」

「誰でしょう? 差し支えなければ教えてもらえませんか?」

「私は……ナズーリンが大好きです」

頬を少し紅く染め俯く星。
それからも話しながら寺まで戻るのだが……歩いていた為、顔を合わせて話していなかった二人、星の思いのたけを聞いてしまった聖の顔は普段からは想像の出来ない複雑な怒りの表情を浮かべていた。

〜〜〜〜

「おい、なにやってんだ?」

「お前も殺すつもりだったんだ、丁度良い所に来てくれた」

っち! と口を鳴らし出現させたアンカーでもって一気に星を押し潰そうと振りかぶった。 だが素早い星にとってその動作は緩慢の一言。 振りかぶった所、無防備になった脇に両手で貫手を突き刺す。 皮を裂き、肉を掻き分け、腱を切り、骨を斬り裂く。 そんな事をされれば重量のあるアンカーの保持など出来るわけが無い。 片手は握力が無くなり離してしまう、もう片手は肩から先の肉の千切れる音と共に畳に落ちるアンカーに追随する。

「待て、本当に心当たりがないんだ。 せめて死ぬ前に理由だけでも……」

脂汗を浮かべて時間を稼ぐ、その言葉に星は怒り心頭で足音を上げ近づきつつ理由を述べる。

「私は皆が好きだった。 いつまでもここで一緒に過ごせると思っていた。 だが、それが私の独りよがりだったと分かったんです。 私は私の居場所を作るために貴女達を殺して手に入れるんです」

「違うぞ! 独りよがりじゃない! 私はお前の事が……」

「そんな戯言は聞き飽きた! 死ねぇぇぇぇぇ!!!」

抵抗する手段を失っていた彼女の首を爪先から腕までが貫く、腕を振るい首を半断、反対の五指で胸元に爪を突き立てるとそのまま持ち上げ放り投げた。 ガタンと襖を破って外に出され、土の地面に叩きつけられる。 その頃には既に彼女は絶命していた。


〜〜〜〜〜

「あっ、ナズーリン少し話があります」

「んっ? すまないご主人、私も忙しいのだ……また今度にしてくれ」

「あっ……」

偶然、出会ったもののナズーリンは何かを確認するとそそくさと去って行った。 その場に片腕を未練がましく上げたまま立ち尽くし、逃げる様に居なくなるナズーリンの背中を見続け、追いかける事さえ出来ない星。
そんな彼女に声を掛ける二人。

「よっ、星。 こんな所で何しているんだ?」

「あんまりボーっとしていると、怪我するわよ」

星の肩をポンと叩いたのは村紗、怪我をしない様に注意を促したのは一輪。 二人は狙っていたかの様に星の前に姿を現した。

「何をしてたんだい?」

「その、ナズーリンと話をしようと思って……」

「はーん? それで振られたって所かな?」

俯いてウムムと言葉を濁す。その様子を見て、したり顔で二人は提案をする。

「私らさ、日頃の感謝を込めて聖に贈り物をしようと思ってね、一緒に買物にでも行かない?」

俯いたまま返事をする星、そのまま二人に手を引かれ人里の雑貨屋に連れて行かれてしまう。 連れて行かれた場所には様々なものが売っており、その楽しげな空間に気分は晴れて明るい表情に戻るものであるのだが、その時は余りそういう気分になれず星は顔を落としたままだった。

「ほ〜ら、そんな事じゃ何にも買えないわよ」

一輪に声を掛けられて漸く顔を上げる。 一言二言二人に声を掛けて目的の物を買いに行く。
数刻後、少女の買物は長いのである。 それが一人の星でも二人で探している一輪、村紗でも同じであった。 三人は聖の為に品物を買い、他にも自身の気に入った物を買った。

「おやおや? 星は他に何を買ったのかな?」

村紗は悪戯でもするかの様な流し目で買った物の内容を聞いた。

「これは聖、こちらはナズーリンの為に買いました。 日頃お世話になっているのに最近は顔をあわせる事も少ないですから……それに私は彼女の事が……」

途中から星の話は彼女達の耳には入っていなかった。 その目にはあの時と同じ醜く黒い炎が燃え上がっていたのだが、俯き照れながら自分の事を話す星はその二人の変化に気付く事は無かった。

〜〜〜〜〜〜

「死ね、死ね、シネェェェェ!!!」

「星、突然何なのよ」

「うるさい、私を影で笑っていた。それだけで殺すには十分だ」

彼女は怒りの感情に我を忘れていた。 喉元に狙いを定めて爪を立てて腕を振るう、寸での所で避けられてしまうが鼻先を爪が掠め鼻先からは血が勢い良く溢れる。 避けた所で星を指差し入道を繰り出し一撃をお見舞いしようとする。 だが入道は応えてはくれなかった。 彼女の両手の平には星の鋭い爪が指の根元まで深々と突き刺さっており、彼女は突き刺した手をそのまま閉じて完全に彼女の手を掴む。 そして彼女を引き寄せ、見せ付ける様に口を開いて牙を光らせる。 ゆっくりゆっくり首筋に近づけて、いかにもな台詞を言うと彼女は突然震えだし足腰が立たなくなってしまう。 星は強靭な膂力でそのままの姿勢に固定する。 恐怖に涙を流し、辺りにアンモニアの臭いを漂わせているのは入道使いではなく、ただの少女。 牙が触れ、ゆっくりと歯を首筋に侵入させていく。

「嫌ぁぁぁぁぁぁッッ!!!」

響く絶叫、彼女の恐怖が、苦しみが、絶望が星に愉悦を与える。 喚き散らし許しを請う、それに応える事も無く一定の速さで口を閉め肉と筋を楽しむ様に噛み千切っていく。 星にとっては楽しい時間、彼女にとっては絶望の時間、いずれは終わりが来るだろう。
それは突然やって来た。 ブチン、バキと音を立てて背骨ごと首筋を噛み千切られた。ゴキンと音が鳴ると、その後にブチブチと残った筋が切れ首はその場に落ちてゴトンと音を立て畳に転がった。

手の平を突き刺し握っていた手を離すと、硬直が始まっていない手は待ち焦がれていた様にズルリと抜け落ち首の後を追って残った身体は畳に転がった。

〜〜〜〜〜〜〜

最近はナズーリンと話が出来ない、顔には出ないものの星の欲求不満は相当のもののようで、話も出来なければ顔をあわせる事もまれである。 顔をあわせる事が出来ないなら失くし物をする意味も無い、彼女の短所と呼ばれていた事の殆どが無くなった。
真面目に掃除をしている時に偶々耳にしてしまった。 ナズーリンと里の男が互いに結納をして寺を出て行くらしいという事を。

「それは本当なのですか?」

「星、知らなかったの? 聖も承諾して、今日明日に出て行くらしいよ」

事情を聞いたばかりのぬえは聞いたままの情報を星に言う。 その情報を鵜呑みにして確認を取らずにナズーリンを探しに行く。
ナズーリン、ナズーリンと叫びながら共同部屋の彼女の場所に押し入る、彼女の場所に唯一あったのは倒れた写真立て、中にあったのは昔の星とナズーリンの笑顔の写真、それからも寺中を駆け巡り叫び声を上げていたが当然返事は返ってこなかった。 不思議な事に先程のぬえ以外に寺で会う人もいない。
彼女は寺を飛び出し、人里に向けて駆け出す。 偶然にも途中でナズーリンと夫となる男性と出会い彼女は二人を引き止めた。

「待ってください。 どうして私に相談無く行ってしまうのですか?」

「貴女に話す必要がありましたか?」

「私は貴女の主人です。 それが……」

「話す意味が無いのです」

「どうして? 昔はあんなに仲が良かったではありませんか」

「いつまでも昔のままではないのです。 過ぎた時間は……嫌でも変わってしまえば昔には戻れないのです。 さぁ、行きましょうアナタ」

ナズーリンは夫の腕を取り、足早にその場を去ろうとする。 それでも納得できない星は行く手を遮り話を続けようとする。

「それでも貴女をこのまま行かせる訳には……」

位置の関係でナズーリンの目には映り、星の目には映らない者が居る。 ナズーリンは溜息を吐き面倒臭そうな表情で彼女に言う。

「気付かなかったのですか? 私は貴女の事が大嫌いなんです。 貴女から離れる事が出来て清々していました。 もう、私は彼のものです。これからは私の側に近寄らないで下さい! 皆の見る冷ややかな目を見ていましたか? どうして貴女の事を手伝わないか気付いていました? 皆、貴女の事を疎ましく思っていたのですよ、影でどんなに笑っていたか気付いていなかったのですか?」

最愛と思っていた人に罵られ、その言葉に大きな衝撃を受ける星。生まれた感情は憎しみと怒り。 向けられたのは目の前の二人、寺の三人。

遅すぎた? 戻れない? 手に入らない? だったら取る手段は決まっている。

衝撃を受けている星を尻目にゆっくりとした歩で去って行く二人。 その二人に向かずに俯き目を見開いたまま一言ポツリと言葉が出た。

「殺してやる……」

〜〜〜〜〜〜〜〜

言葉の後の行動は早かった。 あっという間に二人に追いつくと男の腹に手刀で一突き、手が貫通すると引き抜きながら押し倒す。 彼女が叫ぶ前に腕を一つ頂いた。
叫ぶ時間なんか与えない、逃げる時間も与えない。 貴女のモノはすべて私のモノ、手に入らないなら……全部……全部、私が奪って差し上げます。

この手で彼女に触れたのか?   切り裂いてやる!
この腕で彼女を抱きしめたのか? もいでやる!
この目で彼女を見つめたのか?  潰してやる!
この耳で彼女の声を聞いたのか? 引きちぎってやる!
この鼻で彼女を嗅いだのか?   削いでやる!
この声で彼女を魅了したのか?  裂いてやる!

死ね、死ね、死ね、死ね死ね! 彼女は私のモノだ誰にも渡さない!

気付けば男は物言わぬモノに成り下がり、その場には一つの肉塊が出来ていた。

ナズーリンはその様子を見続けた、その速く短い行動に逃げる事が出来なかったのかもしれない。星は刺し続けた腕を止め身体を起こしながら彼女に向いて話す。

「脚があるから逃げてしまう……貴女は私の側に居ればいいんです」

一瞬で近づいた星は腕を彼女の脚に一薙ぎし、斬られ空に舞った脚は綺麗な円を描いて近くに落ちていった。 斬った衝撃は相当のものだった様で当然彼女も宙を舞う、彼女は地面に落ちる前に星に抱き止められた。

「帰りましょう、私達の家に……」

星はナズーリンを抱いたまま来た道を戻って行った。 目は狂気に満ちて見開いており、牙を剥き、誰にとも無く歯を見せ付けて笑っていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

壁、血の様に赤くムラがある。 貴女の為に染めたんです、聖と一輪の血でね。 赤は初めに塗った色。 黒は後から塗った色。

椅子、革張りの椅子。 いやソファー。 人間の皮張りです。 貴女と暮らすならこの大きさで十分ですよね。 ずっと一緒です……ずっと、ずっとね。

下には毛皮の敷物。 紫と茶色の鮮やかなグラデーションと紫というよりは空色に近い二種類。 聖も一輪も村紗も綺麗な髪をしていましたから編んだ甲斐があったというものです。 間違って落ちても怪我はしないと思いますよ。 私が貴女を落とさせたりしませんが……ふふ。

燭台といった方がいいか? 開いて蝋燭に火を灯せば暖かな光が部屋を包む。 頭骨は良い素材ですね、空洞だからどうとでも加工が出来ます。

杯。 頭骨の椀です、貴女とお揃いを作りました。 二人はいつも一緒ですよ。

壁に掛けられた服。 真っ赤に染めました、村紗のお古だけどきっと貴女にも似合う筈です。

棚に飾られた置物。 三人の生首、私を馬鹿にし続けたんだから当然の報いですよね。 貴女も笑ってあげてください、あはははは。

ソファーに座る人形。 愛しの愛しの貴女……ナズーリン、やっと一緒になれました。 ずっと……ずっと一緒です。 一生私が面倒を見てあげます。

「あはははは、ははは、はは……」

取ってつけた笑顔に乾いた笑いを上げ続けていたが、星は何かに気付いたように急速に冷めて、呆然とした表情になっていった。

「私は一時の感情に任せて……何という事を……一体、どうしたら……これから……どうしたら……」

頭を抱えて跪く、その星を見る彼女。 掠れ、小さな声で頭を背けながら一言言った。

「ご主人……星ちゃん……くたばれ……」

再び正気を失う、乾いた笑いに焦点の合わない目、不自然に吊り上がる口。

「あはははは、そうですよね? こんな事をしてしまったんです。 もう後戻りはできないんですよね? 私は後悔しません、貴女が居るから絶対しません。私に言う言葉はどんな言葉でも力になります。 ナズーリン、愛しています。 いつまでもいつまでも一緒に居てくださいね? 愛しの愛しの人形さん」

本当の人形の様に抱きかかえられる両脚の無いナズーリン、彼女は表情を変えずに星から顔を背けたままだった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





(自分の為に私とご主人の仲を裂こうとした糞どもが……ようやく死んだか……ざまあみろ! 勝手に縁談を決めて追い出そうとしやがって。 ご主人なら連れ戻してくれると信じていた。 それにしても狂おしい程に自身の行いに苦悩するご主人はとても美しい、こんな姿と精神だが彼女の元に戻れた事はとても幸運だ。 ご主人、いや星ちゃん。 これからもずっとずっと一緒だよ)

「ご主人……星ちゃん」

力なく彼女の視線が愛しの人から逸れ、彼女の目に映ったのは今まで二人の仲を妨害してきた三人の生首であった。

「くたばれ……」
スランプだ……。

寅ちゃんを狂わせたかった……ナズーリンに大嫌いと言わせたかった……。

後、この文をどこかに当てはめてみて下さい。
(気付かなかったのですか? 私は今でも貴女の事が大好きです。 貴女から離れる事なんて考えたくも無い。 これからも私を側に置いて下さい。 皆の見る目に気付いていましたか? どうして貴女の事を遠くから見ていたか? 皆、貴女の事を手に入れたくて、影で醜い争いを続けていたのです)

コメントありがとうございます。

>NutsIn先任曹長様
くたばってます、スランプです。
貴方様もナズちゃんの罠に嵌ってしまいましたね。

>2様
文は幻想郷最速ですから……すみません。 場面転換、中々上手くなれません。

>3様
時系列順に並べないと面白いかも……と思って書いた所為ですね。
ナズを回収した場所の後に各人が殺害されるシーンが入るのが時系列順です。

>kyoune様
ヤンデレも……良いと思いまして。
文はパパラッチなのでクドイですよ……すみません。 細かに描写表現した甲斐がありました。

>5様
産廃では登場=死亡フラグなので仕方ないですね。
トリックなんて高等技術を用いたつもりはないのですが
トリックを使うなら、そうすれば良いのですね勉強になります。

>7様
ヤンデレと狂人好きとは良い趣味をしていらっしゃる。
私も大好き。
まいん
作品情報
作品集:
3
投稿日時:
2012/04/13 10:43:29
更新日時:
2012/04/30 11:50:42
評価:
6/8
POINT:
570
Rate:
13.22
分類
ナズーリン
命蓮寺
愛され寅ちゃん
片思い寅ちゃん
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0. 60点 匿名評価 投稿数: 2
1. 100 NutsIn先任曹長 ■2012/04/13 20:11:20
どいつもこいつも狂ってやがる。
でも、一番狂っているのは相思相愛の二人だから、まあ、幸せだろうね。

でも、本当に、周りのみんなは、そんなこと考えていたのかな?

くたばれ。
2. 70 名無し ■2012/04/14 09:44:35
貴方の文は少し性急すぎる。
3. 90 名無し ■2012/04/14 14:37:16
正直描写がよくわからんかったがオチは良かった
4. 90 kyoune ■2012/04/15 10:19:13
やんでれしょーちゃんかーわいい!

文が少しクドいきらいはあるやもしれませんが、描写は鮮明に想像できました。
5. 70 名無し ■2012/04/23 22:37:02
記述トリックのつもりだろうが
トリックと無関係なところでは誰の視点なのかわかるようにしておくべき
おお、巻き添え食らった男哀れ哀れ
7. 90 名無し ■2012/04/29 01:21:03
俺の好きなシチュだな
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