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『Contrabbasso』 作者: ヘルニア

Contrabbasso

作品集: 5 投稿日時: 2012/12/09 02:59:57 更新日時: 2012/12/09 11:59:57 評価: 3/3 POINT: 300 Rate: 16.25
「うあがー」

「うふふ、すみませんねぇ。芳香さん。キョンシーにしても脳髄の維持は、できませんでしたねぇ」

「う、う゛ううぅうぅぅ」

「残念でしたねぇ。もう、完全に腐ってますねぇ」

「うげあ」

「う〜ん、幽霊にしてしまっては、肉体はありませんし」


 今回も失敗だった。これでは、ゾンビとなんら替わり無い。だから放逐することにした。








「最近、胃がもたれるんだ」

「肉の食べすぎじゃない?」

 この二人、霊夢と魔理沙は結婚していた。特に意味は無い。結婚式はまだ。

「胃薬を買いに言ってくるぜ」

「いってらっしゃい」

 





 なんか、いつもの雰囲気じゃない。空気が澱んでいる。

 神社から出てきたところだった。


 テゥルと変な効果音がしたと思った。


 魔理沙はなぜかハンドガンを拾った。

「ちょっと、ハンドガンってあれか? この話ってあれなのか?」

「うぅ〜」

「おい、芳香どうしたんだ?」

「うぅ〜」

 突然、芳香が現れて襲って来た。噛み付かれるとキョンシーになってしまう。

「何なんだ?」

 ところが、魔理沙の胃はもたれているので、構っている余裕が無い。ここは逃げるしかない。


「逃げるぜ!」

「にげるぅ?」


 芳香は簡単に振り切ることができた。もう、追ってこない。たぶん。

「危なかったぜ」

 その時、魔理沙は気付いた。神社にはまだ、霊夢が居る。このままでは、芳香に噛み付かれしまうかもしれない。

「畜生! 胃がもたれているっているのに。どうすればいいんだ」








 ここから、無意味な回想が始まったりもしたりする。




「ねえ、もしも、魔理沙がピンチに陥ったら私の言葉をおもいだして」

「そうか、いいぜ思い出すぜ。私の妻の言うことだからな」

「もしも、迷ったら自分の信じた道を進んでね」


 そして、回想終了だったりする。






「よし! 胃薬買いに行くぜ」



 こうして、魔理沙は、にとりの経営するドラックストアに着いたのだった。


「へい、らっしゃい」

「にとり、胃薬頼むぜ」

「へい、軍艦一つ!」

「へい、この椛喜んで!」


 銀シャリに、大量の胃薬を練りこんだ物体Kがすぐさま椛の細指で作られた。


「これだぜ、私はこれを求めて来たんだぜ。うげぇ不味い」


 それでも、胃薬は効いているようでもたれていた胃の調子は良くなった。



 

 その後、タオルに鼠を包んで帰ろうとしたところだった。ドラックストアの、入り口から大量の芳香が侵入してきた。


「う〜」

「はやりこれ、そういうお話なのか」


 ハンドガンで、何人かの芳香を撃ち殺した後に、魔理沙はドラックストアを後にして神社に帰ることにしたのだった。

「やばいぜ、これだけ大量に芳香が居るって事は、霊夢も多分ひどい眼に成ってるぜ!」


「……もう、あってるわ」


 魔理沙が心配していると、ぼろぼろに薄汚れ下半身裸で、股から血を流している霊夢があらわれた。


「霊夢! そんな!」

「魔理沙、私、貞操奪われちゃった」


 ぽろぽろ大粒の涙を霊夢は流した。


「芳香、絶対に許さないぜ」


 血涙流しを魔理沙は霊夢を抱きしめ、復讐を誓ったのだった。



 それから、魔理沙は各地で、芳香を見つけては撃ち殺した。ハンドガンの弾はどこにでも落ちている幻想郷弾切れの心配は無い。


「これで、最後の芳香だな!」

「よーしーかー」


 巨大化した芳香は時に憂いを秘めた表情をしている。でも、脳髄は溶けてしまっているのでその限りではない。


「亡き霊夢の仇をとらせてもらうぜ」

「ちょっと、私まだ死んでない」

「私、いがいのやつに理由はどうであれ、貞操奪われたんだ。もう死んだも同然だ」

「ひどい」

「何が、ひどいって?」

「もういい」

 霊夢は、離婚届をだして判をおした。三行半だ。

「離婚? 離婚なんかするつもり無いぜ!」

「もう、あなたとは暮らせない」

「嫌だぜ」

「あーのーわーたーしーはー?」

「お前は、黙ってろ今重要な話をしてるんだ」

「そうよ、芳香は黙ってなさい」

「そーんーな、あのこの話し方疲れるから普通に話してもいい?」

「黙ってろって言ってるでしょ」


 二人のけんまくに、芳香は気おされて仕方なく砂の山を作る作業に没頭したのだった。おりしも、空からは粉雪が舞い降り始めている。

「りこんしてよ」

「だから、離婚はしないぜ。私の優雅な系譜に傷がつくだろ」

「たかだか、一商人の娘が何言ってるの?」

「そんな、私に嫁いだのはお前だぜ」

「嫁いだのはあなたでしょう」

「私は嫁入りしただけだぜ」

「それを嫁いだって言うのよ」

 魔理沙は婿入り的なつもりで言っているが、自分が女性であることに誇りを持っているから。口が裂けてでも、婿入りしたとはいえない。




 それから、二人は話し合ってなんとか、魔理沙が謝ることにより結婚状態を維持したまま別居することに落ち着いたのだった。


「仕切り直しだぜ芳香! 霊夢の恨み覚悟しろよ」

「うえええあああ」



 
 輝く光に向かって、芳香は走り出した。


 朽ちて行く脳髄、青娥に捨てられて体さえも腐り始めていた。



 しかし、その光が眩しくて愛しくて走らずには居られなかったのだ。
ヘルニア
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2012/12/09 02:59:57
更新日時:
2012/12/09 11:59:57
評価:
3/3
POINT:
300
Rate:
16.25
分類
芳香
魔理沙
霊夢
青娥
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POINT
1. 100 名無し ■2012/12/09 12:14:44
久しぶりに本当のカオスをみた。バツイチでもいいじゃない。
2. 100 box ■2012/12/09 18:26:10
しかし、そのssがカオス過ぎて100点を入れずには居られなかったのだ
3. 100 まいん ■2012/12/20 22:14:26
物体Kに吹いた。
霊魔理の二人、実は仲良いだろ
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