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『初夢は悪夢だよ産廃創想話』 作者: まいん

初夢は悪夢だよ産廃創想話

作品集: 6 投稿日時: 2012/12/29 16:31:42 更新日時: 2013/01/10 20:37:52 評価: 3/3 POINT: 300 Rate: 16.25
注意、青娥殿のメタい台詞参照。





オープニング

「邪仙の邪は無邪気の邪〜♪」
「は〜い、こんにちは」

突然、アリスの家の扉を陽気にぶち破り二人の少女が乱入した。
最近人里で話題の邪仙と墓場で話題のキョンシーである。
お茶会をアリスと楽しんでいた魔理沙は驚きよりも先に苛立ちを感じた。

「静かに茶を楽しんでいたのに一体何の用だ! お前らはお呼びじゃないんだよ!」
「ふふ、よくぞ聞いてくれたわ。
“この物語は東方projectの二次創作であり、オリ設定、オリキャラが存在する可能性があります。”
と注意させてもらうわ。 それと、用があるのは貴女よ魔理沙」

身長が四尺に満たない青娥は地面に降り立つと薄い胸を精一杯張り魔理沙に向けて指差した。
芳香は目を輝かせてはテーブルの上を見て涎を垂らし、期待に胸を躍らせて曲がらない腕を上下に揺らしている。

一方の魔理沙は邪魔された上に訳の分からない事を言う青娥に額の血管が切れる音を聞く。
椅子を乱暴に倒しながら立ち上がると、青娥に向けて一直線に殴りかかった。

「ふふん、あんたの相手は肉食系女子(食欲的な意味)の芳香よ。 目標魔理沙、行け! 芳香!」
「お〜♪」

魔理沙と青娥の間に一跳躍で割り込むと振り抜かれる直前の腕を真っ直ぐに叩き落とす。
キョンシーの怪力をまともに受けた腕は曲がる筈の無い方向に曲がってしまう。

「あぎゃぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!」

痛みに叫び声を上げる彼女を無視して両肩口を掴み上げる。
頭脳が働かず、手加減を知らず、掴んだ肩からは肉の千切れる音や骨が軋む音が聞こえてくる。
力が段々と強くなり握られている肩に指がめり込む程に、響いていた悲鳴が一段と大きく高くなる。

バキッ……。 怪力を発揮していた芳香の指が突然手応えを失う。
悲鳴は可聴域を突破し、辺りに響いていた音が突如として止んだ。
それでも必死に痛みに耐えかねて叫びは続いていた。

「芳香! 捕獲しなさい!」
「お〜♪」

ガブッ……。 腕を離した芳香は魔理沙の首に噛みついた。
グチッ、ブチッと首筋を乱暴に食い切り満足そうな笑顔を浮かべる。
綺麗な色白の肌は鮮血を浴び、口まわりは真っ赤な血化粧に染まっていた。
大量の失血とキョンシーのエキスによって魔理沙の頭は朦朧として脳内麻薬に染められていた。

「……がっ、ぐぁ……」

魔理沙の首の肉をかじり、気道や背骨が露出した。
芳香は背骨をえらく気に入ったらしく、ガリガリと鼠の様に齧っている。
失血から血の気を失い、綺麗な白い肌に変わる。
その状態になって漸く彼女を止めた。

「芳香、そこまでよ! じゃあねアリス、この娘は貰っていくわ。 今日は突然ごめんなさ〜い」
「邪仙の邪は無邪気の邪〜♪」

嵐の様に現れて、嵐の様に去って行く。
その二人の姿が消え、魔理沙の姿も消えた。
一人その一部始終を見ていたアリスは魔理沙の殺されている間も落ち着いて紅茶を啜っていた。

ティーポットの紅茶が無くなり、彼女は立ち上がる。
向かった先は台所や茶葉のある場所ではなく、とある部屋であった。

扉を開けると部屋から熱気と共に生臭くすえた臭いが顔を撫でる。
顔色一つ崩さずに部屋に足を踏み入れると中央にいる少女に声をかける。

「魔理沙、この世界の魔理沙がまた死んでしまったわ。 どうして貴女はこんなにも短絡的で後先を考えないのかしら?
もしかして、こういう風に蘇るからこそ、適応したのかしらね……」

両手両足を固定された少女は、人型の魔人に犯され、異形の触手に蹂躙され、魔界の異形に体を道具の如く扱われている。
口には直接胃に栄養を送り込む管が差し込まれ、喉からは苦しさから呻くような声が漏れ、目からは恨み言等が十二分に読み取れた。
彼女の様子を意に介さずに一言だけ告げる。

「次の魔理沙を用意して頂戴」

〜〜〜〜〜

酷い夢を見た。
寝汗が酷い動悸も激しい、ん? 天井が違う。
私は家で寝ていたんじゃなかったのか?

足元の方向から音がする。 誰だ? 一体何をしている?

「あら? 漸く目を覚ましたのね?」

こいつは、アリス?
いや、そんな繕った笑顔で返しても騙されないぞ。
夢は夢じゃなかった。 夢は警告だったんだ。
アリスを信じるな。
やめろ! 来るな、近づくな!

「酷くうなされていたわ。 少しは良くなった……」
「ぅああああああああああああああああ!!! 近寄るなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ドンッ……、ゴギリッ!
やった、やってしまった。 首が変な方向を向いて鼻から血が出ている。
いや、こいつは私に襲いかかろうとしたんだ、
今更なにを迷う? 薄っぺらい情に流されるな、さっさと逃げるんだ。

リビングだな、やはり配置が違う気がする。
この扉は……やめろ。 開けるな、開けてはいけないと警告している。
くそ、痛い。 頭が痛い。 酷い頭痛だ。

「もう、一体どうしたっていうのよ」

あいつ首が折れていただろ、どういう事だ。
くそっ、構うな。 逃げてやる。
絶対捕まってなんかやるか!

私は絶対に生き延びてやるんだぜ!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

天まで届けこの思い

何処までも続く雲一つない透き通った青空。 無風に近いそよ風が人々の頬を撫でる。
人里のとある民家では生命の誕生と闘う女性が居た。
十三夜月から始まった陣痛は未だに赤子をこの世に放ってはいない。
妊婦たる母親の疲労は困憊であり、産婆もここまでの難産は聞いた事も無かった。
今宵は満月であるが、お天道様が一番高い位置に登った時の事である。
今まで嫌がっていた赤子は漸く観念したか、この世に産み落とされる事となった。
これだけの苦難の末に生まれた子である、将来はきっと人間の世に功績を残す人物に育つに違いない。
だが、同時にこれだけの苦難の末に生まれた理由は、彼の将来に大きな苦難が待っている事の暗示であるのかもしれなかった。
未来を知らない子供は自分の存在を認めさせる様に大声で泣いた。その声は青空に向かい何処までも、何処までも響き続けた。

跡継ぎの出来た父は熱心に働いた。 花火職人である父親は彼を仕事現場へ連れて行った。
昼の現場視察で自信満々の父は、これから夜になると空に光の花が咲く。 と楽しげに話していた。
だが、彼はまだ子供である。 そんな小難しい話よりも父の指さしている空を眺め別の事を考えていた。

このそらはどこまでつづいているの?

夜になり、父の仕事が始まった。 特等席で観覧する事になった彼は母親の膝元で笑いながら眺めていた。
彼の胸に大きな衝撃が走り、遅れて音が聞こえ空には色とりどりの花が咲いた。
赤、黄、青、緑、白。 広がり、散り、流れ、爆ぜる。 その花は外の世界の人間が見ても違和感や劣る所が無い程に見事なものであった。
彼は子供心に感心し自然と笑顔となる。 彼の心には花火の素晴らしさが刻まれたが、それ以上の別の衝撃があった。
彼がその正体に気が付くのはまだまだ先であるが、彼が火薬と出会ったのはこの時が初めてである。

寺子屋に通い始めた少年。 彼も学び始めたのだが子供は例に漏れず授業等という退屈なものを受けたいとは思わない。
彼も例外ではなかった。
退屈さを紛らわす為に窓の外を眺める。 雲一つない何処までも透き通った素晴らしい青空。
彼の胸中に遥か昔に思った疑問が込み上げた。

この空はどこまでつづいているのか?

こら、授業はしっかり聞きなさい。
慧音先生がそう言い、彼は振り向いた。ゴチンと彼の頭に拳骨がめり込む。
教室は大爆笑。 彼もつられて笑顔になり一緒に笑う。
だが、彼の胸中には先程思い出された言葉が繰り返し反芻されていた。

家に帰った彼は父親の職場で捨てる筈の火薬を探した。
子供にとって父親は非常に怖い存在である。 彼は近くに居る人に火薬を使いたいと聞いた。

一体、捨てる火薬なんか何に使うんだい?
空がどこまであるか見たいんだ。

聞かれた者は皆を呼んだ。 一同は集まり彼を笑った。
その中で手練れの老職人は、ほぅと関心し皆に喝を叫んだ。
静まる一同、その中で老職人は膝を着き彼の頭に手を乗せて撫で始めた。

皆が笑ったっていい、お前がしたいならやればいいじゃないか。
お前の父親には俺が言っておいてやろう。 ただし、やるからには諦めずにやれ。

先程まで涙を溜めていた彼の目は太陽が昇る如き明るさを灯し、一際明るく希望を持った声で返事をした。

錆びた鉄の筒、粗末な金属の受け皿、筒から伸びる木綿に火薬を練りこんだ導火線。
一見見ただけではロケットとは分からない、彼特製の発射台がそこに完成した。
子供の考えたものと言われれば相当の出来ではあるが、これで空を目指すと言われれば失笑は避けられないであろう。
彼が導火線に着火すると、しゅるしゅると音を立てて小さな火は鉄の筒に吸い込まれていった。

ぱんっ!

大きな破裂音を辺りに響かせると鉄の筒は人間二人分程の高さへ飛び、かんっと音を立てて地面へと戻っていった。
彼の初めての実験は成功したのだ。 やったやったと歓喜の声を上げた彼は夕方になるまでその感動の余韻に浸るのであった。

それからも火薬を用いた実験を繰り返し、人里の近くで一番の大木の3倍程の高さまで飛ばす事が出来た。
ある日、彼は慧音に呼び出された。

今のお前は興味のある事に没頭しているようだな。もう少し勉強に実をいれて貰いたいが
……まぁいい、もし困った時は稗田家に探しに行くと良いだろう。
これは稗田家書庫の使用証明書みたいなものだ。 持って行け。

実験を続け、青年となった彼はそこで一つの疑問が出来た。
人間が搭乗するとした場合、発射時の衝撃は如何程になるかという事であった。
だが、搭乗物による有人飛行は幻想郷では過去に実績がなく、彼の考えた事に対する正しい答えを持っている人物は皆無であった。
日々、悩み続けた彼はやがてロケットの実験をやめてしまう。
周りはそれをからかった。 曰く恋人はどうした? あんなに御執心だった恋人に振られたのか? などである。
当の彼がどう捉えたかは知る由も無いが、少なくとも周りの者々は彼が何か面白い事を見せてくれると期待していたのだ。

彼も人間である。 幻想郷の歴史から見れば、あっと言うよりも短い時間が過ぎた。
とある日に人里に大きな紙吹雪が舞った。 所謂号外新聞である。

号外、号外ですよ〜。 さぁさぁ皆々様、文々。新聞の特ダネ号外をとくとご覧あれ。

娯楽の無い時代である。人々は我先に新聞を拾うと、訳の分からぬ特ダネに食いついた。
ろけっと、というものはハイカラでお月様にはつきびとなる人間が住んでいる。 と口々に言い合った。
その中で彼は記事の内容を見ただけで自分の考えを否定された様であった。
頭から振り払うので精一杯であった。 悩みに悩んだ彼は人目も気にせずに一言だけ叫んだ。

違う!

この後の事を考えれば、この一言は間違いではなかった。
幻想郷で空を飛ぶ事の出来る人間は殆ど居ない。 号外にのっていたロケットも特別な神様を降ろさなければと書いてあった。
彼が常々思っている空の果て、普通の人間が何の能力も持たぬ人間が目指す場所に到達する事が目標である。
それが彼の中で引っかかっていたのだ。


地面から空へ飛び立つ一つの家。 以前号外で知らされた神に道を示され、月へ向かうロケット。
白い煙を立てず、まるで推進しているか怪しくなる程のものであった。
彼は段々と小さくなるロケットを見つめ続け、やがてそれの居なくなった空を見つめ続けた。 彼の脳裏の小さなころの疑問が浮かび上がる。

この蒼天、極みは何処であろう?

実験を止めた彼は何かに突き動かされ、その時間を埋める様に動き続けた。
稗田家に寄り、事情を説明した。 稗田家の当主から言われ香霖堂を訪れて外の世界の資料も見せて貰った。
だが、彼の中には尚も引っかかるものがあった。 それは次の実験で簡単に見つかった。

そうか、推進燃料が火薬だけでは駄目なんだ。

香霖堂で見せて貰った資料から導き出した答え、それは継続的に燃焼し天を越えるまで火を噴き続ける必要があるという事だった。
とはいえ、その燃料が簡単に見つかる訳も無く彼は途方に暮れた。
考え事をする内に足は知らず知らずに霧の湖へと辿り着いてしまう。
ここは強い力を持つ妖怪や妖精が多く居り、彼がここまでまったく襲われずに来れた事は幸運としか言いようが無かった。
慌てて大木に身を寄せると彼は可愛らしい少女の声を聞いた。

パーフェクトフリーズ!

背筋が凍った。 その声の後には猛烈な気温の低下が起こり、あの可愛らしい声の主が自分を簡単に葬る事が出来る事実に戦慄を覚える。
だが、彼は何かに駆り出され、恐れ震えながらも少女の様子を窺う。
氷の翼を持つ可愛らしい妖精の周りには今まさに彼女が凍らした空気が渦巻き白い霧を纏わせていた。
その周辺ではパンッパンッと何かの破裂する音が響いていた。
昼間になり立ち込めている霧に紛れて、抜き足差し足。 耳を立てて周囲を確認。
彼は一生分と思える程の冷や汗を流しつつ、人里まで漸く帰る事が出来たのだった。

実際には霧の湖まで釣りに行く人間が居ると彼が知ったのはその直ぐ後であった。

その翌日、彼は持っている小遣いをすべて持って香霖堂に走った。
用件は一つ、燃料の工面である。 液体の空気と水の素が彼の望む物であった。

少し待ってくれ、必ず用意しよう。

店主の答えは珍しくまともな商売人の語り口であった。
彼はすぐさま家に戻った。 元より自信のある鉄の筒の改良型を設計し始めた。
錆びつき古ぼけ煤けた鉄の筒を見る度に自身の半生が呼び起こされる。

数日後、彼が香霖堂を訪れると、二つの硬い容器が用意されていた。
大きくも軽い鉄の筒には”酸素”と書かれており、古ぼけたその筒は望むものが封入されているか心配になる程であった。
もう一つはお札の貼ってある鉄の箱の中にガラスに封入された大瓶が入っていた。

これが君の欲したものだろう?

彼は催眠術にかかった様にフラフラと二つのものに吸い寄せられた。

待ちなさい、先に対価を払ってもらおう。 話はそれからだ。

法外な対価を要求されていた事は理解していた。
その為に実家のものを勝手に売り払ったりもした。 彼は家から勘当されている。
それでも彼は夢にあまりにも傾倒し過ぎていた。
最早、夢から覚める事の出来ない程深い所まで。

夢を追い求めた彼はその日から鬼になる。
性欲を失い、睡眠を極限まで削り、食を忘れてロケットに没頭した。

香霖堂で穴の開く程見続けたサターンV型ロケット。 それを参考にして設計を練りに練り続けた。
燃料は僅かしかない。 今知る知識、幻想郷にあるロケットの知識を総動員している。

一週間はそれで終わった。 彼は成長の見込みの薄い失敗を繰り返すよりは、とある種の達観ともいえる切り捨て方をしていた。
小さな小さなロケット一つ。 金など底を着いている、数個造った中で最も優れていると見込んだ物で発射実験。
この数個の鉄の筒が彼に残された最後の夢である。

二週目から始めた実験。 悪魔は彼に微笑みかけた。
満載した燃料と共に一個目がいきなり爆発。 焦りの為に速くなる鼓動、地面に吸い込まれる燃料を落胆したまま見続けるしかなかった。
彼は焦り、設計からやり直す事にした。 設計の段階で同じ型のものを補強しつつ、
改良型についても逆流などの簡単な失敗が無いか机上の実験を繰り返した。

三週目。 彼は少量の燃料を細々と使い発射を繰り返していた
最初に爆発を起こした同系統のロケットは爆発をしたり、
成功をしたりを繰り返していた。 原因の分からない彼は苦汁の決断をする。
残り少ないロケット。 欠陥作の破片を集め、元の形を作った。
同様に発射実験に耐えたものを分解して目視対照を行う事にしたのだ。
食事をまともにとっていない彼の目は霞んでいた。
良く見えない目を擦り、眠気を訴える頭で夢に向かって必死に紐を手繰り寄せていた。

四週目、とうとう杖無しに立てなくなった彼は残り二つとなったロケットに燃料を満載した。
最初の爆発した同系統のロケットには燃料を満載し、ずっと改良を重ね続けた型には殆ど燃料を入れていない。
彼は自分が長くない事を悟っていた。 死ぬならば夢に生きた証としてロケットと共に死にたいと考える様になっていたのだ。

ロケットを設置し点火する。 彼の目は霞み、ぼやける炎を僅かな視界に捉える程度しか出来なかった。
不意に彼はロケットを通り過ぎる線を見た。 その線は少しだけ開くと目が見え、彼とその目線が合う。
爆発。 彼は飛び散る炎に何ら取り乱すことなく。 顔の傍を通る熱線に火傷を負う。
懐に抱えていたロケットを発射台に置く。 設置した彼は体中が栄養不足に震えていた。
子供の頃から変わらぬ優しい目で導火線を引きロケットの炎が飛び火しない場所に退避する。
彼の頭に半生が走馬灯の様に映し出される。 知らず知らずの内に涙が彼の目から流れていた。
立っているのもやっとの彼は火を着けると、霞む視線で半生を捧げたロケットを見つめていた。

半分聞こえていない耳は今まで聞いた事の無い爆音を聞いた。
それは今まで飛ぶ事の出来なかった兄弟の鬱憤を晴らす雄叫びの様であった。
霞んだ目は太陽の如く明るく力強い陽光を見た。
それは今まで飛べずに散った兄弟の魂がすべて集まった様であった。
彼の耳に自分の声が聞こえた。
それは自分の勝利を信じて疑わぬ叫び声であった。

やった! やったぞ! これで空の極みを見られる。
それだけじゃない、月にも行ける、太陽も見られる、誰も見た事の無い空の果てに行くことだって……。

〜〜〜〜〜

おはようございます。 気分は如何ですか?

彼ははっきりとした視界を取り戻した。 今まで感じていた死神に後ろ髪を引かれる様な不自由な感覚は最早感じなかった。
自身の身体の無事を確認して、漸く目の前に居る少女に気が付く。

その様子ですと、もう大丈夫の様ですね。 唐突で申し訳ありませんが、少しお話が。

何が起こったか理解の出来ない男は夢心地であった。
だから、その後に唐突に取り決められた取引も夢の様であった。
話の中で少女、八雲紫から家に帰るようにと言われる。 勘当されているのにと言う間も無く更に促された。

人里に戻った彼はその祝福ぶりに度肝を抜かされる。
号外が町に降り注ぎ、家族は涙ながらに彼の無事を喜んだ。
そこで漸く紫との契約が嘘でないと理解した。

里に一人のロケット職人。 彼は一枚の鉄板から大好きなロケットを一つ作る。
日に日に彼を手伝う者が増えていく。
彼以外は素人の集まりだが、失敗した金属は再利用される。 製鉄職人も進んで協力した。
人里全体で協力の輪が広がりロケットは次々に製造される。 十、百、千を超え万に届く。
紫がある日彼の元を訪れ、漸く製造が終わった。

人里の外に造られた円形の広場。 造園職人がこの日の為に丹精込めて造った場所だ。
広場を埋める万に届く鉄の筒。 飽くなき空への探求を続ける人間に牽引されて里の皆で製造したものだ。

壮大な光景に彼は言葉を失うよりも先に、このロケットがすべて飛び立った時の光景を思い浮かべた。
その横で紫は胡散臭い笑みを投げかけていた。
発射の前に一つのロケットにカメラが取り付けられている事を説明される。
空間に突然出された、映像を映す箱にはロケットから彼の姿が映されている。

秒読みの後の待ちに待った点火。
一斉に点火したロケット群は大地を地響かせた。
地鳴りと共に辺りに立ち込める白煙。 彼は咳き込むもその光景に楽しささえ覚えていた。
やがて飛び立つロケット群。 巨大な筒状の白煙はやがて雲となり、それらを空へ押し上げていった。
空へ天へ、高くなるにつれて雲は細い筋へと分かれていく。
万を超えるロケットは自らの道筋を後から来るものに見せる為に描き続けた。
雲一つなく何処までも続く、透き通った青い空にロケットの通った道が示されている。

遂に人間も妖怪も視認できなくなる距離に至る。
そこで彼は座り映像の映る箱に目を向けた。

空気を失いながらも変わらずに炎を上げ続けるロケット群。
何処までも続く真っ暗な空間。 果ての見えぬその場所は彼に新たな探求の疑問を与えた。

この宙、極みは何処であろうか?

眼下に地球を見、左には見た事も無い程の光量を放っている太陽があった。
進む先には灰色の星があった。

あれが月よ。

紫に言われ、彼はこんなにも近い場所に月があるのかと思う。
尚も進み続けるロケット群。 近づく月は予想以上に大きくなっていった。
やがて、ロケット群は宇宙空間では見られなかったような加速を開始する。

灰色の地面に衝突したカメラはそこで映像を途切れさせた。
苦労して造ったロケット群がすべて帰って来ないと思うと非常に悲しく思うが、
これからあの場所を目指せると思うと彼の心には希望の光が射していた。
紫に礼を言おうと顔を向けると、彼女の顔は妖怪の恐ろしさを実感するには過ぎる程の笑みを浮かべていた。
心無しか彼女の瞳には月人の恐怖に歪む顔が映っている様であった。

〜〜〜〜〜

それから、数十年が経過した。
無人実験に動物実験を重ね、漸く人間の搭乗できる有人ロケットの製造に成功した。
失敗する可能性は限りなく低い、彼は老体に鞭打ち早々に空の果てを見たかった。
だが、今やロケットの第一人者の為に周りの者は反対し彼は搭乗出来なかった。

有人ロケットが打ち上げられる事になり、大大的なお祭りが催された。
当然彼も一言頼まれたのだが、長年の夢が叶う事に興奮し何を言っているか判らない状態であった。

観衆の見守る中、秒読みは続く。 彼は若い頃の苦労を昨日の様に思い出し、今日の感動に静かに涙を流した。

……3……2……1……。

秒読みは零となりロケットの下方から炎が上がった。
だが、炎は下方から本体の亀裂と共に中、上方へと昇って行った。
爆発、衝撃波、真っ黒のキノコ雲が筒を飲み込んだ。
会場から悲鳴が上がり、一種の恐慌状態になった人々は我先に逃げ出した
彼はその様子と共に自身の半身が無くなった喪失感を受け、呆然と壊滅したロケットを見続けた。

翌日、彼の元にロケット搭乗者の遺族が訪れ、ロケットの事について文句を言った。
曰く、これ程危険な実験だと解っていたのに強行し私達の大切な人を死に追いやったと。
今まで熱狂し反論者の意見を聞きさえしなかった衆人の愚かな言葉である。
だが、先日の衝撃覚めやらぬ彼はまともに口さえきけなかった。
誠意の欠片も無いと遺族は憤慨し、その場を後にした。

それから、彼の親族が襲われる事が度々起きた。 彼の下で学んでいた技術者達は日に日に姿をくらましていく。
ロケットの発射場は散々に破壊され、見る影も無かった。

咲いた、咲いた、藤の花。 枯れ木に花を咲かせましょう。
赤、黄、青、緑、白。 綺麗な花が咲きました。
小さい花は子供かな? 中位はお兄さん? 大きい花はお父さん?
皆仲良し良かったね。
真っ赤に染まったお花さん。 散っていくのは寂しいけれど、きっと咲くよね?
また明日。

彼はロケットに心を奪われていた長い長い夢から目を覚ました。
ロケットの失敗に腹を立てた被害者遺族は彼を襲撃し、その親族をリンチにかけた。
彼はすんでの所で八雲紫に保護されるも親族達は保護する間も無かった。
子供は男女問わずに犯され慰み者にされた。
生きたまま裂かれ助けを求める子供の声に、老人達は血の涙を流して非情の殺人を呪う雄叫びをあげた。
男は木に縛り上げられ、殴られ、打たれ、散々に撲殺された。
女は子供達同様に蹂躙され、妊婦などは腹を裂かれた。

彼はすべてが終わった後にとある木を訪れ、力無く膝を着いた。
枯れ木に吊られている者は彼の親族だった者達。
地面に皮肉を込められて整然と並べられているのは彼の親族だった者達。
栗の花の香りを漂わせている者も彼の親族だった者達だった。

彼は失意の涙を流し、その場で泣き続けた。

彼の下で学んだ者は彼を哀れに思い、彼と分からぬ様にした後に診療所に入所させた。
だが、彼は早々に死神に連れて行かれる事になる。

あの蒼天の極み何処であろうか?

〜〜〜〜〜

それから数十年後。 夜、幻想郷のとある場所。
錆びた鉄の筒、弾頭だけは磨き上げられた銀の光沢を放っている。 歪な形の発射台。
推進の炎を受ける皿はみすぼらしいの一言。
着火装置も導火線を引っ張ったモノでこの装置一式がロケットであると見抜ける者は一人しかいないであろう。

その場に三人の妖怪が居た。 八雲紫、その式八雲藍、さらにその式の橙。
紫は二人に話しかける様に呟いた。

二人とも見なさい人間一人が一生の内に実現できる事は殆ど無いでしょう。
それでもその短い一生の間に足掻き苦しみ、夢見た事を実現させる美しさを……。

紫が導火線に火を着ける、すると導火線は彼の一生を象徴する様な美しい炎をあげて、錆びた鉄に吸い込まれて行く。
ロケットは炎を上げるが爆発はしない。
推進力が得られる様になると発射台から凄まじい勢いで空へと旅立って行った。
夜であってもはっきりと確認できる白い筋、やがてそれは米粒よりも小さくなると一際大きな光を放って空の果てに消えて行った。

ロケットが旅立った空から目線を戻した三人、その先に見える大きな建造物。
まだ見ぬ空に思いを馳せた博士の後継機がもうすぐ空へと旅立とうとしていた。

夜であっても、雲一つなく何処までも澄んでいる空は彼が生まれてきた時とまったく同じであった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

はぁはぁ……くそ、体が重い。
森が広いのは知っていたが、走るだけだとこうも距離が稼げないとは思わなかったぜ。
暗がりだから、すぐには見つからないと思うが、あいつも妖怪だからな油断はできん。

ぱんっ……。

何の音だ? 花火か? あ、あれは紫達か……。
うへぇ〜、流石は妖怪だな、暗がりで目が光るなんて普通じゃ考えられないぜ。

……くそっ、花火も上がってやがったか。 あいつの姿が空に見え隠れしている。
人形を連れた独特の格好じゃ見つけてくれって言っている様なもんだぜ。

うおっ、今度の光の線はなんだ? あ、ああ、藍の奴がこっちを向いただけか……。
ちっ、こんな所じゃ、こっちも見つけて下さいって言っている様なもんだな。

もっと森が深い所に行ってやる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

主人に甘えたいお年頃

清楚で可憐で美しい。 凛々しく家事全般が出来て何よりも礼儀正しい。
白玉楼の亡霊の剣術指南役にして庭師。
その名は魂魄妖夢。

半人のイメージから半人前扱いをされ続けて幾星霜。
一方の本人はそんな事は気にせず、日々を主人の世話に費やしている。

「妖夢、そこに座りなさい」

洗濯物を寄せていた所、主人から声がかかり相対する場所に正座するよう促される。
命には逆らえないのが奉公人たる者の辛い所である。

「妖夢、貴女の最近の体たらくは何? 私の従者である自覚は無いのかしら?」

知らず知らずの内に主人を不快にさせてしまったことに気が付き、
無言のまま深々と頭を下げ畳に額を擦りつける。
その様子を見た幽々子は苛立っていた。

「その様子だと解ってないようね。
貴女が半人前であると他者から見られるようになってから何年経っていると思っているの?
貴女の悪名は即ち私の悪名、その事を分かっているのかと聞いていたのよ。
答えなさい!」

普段冷静な主人の大きな声が屋敷に響き渡る。
屋敷で個々の作業に当たっていた幽霊達は驚いたり作業を一時中断したりする者が多数であった。
その中で主人の目と鼻の先で責められている妖夢は冷静そのものであった。
主人に返答を求められ下げていた頭を上げ、一呼吸おいてから話し始めた。

「主人たる幽々子様に不快な思いをさせた事をお詫び申し上げます」

そう言うと再び頭を深く下げる。
幽々子の苛立ちは限界が近かったらしく頭を下げるなり音を上げて立ち上がった。
それを待っていたかの様に冷静な装いのまま頭を上げる。

「しかし、無礼を承知で言わせて頂きます。
普段冷静で懐の深さを見せぬ幽々子様が下賤なる者の声に惑わされるとは如何な事があったのでしょうか?
私には到底理解が出来ません。
もし、天狗の低俗な記事に惑わされるのでしたら御命じ下さい。
鴉天狗の首一つや二つで満足して頂こうとは思いませぬ。
妖怪の山を半壊させ大天狗の首塚を築きましょう」

その言葉からは忠誠がありありと聞き取れた。
激昂した頭は段々と冷却され冷静になった目で熱い目に無言の問を掛けた。
目線は外される事がなく体中を巡っていた熱気を息と共にふうと吐き出す。

呼びつけた際の激昂具合を落ち着かせたのは納得するに足る証拠が存在し、
それを自身の目で確かに見て来た事を思い出したかの様であった。
その位の温度変化が彼女の表情からは読み取れた。

「その言葉に偽りはないわね?」

妖夢は普段の得物とは違う、主人を護衛する為に控えている脇差を抜いた。
幽々子はその様子に慌てる事も取り乱す事もせずに見守る。
抜かれた脇差は宙で止められると、躊躇なく手の甲に突きたてられた。
それも長刀の楼観剣を操る利き手たる左手に突き刺されたのだ。

どの様な不死身の強者であろうと、痛いものは痛い。
妖夢は不死身ではないが、現在はそれを物語っておいる。
歯は折れるのではないかという程食いしばって、ギリギリと音をたてており、
綺麗に整えられている髪も汗によって乱れ、顎からは少量であるが汗が滴っている。

「はい、私の命は主人たる幽々子様の為にある故……」
「そう……妖夢、その血溜を綺麗にしたら傷が治るまでは休みなさい」

険しかった幽々子の顔が漸く普段の表情に戻る。
立ったままであった彼女は体を翻すとそのまま部屋から出て行った。

〜〜〜〜〜

「……がぁ!」

妖怪の山の奥。 包帯の巻かれた華奢な左腕に胸倉を掴まれた少女が大木に背中から叩きつけられていた。
叩きつけている少女の目は正気では無くギラギラと薄気味悪い輝きを放っており、
ここが殺人現場にでもなるのではないかという雰囲気も放っていた。

「おい、どういう事だ? 私は”主人を怒らせて、折檻させるように仕向けろ”と言った筈だぞ?」
「私はベストを尽くしました。 それより、その手を離して下さい。
これ以上、ある事無い事書かれると困るのは貴女で……」

空いていた右手が鴉天狗の射命丸文の顔にめり込む。
普段から1貫弱の鉄塊を振り回している彼女の拳が弱い訳も無く、
妖怪である文の意識を刈り取るには十分すぎる威力を発揮した。

「私が普段と違う事を言ったら不自然だろ? それも含めてと念を押したんだがな……
左の小指だけじゃ物足りなかったか? 次は何処が良い? 何だったら右の人差し指いくか?」
「あ、や、やめて下さい。 指だけは、指だけはもうやめて下さい。 記事が書けないなんて考えたくも無いです」

強気の口調はなりを潜め、顔からさっと血の気が引く。
失いそうな意識を必死で手繰り寄せ、懇願する。
一方の妖夢は満足した表情で丁寧な口調に戻していった。

「そうそう、素直が一番良いですよ。 この前みたいに翼を失いたくは無いでしょうからね」
「……あ、がっ。 やめ、やめて下さい。 返して! 私の翼を返して下さい!」

再び妖夢の右拳が鳩尾にめり込んだ。
股下から頭に電撃が突き抜け、息が止まる程の苦しさが文を襲う。
妖怪の筋肉は人間とは比にならない程硬い筈なのであるが、彼女の拳には何の抵抗も示さなかった。

「がっ、あっ、ぐっ、か……はぁっ!」
「うるさいですね。 そういう事は私の言いつけをしっかりと守ってから言って下さい。
それに心配しなくても貴女の書いた文花帖では羽が書かれていなかったじゃないですか。
誰も気付かないですよ」

ドロリと黒ずんだ瞳は絡みつく視線を文に送っていた。
軽く咳込みながらも沼に足を取られた様な感覚に怖気を覚える。
未だ胸倉を掴まれたままの姿勢で呼吸を整える事も出来ない文を妖夢は正面からしっかりと抱き寄せ、耳元で次の指令を下達した。

「今宵、いつも通り人里で剣の修行をする。 しっかり記事を書いて妖怪の仕業にでっち上げろ」
「……はい」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

山の森ならどうだ。 流石にここまでは追いかけて来れないだろ。
それに、さっき化物茸を見つけた。 少しだがこれだけあれば撃退くらいは出来るだろうぜ。

んっ? あれは妖夢か……へへっ、私の悪運も尽きてはいないようだ。
お人好しのあいつを騙して、少し守ってもらうとするか。
文が妖夢に絡まれているのか? あいつはそんな奴じゃ無い筈なのだが……。

「奇遇ね、魔理沙」

この声を私は知っているぞ。 だが、奇遇だと?
お前の主人は確かに夜行性だが、何で奇遇になるんだ?
買い物は昼だろ? お前の主人が御執心の相手は昼行性だろ?

「奇遇な訳がないだろ! どういう事だ十六夜咲夜!」
「ええ、私は確かに十六夜咲夜ですわ。
用事が済んだのがついさっきで、漸くのお帰りと言う訳なの」

駄目だ、話がさっぱり通じない。
こいつも咲夜の皮を被った偽物かもしれないぜ。
だったらここは逃げる事を第一に考えるべきだぜ。

「死ね……」
「ねぇ魔理沙。 私の能力を覚えている?」

ああ? 何を言っているんだこいつは?
つい手が止まっちまったぜ。 もしかしたらなぞなぞに答えて先に進める類の話なのか。

「確か、時間を止める程度の能力だろ?」
「いいえ、不正解よ。 私の能力は”時間を操る程度の能力”よ。
さぁ、魔理沙? お迎えの時間よ。 帰りましょう。 二度と覚めえぬ悪夢の始まりに……」



「おはよう魔理沙、お茶会の最中に眠るなんて無粋ね」

魔理沙が窓に目をやると、
すーっと家に近づいて来る邪仙とぴょんぴょん跳ねて来るキョンシーの姿を発見した。

HAPPY END♪
年の瀬の忙しい時期、ちょっとした癒しになって頂ければ幸いです。

コンゴトモヨロシク。

>NutsIn先任曹長様
悪夢はお楽しみ頂けましたかな。
彼女の夢は永遠の悪夢ですが、男の夢は紛れもない事実だと思いたいです。
幸い境界を操るお姉様も居たことですし。

>2様
もこーん

>矩類崎様
魔理沙料理好きとは通でいらっしゃる。
他作者様の作品ですが、作品集2の魔理沙料理をご堪能ください。
まいん
作品情報
作品集:
6
投稿日時:
2012/12/29 16:31:42
更新日時:
2013/01/10 20:37:52
評価:
3/3
POINT:
300
Rate:
16.25
分類
短編集
魔理沙
アリス
青娥
芳香
オリキャラ
妖夢
幽々子
1/10コメント返信
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POINT
1. 100 NutsIn先任曹長 ■2012/12/30 17:59:14
いったいどの『夢』が現なのか幻なのか……。
夢に良いも悪いも無い。
黙って見て、おねんねするしかない。
永久に寝ちゃうかもしれないけどね!!
2. 100 名無し ■2013/01/09 21:29:15
まいーん2
3. 100 矩類崎 ■2013/01/10 20:21:20
お腹が空きました。魔理沙食べたいです。
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