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『村人。』 作者: 霧ヶ崎

村人。

作品集: 6 投稿日時: 2013/01/15 13:15:23 更新日時: 2013/01/15 22:15:23 評価: 3/3 POINT: 220 Rate: 12.25
「助けてくれ!!蟲が…蟲が!」
「やめろ……やめてくれ…っ」
「死ねっ…死ねっ……死ねぇっ…」

ある時、一つの村が狂気に包まれた。
人々は狂い、惑わされ、
有りもしない幻影に怯えたり、
刃物を片手に暴れた。
ある者は腹わたを掻き出され、
ある者は自らを滅多刺しにして息絶えた。
そして多くは……
幻影に惑わされた人々に惨殺された。
暫くして。

出稼ぎから帰って来た男たちが
見たのは、正に地獄の風景だった。


……正体不明の種


多くの死体から出て来たのは、
鵺が使うとされる、"それ"だった。




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「妙な所に来ちまったな……」

薄暗く気味の悪い森の中、猟銃を
背負った男はため息を漏らした。
質素な着物とボサボサの頭。
近くの集落から来た為に、
荷物は何一つ所持していなかった。

「殺してやる……俺の手で……」
男はかの村の生き残りで、
風の噂を頼りに鵺を追ってきたのだった。



次第に日も暮れて行く。
男は絶えず地面に
幾何学模様を描いていたが、
周囲に闇が訪れると火を起こして
切り株に腰掛け、眠りについた。


時が経つに連れ、
木々のざわめきが止んで行く。
そして、深淵なる闇が森を包む。
.......丑三つ時。


世に存在を拒まれた青白い光が
木を、草を、不気味に照らし彷徨う。
そんな中、眠っている男に
そっと近寄る人影があった。
黒いワンピース、赤と青の奇妙な羽。
赤々と燃える焚き火が、
あどけない少女の顔を照らす。

「……鵺か」
男が忌々しげに呟く。
起きていたようだ。
が、
鵺…と呼ばれた少女は
男との距離を取る事もなく、
にっこりと笑った。

「なぁんだ、起きていたんだ〜」
「………ああ…」
殺すべき対象を前にしても、
男は無言で座っていた切り株に
小刀を尽きたて、立ち上がった。
「お前を殺す為にな…」
側に置いてあった猟銃を構える。

「……人間に何が出来るの?」
怒りを顕にした鵺が、特異な羽で
襲いかかろうとした。

しかし。

「………嘘…っ…」
すぐに鵺の顔は焦りで歪んだ。
羽が上手く動かないのだ。

男はニヤリと笑みを浮かべ、
鵺ににじり寄る。
「封妖陣…って知ってるか?」

「…………!?」
鵺の顔がさっと青くなる。

封妖陣とは、妖の持つ力を
全て封じる結界のことだ。
つまりは。

「お前はただのガキだって事だ」
一歩、また一歩と男は足を進める。

「…嫌…嫌…やめて!!」
「そう死んでいく人間を見て、
お前は笑っていたんだろ?」
男は後ずさりする鵺に笑いかけた。


たーん
銃声が森に木霊した。




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「…ざまぁみろ」

「何を見るの??」
背後から声。
男は驚きで目を見開きながら、
ゆっくりと振り向く。

まごうことなき、鵺がそこに居た。

「嘘だ!!お前は俺が……!!」
「殺した…って?」

鵺はニヤニヤしながら、
男に歩みよって行く。

「人間って面白いね。
見ていた幻影を、ずっと現実だと思うんだから」

男の意識はここで途切れた。
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ねぇ、人里の○○さんって知ってる?
ずっと寝たまま起きて来ないんだって。
つたない文ですみません!
新参でございます。
自分のサイトでも少々書いておりますが、
少し刺激が少ないかもしれません……(汗)
霧ヶ崎
作品情報
作品集:
6
投稿日時:
2013/01/15 13:15:23
更新日時:
2013/01/15 22:15:23
評価:
3/3
POINT:
220
Rate:
12.25
分類
村人
グロなし
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POINT
1. 70 NutsIn先任曹長 ■2013/01/15 23:09:18
永遠の夢堕ちですか……。
この人、早く目覚めたほうが良いのか、それとも、ずっと寝ているべきか……。
2. 80 名無し ■2013/01/17 20:58:28
夢枕に鵺総立ち
3. 70 名無し ■2013/01/25 23:17:33
どこからどこまでが夢なのか
人の心を食う正体不明は恐ろしい存在だ
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