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『産廃10KB 「十六夜 咲夜のズボラのス〆メ」』 作者: 日々の健康に一杯の紅茶を

産廃10KB 「十六夜 咲夜のズボラのス〆メ」

作品集: 6 投稿日時: 2013/02/25 10:37:49 更新日時: 2013/03/15 17:32:07 評価: 15/17 POINT: 1170 Rate: 13.28
湿った冷たい空気の中、十六夜 咲夜は目を覚ました。紅魔館の数少ない窓から差し込む日光が自室の中を照らし出す。
顔に日光が当たりながらも眠り続ける門番。寒そうに膝を抱える一週間少女。髪が盛大に散らばっている自分。
部屋の中に居る誰一人として服は着ていなかった。真冬の最中にも関わらず体調を崩していないのは暖炉の弱々しい残り火のお陰に違いない。
一週間少女に毛布を被せてからベッドから立ち上がり暖炉に薪を突っ込む。乱暴な扱いにもどこ吹く風と言わんばかりに特製の暖炉は盛大に火を巻き上げる。
体を動かしたためか空腹感を覚える。部屋中に散乱している持ち主不明の下着は身に着けず床に落ちている服に袖を通して部屋を出る。
食料庫に向かいラードの小瓶を幾つか掴み部屋に持ち帰る。二人が未だに眠り続けているのを横目に見ながら床に胡坐をかいた。絨毯の毛が太ももをくすぐる。
ビンを空けラードをスプーンで黙々と口に運ぶ。時折思い出したかのように塩を振りかける。
ゆっくりと時間をかけて3瓶空にした。窓に目をやると日が昇ってきていよいよ日光が強く差し込む。暖炉の炎も相まって部屋が無性に暑く感じられる。
一週間少女が寝汗を掻いていたので毛布をはいでやる。門番は全身に日の光を浴びながらも相変わらず眠り続けている。
しばらく二人を眺めているとやがて門番の口にハエが止まったので指で摘む。暖炉に投げつけるとジリジリ燃えていった。
喉の渇きを感じ再び食料庫に向かう。道中吸血鬼の魔法少女に姉はどこかと尋ねられしばらく出かけている事を告げると魔法少女はいずこかへ去っていった。


フランドール・スカーレットの独白

今日は世界の真実に気づいたの。世界は空をも覆うような巨人が上から見下ろしていて時々地上の生き物を持ち上げて観察するの。

でね、巨人は他にもいて真っ黒な黒い巨人もいるの。こっちは地上の生き物を溶かしちゃうの。

二人とも回廊を通って呼び寄せられるのよ。

このことをアイツにも教えてあげるために部屋の外に出たんだけどメイドが出かけてるって言ったもんだから教えてあげられなくなっちゃった。

あとでメイドの部屋に行って聖人の肉と聖人の血が無いか聞きにいこう。


遠ざかっていく背中に用事があったら自室に来るように言ってから目的地へと再び向かう。
食料庫に辿り着くと先客の白黒の魔法使いがいたので後ろから近づくと寸前で気づかれる。
何をしているのかと尋ねると顔をしかめてひどい臭いだと言った。「地底の火車でももう少しましだぜ」
塩気が欲しかったので近づいて顔を丹念に舐める。毛があろうと目やにがあろうとお構い無しに舐め続けていると白黒の顔が上気して赤くなり目の焦点も合わなくなる。
ラードとは異なる汗が混じり塩気と酸味の合わさった脂を舐めるうちに急激に空腹感を覚え床に膝を突き落ちた食料を拾う。石の冷気が体の芯に伝わってくる。


霧雨 魔理沙の世間話

今朝紅霧異変の時の夢を見てな。ここ最近顔を出して無かったし紅魔館に行ってみたんだがひさしぶりで館の中で迷っちまったんだよ。

それで図書館に行くつもりが食料庫に辿り着いちまった。歩き回って小腹も空いていたから何か無いかと物色してたら運悪く咲夜が来たんだよ。

なんか普段と違ってすごいだらしない格好だったな。バスローブ一枚羽織っただけで。

だけどそれ以上に驚いたのが、言っちゃ悪いが汗臭かったんだ。思わず口に出しちまうくらいな。

そうしたら咲夜の奴、何も言わないで近寄ってきて私の鼻の先を舐めやがったんだ。

もうびっくりしてな。何が起きたのか分からなかったね。その後もペロペロ私の顔中を嘗め回していくんだ。

頬、額、唇、顎、耳介、鼻の下、耳の裏、瞼、眉毛、それから、あー、眼だな。眼はちょっと痛かった。

段々頭がボーっとしてきた所で不意に顔を離してな。何をしたと思う?こっちに目もくれずに床に落ちた食料を拾い始めたんだぜ。まるで私なんか居ないみたいにな。

少々頭にきたがまた舐められるのも嫌だから図書館にも寄らずに帰ったよ。しかしあの咲夜がな。レミリアは知ってるのか気になるところだぜ。


必要な食料を拾い顔を上げると白黒は消えていた。体が冷えてしまった。ワイン棚から持てるだけワインを抜き出し足早に部屋に戻る。
部屋に着くと門番が窓の外を見ていて一週間少女はまだ眠っていた。「おはようございます」


紅 美鈴の目覚め

砂漠で彷徨う夢を見て目が覚めました。前に一度旅したことがあるんです、いやああれは暑かったですね。

同行した人間の方全員がお亡くなりになるほどのね。まあ食料兼飲み物になったんでかなり助かりましたけど。

で、目が覚めたら暖炉がぼうぼう燃えてましてね。こりゃ暑いはずですね。

パチュリー様にはちょうどよかったようですやすやと可愛らしい寝顔をしていました。起きている時もこのぐらい可愛いとうれしいのですが。

それで暑いので窓辺に行って少し涼んでいたら咲夜さんがちょうご飯とお酒を持ってきた所でしてね。

頼んだら少し投げつけてくれました。右手にピーマン、左手にハム、口でワインを受け止めました。功夫はこういう不意の場面に表れるものなのですよ。

そのままバリバリと食べていたらパチュリー様が目を覚まされました。


門番が頼んできたので少し食料を投げつける。一つ残らず器用に受け止めるのを眺めながら床に腰を下ろす。
ナイフでソーセージを突き刺し口に運ぶ。ピーマンを噛み千切る。口の中をワインで洗い流す。
一連の動作を繰り返し最後に残ったワインを飲み干していると一週間少女が目を覚ました。


寝起きのパチュリー・ノーレッジ

嵐の中魔女狩りの狂信者から追い回された夢から目を覚ましたら普段はとても見れない光景が見れたわ。

ワインをラッパ飲みする瀟洒なメイドにピーマンを貪る門番。先ほどの音は恐らくピーマンを噛んでいる音でしょうね。

友人がこの光景を見たらどう思うかと考えていたら咲夜から食事を勧められたのだけれど遠慮しておいたわ。

私が彼女たちの食事を真似したらきっとしばらくは寝込むことになるわね。喘息で低血圧の体には凶暴すぎる食事。

咲夜も一応聞いただけらしく軽く頷くとスープを勧めてくれたわ。

空腹は感じていなかったけど食べられないことも無かったから頷いておくと足元に転がっている幾つかの缶詰のふたをナイフで開けて暖炉に入れたの。

その間門番がハムの残りに取り掛かり骨が噛み砕かれる音が部屋中に響いていたわ。前に召喚した獣に餌やりをした時のことを思い出すわね。食費がかかるのですぐに触媒にしたけれども。

その内暖炉からスパイスの香りが漂ってきて暖炉に眼をやったら缶詰はすでに沸いていたわ。

つい食欲をそそられて缶詰を取り出している咲夜に向かう。ハムを食べ終えた門番も近づいていくのも見えたわ。


缶詰のスープが沸き立ったのを見極め火箸で取り出す。皿に載せていると一週間少女と門番が近くにいたのでスプーンを添えて差し出すと物も言わずに啜り始める。
自分も一つ手に取りすすり始める。強い塩気と辛味で胃袋が動き出す。缶詰を飲み終え周りを見渡すと視線が合った。
無言で頷き各々適当な服を着て食料庫へと向かう。目に付いた食材の包装を剥き後ろに手渡していく。
門番はもちろん一週間少女も普段からは考えられないほどの速さで口に運ぶ。途中で魔法少女も加わり日が昇りきったころようやく妖怪達の手が止まった。
魔法少女はいつの間にか消えていて部屋に戻る。門番が後ろ手に扉を閉め一週間少女が香をたき始めると昨夜と同じような空気が部屋中に満ち始める。
門番と一週間少女が近づいてくるのをみながら霧がかかったような思考の中でお嬢様が帰ってくるのはいつかを考える。
それまで私は私で居られるのだろうか。それとももう私は私ではないのか。夢か現か幻か。現実はどこに居るのだろう。それとも今が夢の中?
形容しがたいものが蠢く窓を見ながら思考を放棄した。
初期段階でただの食事風景になってしまったので路線変更した結果がこれです。
上限を上回るより下限を下回らない事の方が大変でした。

追記
補完的なものを投稿してみました。

コメント返信
>>1 名無し様
昔生のピーマンをそのまま食べてみたんですが私には無理でした。お腹壊しました。
>>2 NutsIn先任曹長様
闇鍋のようなカオスを味わっていただけたら幸いです。
>>3 汁馬様
イメージとしてはタバスコをしこたま入れたキャンベルのスープと言った所です。
>>5 あぶぶ様
ありがとうございます。その他の重要な部分がだいぶ置き去りにしてしまいましたが。
>>6 名無し様
好きと言うか一人のキャラを書くのが苦手なんですよね。それとどうせならたくさんのキャラを出したいと言うのもあります。
>>7 pnp様
更に重症になると起き上がるのが日が昇ってからになります。
>>8 名無し様
これに関しては本当に申し訳ないです。後日お嬢様の視点で背景を描写します。
>>9 まいん様
鬼の居ぬ間に洗濯ってやつです。吸血鬼だけに(ドヤァ…)
>>10ちゃま様
臭いが少しでも伝われば幸いです。
>>11んh様
容量が何回やっても下回ってしまうので付け足した結果よく分からない感じになってしまいました。
>>12町田一軒家+
やはり話が薄まってしまいましたか。申し訳ないです。上にも書きましたが補足的なのを出したいと思ってます。
>>13機玉様
長生きの妖怪の一番怖い所は思考して行動し続ける所だと思います。
>>14矩類崎様
洋書のSFはS・キングぐらいしか読んだことがないので手を出してみます。
>>15紅魚群様
今回も楽しい企画、ありがとうございました。色々なネタw試行錯誤できたのでとても楽しかったです。
盲導犬なんかでもずっと真面目ではなく時折サボれる犬の方が適正があるそうです。悪魔の犬もそうなのかもしれませんね。
>>16名無し様
昔映画でラードを食べてるシーンを見たんですが何の映画か思い出せないんですよね。
日々の健康に一杯の紅茶を
作品情報
作品集:
6
投稿日時:
2013/02/25 10:37:49
更新日時:
2013/03/15 17:32:07
評価:
15/17
POINT:
1170
Rate:
13.28
分類
産廃10KB
咲夜
フラン
魔理沙
美鈴
パチュリー
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POINT
0. 60点 匿名評価 投稿数: 2
1. 60 名無し ■2013/02/25 22:31:33
ワイルドダロ〜
2. 70 NutsIn先任曹長 ■2013/02/26 21:07:30
食とは娯楽であり、活力である。
思考を捨て嗜好に構わず至高の悪食を発揮する女中頭達。
食事のメニューの如き混沌としたセカイでした。
3. 70 汁馬 ■2013/02/27 02:44:57
スープの描写で凄い空腹感を覚えた。
でもスープより咲夜ちゃんのたっぷりの汗を舐めたい。
5. 90 あぶぶ ■2013/03/01 20:29:27
雰囲気は一番好きだw
6. 90 名無し ■2013/03/03 13:32:46
いろんな視点から書くのが好きなん? 描写がスマート。
7. 60 pnp ■2013/03/03 15:12:54
ズボラってレベルじゃねーぞ!
8. 50 名無し ■2013/03/03 18:58:52
は、背景をもっと知りたい…
9. 80 まいん ■2013/03/03 19:12:40
退廃的な雰囲気で薄汚れた咲夜の描写が色っぽく感じました。
やはりお嬢様が居ないと自分が保てないんですね皆さん。
10. 90 ちゃま ■2013/03/04 17:15:55
雰囲気が好きだけどよくわからない。けどやっぱり雰囲気は好き。
11. 70 んh ■2013/03/04 20:04:40
古い西洋のお屋敷って、こんくらいの生活だよねきっと
空気が良かったです
容量上、いつもみたいに群像劇っぽく仕立てる作風がマッチしてなかったかなと感じました。
12. 70 町田一軒家+ ■2013/03/06 17:41:24
咲夜のズボラっぷりが素晴らしかったです。
ただ、色んな人の視点を足したせいで話が全部書ききれていないような印象を持ちました。
13. 60 機玉 ■2013/03/07 17:23:45
妖怪って生命力強い分怠惰になったら凄い所まで行っちゃそうですね、咲夜は人間ですけど。
取り敢えず風呂は入ろう。
個人的にもう少し背景等が知りたいかな、と思いました。
14. 90 矩類崎 ■2013/03/08 22:57:26
変則的なユーモアが素晴らしい。
エリスンとディックとバラードが混在しているイメージ。
15. 70 紅魚群 ■2013/03/09 20:44:49
分かりにくい部分もありましたが食事の描写は美味しそうでした。
咲夜さん、こうでもしないと持ちませんとも、ええ。
16. 90 名無し ■2013/03/10 13:25:23
ラードそのまま食べるのはちょっと… パチェと美鈴の独白からやっぱり彼女達は妖怪なんだなって再確認できる細かい部分が好き 後日譚期待しときます
名前 メール
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