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『産廃創想話例大祭A『異変は解決されるためにあるのであって、断じて霊夢にナニする為ではない』』 作者: NutsIn先任曹長

産廃創想話例大祭A『異変は解決されるためにあるのであって、断じて霊夢にナニする為ではない』

作品集: 8 投稿日時: 2013/06/29 15:31:52 更新日時: 2013/08/24 16:52:51 評価: 12/14 POINT: 1060 Rate: 15.50
博麗 霊夢、救出に成功!!



この知らせは直ちに、博麗神社に待機していた八雲 紫とレミリア・スカーレットの耳に届けられた。



二人は狂喜し、

つい、

目の前にいた、

地霊殿の使者である火焔猫 燐を、

半殺しにしてしまった。

テヘ♪





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





博麗神社の側に温泉が湧いた。
ついでに怨霊も湧いた。
前者は神社の参拝客殺到、お賽銭ガッポガポの呼び水となるかもしれないが、後者はお呼びでなかった。

この異変の原因は、美しき幻想郷の地上より追放された邪悪なる者共が跋扈する地底にあった。
しかし、地上と地底の妖怪には相互不可侵条約があった。――両者とも、お互いの顔を見たくないから、すんなり結ばれたそうだ。
なので、紫のような上位の立場の者でも、『基本的に』立ち入ることはできなかった。
ただこの条約は、無断の行き来は生命の保証はしないというものであり、地上と地底の通路には特に見張りも関所も無い。
自己責任で行っても構わないのである。

紫とパチュリーのWムラサキに依頼されたこともあり、一応条約の適用外である『人間』の博麗 霊夢と霧雨 魔理沙は、親しい妖怪達の支援を受けて地底世界に乗り込んだ。



霊夢は旧都を抜け、地霊殿に突入したところで音信が途絶した。

魔理沙は旧都で、かの地を仕切る鬼の星熊 勇儀に実力行使を伴う妨害を受け、地上への撤退を余儀なくされた。



紫はこの事態を、スペルカード・ルールに則った示威行動――『異変』ではなく、幻想郷に対する攻撃と判断した。

地底への入り口で待機させた魔理沙の元に伊吹 萃香を向かわせた後、紫は博麗神社に居合わせた妖怪達を足止めしてかん口令を敷いた。



魔理沙は萃香と合流、彼女が知っている抜け道から旧都を迂回して、直接地霊殿の裏手に到達した。
それと同時に、まるでタイミングを計ったかのように、裏口から肌色をした物体が彷徨いでてきた。

二人は、最初、それが人間だと分からなかった。

だが、千切れた鎖をぶら下げた首輪を付けた、顔を半分焼かれた『それ』は、痣と腫れで彩られたもう半分の顔から、

辛うじて博麗 霊夢だと判別できた。



永遠亭に運び込まれ、ストレッチャーに乗せられて集中治療室に運び込まれる霊夢を見ながら、魔理沙は作戦とも言えない救出劇を紫から命じられたことを思い出した。

『龍神様の寵愛を受けた博麗の巫女は、何人たりとも冒すこと能わず。これは<救出>ではなく<出迎え>よ』

八意 永琳、鈴仙・優曇華院・イナバ、因幡 てゐ、その他医術の心得のある因幡兎達の緊迫したやり取りを聞きながら、魔理沙は奥歯を噛み締めた。

ぎり、と音がした。

(十分、犯されているじゃないか!!)

乳首とクリトリスと陰唇にピアスをされ、
秘所と肛門は裂け、
二つの肉穴の粘膜は傷だらけにされ、
霊夢の腹は様々な生物の精液、体液で満たされており、子宮にはその許容量を超える粘液を流し込まれていた。

それをした者、するように命じた者は、霊夢を孕ませようと、或いは子を成す機能を破壊して去勢しようとしたのだろうか?

霊夢は顔の大火傷と陵辱の跡、全身の痣や傷以外は、幾らかの骨折や歯や指や爪の欠損はあるが、おおむね五体満足であった。
地霊殿の呪われた主は、霊夢を人質としてだけでなく、無類の霊力を持つ彼女を奴隷兼愛玩動物――忌々しい覚り妖怪曰く、『ペット』にしようと考え、あえて手加減したのだろう。

そのおかげで、霊夢は逃走する事ができた。

これも博麗の巫女の奇跡か?

愛らしい顔を焼かれ、それによって頭髪の半分と片目を失い、
痛めつけられ陵辱されて、心身共に穢されて、
生還すること『だけ』が約束された奇跡か!?

「火傷も欠損箇所も直ぐに治るわ。一週間ほど永遠亭(ウチ)でゆっくりすれば、何もかも元通りよ」

『死ねない呪い』をかけられた蓬莱人らしい、命や肉体をモノとしか思っていない物言いだな。

霊夢の様態を知らせに来た永琳がそう思っているのかは知らないが、魔理沙はそう邪推した。
そういや、永遠亭が医療機関として幻想郷に認知されてから、霊夢の負傷の程度が酷くなったような気が……。
紅い霧の異変や春が来ない異変までは、しばらく神社で寝てりゃ治る程度の怪我だったのに、この時から霊夢はしょっちゅう死に掛けるようになった。

魔理沙は苦虫の汁を味わうかのように三角紙パックの牛乳を飲みながら、いかにも『私は名医です』と書かれたプレートが掛けられたような永琳の微笑を見た。

手にしたパック牛乳をストローで吸い尽くし、握り潰してゴミ箱にスローイングを決めた魔理沙は形ばかりの礼を永琳にして、萃香を箒の後ろに乗せて永遠亭を飛び去った。



博麗神社に向かって、巡航速度で飛行する魔理沙達。

高空の空気で頭を冷やした魔理沙は、ボンヤリと考えた。

今回は特に酷かったが、異変や妖怪退治で大なり小なりの負傷をする霊夢。
自分も『何でも屋』として幻想郷の表や裏の社会で小銭を稼いでいる身だ。
身体や心を傷つけられたり、ゴロツキや触手妖怪に輪姦される事などしょっちゅうだし、命惜しさに土下座して慈悲を乞い、汚辱に塗れた事だって幾度もある。

自分は自ら望んで、安寧とした名門令嬢の生活を蹴った。
だが、霊夢には幻想郷に生まれた時点で選択肢など無かった。
霊夢は博麗の巫女として、先代巫女や周囲から教育――洗脳を受けて育ち、基本的に命の保障『だけ』がされた危険に立ち向かっていた。
当然、魔理沙が経験したあらゆる災難など、とうに経験済みだろう。

普段は神社で形ばかりの掃除をして、素敵なお賽銭箱の中身に一喜一憂したり、出がらしのお茶という名の色付きお湯を啜っている霊夢が、本当の霊夢なのだろうか……。

妖怪達をやっつけ、そいつ等を含む皆で酒を酌み交わす霊夢が、本当の霊夢なのだろうか……。

神社で悪戯する三匹の妖精達をとっちめ、その後、彼女達と笑い合いながら家事をする霊夢が、本当の霊夢なのだろうか……。

紫と相思相愛の仲になり、二人してダダ甘なラブラブ時空を展開する霊夢が、本当の霊夢なのだろうか……。

いずれも本当で、そして、どれでもないんだろうな……。

はは。

詮無い思考を断ち切るように、博麗神社目掛けて急降下した。

「ひゃぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」

萃香が悲鳴を上げた。

「お酒が零れちゃったじゃないか!!」

そっちかいっ!?





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





幻想郷の地底世界からの使者、火焔猫 燐は、

地霊殿で客人としてもてなしている博麗 霊夢の身の安全と引き換えに、

地底世界の勢力に対して幻想郷地上の領地の割譲と、安堵を要求した。



巫女のお姉さんに何かあったら、博麗大結界とか大変なことになっちゃうかもね〜♪

明後日の方角を見ながら嘯く(うそぶく)お燐。



通称、幻想郷の妖怪の賢者と幼き夜の皇。

別名、霊夢の恋人と親友。

本名、八雲 紫とレミリア・スカーレット。

二人は、お燐の――地底の忌み嫌われる者共の『脅迫』に、キレる寸前であった。

お燐との謁見に使用している、この博麗神社の一室は結界で保護されて内部を窺い知る事ができなくなっているが、
もし、別室にいる霊夢と魔理沙の支援に携わった連中が聞いたなら、後先考えずに大暴れしたことだろう。



あたいが定刻までに帰らないと、巫女のお姉さんもお家に帰れないよ〜♪

霊夢を帰す気などないくせに、そう言ってお燐は保身を図った。



地上の連中は、客にこんな安酒を出すわけぇ?
ざけんじゃないわよっ!!

パリーンッ!!

紫達の足元で、お燐が投げつけた杯が砕けた。



もう、ここでキレないと、紫達の生命維持に必要な血管がキレるのではないのかと思われたその時。

萃香の分身体が、霊夢を救出して永遠亭に搬送したとの報告をした。










レミリアによって正気を保ったまま、気を失う事を許されぬまま、四肢を素手でもぎ取られたお燐は、藍と橙に玩具として払い下げられた。

紫は式神達にしばしの自由時間を与えると、博麗神社本殿の屋根にひらりと座り、境内を見渡した。

そこでは、妖精達の肉欲の宴が繰り広げられていた。



お燐が引き連れてきた大勢のゾンビフェアリー。

幻想郷の妖精達は、彼女達を妖精の面汚しと罵りながら、永遠の子供である妖精ならではの残虐性を遺憾無く発揮して、幻想郷の重鎮が公認した暴虐を行なっていた。



「ちっチルノちゃんっ!! で、射精(で)るぅ!!」
「大ちゃんっ!! あたいもっ!! でちゃうぅっ!! 一緒にイこう!!」
「「いっ……くぅぅぅぅぅっっっ!!!!!」」「ふぐぅぅぅぅぅっっっ!!!!!」

ペニスを生やしたチルノと大妖精は向かい合い、ゾンビフェアリーの口と性器をオスメス変換コネクターとして、乱暴に腰を振りながら『男の子』同士で愛し合っていた。

「チルノちゃん……、『コレ』、ガバガバで気持ちよくなくなってきたよ……」
「あたいにお任せ♪ てい☆」
「ぎゃあああああああああっっっ!!!!!」

チルノがゾンビフェアリーの背中を軽く凍らせると、彼女は悲鳴を上げて肉穴を締め付けた。

「くっ!! チルノちゃん、気持ちよくなったよ!!」
「おい、お前!! お口でもあたいのおちんちんをちゃんとペロペロしろよ!! でないと……」

チルノが指先に浮かべた小さな氷柱を見て、ゾンビフェアリーは前歯をへし折られた口全体でチルノの肉棒に吸い付いた。

しばらくして、チルノと大妖精の精子は打ち止めになり、
このゾンビフェアリーの膣と肛門には、二人の弾幕が注ぎ込まれた。



「いっくよ〜!!」
「ひゃあっ!!」
「くすくす。本当にルナはドン臭いわねぇ」
「今のはサニーのノーコンのせいよっ!!」

ドカッ!! 「ぐえっ!!」

「ひっどーい!! 誰がノーコンよぉ!? この『ボール』が歪んでるからよ!!」

ドスッ!! 「げぴぃっ!!」

「サニー、ルナ、私にも蹴らせてよ♪」

ガスッ!! ガスッ!! バスゥッ!! 「ごっ、がっ、ぎゃっ!!」

サニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイアの三人は、海老反りに拘束したゾンビフェアリーをボールに見立てて、サッカーまがいの遊びをしていた。

最初は『ボール』を蹴り転がしてパスをし合っていたが、今は『ボール』を一心不乱に蹴るのに夢中だ。
一旦その場を離れたサニーが、人数分の鉄パイプを持ってきた。
次の『球技』は野球だろうか、それともゴルフだろうか。



あちらではレミリアが連れて来たメイド妖精が、メイド長の十六夜 咲夜を見て盗み、厨二病と紙一重の修行の末に身に着けたケレン味たっぷりのナイフ技を披露した。
もちろん、標的としてナイフ弾幕を突き立てられ、切り刻まれるのはゾンビフェアリーだ。

こっちでは、裸にひん剥いたゾンビフェアリーの頭上に、妖精の一人が手にした向日葵の花をシャワーヘッドのように掲げた。
もちろん、花から出てきたのは水ではなく、弾幕である。

ぐちゃ。

今、音がした所では、妖精の一団がまた一人、ゾンビフェアリーを潰してしまったようだ。
妖精の一人が血塗れの石を投げ捨てると、境内の片隅に張られた、ゾンビフェアリーにのみ有効な、隔離と弱体化の結界に向かった。

そこには、ゾンビフェアリー達が監禁されており、同胞達に対する仕打ちを見せ付けられている彼女達は、抱き合って震えていた。
先程の妖精が『一回休み』にし甲斐のあるゾンビフェアリーを一人見繕い、泣き叫ぶ彼女の髪の毛を鷲掴みにして結界から引きずり出した。



お燐は、大名行列と見間違えるような人数のゾンビフェアリーを引き連れて地上に乗り込んできた。

かなり目減りしたが、ゾンビフェアリーのストックは、皆がまだ十分遊べるだけあった。



「すごぉい……」
「レミリア殿、お見事です」
「ふふん♪ もっと褒めても良いわよ☆」

藍と橙がたっぷり楽しんで遊び潰したお燐を、レミリアが串刺しにしたのだ。

肛門から挿入された、藍の太腿ほどの太さの木の杭は、曲がりくねって配置されたお燐の腸に、口までのショートカットの道筋をつけた。

レミリアは仕上げに、余命が秒読み段階になった串刺し達磨お燐を、ゾンビフェアリーを隔離した結界前に突き立てた。

結界内が慟哭に包まれたのは言うまでもない。



神社の屋根の上で、ケータイでどこかと話していた紫は、藍と橙を呼んだ。

「藍、橙、お仕事よ」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





守矢神社の境内。

博麗神社と異なり、祭が無くても常に数件の屋台が食べ物や酒を商っていた。



屋台を経営するテキ屋の一人、パンチパーマにねじり鉢巻をしたリーダー格らしいサングラスの男は、腹巻にケータイを捻じ込みながら他の連中を呼び寄せた。

作業を中断して、男の話を聞くテキ屋達。



神奈子様〜!! 諏訪子様〜!! お昼ごはんですよ〜!!



神社の居住部から聞こえる少女の声。



男は厳つい顔を歪ませて嗤った。



悪いな、早苗ちゃん。

今日は、ダイエットの日だ。










用事で遅れて守矢神社にやって来た紫は、先行させた藍と橙に合流した。

「紫様、既に完了しています」
「宜しい」

八雲一家は守矢神社の居住部の開け放たれたままの玄関をくぐり、土足で上がり込むと廊下を進み、荒れ果てた居間に入った。

さくっ。

紫が足元を見ると、小判型のコロッケを踏み潰していた。

「あら、ごめんなさい」

紫は足をどけ、食べ物であるコロッケ様に対して、粗末にしたことを詫びた。

この謝罪は、このコロッケを作った者や食べるはずだった者達に対するものでは、決してない。

紫と彼女に倣った藍と橙は、居間中に散らばった木の葉型のメンチカツ、茶碗の破片と白飯、茶色い水たまりと化した味噌汁等を避けながら歩を進めた。



紫達は縁側から庭に出た。

庭では、八坂 神奈子、洩矢 諏訪子、東風谷 早苗の三名が頭の後ろで両手を組み、跪いていた。

「ごきげんよう、守矢神社の皆様♪」

守矢一家に、にこやかに挨拶する紫。

「八雲 紫ぃ……」
「ゲコォ……」
「八雲様、コレは一体、何の真似ですか!?」

三人のうち、早苗だけが紫に対して質問をしたので、紫は律儀に答えてやった。

「幻想郷に対する反乱の容疑で、家宅捜索をいたしておりますわん☆」
「「!?」」
「ちょっと!? 何ですか、それ!?」

神奈子と諏訪子は目に見えて動揺し、早苗は抗議の声を上げて立ち上がろうとした。

「早苗ちゃん、紫様の御前だよ。控えてね」

無数のポーチが装着されたボディアーマーを身に付けたテキ屋のリーダーは、左腕で早苗を押さえつけ、右手に握った突撃銃の銃口を向けた。

「止め、ぐっ……」
「早苗……」

それを見た二柱の神も立ち上がろうとしたが、他のテキ屋達が持つ東欧製突撃銃の刺々しい減炎器が付いた銃口で小突かれ、黙るしかなかった。

「あらぁ、御挨拶ねぇ♪ 博麗の巫女が、あなた方が懇意にしていらっしゃる地底の連中に傷物にされたのですよ。多少の無礼は許してね☆」

「「「え!?」」」

驚愕する三人。

どうやら、地底の連中がしでかした事を、まだ知らなかったようだ。

最も、霊夢がロストした時点で、紫は守矢の分社を利用した通信を初めとした地底から発信される情報を直ちに遮断したからかもしれないが。

早苗の背後にいるテキ屋リーダーがポーチから取り出したナイフを一閃すると、早苗が身に着けていた『CHIN CHIN』という言葉とディフォルメされた夜雀がプリントされたエプロンが、ハラリと落ちた。

リーダーは片手にナイフを持ったまま、もう一方の手を早苗の装束の脇から差し入れて、彼女の男を魅了する乳房を揉みしだいた。

「やぁっ!! おじさん、止めてくださいぃぃぃ……」
「へっへっへ!! おじさんねぇ、早苗ちゃんが幻想郷(コッチ)に来たときから、ずっと早苗ちゃんの事を見てたんだよぉ♪」
「!?」

リーダーの手は、服の中でブラをめくりあげ、早苗の硬くシコッた乳首をクリクリしていた。

「や、やぁぁ……」

早苗は抵抗しなかった。
首筋に当てられたナイフが、その意思を奪っていた。

「この外道がぁ――」ドガッ!!
「あうっ!?」
「神奈子様ぁっ!!」

憤怒の表情で立ち上がろうとした神奈子だったが、背後から突撃銃の銃床の一撃を首筋に受け、昏倒してしまった。

「っ……うぅぅ……」
「あぅぅ……」
「奇跡(チカラ)が使えれば……」

天の神、地の神、現人神の奇跡を使えば、守矢一家はそもそもこんな不覚は取らなかった。
守矢神社周辺に、能力封じの強力な結界が張ってあるのだ。
神すら無力化する結界の下準備は、早苗達が幻想郷に引越ししてくる前から、極秘裏にしてあった。
守矢神社は、休眠状態の結界の上に建立されたのだ。

かなり手間隙のかかった結界だが、発動は誰でもできる。
術者でない者でも、二、三の手続きを踏めば簡単である。

紫から連絡を受けたテキ屋達――外界で紫が経営する会社の系列であるPMCのコントラクター達は、武装を整えると直ちに結界を起動した。

そして、彼らは一家団欒の昼食の席に踏み込んで、あっけなく神々を制圧したのである。

「皆様、これ以上痛い目やキモチイイ目に遭いたくなければ、霊夢を陵辱した地底のお友達にどんな贈り物をしたのか教えてくださいな♪」

にこやかに詰問する紫に、不敵に笑う神奈子。

「ふふっ……、このような非礼、我が盟友である天狗達が黙ってはおらんぞ!!」
「あらぁ、そんなこと聞いてないんですが……、興味深いですわね。どういうことですの?」

笑みを崩さずに、神奈子に尋ねる紫。

「我等が妖怪の山の天狗達と同盟を組んでいる事、よもや忘れたわけではあるまい!! じきに天狗の哨戒部隊が神社に立ち寄る頃だ」
「あら、まぁ」
「隊長は千里眼が使えるからな。もうこの事態に気付いて上に報告しているかもな」
「それは無いですわ。犬走隊長は私の側に付きましたから」

紫はさらりと、神奈子達の頼みの綱が裏切った事を告げた。

「ば、馬鹿なっ!?」
「ええぇ〜!?」
「そんな事ありません!! 椛さんは真面目な方です!! 裏切りなんて……」

青臭い早苗の言葉に失笑してしまう紫。

「ふふっ。その真面目な犬走 椛の忠勤振り、天狗の上層部は正当に評価していないようですわよ」



天狗社会の中で白狼天狗は下層に位置していた。
それゆえ、たとえ立派な働きをしようと、白狼天狗の椛が出世することなどなく、その手柄は上流階級の天狗に掠め取られ続けた。
天狗社会とはそういうものだと不満を押し殺し、職務にまい進する椛。
紫はそんな椛の押し殺した心の綻びに付け込み、公式な用事で妖怪の山を訪れるたびに椛の忠義を褒め称え、上層部の腐敗振りを嘆いた。

犬走殿は、こんな腐った連中に使い捨てられるおつもりか、と。

紫は椛に言う『腐った連中』に、さりげなく守矢神社の神々も加えておくのも忘れていなかった。

そして今回の守矢神社の『反乱』。

あなた達は幻想郷征服の尖兵として最前線で使い潰され、しくじった場合は反逆者として詰め腹を切らされますよ。
哨戒に出発する準備をしていた椛達が詰めている駐屯地に堂々と現れた紫は、その場にいた白狼天狗達にそう告げた。

駐屯地の白狼天狗達が完全武装で天狗の集落に進撃を開始したのを確認してから、紫は守矢神社に向かった。



「――と、いうわけですから、天狗の助けは期待しないほうが宜しいですわよ♪」

歯噛みする守矢一家。

「それでは私の質問に答えてくださいな。忌々しい地底の連中に、あなた方は何かしませんでしたか? 幻想郷への『宣戦布告』に踏み切らせた何かを」

沈黙する三人。

「紫しゃま〜!! 『反乱の証拠』を見つけましたよ〜♪」

静寂を破った橙の声。

「あ!? あれは!!」

テキ屋のリーダーに拘束されている早苗が叫んだ。

「あらん、早苗ちゃんの日記帳ね♪ では、乙女の秘密、大公開〜☆」

紫は橙から鍵が引き千切られた日記帳を受け取ると、中を検分した。

最初のほうは、外の世界の事しか書かれていないので読み飛ばした。
中ほどに、幻想郷に来た時の事が書かれていた。

『博麗神社を潰せば、守矢神社が唯一の神社になる』
『弾幕ごっこという名の暴力で、平和主義者の私を倒した博麗 霊夢を許さない』
『神奈子様や諏訪子様が<原住民>に頭を下げるなんて、嘆かわしい』

後に行くにつれて、早苗の『外来人』の苦悩と霊夢への恨み言の記述が増えてきた。

『何故、誰も私を認めない!?』
『現人神である私を崇めよ!!』
『妖怪に人権など無い!!』
『博麗の巫女は妖怪の手先だ!!』

そして、数日前のページには妖怪退治の意見の食い違いで霊夢と口論をしたとあり、最後はこう締めくくられていた。



『幻想郷を私物化する八雲 紫も、

 その愛人の博麗 霊夢も、

 死ね!! 死ね!! 死ね!!』



ぱたんっ、と紫は日記帳を閉じた。

「東風谷 早苗の幻想郷に対する反乱の容疑が固まりました。これより直ちに処刑します」

紫がそう言うと、テキ屋のリーダーは早苗に足払いを掛けた。

「ぎゃふっ!?」

顔面から地に倒れた早苗の緑髪を鷲掴みにして、顔を上げさせるリーダー。

「が、あぁぁ……」

リーダーはナイフをシースに収めると、代わりにレッグホルスターから抜いた拳銃を、鼻血と涙を垂れ流す早苗のこめかみに突きつけた。

「早苗ぇ……。止めろぉ、止めてくれぇ……」
「あぅあぅ、早苗ぇ……」

娘同然の風祝の命の危機に、涙を流して死刑執行人に情けを求める二柱。
そこには、高慢とも取られた神の気高さなど微塵も無かった。



紫は何も言わない。

さあ早苗の命が惜しければ吐け、という定番台詞が無い。

紫は脅しにすら、余計な手間を掛けたくないのだ。



「分かった、言う……」
「あぅ……」
「ぁが……、がなこさば……」



リーダーは拳銃を引っ込めた。

紫は、ワクワクしながら神奈子の言葉を待った。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





地底の旧都。

雪中の演説は最高潮に達した。



「時代ですッ!! 時代が来ましたァッ!!」



大音声で叫ぶ、幼く見える容姿の『三つ目』少女。



「地底に追いやられた我等が、再びッ!! 蒼天を掴む時代がァッ!!」



高揚した軍勢の思念が少女に流れ込んだ。



「緑豊かな大地をッ!! 我が物にする時代がァッ!! やって来たのですゥゥゥッッッ!!!!!」



演説した覚り妖怪、地霊殿当主、古明地 さとりを、

旧都を支配する鬼の四天王が一人、星熊 勇儀を、

二人を讃える歓声が、

地上で惰眠を貪る愚か者共に対する怨嗟が、

積年の恨みを晴らせる事に対する歓喜が、

叫びが、

感情が、

爆発した。



「地上の帝国主義者ァッ!! その走狗である博麗の巫女はァッ!! 既に我が手中にあるゥッ!!」

歓声が上がった。

「あの小娘はァッ!! 今や地霊殿の奴隷であるゥゥゥッ!! 事が終わった暁にはァッ!! 武勲を立てた者と遊ばせてやろうぞォォォッ!!」

暴力と性欲を持て余した巨漢妖怪の何匹かが、牙と乱杭歯の覗く大口から涎を、勃起した醜悪な陽根から先走り液を、それぞれ滴らせた。
ペットとなった霊夢は、さとりがちょっと可愛がってやった時に生意気を抜かしたので、ついカッとなって燃え盛る松明で顔面をアレしてしまったが、まあ連中が姦る分には支障は無いだろう。

妖怪にとって恐怖と死の代名詞である、博麗の巫女。
彼女はいまや、蓄えた力が結実した地底勢力の虜となった。
生かすも殺すも、イかすも焦らすも、思いのままの肉の玩具。
地上侵攻の障害の一つが消えた。
『弾幕ごっこ』なる幻想郷の偽りの平和の象徴に、泥を塗ってやった。
地底に封じられ、悔し涙に暮れる妖怪達の溜飲が下がった。



「さらにィッ!! 外来の戦神と祟り神がァッ!! 我々にィッ!! 奇跡をお恵み下さったァァァァァッッッ!!!!!」

さとりは背後を振り返った。



「霊烏路 空(うつほ)ォォォォォッッッ!!!!! 出(い)でませェいィィィィィッッッ!!!!!」



ドス……ドス……ドス……。

重々しい足音が、静まり返った群集の耳に届いてきた。



現れたのは、

純白の外套を宇宙と共に漆黒の翼に纏い、

鉄塊の右足と、小さな玉が周回している左足で歩み、

柱のような右腕を持ち、

豊満な胸の間に目玉のような紅い玉が埋め込まれた、

癖のある濡れ羽色の長髪を緑のリボンでまとめた、

猛禽のような鋭い目つきの妖怪少女だった。



「UNYUUUUUUUUUUU……」

シュゴォォォォォ……。

空――通称『お空』は、不気味な唸り声と白い水蒸気を口から漏らした。



凄ぇ……。
アレ、あのお空ちゃんかよ……。

群集からチラホラと上がる声。

かつての、のほほんとした美少女のお空を知っている者は、あまりの変貌振りに驚嘆していた。



「これぞォォォォォッッッ!!! 神より賜りしィィィィィッッッ!!! 八咫烏の力ァァァァァッッッ!!! 核融合の力ァァァァァッッッ!!!」

お空は左手を洞窟の天井に――天に掲げた。

「彼女こそォォォォォッッッ!!!!! 堕落した地上に正義の鉄槌を下すゥゥゥゥゥッッッ!!!!! 神兵であるゥゥゥゥゥッッッ!!!!!」

お空の左手の伸ばした人差し指。

その先に、黒き熱かい難き神の炎――地底の太陽が、誕生した。

暗く捻じ曲がった、地底世界の民の悲願が、怨念が、希望が具現化したようだった。



さとりは、お空にそっと耳打ちをした。

「地上に使いに出したお燐がまだ戻りません。恐らく地上の妖怪共に囚われたのでしょう」
「うにゅっ!?」

心を読まずとも、純粋無垢(バカ)なお空は、恋人を心配する気持ちを顔に出した。

「その神の力を振るって助け出せば、お燐はきっと惚れ直しますよ♪」
「うっ……、にゅうぅぅう〜ん☆」

地上の見たことも無い大妖怪を成敗して、制御棒を構えたお空にお燐がしがみ付いていた。

お空の脳内で上映されたB級三文芝居を『読んだ』さとりは、己の唆しが多少過剰なまでに効いた事を確信した。

定刻になっても戻らないから、恐らく、お燐は生きてはいまい。

最初から宣戦布告の口実にするための生贄(エサ)のつもりで、さとりはお燐を地上へ遣わした。
弱者を玩具のようにいたぶるお燐はきっと、人質があるから地上の連中には手出しはできないと、地上の有力者の神経を逆撫でした事だろう。

そして、お燐の死を知ったお空は、きっと神の力を怒りのままに振るうことだろう。

さとりは己の隣を見た。
ついさっきまでいた人影が無いことに、笑みが曇った。
こんな時に妹――古明地 こいしは、一体何処に行ったのだろうか。

このたびの戦の景気づけに、旧都ではあちこちで酒や食べ物を配っていた。
菓子を配っていたところもあったから、恐らくこいしはそれらを目当てにフラフラしているのだろうが……。

ちっ。

舌打ちをするさとり。

姉であるさとりでも御せない、サードアイを閉じた、欠陥覚り妖怪。
『覚り』――他者の心を読む能力を失った代わりに、こいしは無意識を操る能力を得た。
その能力のおかげで、こいしは誰からも認識できなくなる恐るべき隠密性を身に付け、他者の思考を誘導する事ができるようになった。

なんせ、地霊殿に乗り込んできた博麗 霊夢を捉えることができたのは、こいしが霊夢の頭に、側に飾ってあった大きな花瓶を振り下ろした御蔭なのだから。
博麗の巫女が地底世界に来るとの情報を信頼できるスジから得たさとりは、こいしを指定した場所に隠れさせ、巫女の能力さえ使わせなければひ弱な小娘である霊夢にガツンッ!!

だが、こいし本人が無意識と称する自由気ままな放浪生活を送っており、命令にも従わないので戦力扱いができないのである。
霊夢を捕まえられたのも、こいしが偶々気まぐれを起こしたからに過ぎない。
こいしが参戦すれば、地上の情報収集や要人の誘拐、暗殺ができたものを……。

まあいい、今や地底は最大の『兵器』を手に入れたのだ。
殺る気満々の女傑達もいることだし……。



さとりに代わり、勇儀が群集の前に現れた。

一際大きくなる歓声。

旧都の冷気が吹き飛んだかのようだ。

まあ、旧都の住民の大部分は鬼だから、四天王の一人である顔役の勇儀の大人気振りは当然であろう。



「野郎共ォォォッ!!! 戦争(でいり)の準備はできたかァァァァァッッッ!!!!!」



ウオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォ――――――……。



旧都どころか地下世界全体が、

物理的、精神的に、震えた。



鎧や刀や槍、古典的な棘付き金棒を掲げる荒くれ共。

爪や牙を剥く、地霊殿の猛獣共。

非戦闘員である酒屋の女将さんは包丁を手に気勢を上げ、

戦力外である子供達は、ペロペロキャンディを勇者の剣のように掲げた。



周りを見渡し、最後にさとりと頷きあう勇儀。

「よォォォォォしッッッ!!!!! 行くぞォォォォォッッッ!!!!! 者共ォォォォォッッッ!!!!!」



ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ――――――……。
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ――――――……。
オロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン――――――……。



バラバラなようでいて、一匹の巨大生物のように蠢き移動を開始する軍勢。

飛行能力のある者は、お空を先頭に広大な洞窟の天井ギリギリまで舞い上がった。



勇儀は地上部隊を率い、

さとりは、セーラー服姿の船幽霊が船長を務める『空飛ぶ幽霊船』に乗り込んだ。



博麗の巫女を欠いた幻想郷。

『戦術核兵器』と『博麗の巫女』という二枚の切り札を得た地底世界。

両者を比較した場合、

直接戦闘でも外交でも、地底世界が優位なのは自明である。



地底の軍団の地上への侵攻が、ついに始まった。

まるで地獄がひっくり返ったかの如き、怒涛の大移動であった。










地上では、

救助された霊夢が永遠亭で治療を受け、

妖怪の山が、守矢神社の陥落や天狗社会の内戦で機能不全に陥り、

地底から這い出したゴミ虫共を駆除する準備がとっくに整い、

暇になった紫が、そろそろ『内通者』を詮議しようか考え始めた頃合であった。










すっかり人気の無くなった旧都。

一人の道化が、子供達に配ったお菓子を満載していたワゴンを押して、撤収の準備をしていた。



『ムグゥゥゥゥ……!? フ、グゥウウゥゥゥッッッ!!!!!』

ドゴッ!!

『!? ……ゥゥッ』



道化が空のワゴンに蹴りを見舞うと、

その厚い底部から聞こえていた、唸り声のような音が止んだ。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





イヤァァァァァ……
ヤメテェェェェェ……
ギャアァァァァァ……





境内から、妖精仲間と『遊んでいる』ゾンビフェアリー達の悲鳴が聞こえる中、

紫と博麗神社に足止めされた一同は、咲夜が淹れてくれた紅茶を飲んでいた。

何人かは味わう余裕も無く、ガバガバ飲んではトイレに駆け込むルーチンワークに勤しんでいた。





すっと障子が開き、入室した藍が紫に耳打ちした。

パシンッ!!

紫が口元を隠していた扇子を閉じた音に、やはり何人かがビクリとした。




「地底世界は壊滅しました。

 旧都の星熊 勇儀の一派及び、

 地霊殿の古明地姉妹の死亡を確認しました。

 皆様、お待たせして申し訳ありません。

 地底の住民のほぼ全員を抹殺したので、死体の確認作業に手間取りまして――」



かちゃ……ん。



紫の発表した朗報を聞き、

茶器の音をさせたのは、ただ一人。





「あらン? 世紀の大ニュースに、流石のあなたもビックリしたかしらァ?



 ブンヤさん♪」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





地底の軍勢が蜂起して進撃を開始した頃まで、時を巻き戻す。



地上へと続く巨大な橋を渡っていく、鬼を中核とした地底世界の主力地上軍。



全員徒歩というわけではなく、食用や労働用、地霊殿のペットである馬やロバや駱駝、及びそれらに引かせた車、

急遽、闇ルートも駆使してかき集めた、少なくない数の自動車に兵達は搭乗していた。



軍団の中心にいる、一際巨大な、ハリネズミのような武装を施した車両。

タンクローリーをベースに、燃料運搬用のタンク部を兵員と武器弾薬を収容するスペースに改造した化け物。

その車両の牽引車(トラクター)の後部座席に一人、どっかと座り酒を飲んでいる勇儀。

「ん? ちょっと止めてくれ」

巨大車両はハザードランプを点滅させて徐行しつつ、橋の左側に寄って停車した。

身に纏った鎧の重さを感じさせない素早さと軽やかさで車から飛び降りた勇儀は、橋の欄干に寄りかかって闇を見ている人影に走り寄った。

「おーい!! パルスィーっ!!」

尖った耳を一瞬ピクリとさせたその人影は、ちらと後ろを振り返った。

その緑の瞳の整った顔立ちは――。

「パルスィ!! どうしたんだ? このハレの日に私んトコに顔を出さないなんて」

勇儀の気に入りの愛人の一人、橋姫の水橋パルスィは勇儀と目を合わさずに、彼方へ視線を戻した。

「妬ましいわね……」
「妬くなよ、昂ぶっちまって男でも女でも抱かないと収まりが付かなくてさぁ」

嫉妬妖怪のパルスィにやきもちを焼くなというのは無理な相談だが、勇儀はいつものようにヘラヘラとふざけた言い訳をした。

「妬ましい……」
「地上を占領したら、お前の欲しい物を何でも手に入れてやるからさァ。機嫌直せよ」

ぱるぱるぱる……。

「本当に、妬ましい……」
「そうだ!! 博麗神社をぶっ潰して、そこに御殿を建ててやるよ!! あそこの桜を見ながら飲む酒は美味いって、萃香が言ってたっけ」

ポンと手を打って、自分のナイスアイディアを披露する勇儀。

ぱるぱるぱるぱる……。

「愛しい勇儀が妬ましい、本当に妬ましい……。妬ましいわねぇ……」
「パルスィ? おーい、聞いてるかー?」

ニブチンの勇儀でも、パルスィがさっきからブツブツと呟いていることに、流石に気付いたようだ。

ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる……。

「妬ましい妬ましい妬ましい。勇儀が妬ましい皆が妬ましい妬ましすぎてどうにかなってしまいそう――」



ゆらぁり。



パルスィは、振り向いた。

ただそれだけの動作なのに、

勇儀は、たじろいだ。



パルスィの、嫉妬の炎を宿した緑の瞳。

勇儀はおろか、パルスィ自身も妬き殺し、焼き殺しかねないほどの熱量を秘めていた。

それは、パルスィが上着で隠した、身体に巻いた爆発物の束に匹敵する恐怖を勇儀に与えた。



どちらの恐怖が引き金になったかは知らないが、

勇儀は豪腕を一振りし、

パルスィの美しい鬼女の顔をそのまま残し、

頭を胴体から弾き飛ばした。

生首は緑の光の軌跡を闇に描き、奈落に消えていった。

それを勇儀が見届け終えた頃になって、

パルスィの胴体は、首の断面から鮮血を迸らせながら崩れ落ちた。



「はぁはぁ……、ったく。目ェ掛けてやった恩を忘れやがってぇ……」

勇儀は顔に付いた血を掌で無造作に拭うと、爆弾を身に着けたパルスィの首なし死体を睨みつけた。

「……んんっ?」

目にパルスィの嫉妬の炎が焼きついたのか、

勇儀は緑の光を見た気がした。

目を凝らす。

パルスィの胴体。

正確には、

パルスィが胴に巻きつけた爆弾から伸びたコードが集まっている四角い箱。

それには二つのLEDがあり、

その内の一つ、緑色の方が点灯していた。



ヨロヨロと、パルスィの死体から離れた勇儀は、橋の欄干に凭れ掛かった。



そんな勇儀の見ている前で、緑の光は消え、もう一方の赤いLEDが光り始めた。



天を仰ぐ勇儀。

高みを遊弋する、お空を初めとする航空部隊。

それに、さとりが座乗する『聖輦船』とかいう幽霊船。



それにそれに、



無数の緑のお星様。



勇儀が殺めたパルスィのように、



嫉妬の緑は、鮮血の赤に取って代わった。



最後に見たどす黒い赤は、勇儀自身の生命の象徴だった。










パルスィが纏っていた、

勇儀の鋼の肉体を四散させた爆発物。



同様の物が、

橋に、

天井に、

地面に、

地上と地底の結節点であるこの広大な区画に、

びっしりと仕掛けられていた。










旧地獄の兵士達は、

明るい地上まであと僅かというところで、

本物の地獄に叩き落された。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





爆発、爆発、爆発。

悲鳴、悲鳴、罵声、鳴き声、泣き声、意味の無い音。



地上部隊の中核は木っ端微塵となり、

総大将の星熊 勇儀の肉片と共に、

奈落へと散って逝った。



航空部隊は、洞窟の天井から降って来る岩や石柱の弾幕に、悉く撃墜された。

だが流石はお空。

彼女に宿りし『神』の力は、絶大な防御力と迎撃能力をお空にもたらした。

小さな石つぶては痛くも痒くも無く、

右腕の制御棒から連射モードで放たれる、光の線にしか見えない弾幕は、自身や聖輦船に当たりそうになった巨大な岩塊を粉砕した。



「うにゅ!? にゅあぁぁぁぁぁうっ!?」

突如、お空の右腕が意思に反して上を向いた。

左腕も、両足も、翼も動かなくなった。

『大』の字のような格好で空中で静止したお空。

彼女の四肢と翼には、いつの間にか白いもやのような『糸』が絡まっていた。



洞窟の天井からするすると、身動きの取れなくなったお空の前に逆さまに降りてきたのは――。



「にゅにゅっ!? ヤマメ……?」
「ああ、そうだよ、お空」

地底の技術者集団であり、地上への出口に『網』を張って地底の防衛を行なっている土蜘蛛衆。

彼らの長であり、気さくな性格と美貌から地底のアイドルともてはやされている、黒谷ヤマメ。

彼女はお空に、アイドルの万人受けするスマイルではなく、飢えた捕食種の凄惨な笑みを向けた。



「我等が主、八雲 紫様の命により、あんたを連れてくよ♪」



そう言うや否や、

ヤマメはお空の豊満な胸の谷間上方にある紅い宝珠――八咫烏の『眼』を、

四方八方から他の土蜘蛛が放ったらしい糸は、お空の制御棒を、左右非対称の履物――『融合』と『分解』の足を、

――お空が宿した八咫烏の『能力』をたやすく奪ってしまった。



ついでに、粘着力が無い代わりに鋼線並みの強度と鞭のようなしなりを持った糸の束が、

身動きの取れないお空をしたたかに打ち据え、

ボロ布と化した彼女の衣服やマントを剥ぎ取った。



折角の神の力を奪われ、

全身傷だらけにされ、

切れた口の端から血を一筋垂らして、

両目から涙を溢れさせ、

ここでようやく、お空は悲鳴を上げた。



「う゛……? う゛に゛ゅううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ――――ムグ」



ヤマメと彼女の部下達は、お空を無数の糸で『梱包』し、悲鳴と無駄な抵抗を早々に打ち切らせた。

最後に、ヤマメは牙の生えた口でお空の首筋らしき箇所に麻痺毒の接吻をすると、
爆発の影響を受けていない天井の竪穴に、登場時の動作を逆回しにしたかのように、
お空を抱えて引き上げていった。










炎上する聖輦船から、

大橋が崩落して地上軍が壊滅し、

お空が土蜘蛛達に拉致された一部始終をみていた、顔面蒼白のさとり。



ぐらり。

船が傾き、徐々に降下を始めた。



舵輪にしがみ付いたままピクリとも動かない船幽霊曰く、

本来、聖輦船は聖人を乗せて始めて、真価を発揮するそうな。

だが、この船は不完全だ。

船の真の主である『聖』と船幽霊達が呼んでいる高僧は法界に封印され、船のいくつかの部品は散逸してしまったとか。

さとり達、地底の猛者共が幻想郷を支配した暁には、『聖』を信奉する者達は聖輦船を完全に復元し、『聖』の封印を解きに行く――。

そう、船幽霊と彼女の心は、さとりに熱く語っていたが……。



船の傾きが大きくなり、落下速度が速まった。

聖輦船を支えていた雲入道が消えかかっている。

彼を操る入道使いは、額から血を流して甲板に倒れていた。



そろそろ船から脱出しないと、さとりも危なくなってきた。

だが、そのタイミングを誤ると――、



「ぬえええええぇぇぇぇぇんっっっ!!!!! お助けえええええぇぇぇグェ」



――船幽霊の友人だとかいう鵺のように、降ってきた岩盤に頭を叩き潰される羽目になる。



ドガァッ!!

「ぎゃっ!?」

握りこぶし程の岩が、さとりの頭に当たった。

意識が飛びかけた。

妖怪の彼女でも、致命傷になりかねない。
事実、共に地上に侵攻しようとした同志達はそうなった。



岩石のシャワーが止み始めた。

聖輦船が地面に叩きつけられるまであと僅か。



いっせーの……っ。



さとりは聖輦船から飛び出し、無事、混乱の極みにある現場を脱出した。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





聖輦船は墜落し、さとりは旧都を抜けて地霊殿に向かったとの報告がヤマメにもたらされた。



地底に罪人や嫌われ者の妖怪達が追放され始めた頃、ヤマメ達土蜘蛛衆は紫から極秘に地底世界の番人――地上と地底の世界を行き来する者や情報の監視者を仰せつかった。

天狗と結託した河童達に、川に有毒物質を垂れ流したとの『濡れ衣』を着せられ、討伐にかこつけて、数多の同胞の命と秘伝の技術を奪われた土蜘蛛衆。

地底に追いやられる事になった彼女達に目を付けた紫は、水面下で直接交渉して配下に加えた。

土蜘蛛衆の裏の仕事は『番人』と、もう一つ。

思ったより平和な地底世界の暮らしでは、永遠にそっちの『仕事』はせずに済むと、長年儚い夢を抱いていた。

危険分子の登場、そして『博麗の巫女』の奪還成功で、紫はためらわずに、ヤマメ達に『仕事』を命じた。



土蜘蛛衆は、自分達の集落のさらに奥底に封印されていたボンベを数本持ち出した。

この『欠陥品』を使うことになろうとは……。

ヤマメがボンベをしかめっ面で検分していると、使いに出していた土蜘蛛の少女が戻ってきた。

「協力者達に防毒装備を渡してきました」
「ありがとう。それじゃ……、貴女は他の娘達と先に集落に戻って休んでて。後は私達がやるから」
「ヤマメ様、お手伝いしますが」
「貴女達は若いのに良く頑張ってくれたわね。でもこの仕事は大人じゃないとちょっと分からないトコもあるから、ね」
「は、はぁ……。じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます」

若い土蜘蛛達は次々と糸を射出するとそれを伝い、集落へ続く竪穴へ入っていった。

若手が全員帰ったことを確認すると、ヤマメと古参の土蜘蛛達はボンベを担いで移動を開始した。



ボンベに触れたヤマメは、手から、耳から、『欠陥品』達の寝息を感じていた。

このまま寝ていれば、半永久的に活き続けるだろうが……。

下半身を蜘蛛と化したヤマメ達は、洞窟の天井を器用に移動した。

土蜘蛛達の頭上、つまり真下は地上侵攻軍がほぼ壊滅状態になった、完全に崩れ落ちた大橋。
紫に洗脳同然に唆された橋姫のパルスィが、勇儀の命(タマ)を奪(ト)った光景を、
それを合図にあちこちに仕掛けた爆弾が一斉起爆して大群を吹き飛ばし押しつぶした光景を、
紫と彼女の式神が緻密に計算して、唯一被害を受けずに借り受けた機材で撮影できた絶好の場所。

そこに糸を使って、ボンベの一本を設置した。
念のため、ヤマメは双眼鏡で周辺を見渡した。
橋の両岸にあたる場所に、統率する者を失い、仲間を失い、己の手足を失い、むせび泣く侵攻軍の残存が集まっていた。
彼らから離れた物陰。
ヤマメ達に軍団の動向を逐一知らせ、混乱を助長するように言われた『協力者』達が、打ち合わせ通りに防護服を着こんで待機していた。

ボンベのバルブに触れていた配下を、ヤマメは下がらせようとした。

「ヤマメ様がお手を煩わせる事はありません。ここは私めが」
「いや、頭である私が」
「キスメちゃんが悲しみますよ」
「っ……」

ヤマメと彼女は、地上にいた頃に共に『御山』の連中に家族を殺され、それ以来、姉妹同様に育った間柄だ。
その最古参の手下から、地底でできた親友の名を出された。

キスメは事情を伏せて、土蜘蛛の集落に退避させた。

『何も言わずに、私ン家で待ってて』

無口なキスメはそう言われた時、珍しく何か言いかけたが、結局はいつものように釣瓶の中で小さく頷いた。

しかし、それでも――。

「いえ、やはり、私がやります。貴女達ばかりに手を汚させるわけにはいかないわ」

頑ななヤマメに、妹分は小さくため息をついた。

「分かりました、ヤマメ様。では、『ここは』お願いします」

暗に、他の場所は自分達がやる事を宣言した。

「ありがとう」

妹分は短く礼を述べたヤマメに一礼すると、シャカシャカと八本の足を動かし、ヤマメに場所を譲った。



ヤマメは深く考えず、ボンベのバルブを捻って全開にした。

気体が噴出される音。

寝た子を起こしたヤマメ達は、双眼鏡やビデオカメラで生き残り達の様子を観察し始めた。



ボンベの中の『欠陥品』――ヤマメが『病気を操る程度の能力』で偶然作りだした、とあるウィルス。

悠久の眠りから覚めた彼女達は、空気中を泳ぎ、涙を流す武装集団達を終の棲家とした。
彼女達はそのスイートホームで子を産み、孫を産み、ものの数秒で『家』は飽和状態となった。

叫び、呻き、皮膚が爛れ、毛や鱗がボロボロ抜けてゆく感染者達。
彼らは皮膚や内臓が腐食していく激痛と恐怖に、僅か数分間の生き地獄を堪能して死んでいった。

『家』を潰したウィルス達は、周囲の生存者に次々と空気感染して同様の地獄を作っていった。

地上側、地底側、そして地底の川に転落した僅かな生存者達。

彼らの末路を見て嘔吐したのか、折角の防護服のマスクをかなぐり捨てた一部の『協力者』。

皆、皆、ウィルスに食われて、白骨と成り果てた。

土蜘蛛以外の生命体に有効な、恐るべき殺人(人外の生命体も殺すが)ウィルス!!



だが、所詮は欠陥品。

このウィルスは、特殊な気体と一緒に封入されたボンベから解き放たれると、空気中や水中では、せいぜい一時間ほどしか生存できないのだ。
『家』にした感染者も食いつぶして風通しを良くしてしまうから、結局は死に絶える。

生存と潜伏期間が致命的に短いこのウィルスの対処法は、感染者の出た区画を一時間ほど隔離するだけで事足りるのだ。
極めて限定的な空間でしか爆発感染(パンデミック)を起こせない、このウィルスの『欠陥品』たる所以である。

しかし、利用価値のある閉鎖空間を手っ取り早く制圧する場合には、極めて有効な戦術兵器となる。



地面や川に散らばる無数の骨を確認したヤマメは、残りのボンベを担いで移動を開始した。



お次は、旧都だ。





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地霊殿は、炎上していた。





「も……、燃えてる……。

 私の地霊殿(おウチ)が、燃えてるよォォォォォォォォォォッッッ!!!!!」





ボロボロになって落ち延びてきた古明地 さとりは、

栄光の地霊殿が灰燼に帰するのを目の当たりにして、

ただ、三つの目を見開いて、絶叫することしかできなかった。





主であるさとりの性根を形にしたような、虚飾に満ちた歪な屋敷。

炎に包まれた屋敷の周囲に散見される、獣や人型の死体。

皆、さとりの玩具――ペットだ。

犬、猫、その他四足の動物。

人型の死体の何体かは、血に染まった『火の用心』の法被を着て、折れた纏や穴だらけのバケツ、粉末をぶちまけた消火器を持っていた。
彼らは、地霊殿の防災担当だったのだろう。

先程から炎に照らされて光る金属片が見えていた。

さとりは何気なく、足元にあったそれを拾い上げた。

団栗ほどの大きさの、円柱状の物体。
仄かな温もりと火薬の臭いを感じた。

拳銃弾の空薬莢だ。

それも撃たれてから、それ程時間が経っていない。





――ちゃん。

「へ?」

さとりは、誰かに呼ばれた気がした。

周囲からは、屋敷が燃えて崩れ落ちる音しかしていない。



――えちゃん。

懐かしい、ずいぶんと懐かしい、

この感触。



――ねえちゃん。

この心地良い感触を、いつから味わっていなかっただろうか。



おねえちゃんっ。

ああ、思い出した。



唯一の妹にして同族の覚り妖怪である、古明地 こいしが、心を閉ざして以来だ。



「おね〜え、ちゃんっ♪」

さとりの目の前に現れたこいしは喜色を露にして、今度は声に出してさとりを呼んだ。



こいしは、『三つの目』で姉を見つめた。

ビビッと来る、精神感応。

「こいし、サードアイが開いたの……?」

散々な目に遭ったさとりにとって、霊夢を捉えた事以来の、嬉しい出来事である。

そこでさとりは思い出した。

「そ、そうだ、こいし!! 『博麗の巫女』は!? アレを上手く利用すれば、まだ再起の道が――」

未だに霊夢が救出された事を知らない、そうでなくてもこの惨状から推察することが出来るだろうに、さとりは間抜けな事をほざいた。



こいしの目つきが歪んだ。

「ああ、霊夢? ああ、ああ……。そうそうそう!! そのせいなんだよ、お姉ちゃん」

「え?」



さとりのサードアイに流し込まれる、怒りの感情。





「私がこんな目にあったのは、

 お姉ちゃんが霊夢に意地悪して、

 地上のみんなを怒らせたからなんだよ」





こいしはさとりの側まで、ヨタヨタと歩いてきた。



ボロを身に纏い、

口元と太腿に赤黒と白の液体が乾いてこびり付いており、

顔や体中に擦り傷切り傷赤痣青痣をしこたま付けられ、

閉ざされていたサードアイは瞼と表皮を、まるでリンゴのように剥かれており、

無傷なのは頭に被った帽子だけというナリのこいしは、



憎悪の視線と感情、



そして、右手に握った機関拳銃をさとりに向けた。





「こ……、こいしぃ……、何て酷い――」

「酷いのはお前だろうがあああああっっっ!!!!!」





タタタタタタタタタタンッ!!



こいしの機関拳銃は、銃弾と辺りに散らばっているものと同じ薬莢をばら撒いた。



どさりと倒れるさとり。



「あ……、ぐぅぅ、い、痛いぃ……」

さとりも、妖怪の端くれ。

光学照準器と照明器具が取り付けられた機関拳銃から撃ち出された9mm口径の拳銃弾を何発も被弾しても、まだ生きていた。

こいしは背中に回していたズタ袋の中を弄った。

中には、手榴弾と機関拳銃の半透明の樹脂で出来た予備弾倉がぎっしり詰まっていた。

これら外界製の武器弾薬は、つい数時間前、旧都の決起集会のドサクサに紛れてこいしを拉致して陵辱の後、洗脳を施した、紫の手下達からプレゼントされた物だ。



ぎこちない手つきで新しい弾倉を装填した機関拳銃を、こいしは身動きの取れないさとりに向けた。

「や、止めなさい!! 止めてぇ!! おね、お姉ちゃん、撃たれたら死んじゃうから、ね、ね!!」

照準器の赤い光点を、ジタバタもがくさとりに合わせると――、



タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ――……ン。



弾倉一本分の銃弾を撃ち込まれても、まだ、さとりは死ねていなかった。



首をかしげ、口を尖らせたこいしの表情(ココロ)は、『困ったねぇ、お姉ちゃん』と言っていた。



痙攣する姉の側に来たこいしは、ズタ袋から手榴弾を取り出した。

驚きと絶望のステキな表情をするさとり。



もったいぶりながら、

端から血を流した口で、

手榴弾のピンを引き抜いたこいしの目は、

ゾッとするほど、色っぽかった。



こいしは、さとりの臓物をはみ出させた腹に手榴弾を捻じ込むと、

道端の犬のクソに爆竹を挿した悪戯小僧の嗜虐に満ちた純粋な笑みを浮かべて、その場から走り去った。





こいしは、かなりの距離をさとりから取ったが――、



『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァァァ――――』



さとりの心のシャウトは、さとりが弾け飛ぶまで、こいしのサードアイに響いていた。










リロードした機関拳銃を手に、こいしは燃え盛る地霊殿に入っていった。



業火はこいしの帽子を、僅かばかりの衣服を、髪を、皮膚を、ズタ袋を燃やしたが、こいしは構わずに歩を進めた。



屋敷の中心まで来たこいしは、両手で握った機関拳銃の銃口を銜え――、



タタタタタタタタタタ――……。





地霊殿内部で、強烈な爆発が起きた。



その爆風によって地霊殿は完全に崩壊し、皮肉にも、それによって火災は早めに鎮火した。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





霊夢が地底の異変に出動して、地霊殿に捕らえられてから経過した時間は一日。

霊夢を救出して、地上侵略を目論む地底世界を滅ぼすのに要した時間は一日。



霊夢が心身の傷を癒し、博麗の巫女の勤めに戻れるようになるまで、数ヶ月から数年の時間が必要と予測された。



紫達幻想郷の重鎮は、霊夢復帰までの間、たった二日間の騒乱事件の事後処理と、禍根を絶つ事に奔走した。





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妖怪の山の中腹にある、天狗の集落。

白狼天狗が厳重に警備する広場。



「ぁゃゃ……」

地底勢力との内通が発覚し、今日まで牢に閉じ込められ、水と水のような粥、濃厚な精液以外口にしていなかった、射命丸 文が連れて来られた。

憔悴した文は、引きずるように連れて来た椛によって、広場の中央に放り出された。

文が顔を上げると、そこには一人の烏天狗の少女がいた。



「はたて……」
「文……」



這い蹲る、射命丸 文。

佇む、姫海棠 はたて。



二人とも同じような、打ちひしがれた表情をしているが、立場は180度、異なっていた。



一方は、幻想郷を危機に陥れた戦争犯罪人。

そしてもう一方は、その極悪人を捕らえるのに貢献した英雄だった。



守矢神社と地底世界の間で、何らかの密約が結ばれた事を知った文。
いずれは、妖怪の山のトップにも知らされるだろうが、その前に文は独自のルートを築こうとした。
最初は、情報に乏しい地底の情報の独占を目論んでのことだった。

地底への入り口を見張るヤマメ達の『網』を、お得意の機動力でかいくぐった文。
旧都で顔役の星熊 勇儀と目文字(面会)が叶った所から、トントン拍子に話が進んだ。

勇儀が連れて来た地霊殿当主、古明地 さとりに、文は功名心をくすぐられ、三流新聞しか書けないトラウマを暴かれた。

こうして文は、地底の情報を得るはずが、逆に地上の情報を流す事になった。



しかし、文の秘密を知ってしまった者がいた。

姫海棠 はたてである。

文に好意以上の感情を密かに持っていたはたてはある日、『射命丸 文』、『秘密』のキーワードで、お得意の念写をした。
あられもない姿の文の写真でも入手できれば、自らを慰める行為に利用できるかなぐらいの、軽い気持ちでの事であった。

だが、出てきたのは、文が勇儀とさとりと共に映っている画像だった。

これは、地底で上手く立ち回れるように、文が二人の有力者と繋がっている事を示すために撮影した物である。

皮肉にも、それが文が内通者であることを暴く証拠となった。



霊夢が地底に向かったことを詳細に知っているのは、霊夢と魔理沙を支援した妖怪の誰か。

そう見当をつけた紫は、霊夢が捕らえられたことを知った時点で、救出に助力が必要な萃香以外の者達を軟禁し、藍に彼女達の身辺調査を命じた。

はたては聞き込みに来た藍に、文、さとり、勇儀の記念写真を見せた。
文は地底の情報に通じているそうだが、と藍が言ったことを真に受けての事である。

藍はヤマメに地底入り口に設置された監視カメラの映像を見せてもらい、それをスロー再生で検証して、文が頻繁に地底と行き来している確証を得た。



こうして文は牢屋にぶち込まれ、はたては紫によって英雄に祭り上げられた。





はたての手には日本刀が握られていた。

クーデターを起こし、天魔や大天狗を拘束した下級天狗の暫定政権が要求したのだ。

身内に甘い上級天狗の禊と、英雄に誅される極悪人の図を、彼らは欲していた。



涙すら流れないほどに強張った顔を、はたては文に向けた。

荒縄で縛り上げられた文は、やつれ、死に怯えた負け犬が狂犬病に冒されたかのような憤怒の表情で、はたてに吠え掛かった。



「あややややああああああああああッッッ!!!!!

 このゴミ漁りの三流記者がァァァァァッッッ!!!!!

 私の栄光への道を横取りしやがってェェェェェッッッ!!!!!

 貴様みたいな根暗と、したくもない『友達ごっこ』をしてやった時間を返しやがれェェェェェッッッ!!!!!」





「ッッッッッ!!!!!」



ドスッ!!



はたては、刀で、文の喉を突いた。



「ガボッ!? ギャガア゛ァァァ……」



血と意味不明の音を口から吐いた文。



それから、

はたては、

無言で刀を振り回し、

文を滅茶苦茶に斬りつけた。



数分間、文ははたてに斬られ続けたが、

どの傷も苦痛しかもたらさない、致命傷には程遠い物だった為、

見かねた椛が文を介錯してやった。










英雄、姫海棠 はたては、その後、紫達の推挙もあって、天魔となった。



純白の翼と髪をした新・天魔は、堕ちた守矢の三人の神々の最後の一人、洩矢 諏訪子が死んだとの報告を受けた。

先に逝った二人と同様に、かつての信者の集団や犬や馬を交えての『神事』の最中の死だったそうだ。

始終無言、無表情の天魔。

一方的な報告を終えた部下が下がった後、天魔の主治医がやってきた。

永遠亭から出向している因幡兎の医者は、注射器とアンプルを用意した。

月の頭脳、八意永琳が自ら調合したこの薬は、高価である事と、常用しないと死んだほうがましな苦痛を使用者に与える欠点があるが、

それを補って余りある、刹那の至福を得ることが出来た。



薬を投与された天魔はしばし、姫海棠 はたてに戻り、

脳内に印刷した花果子念報を読み、悦に浸った。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





地底の戦場から接収した『聖輦船』を公開処分した時、ひと騒動あった。

槍を持った妖怪が大立ち回りを演じ、手にしていたマジックアイテムで聖輦船を再起動しようと試みたのだ。

見物に来ていたレミリアが同伴していた十六夜 咲夜が時間を止めて、その妖怪を仕留めなかったら、どうなっていたことか……。



その妖怪の仲間らしい、ネズミの少女がマジックアイテムを回収しようとしたので捕らえて、紫達は事情を聞きだした。

その後、紫と藍は魔界神に挨拶をした後に法界を訪れた。

得られた情報通り、『聖』と称される尼公が封印されていた。

彼女は親妖怪派の聖人であるが、守矢神社と地底世界が滅んだ現在、人と妖怪のバランスがガタガタで博麗の巫女不在の幻想郷に蘇られると都合が悪かった。



藍は封印の一箇所に『穴』を空けると、そこにチューブを挿入し、もう一端を持参したボンベに繋いだ。

ヤマメの『欠陥品』が封入されたボンベである。

封印を内部のみ限定解除し、ボンベのバルブを開いた。

封印内で目覚めた『聖』は寝ぼけた様子でキョロキョロ辺りを見渡していたが、
直ぐに苦しみだし、溶けて腐って骨のみとなった。

ウィルスが死滅した一時間後、封印を完全解除すると、『聖』の骨と衣服は、塵と化し、風に吹かれて消えていった。



これで、『異変』の種を一つ、潰すことができた。










人里に程近い所にある、広大な空き地。

ここはかつて、守矢神社が管理していた。



「ここね」
「はい……」

紫は、青い髪をした美女に問うと、彼女は無表情で答えた。



紫は幻想郷内の監視を密にして、『異変』の発生に備えた。

『異変』を颯爽と『解決』する、博麗の巫女である霊夢は、ようやく身体の欠損箇所の修復が終わったところだ。
まだ実戦には出せない。

なので、博麗の巫女でない紫達ができる事は一つ。

『異変』を発生させないようにすることだ。



胡散臭い者は片っ端からその身元を極秘裏に調査しまくった。

幻想郷の住民は、そういった連中に事欠かないので、大抵は徒労に終わった。



そんな中で発見された邪仙の美女は、飛び切りの胡散臭さだった。

紫に匹敵するくらい、プンプン臭った。
少女臭は比較するまでも無かったが。



直ちにひっ捕らえ、情報を引き出した。

その結果、彼女は太古の豪族を復活させようと暗躍していた事が判明した。

件の豪族が眠る墓場――廟があるのは、なんと、守矢神社ゆかりの土地だった。



もしも、守矢神社が今も存在していたなら、信仰目当てで『異変』の一つや二つ、起こしていただろう。

早めに潰して良かったと、紫は安堵の息を漏らした。



四重の結界に覆われた空き地。

その上空にスキマが現れた。

そこから投下された地中貫通爆弾――通称『バンカーバスター』。



結界内で吹き上がる土の柱。

結界で凌ぎきれなかった衝撃波は突風となって、紫達を弄った。



青髪の女性の前髪がまくれ上がった。

生え際に沿った、横一文字の手術痕が露になった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「はいはい、あんよがじょうず♪」
「紫ぃ、よしてよ。私、子供じゃないんだから……」

永遠亭を退院した霊夢は、リハビリに精を出していた。

一年かからずに治った、というより『直った』身体を動かせるようになった霊夢。
魔理沙達、他の異変解決人の支援があれば、異変に立ち向かえるまでになった。

まぁもっとも、霊夢が出張るような『異変』は、彼女が退院してから起きていないが。



「んもぅ!! え〜い♪」
「きゃ!?」

霊夢は松葉杖を捨てると空を飛び、リハビリの手伝いだか、囃し立てているんだか分からない紫に飛びついた。



そのまま地面にぶっ倒れた二人。

そのまま見つめ合い、いい雰囲気になる二人。



「紫……」
「霊夢……」



仕事に、リハビリに忙しくて、霊夢が博麗神社に戻ってきてから、恋人の営みは、とんと御無沙汰だった。



「はろろ〜ん♪ 霊夢〜♪ 親友の登場よ〜♪」
「お嬢様、少しわざとらし過ぎます……」

まるで見ていたかのようなタイミングで現れたレミリアと咲夜。



迸るリピドーを阻止された紫と、彼女の至福を阻止できて嬉しそうなレミリア。

二人の畳まれた日傘が打ち鳴らされ、火花が散った。



咲夜の手を借りて縁側に腰掛けた霊夢は、恋人と親友のチャンバラごっこを緑茶を飲みながら見物した。





幻想郷は、今日も平和であった。




 
はい、例大祭に向けて書き上げた、作者の趣味丸出しの作品です。

霊夢が酷い目に遭い、
霊夢を酷い目に遭わせた連中が、より酷い目に遭う、
コッチの武器も登場させた、痛快活劇です。
当然、ゆかれいむ分は入ってます♪


2013年8月4日(日):皆様、拙作をお読みいただき有難うございます。コメントへの返事をさせていただきます。

>1様
『二つ目の神社』は、良くも悪くも幻想郷の起爆剤になりましたからね……。

>智弘様
基本的に、脳みそにナニしたのは青い髪の邪仙だけですけどね。
緑眼の橋姫はちょっと炊きつけて、不能の覚り妖怪は時間が無かったので、ちょっと寿命が縮まる副作用のある即効性の手段で。
読みやすいと言っていただいて、感激の極みです。

>3様
某論破するアニメのお仕置きタイムに登場した、ピッチングマシンを持ってきたほうが良かったですかね。
『東方地霊殿』の魔理沙サポート妖怪は、話の絡みどころが無かったので……。

>まいん様
霊夢完全復活するまで異変を起こすわけにはいかないので、封印された尼公と豪族が復活を夢見て眠る廟は、この世から抹殺しました♪
これは、幻想郷名物の顔見せイベントである『異変』ではなく、『戦争』です。
『戦争』なので、敵は情け容赦なく殺さなければなりません。
文は……、ものの見事に堕ちた『清く正しいジャーナリスト』として表現してみました。

>5様
ヤマメが紫の手の者だということは紫の能力で秘匿されていましたが、アレについては文字通りの『欠陥品』としか認識していませんでした。

>6様
いつか地霊殿の面子が、腐敗した地上の連中にガツンと正義の鉄槌を下す話を書いてみますね。

>汁馬様
その箇所は、ちょっと気合入れました♪

>あぶぶ様
うーん、ちょっとワンパターンだったかな。
善処します。

>んh様
楽園の素敵な巫女の心情に疑問を持つ、親友の普通の魔法使い。
詮無き事ですけどね。
敵に本気を出させる間もなく倒す。これ、兵法の基本也。

>木質様
それが私の幻想郷(セカイ)……!!
地底勢力の、世紀末臭漂う世間知らずの自称武闘派っぽさ、堪能していただけましたでしょうか。
魔理沙はそれくらいの経験を積んでいなきゃ、異変解決人を務めたり、危険地帯である魔法の森に一人暮らしなんて出来ないでしょ?

>零雨様
じゃあ一匹どうぞ♪ 涙と鼻水で化粧がすんげぇ事になってますが☆

>県警巡査長殿
美しき恋人達には、ホッコリとした平穏な日常を。
腐れ外道には、滑稽なまでの無残な末路を。
それが私の創るセカイ……♪
恋人達の間に入りたいのなら、博麗神社の素敵なお賽銭箱に有り金全部投入してね☆


2013年8月24日(土):新たに頂いたコメントへの返事追加。

>矩類様
私の幻想郷は霊夢を中心に回っておりますゆえ。
蜘蛛というと、情が深く、ヤる時は効率よく徹底的にヤるイメージがあります。
私には、良くも悪くも言葉遊びに走る癖がありますので、ツボってくれて光栄です♪
地底組は、普段はさとりを目の敵にする私ですが、今回は勇儀にも侵略の片棒を担がせてみました。いかがでしたか。
NutsIn先任曹長
http://twitter.com/McpoNutsin
作品情報
作品集:
8
投稿日時:
2013/06/29 15:31:52
更新日時:
2013/08/24 16:52:51
評価:
12/14
POINT:
1060
Rate:
15.50
分類
産廃創想話例大祭A
東方地霊殿の異変解決チーム:博麗霊夢/霧雨魔理沙/八雲紫/伊吹萃香/射命丸文/パチュリー・ノーレッジ/アリスとにとりの出番は無い/ゆかれいむ
紅魔館:レミリア・スカーレット/十六夜咲夜
永遠亭:八意永琳/ウドンゲとてゐは名前のみ
地底世界:黒谷ヤマメ/モブ土蜘蛛達/キスメ(名前のみ)/水橋パルスィ/星熊勇儀/火焔猫燐/霊烏路空/古明地さとり/古明地こいし
妖精達:サニーミルク/ルナチャイルド/スターサファイア/チルノ/大妖精/メイド妖精/ゾンビフェアリー/その他の妖精
八雲一家:八雲藍/橙/PMCの皆さん
守矢神社:八坂神奈子/洩矢諏訪子/東風谷早苗
妖怪の山:犬走椛/姫海棠はたて
失われた異変
簡易匿名評価
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POINT
0. 30点 匿名評価
1. 70 名無し ■2013/06/30 01:29:28
紅妖永と風以降に断絶があるって考える人ってやっぱり存在するんですねーw
2. 80 智弘 ■2013/06/30 20:05:57
洗脳って対話によるものだとばかり思ってたけど、脳みそクチュクチュの方でしたか。
スピーディーな展開だったので、非常に読みやすかったです。
3. 100 名無し ■2013/07/01 21:55:58
>次の『球技』は野球だろうか、それともゴルフだろうか。
アウトレイジ式野球でいい。つか早苗でやってもいい

しかしアリスェ…
4. 100 まいん ■2013/07/01 23:11:37
星蓮組も神霊組も散々やな。
地霊組の最後も霊夢やその他にも行った残虐な描写が少なく
紫の作業とも思える異変解決の温度差に被害者とも思えるように感じました。
だが、それが良い。
個人的には文の最後みたいにぶっ飛んだ悪行をしてくれていたら、と思いました。
でも、この世界観大好き。
5. 100 名無し ■2013/07/06 16:37:05
ヤマメの欠陥品はよくさとりに気づかれなかったもんだ
6. フリーレス 名無し ■2013/07/08 02:54:19
毎回紅魔八雲が大正義で守矢地底が悪役の作風は飽きるから
逆でもいいと思った
7. 70 汁馬 ■2013/07/08 08:20:10
ひどい目にあうゾンビフェアリーちゃん可愛い
8. 60 あぶぶ ■2013/07/14 22:23:40
感想を何時もありがとうございます。
もの凄い速読の方ですね(驚愕)
今回の作品はストーリーが単調だった気がします。
(ネタバレ→そのシーン)が繰り返し
9. 80 んh ■2013/07/21 02:02:55
霊夢はこのまま紫に飼われていて幸せなんだろうかと問う魔理沙が印象に残りました。
ちょっと今回の地底組は弱すぎるように感じました。
10. 100 木質 ■2013/07/23 22:40:59
霊夢が絡むとテンションとスペックと残虐度が3倍以上に跳ね上がることに定評のある紫とレミリア。
霊夢に手ぇ出したらロクな死に方しないですね。

幻想郷転覆を狙う地底の出陣のノリが、初日の出に向かう珍走団を彷彿させられ、これはイイ小物臭。
ちなみに、冒頭で語る魔理沙が生き延びるためにヨゴレ経験済みという事実に興奮しました。
11. 80 零雨 ■2013/07/30 21:35:38
ゾンビフェアリーちゃんが欲しくなります
12. 100 県警巡査長 ■2013/07/30 23:59:52
地上を我がものにしようと企てた、地底妖怪共が壊滅してよかったよかった♪文と早苗のクズな末路も最高でした。いい気味だ。
特にこいしがさとりをぶっ殺すシーンで溜飲が下がりました。よく分かっているじゃないか、こいしちゃん。
そして最後のゆかれいむのイチャイチャでちょっと心がほんわかしました。とても面白かったです。
(ちょっと一瞬だけ二人の仲に入りたいって感情がわきました)
13. 90 矩類 ■2013/08/06 01:41:26
徹底した霊夢びいきさすが先任伍長殿です。ヤマメ姉妹のちょいグロが珍しいというかなんとも印象深かったです。”B級三文芝居”って言葉が妙につぼでした。地底組がなんともコメントに困る感じ衰退してくのがニヤニヤです。このカオスモスは書ける人にしか書けない。
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