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『指定席とほのぼの』 作者: ギョウヘルインニ

指定席とほのぼの

作品集: 8 投稿日時: 2013/07/27 11:27:57 更新日時: 2013/07/27 20:27:57 評価: 8/9 POINT: 800 Rate: 18.33
 今日は久しぶりに、魔理沙と霊夢、早苗さん、そして、輝夜が揃ってほのぼのを探す旅に出たのでした。

 成田から空路でハワイに行ってフラダンスがほのぼのしているのか確かめるのです。

 あの、踊りはそういう。なんて、言うのでしょうか?難しいですが、何かほのぼのしているような気がした魔理沙の英断でした。






 幻想郷から、バスを乗り継いで成田に向かいます。そこで早苗さんが昔から懇意にしている。怖いサングラスおじさんから、申請?していたパスポートと出国に必要な書類を受け取りました。

 さらに、そのおじさんは、良い人だったのかも知れません。一番良い席のチケットを3人分とっておいてくれました。


「残念ながら、3席しか一番良い席が取れなかった。残り一人は銃座に座ってくれ」


 この、おじさんはそういい残すと、ベレー帽を被って何処かに行ってしまいました。

 後に、このおじさんがマレーシアでその消息を絶ったと後で早苗さんのところに電報が来たとき早苗さんは涙しました。

 





「それで一人だけ、銃座なのか? 早苗? そうなのか?」

「はい、魔理沙さん。一人だけ銃座です」   

「私は、嫌よ。銃座とかそういう機械っぽいところは、油っぽいと相場が決まっているわ。巫女服が汚れるわ」

 こんな我侭なことを、言わなくても霊夢には一番良い席が魔理沙によって割り当てられることになります。

 でも、それでは、魔理沙の傀儡で魔理沙が用意したほのぼののレールの上を行くことになるように気がしたのです。

 なんだか、それが無性に嫌になってわざとそういう我侭をあえて言ったのです。

 あの、ほのぼの狂い魔理沙のおかげではなく。自分の力で銃座なんて、悲しいところから逃れた事実があれば、これからも霊夢は成長し美しい巫女として幻想郷を守っていけるような気がしたのです。


 そういうことを、言った後かんがえました。まあ本当は単純に嫌だったのです。




「そうだな、霊夢は一番良い席で良いな」

 でも、結局は魔理沙のひいたレールの上を行くのです。そのレールは、夏の暑さでカゲロウを放ちながらほのぼの膨張しすぎてます。

 多分、列車がこの上を通ると多分脱線します。

 でも、大丈夫です。今日は、飛行機なので脱線しません。


「私は自分が一番良い席に座れれば文句ないです」

「じゃあ、輝夜が銃座で決定だな」

 とうぜんの流れでした。この中では、一番立場の低い輝夜は銃座です。それは、不老不死のせいではありません。輝夜が不老不死になる前から決まっていることです。

 運命はいつも必然なのです。

「え? そんな!」

「いいんじゃ、ないですか? 和服美少女が銃座に座って居るってなんだか絵になりますよ」

「私も、そう思うわ。輝夜は凄いじゃない。絵になるわ。それに主人公の私達に、出来ないことを輝夜には出来るのだから」

「そうなの? 納得できないわ」

 輝夜は、この理不尽に向かって立ち向かおうとします。運命に逆らってみようとしているのです。何か変われるような気がしたからです。

「お前が、納得するとかそういうことじゃないんだぜ」

「そうですよ。折角似合ってるって言ってあげてるんですから。さっさと、納得してください」

「納得できないのなら、置いてきぼりにすればいいんじゃない?」



 成田で輝夜を置いてきぼりにするということは、すなわち視を意味します。死ではありません。

 きっと、外国から来た人々が和服の輝夜を見たら好奇の眼で見て日本がいまだに文明開化していないと勘違いしてしまうかもしれません。

 そして、異人さんに赤い靴を履かされ、遠くの国に連れて行かれてしまいます。

「そんな、置いてきぼりは嫌」

「だったら、銃座でいいな」

「……分かったわ」

 ようやく、輝夜は納得しました。最初から納得すればいいものなのですが、そこはお姫様です。

 大目に見てあげてください。





 それぞれ、用意された座席に乗り込みます。

 
「なかなか、良い席ね」

 霊夢は座席に座り幸せな気分になりました。おおよそ、エコノミークラスと比べて三倍は大きく上質な材料で作られた座席でした。快適な空の旅は約束されていたのです。

「そうですね。これも、全部私があのおじさんと懇意にしていた結果ですよ」

「偉いわね」

 どうやって、懇意にしていたかと思うと、霊夢は嫌悪の気持ちで胸の辺りがぞわわとしましたが顔には何とか出さず。早苗さんをほめることができました。一番良い座席を獲得してきたという結果が大事なのです。

 たとえ、早苗さんがおじさんを座席にしていたとしても、それとこれとは別なのです。

「なあ霊夢、この座席はほのぼのしていないか?」

「そうかも、しれないわね」

「そうだろ、そうだろ」

 魔理沙は座席の心地よさにほのぼのを感じました。そして、ほのぼの現人神の霊夢も肯定しました。そうです。ほのぼの出来たのです。

「え? 魔理沙さんほのぼのしてしまったのですか? じゃあ、ハワイに行く必要性がなくなってしまいました」

「何? そんなこと無いぜ。本当に何言ってるんだぜ。このほのぼのは、ここに座っている時だけだぜ。だがフラダンスがほのぼのしていたら動きを全てこの身に叩き込んで覚えて帰るんだ」

 所謂ほのぼののセルフサービスです。今までのほのぼのは受身でしたがこれからのほのぼのは攻めていくのです。


『ええっと、そろそろ離陸するからシートベルトをつけてほしいな。火と違ってまだ運転になれてないんだ』

「この声って、妹紅じゃないか?」

「そうですね。今のは妹紅さんでした」

 そんな、話をしていると出発の時間になりました。そして、機内のスピーカーから聞き覚えのある妹紅の声が聞こえてきたのです。

 妹紅は、遺伝子組み換え地鶏を焼き鳥に使ったことがばれて、焼き鳥屋を廃業せざるえなくなり、なりふり構わず働いているのです。

「今度は、飛行機のパイロットになったのね」

 三人とも不安を感じましたが、それを口に出してしまうと本当のことになってしまいそうなのでそれ以上は考えないことにしました。

 



 座席のシートには、救命胴衣の付け方の説明と、妄言を言うと本当のことになってしまうと書いてありました。まるで、三人の行動を何処からか監視している何かが居るのかも知れません。



 

 

  

「ねえ、慧音? これ本当に飛ぶの?」

 この飛行機の機長は妹紅、副機長ではなくアシスタントで慧音が同乗していました。

 二人とも遠足気分でした。時給800円のこの仕事は一ヶ月働いても生活保護よりも安い賃金しかもらえないのでやる気がないというわけです。

「やる気の問題だ。やる気が無いなら、飛行機は飛ばないだろう」 

 妹紅はもう永遠の命過ぎて考えることを放棄しています。そのため、慧音に依存しているのです。

「そうなの? 私は慧音を信じる」

「そうか」

 妹紅は、素人にでも運転できるように、改造されている操縦桿を握ったのでした。けして、手抜きの描写ではありませんよ。

 いよいよ、出発のときがきたのでした。多分墜落はしませんよ。







 とりあえず、発進、加速、陸から徐々に機体が離れていきます。

 そうして、飛行機は順調に離陸して、ハワイを目指すフライトに出たのでした。





「いああ、妹紅が運転しているから死亡フラグかと思ったけれど、ほのぼのは死なないっていう決まりがあるんだったぜ」

「そうね」


 優雅と違い、ほのぼのは人を堕落させても死に至らしめることはありません。


「お金持ちの人たちはこんな豪華なところに座れて幸せですね。私達エコノミークラスの努力も知らないで、一生を過ごせると思って居るのでしょう」

「それも、今日でおしまいだけれどもね」


 快適な空の旅を魔理沙たちが堪能していると、いかにもこれから悪いことをします。具体的にはハイジャックしますというテロリストのような風体の妖夢と幽々子が安い席から歩いてきました。

 幽々子はサブマシンのような塊を持っています。サブマシンガンのような塊です。ですので、今回は発砲しません。
 
 どういう話でも、敵役は必要なので敵役として今回搭乗していました。あのおじさんが用意してくれたサプライズということです。


「エコノミーの奴がこっちの席に来るんじゃないぜ。ノミが移るだろ」

「違います。私はエコノミークラスでしたが、幽々子様はビジネスシートでした」

 そういって、妖夢は髪をボリボリ掻き始めました。ノミでは有りませんがワクモがパラパラあたりに散らばります。

「そういう問題じゃないぜ。それに、お前は本当に寄生虫だらけじゃないか」

「まあ、そういう問題じゃないにしても、それは今回私達の目的には関係有りません」

「そうよ、関係ないわ」

「どういうことだぜ?」

「それは、こういうことよ」

 幽々子サブマシンガンみたいな塊を普段から無防備に背中を見せている早苗さんに向けました。前からこの綺麗ですべすべしていそうな背中が気になっていたのです。夏の暑い紫外線を受けても日焼けしないのか疑問に思っていたのです。背中にきびが多い妖夢とは全く違います。

 背中にきびが多いと何だかやる気が半減してしまう星の空なのでした。

 そして、早苗さん人質ということなのです。

「どうして、わたしなんですか? 怒りますよ。人質っていうのは、もっと儚い人がやるものだと思いますが」

 早苗サブマシンガンみたいな塊を向けられたことにいきどうりを感じました。

「このなかでは、一番弱そうにみえたからよ。弱そうな群れから離れた娘は狙われる。変態からも、てろりすとからも」

 やはり二人はテロリストだったのです。民族浄化という大命を受けている気がしたからテロリストになったのです。

 早苗さんは、優雅において最強キャラでしたが、残念ながら座席のほのぼのせいでその実力は山の妖怪3人分くらいでした。

「こんな人達は私の偽お払い棒があれば簡単に斃せるのに」

 早苗さんの偽お払い棒は貨物として預けていました。偽お払い棒のない早苗さんはさらに脳までスポンジ状になっていたのです。グールルルとお腹がなったときに食べたしょくもつのせいです。

「てろじゃないわ。これは民族浄化なの」

「そうです。これは浄化なんです」

 まるで、聖人のように万人を幸せに導いてくれそうな微笑を浮かべる幽々子でした。なにか悟っているようです。妖夢は浄化という言葉の意味すら知らないのに、なんとなく誇らしく思っています。

「くそ、どういうことだぜ。ハイジャックなんかしたって民族浄化できないだろ」

「ありすに爆弾を仕掛けておいたわ。この飛行機はどっか適当にみんな巻き添えに出来そうなところの上空で爆発墜落するの」

 それで、民族浄化できるか良く分かりませんがそれは大きな望みの前にしては小さな事なのです。全ては民族浄化のためなのです。


 ”このあたり書いていて何だか気持ち悪くなりました”

「なんだって! ふざけるなよ!」

「だから幽々子様は、ふざけて居るんです。邪魔しないで下さい!」

 こんどは妖夢は刀の切っ先を魔理沙に向けて威圧します。そうやって、強くは無い自分を強く見せています。

 こんなことでは、いつまでも友達はできません。でも、大丈夫です。妖夢は友達という言葉を知りません。習っていないのです。










 さて役者をそろえるために、貨物室で動物用の檻に閉じ込られていたアリスは眼を覚ましていまいた。

 仲良しの霊夢に見せるためにお洒落な服を買いに町を歩いていたところ、何者かによって薬を嗅がされたところまでは思い出せました。

 なぜ自分がこんな、窮屈なところに居るのか、なぜプラスチック爆弾がお腹につめられているのか全く分かりません。

 突拍子も無く、プラスチック爆弾が出てきましたがアリスは今までの経験上爆弾の種類がニオイで分かるという技能を身につけていたのです。
 
 現実世界なら、アリスは爆弾探知犬ならぬ爆弾探知魔法使いに慣れたかもしてません。王妃とタッグを組んで世界平和の礎になれたことでしょう。

 世界が、皆が東方好きならば戦争なんて起きるのはインターネットの中なんです。

 西に東に紛争なんて起きるはずがないのです。ある祭りをのぞいては。











 

 幽々子は何か思い出そうと、胸に挟んでいたタバコを取り出しました。

 ところがタバコは胸の高圧力につぶれていました。

 タバコが吸えなくて困ったのでしたがそのおかげで話が続きます。





「妖夢、爆弾のすいっちを幽雅に入れて来なさい。それと帰りにたばこ買ってきなさい」

「はい、分かりました」


 刀を突きつけていた妖夢は刀を引いて、貨物室に行ってアリスを起爆しにいきました。







 
 妖夢は、ちゃんと間違えずに貨物室に行くことが出来ました。偉いです。

 そして、檻の外から手を入れてアリスの耳を引っ張りました。

「妖夢、いったいこれは? 私の耳を引っ張ってどうする気?」

「耳は起爆スイッチなんですよアリスさん。貴女は爆弾になったんですよ」

 アリスは起動したのです。

「そう、やっぱりそうなのね。あれ?」

 アリスの歯が一本抜けて、箱に落ちました。

「歯が、爆発のカウントダウンになっているんです。そして、最後の歯が抜けたときアリスさんは爆発してこの飛行機はたくさんの人を巻き込んで浄化されるんです」

「飛行機? ここは、飛行機の中なの?」

「そうですよ。飛行機の中ですよ。自分が爆発しそうなのに冷静なんですね」

「爆発するのには慣れているの」

 魔理沙が狂うのになれているように、アリスは爆発するのには慣れています。ですから、アリスの心は静かな水面のようだったのです。

「そうなんですか? まあ、いいです。そんなことは、爆発すれば機内にいる霊夢さんも木端微塵に浄化されます」

「そんな、霊夢まで乗っているなんて」

「あれ? 少し焦りました? 苦痛に満ちてます?」

 アリスの妄想では、霊夢とアリスは両思いです。ですから、その霊夢を爆発に巻き込むわけにはいきません。

「ふざけないで、霊夢を巻き込みたくない」

「まあ、せえぜえ、檻の中で残された時間を有意義に過ごしてくださいね」

 そういうと、妖夢はタバコを調達に向かうために貨物室から出ていきまいた。

 


 このままでは、霊夢が爆発してしまう。そんなことはアリスは嫌でした。

 残された道は、自力で爆弾を解体処理するしかなかったのです。
 
 こうして命がけの解体が始まったのです。


 
”爆弾はアリスのお腹の中に仕掛けられていて、アリスの身体に溶け込んでいました。”
 
「解体するしかない。自分を解体するしかない」 

 アリスは服を脱ぐと落ちた歯を自分の胸に力いっぱい押し当て、腹の下まで一気に下げました。

 薄い脂肪や何かの膜を無理やり切り開いたのです。

「むえでええ」

 とうぜんの激痛です。視界が、真っ暗になりましたが何とか持ちこたえ解体作業を始めたのです。

 その時、歯がまた一本抜け落ちました。

 
 まずは、起爆装置をごまかすために、なんとなく腎臓をアリスは取り出しました。

 自ら、内臓を引き摺りだしていく様は何か大罪を犯したものに与えられた残酷な刑罰のようなことでした。

「痛いよぉ」

 それでも、大好きな霊夢の為にひたすらアリスは病んでいたのです。   


 片肺を取り出したところで、いったん歯が抜けるのが止まりました。

「っまった? とま?」

 しかし、それは何かの気まぐれだったのです。再びアリスの歯が抜け落ちたのです。アリスは再び自分の体内に仕掛けられた爆弾の解体をしなくてはなりませんでした。


 そして、時間がどんどん過ぎていき最後の一本どちらかを切断すれば大丈夫。いいえ、最後のこれを切ったらどの道最後というところまで来たのです。

 アリスは、選択しなければなりません。動脈か静動脈のどちらか一本の正解を切れば、おそらく爆弾のカウントダウンは止まります。

 しかし、はずれを切ってしまうとその場で爆発してしまいます。どちらを切っても大量出血を免れることはできません。

 時間が有りません。残る歯は後一本、アリスは親知らずを抜いては居ませんがまだはえてきていないので延長とかはないのです。

 もう、迷っている時間はありません。アリスは、思い切って動脈を切ってみることにしました。

 一瞬の躊躇でしたが次の瞬間では指で硬くつまんだ歯で動脈を潰し切りました。

 溢れる大量の血、片肺片腎を失い既に大量出血のアリスでしたそれでも凄い出血です。

 視界はなくなり、寒くなっていきます。それでも、最後の歯は歯茎から抜けずアリスの口に残りました。

 アリスは賭けに勝ったのです。








 さて、妖夢は売店の後ろでラリっていた若者からタバコを買うことが出来て戻ることにしたのです。
 
 こういうのが、居るので幽々子は民族浄化などと考えてしまうのかもしれません。
 





 それからアリスが起動してから、爆発しそうな時間が過ぎました。



 おかしい、いつにになっても爆発しないと、幽々子は懐から取り出した懐中時計を見ながら考えていました。

「妖夢、ちょっと、もう一回ありすの様子を見てきなさい」

「はい、幽々子見てきます」

 妖夢は幽々子に命じられて、貨物室の様子を見に行くことにしました。


「……おい、早苗」

 魔理沙は魔理沙なりの小さな声で、早苗さんに話しかけました。

 耳元に囁いて、内緒の話がしたかったのです。歯磨きをしていなかったので、早苗さんにかかる息のことを魔理沙は気にしましたが、今はそれどころではないのです。

「何ですか魔理沙さん?」

「馬鹿。声がでかいぜ」

「馬鹿って私のことですか?」

 早苗さんは、ほっぺを膨らませて魔理沙に怒りを表現というよりも読者様に対して可愛さアピールしました。

「まあまあ、悪かったぜ。私みたいに小さな声で話せ」

「分かりました」

「あいつ、一人なら何とかなると思うんだ」

「へえ、そうなんですか?」

「だから、協力してくれないか? ほのぼのと優雅は一時休戦だぜ」

「嫌です」

「そんな、お前」

「一人でやって下さい」

 仕方がないので、魔理沙は魔理沙一人でどうにかすることにしたのです。

「なあなあ、ちょっといいか?」

 嫌いな親父のように、ゴマすり声で魔理沙は、幽々子に話しかけました。 

「魔理沙何かよう? といれに行きたいのなら残念ね。えちけっと袋にして頂戴な」

「違うぜ。なあ、この飛行機をやめてくれたらいいこと教えてやるぜ」

「聞いてから判断では駄目?」

「仕方ない。それでいいぜ。幽々子はカリフォルニアを知っているか?」

「かりほぉにあなら知っているわ。それがどうしたの?」

「実は、あそこに見事な桜並木があるかも知れないぜ」

「本当にそうなの?」

 半信半疑でしたが、幽々子は興味をいだきました。

「ああ、きっとあるぜ」

「信じていいの?」

「ああいいいぜ」

「わかった。はいじゃっくはやめるわ。元々こんなことしたくなかったの」
 

 幽々子は簡単になっとくしてしまいました。それだけ桜が好きだったのです。

 幽々子は、桜の話に興味を抱いてカリフォルニア行きの便を襲うために、緊急ハッチを開きそこから窓の外に飛び出していきました。

 桜のことばかり気になって、妖夢のことは放置です。そういうことにして、お荷物の妖夢とは本当はここでお別れする口実だったのです。


「いったい。なんだったのあいつ」

「まあ、ほのぼのを盛り上げるために出てきた友情出演だったと思えばいいさ」

 霊夢は、あきれていましたがお腹がすいたので機内食が食べたくなりました。








 そのころ貨物室にて、妖夢は、アリスを発見し様子を見ていました。

 様子を見ていたのです。アリスは、自ら起爆装置を解体し爆発を止めていました。

 これでは、幽々子の計画が駄目になってしまいます。

 しかし、次にどうすればいいのか指示されてその場でおろおろすることしか出来ないのでした。

 次第に、話とは関係なく、おトイレに行きたくなってしまいました。しかし、様子を見なくてはならないので困っておろおろ泣いてしまったのです。

 それでも、次の指示が来ることは有りません。






 そろそろ、話の落ちです。

 そして、フライトの途中でしたが、妹紅と慧音は仕事の終了時刻になってしまいました。

「どうしよう、慧音。このまま、飛行を続けたら残業になる」

「う〜ん、私もそう思っていたところだ。残業しても、給与が出ない」

「幻想郷に帰らない?」

「そうだな、そこにパラシュートがあるから飛行機から降りることにしよう」

 そういうことで、操縦者達は仕事の終了時刻になったので飛行機から飛び降りていったのです。




 

 
「おかしいわ」

 霊夢は、機内食を食べた後に窓の外を眺めていました。

「どうしたんだ? 霊夢? もしかして、何かほのぼの見つけのか?」

「いいえ。ハワイに行くなら下はずっと、海のはずなのにさっきから陸上を飛んでいる」

「たしかにおかしいぜ」

「やっぱり、妹紅の仕事じゃ駄目ね」

「しかたがない、抗議にいくぜ」

「あ、私も行きます。魔理沙さんにいいところばかりとられては優雅じゃありませんから」

 珍しく、霊夢も同行してコックピットに行くことにしたのでした。



 ところで、この飛行機には、いったい何人乗っているのでしょうか?

 その他モブといわれる人々が大勢乗っていますが、彼等は何も感じずただ呼吸しているだけです。

 ですから、さっきのハイジャックでも騒ぐことはありませんしこの先何が起きても身が滅びても座席に座り続けるように、すりこまれています。


「おい、妹紅ちゃんと仕事しろ」

「様子がおかしいです」

「誰も運転していないわ」


 三人がコックピットに乗り込むとそこはもぬけの殻でした。

 誰も運転していません。

 どうして、今まで落ちなかたのかは、ご都合的に早苗さんがいたためだと推測されます。奇跡です。


 
「やばいぜ、何とか着陸させないと、早苗は飛行機の経験はあるか?」

「女子高生が飛行機運転したこと有るなら、みんな経験があると思いますが?」

 いつまで、女子高生のつもりなんだろうと、傍で様子を見ていた霊夢でしたが特に声をかけませんでした。
 
 様子を見ることが一番安全だと、霊夢は知っているのです。

「それもそうだな。霊夢はあるか?」

「私はこういう責任あることはリーダーの魔理沙が適任だと思う」

 別に魔理沙はリーダーではありませんが都合の良いように言われているのです。

「そうだったぜ! 私がリーダーだったんだ」

「頑張って! 応援しているわ」

「霊夢に応援してもらえばなんでも出来る気がするぜ」

 魔理沙は、勇んで操縦桿を握りました。

 操縦桿はAボタンで加速、Bボタンで減速するシンプルな構造でした。

 そして、Tボタン。着陸のTです。

 地面の様子は8000m上空では陸ということしか分かりませんが、もう燃料も無いようです。一回限りの大勝負でした。

 徐々に高度は下がっていきます。

「おい、何だか下はすごい平らみたいだぜ」

「そうね」

 平らな地面をすべるように着陸し見事飛行機は不時着に成功しました。

「やった! 出来たぜ」

「魔理沙はやれば出来るのね」

「優雅じゃありませんでした。でも、助かりました」

 

 外に出てみると、そこは一面の花畑でした。地平線の向こうまで花畑です。何だか見たことも無い花や蝶がたくさんあります。


「なんだか、これほのぼのしていないか?」

「たしかに、ほのぼのしているわね」

 そうです。この自然はほのぼのしていました。全身に感じられるほのぼのでした。

「で、ところでここは何処なんですか?」

「ほのぼのしたところだろ」

「ですから。私も認めます。ここはほのぼのしていますが何処なんですか?」

 いつも優雅な早苗さんもほのぼのしていることは認めます。たしかに、この温暖な気候はほのぼのです。

 でも、何処なのか分かりません。

「知らないぜ。霊夢は知っているか?」

「知らないわ」

「幻想郷に帰りたいです」

 ほのぼのしていても、帰れるかどうかはまた別問題だったのでした。

 花畑のほのぼのは恐怖に変わっていくのが肌で感じられたのです。



 魔理沙はその場に座り込み、花を一本摘みました。花から花弁が一枚とれて、東向きの風に運ばれていきました。





 

 一人、銃座で忘れられていた輝夜は不時着の衝撃で割れた窓から聞こえる3人の会話を聞いて1000年でも2000年でも救助が来ることを待つことにしたのでした。
銃座の話だけで投稿しようと思ったのですが。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
8
投稿日時:
2013/07/27 11:27:57
更新日時:
2013/07/27 20:27:57
評価:
8/9
POINT:
800
Rate:
18.33
分類
魔理沙
霊夢
早苗
アリス
ほのぼの
簡易匿名評価
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POINT
1. 100 名無し ■2013/07/27 20:46:02
ギョウヘルインニ
2. 100 名無し ■2013/07/27 22:15:13
インニ
3. 100 名無し ■2013/07/28 00:47:07
ほのぼの待ってました
おじさんがとても格好良く、私もこの謙虚さを見習って在りたいと思わされました
後アリス爆発保険はやはり重要ですね
4. 100 名無し ■2013/07/28 00:53:58
やはり冒険の先はハッピーエンドですね
5. 100 名無し ■2013/07/28 00:57:27
マジで輝夜のこと途中から忘れてた…参りました。これがほのぼのの力か…
6. 100 NutsIn先任曹長 ■2013/07/28 06:06:13
銃座と聞いて、爆撃機にでも乗ってリメンバー・パールハーバーでほのぼのするのかと思った……。
事切れたアリスの顔は、さぞやほのぼのしていた事でしょうね。
プロ意識に欠ける、バイトの慧音と妹紅……。
命令された事しかできない小心者の妖夢は、小物臭プンプンしとるし……。

今思ったんですが、幻想郷の連中は、一応空を飛べるんだからパラシュートも要らないし、幻想郷の帰還だって何とかなるのでは……。

せいぜい今は、ほのぼのが冷えていくのを堪能していただきましょう。
7. フリーレス 名無し ■2013/07/28 14:25:09
輝夜の落ちが非常にグット
早苗さんの背中ぺろぺろ
8. 100 名無し ■2013/07/28 14:26:37
点数つけ忘れ
9. 100 ふすま ■2014/06/09 09:40:03
読みました。
てゆーか飛行機の操縦ってバイトありませんよねw
輝夜とアリスがかわいそすぎる。
名前 メール
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