よむともやもやするはなし

霊夢の姉御
え？物部？アンタ死んだんじゃなかったの？
姉御、あっしは死んでないでやんす
じゃあ、今さら私の前に現れて何かよう？
あっし、決めたでやんす





　この物部、霊夢の姉御に神社を追い出されたことを今でも思い出すでやんす。
　結婚適齢期を向かえ発情した霊夢の姉御は紫様と結婚するためにあっし達を追い出したでしゃんす。
　あっしには、あの時まだ１歳にも満たない赤ちゃんが居たのに追い出されたでやんす。
　みぞれの降るあの日の夜に追い出されたでやんす。だから、あかちゃんは凍えて朝になったら死んでたでやんす。
　この物部、そのとき姉御に復讐を誓ったでやんす。



「何決めたか、分からないけど今は弾幕ごっこできないわ。お腹に紫が居るの」

　
　紫という妖怪は、歳をとると他人の胎内に寄生して養分を奪い取り若返るでやんす。
　しかも、寄生されている方は紫の耳穴から出るホルモンも影響で多幸感になるでやんす。
　それは、まやかしで紫が再び地上に降臨するときはその腹を打ち破って出てくるそのときにまで幸せを感じ続けるでやんす。

「霊夢の姉御は、あっしのあかちゃんを祝福してくれたのに、いざとなったらあっしと一緒に追い出したでやんす」
「そうよ、紫がそうしろって言ったから」
「姉御！」
「なによ？　そういえば、あかちゃんいないけど大きくなった？」
「赤ちゃんはツェッペリンに空襲されて死んだでやんす」
「そう、ご愁傷様」
「どれもこれも、全部姉御のせいでやんす」
「そうなんだ。えへへへへぇ?　だから、何がしたいのぇ？　物部わ！」

　受け答えによっては殺すよ。お腹に紫が居るけど殺すよ。殺すよ殺すよ殺すよ殺すよ殺すよすよすよすよすよ



　紫という妖怪は、その伴侶を決めると自分以外の生き物を嫌うようにホルモンを顎下から出でやんす。
　だから、あの時霊夢の姉御はあっしらを追い出したでやんす。それで、紫と姉御は二人きりになったでやんす。
　それから、さらに紫は脇の下にある油腺からホルモンを分泌して姉御の脳を麻痺させて寄生したでやんす。


「倍返しでやんす！　倍返してやんす」
「じゃあ、その倍で消すけどいいの」
「姉御のお腹に倍返しでやんす」


　倍返ししようと物部は霊夢の姉御に近付いたでやんす。でもそれがいけなかったでやんすね。
　物部は紫という妖怪の本質は、その胃から発生するホルモンのによって幻想郷を支配してしいたでやんす。
　この物部、まさか夢半ばにして力尽きるとは。もはや、矢尽き刀折れでやんした。