Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/imta/req/util.php on line 270
『このちのひめねずり』 作者: ただの屍

このちのひめねずり

作品集: 9 投稿日時: 2014/02/08 03:47:23 更新日時: 2014/02/08 12:47:23 評価: 4/6 POINT: 460 Rate: 13.86
 四人は仏滅の丑三つ時を選んで人里から離れた所にある雀荘に集まった。持ち点は25000点でレートは100点=霊力0.01。正邪からの親で東一局が始まった。
 正邪は配牌を見ても理牌をしなかった。「十三不塔ってありだったっけ」
 理牌に夢中な他の面子の代わりに早苗が答えた。「ローカルは無しです」
「ふーん」正邪は首を回した。「じゃ、これ」
「おまえ早いよ。まだ理牌終わってないんだから」レミリアはさとりを見た。「さとりも」
 さとりは手の動きを急に止めた。「いえ、並べてるふりです」
「あ、そ。悪かった」レミリアは持っていた牌をひっくり返して並べた。「うん、今終わった。いいよ引いても」
「ロン、跳満」早苗が手牌を晒す。正邪は早苗の手をレミリアは早苗の顔をさとりは早苗の目を見た。
「へえ凄いね」正邪は淡々と点棒を渡した。
 さとりは第三の目を早苗から逸らさず正邪を向いた。「それにしてもついてないですね、役満から跳満って。-60000点ですよ」
「運気が吸われてる感はあるね」正邪は千点棒で手遊びをした。「レミリアが何かしたんでしょ、運命とかなんとか。ちょっと打つの早かったからって、やなやつだよね」
「わたしじゃない」レミリアは“わたし”を強めた。「そもそも配牌の後だった。一度止まった賽の目はそう簡単には変わらない」そう。簡単には、な。レミリアは早苗を見た。薄ら笑いを浮かべた早苗が手の付けられなかった山を眺めていた。
「てことは変えられるんだよね。言質どうもありがとう」正邪は手牌を乱暴に崩して勢い良く山にぶつけた。
 こいつ馬鹿か。それとも早苗とグルか。レミリアはいつの間にか握っていた牌を放すと無言で洗牌に加わった。
 さとりは正邪の堂の入った嫌われ者ぶりに感心すらした。さとりも中々の嫌われ者だが正邪は頭抜けていた。あそこまで行くと悩みなんて無いのだろう。さとりは正邪を羨ましくも哀れに思った。
 さとりに親が流れた。レミリアは早苗を怪しんでいるに過ぎないがさとりは黒だと断定していた。早苗はこう考えている。さとりが何を切ろうとも倍満で和了る。
 さとりの配牌は全て萬子で二二二四四五五六七七七九九九。ドラは三萬。
 牌は6種。早苗の意識がそのまま真実を表しているなら萬子の清一色にドラ三つといったところか。さとりは逡巡の後ある牌を切った。
「ロン、倍満」早苗は八面待ちでやはりさとりに逃げ道は無かった。
「おい」レミリアが牌の角で卓を四度叩く。「ど、う、い、う、つもりだこれは」
「有りえない事ではないのだからなんら不思議ではありません」早苗はピンゾロを六連続で出してみせた。「もう十回ほど出しましょうか」
「天意なのか人為なのかはっきりさせろって言ってんだよそいつは」正邪が洗牌をはじめる。早苗も含めて洗牌中に怪しい行動をしている者はいない。
「誰がそいつだ」レミリアは牌を強めに弾いた。
「必然的奇跡です」早苗の点棒は初めの倍以上に増えていた。
 親はレミリアだ。天和で和了ることはできなかったがまだ目はあった。3つの槓子に雀頭。絶対に一手目で和了る。レミリアは暗槓を宣言すると嶺上牌を引き槓ドラをめくった。雀頭は刻子に、再度暗槓を晒すと槓子になった。三度目の暗槓。次の嶺上牌がこの単騎に重なれば四槓子だ。そうなれば正邪とさとりがぶっとんで終局しレミリアはプラスで終われる。
「レミリア」正邪がドラを指す。槓ドラは全て五筒だった。
「ふん」これで和了れなければどうせ終わりだ。ドラがいくら乗ろうが構わない。レミリアは最後の暗槓を晒す。嶺上開花は来ず新たな槓ドラは五筒だった。レミリアは敗北感を抱えて牌を切った。
「ロン、三倍満」早苗に文句を言う者はいなかった。
 ドラ20すら覚悟していたレミリアにとって意外だったのは数え役満ではなかった事だ。ドラは雀頭の五筒だけだった。さとりはその理由を知っていた。
 正邪はあくびをした。「あれだけやっても生きてるんだ、しぶといね。でもまあ首皮一枚残ったのはわたしの運気のおかげかな」
 こいつは後で必ず殺す。誓いを立てたレミリアは歯ぎしりしながら正邪の煽りを表面上無視した。
 とうとう早苗が親になった。配牌に手を付けたのは正邪だけだった。さとりもレミリアも既に決着を悟っていた。まだ勝負が続いていると思っている正邪は満足のいく配牌に心躍らせた。
「天和」早苗が配牌を一枚ずつ卓に晒していく。その声色は蛙を、手付きは蛇を思わせた。
「ん。まだ見てないだろ」正邪が早苗の行動を咎めたがレミリアは何も言わずさとりは目を伏せた。二人共が祈るような縋るような手つきをしていた。
 牌を晒し終えてから早苗は理牌した。「うん。ちゃんと天和ですね」
「待て。何だそれ」正邪が立ち上がった。
「これできっちり三人同時に箱割れですね。ウマオカは無しで。支払期限は守ってくださいね」早苗が懐から請求書を取り出した。
「馬鹿、誰が払うか」正邪がひっくり返した卓をレミリアが顔面で受けた。
「おまえさっきから喧嘩売ってんのか」レミリアは卓と一掴みの牌を正邪にぶん投げた。
 正邪がそれらを避けると壁に穴が開いた。「分をわきまえろ。最下位のゴミクズが二位に楯突くんじゃない」正邪は落ちている百点棒を拾いレミリアに投げつけた。「ほら、恵んでやるよ。嬉しいだろ」
 さとりはレミリアから顔を背けて笑った。早苗は慌てて九字を切った。
「今死なす」激昂したレミリアを早苗が抑えた。
 レミリアをなだめ、レミリアをなだめ、レミリアをなだめ、正邪を黙らせ、レミリアをなだめ、正邪を黙らせ、レミリアをなだめ、レミリアをなだめ、正邪を黙らせ、支払いを了承させるのに七時間かかった。結局正邪はただの一言もレミリアに謝らず支払いは正邪が2.81、さとりが3.20、レミリアが3.99となった。
 こんなに面白いものを見させてもらってこの支払いならば良い買い物だ。衰弱した早苗としかめっ面のレミリア、晴れやかな風貌の正邪を見たさとりはそう思った。
 酔いから覚めた永琳は守矢神社に対する莫大な借りを合法的に作らされていることに気がついた。連帯保証人には輝夜の名があった。永琳は患者にばれないように霊力を抜き取りつづけたがそれでも間に合わなかったし良からぬ噂も立ちはじめていた。ある夜永琳が麻薬を密造している場面を目撃した輝夜は全てを察し労働を決意した。候補としてはひまわり畑とたんぽぽ畑があったがなんとなくたんぽぽ畑を選んだ。
 仕事の内容としてはたんぽぽの種を集めればいいのだが自然に飛んだ種だけを空中にあるうちに虫取り網で集めなければならないというのでその瞬間が来るまでたんぽぽをじっと見つめる。種を集めるときも体や網の動きで種が飛ばないように注意を払わなければならない。輝夜の受け持ちはたんぽぽ100本。終業時間である二十一時になったとき輝夜の袋には種が一つも入っていなかった。
 輝夜は正邪に呼び出された。正邪も返済のためたんぽぽ畑で現場監督として働いていた。輝夜は事務所の裏に連れていかれた。事務所と木々によって日の遮られた陰気な場所だった。人間の従業員が食い散らかした残飯には蛆が所狭しと湧いていた。妖怪の従業員が食い散らかした屍には得体の知れない卵が大小様々無数に産み付けられていた。何もかもが穢れていた。
「初日ということを考慮しても酷い。ノルマ達成できないとこっちも困るんだよね。これじゃ仕事になんないから代わりの仕事を残業としてやってもらう」正邪は残飯を蹴って輝夜にぶつけた。輝夜は瞬間的に拳を固めた。「清掃活動。胃で処理しろ」
 輝夜は目元にへばりついた蛆を摘んで落とし踏み潰した。「死にたい」肝まで冷えるような声だった。
 正邪は笑い返した。「わたしを脅せるなんて思うなよ。まあ、嫌ならやらなくてもいい、あくまで仕事だから。でも言っておくけど他所はもっと酷い。次にましなのはひまわり畑だけど風見幽香や霧雨魔理沙なんかと働きたいか。戸隠もいるぞ。そういえば、あいつおまえが好きらしいぞ。どうする、おまえみたいなのが働くなんてよっぽどの事なんだろ」正邪が屍を毟り放り投げると卵が割れて産声が上がった。
 輝夜の返事は早かった。「わかった、やるわ。でもわたしの上に立ったなんて思わないことね。その辺りを勘違いすると命を落とすわよ」
 正邪は距離を詰めた。「思わないよ、わたしはおまえで遊ばせてもらうだけだから。確か死なないんだろ」正邪は右腕を掲げ左手を輝夜の肩に置いた。「口、精一杯の先の先まで開いて」
 渋々開いた輝夜の口に正邪は右腕を突っ込んだ。「まず胃袋を空にしなきゃね」正邪の腕は芋虫の様に進んだ。尖った爪が食道を切り裂き掌に残る穢れが傷口に塗りこめられる。「狭い。もっと開かないと死ぬよ」正邪は輝夜に両膝をつかせると首にまわした左手で髪を鷲掴みにし頭部を上向きに固定した。輝夜は正邪の右肩を両腕で掴んだ。
 輝夜の喉が正邪の腕を押し出すように動いた。それは迫り来る死の予感に追い詰められた生存本能が肉体にとらせた行動だった。「こ、こ、か、こ」輝夜の焦点が彷徨いはじめた。
「全くもって楽しいね。生きてて良かったって思うよ」正邪は左手を輝夜の腹に突き刺し胃袋を引き上げた。胃袋を手繰り寄せる右手が胃壁を引っ掻いた。「頑張れ、あとちょっとだからさ」輝夜の手がだらりと垂れ下がった。
 輝夜の胃に内容物は無かった。正邪が輝夜の肩を抑え右腕を引き抜くと輝夜は顔面から崩れ落ちた。「用意周到ご苦労さん。一回で終わりだよ」輝夜は死んでいた。
「おーい、生きてるか」正邪がいい加減な事を言いながら輝夜の服で腕を拭いていると輝夜が蘇った。
 輝夜は胃液と血肉を吐いた。もう出ないものを何度か吐き出そうとした後死にかけの声で言った。「何してるのよ」
 正邪はつま先で蛆を撫でた。「ゴミ袋がいっぱいだったら入らないじゃん」
「自分で吐くわよ」輝夜は顔を拭いて乱れた髪を整えた。
 正邪は卵を転がした。「姫様にそんな事できるのかなと思って。あれでしょ、尻の穴まで他人に拭いてもらうんでしょ」正邪は両手でピースサインを作り指を何度も開閉した。
 輝夜は咳き込みえずいた。「こんな事されるぐらいなら自分でやる」
 正邪は屈んで輝夜と目を合わせた。「そろそろ仕事に移ってもらうけど、自分で食べられる。やってあげようか、あーん、て。ねえ姫様」正邪は舌を出した。
「自分で食べるから」そう宣言した輝夜だったが腐物を直視した途端変な声が出た。一瞬だけ無理だと思った。
 正邪が指を弾き鳴らした。「そういえばわたしひっくり返すのが得意なんだよ。極上の舌にしてあげようか。姫様のお口に合うと思うな」
「いらない」輝夜は力強く答えた。そんな呪いじみたものをかけられては堪らない。
「マゾヒストだなんて意外」下卑た笑みを浮かべた正邪が掌に文字を書き込むジェスチャーをした。「いやいやいやいやそうでもないか。殺し合いがご趣味なんでしたっけ」
「違う。それも違う」こういう輩を無視すると何をしでかすか分からないので輝夜は仕方なく相槌を打つ。
 正邪は急に真顔に戻った。「さ、どうぞ」
 覚悟はしていた。輝夜が両手ですくうと蛆と卵から孵った幼生が手の中で蠢いた。息を止めても臭いが思い出されて吐きそうになる。口にする。最悪の味だった。殻や骨に対して咀嚼はせず血と唾液と意地で流し込む。正邪に喉を開かされたので詰まりはしなかった。輝夜はそれだけは感謝した。戻しそうになっても機械的に抑え込む。
「姫様ってそうやって食事するんだ。行儀悪い。ちょっと幻滅」立ち上がった正邪は輝夜に背を向け顔だけ振り返った。
 輝夜の両手が一旦空になる。体が激しく震えていた。嚥下物は胃で暴れるに留まった。冷たいものがこみ上げてくるのを感じた。悪臭が口から漏れた。輝夜は唇に伝う涙で舌を洗った。
 正邪が地面を二度蹴った。「姫様には悪いけど力使わせてもらったよ。吐かれたら意味無いし。姫様は食事に集中して腹一杯の極地を堪能しな」
 輝夜は豚にでもなった気分だった。人外の食すものを一心に啜り貪る、人より堕ちたる存在。消化されても胃の下へも上へも行けず合わせて三千の命が生まれる以前の姿を取り戻して腹をはだけた輝夜の内で出口を求めて回っていた。止まぬ涙と吐けども吐けぬ喉と舌の動きは満ちたるを知らぬ浅ましき外道を思わせた。
「餓鬼」輝夜が思った事を正邪が口にした。「そこまでして生きたいか」輝夜が何度も考えたことだった。
「生きたいわ」腹を抱えて横になった輝夜の呼吸は今にも消え入ろうとしていた。「苦しい。もうやめて」幻聴かと思うくらいにか細い声だった。
「姫様のお願いとあっては仕方がない」正邪は輝夜を仰向けに転がすと膨れ上がった腹に飛び乗った。「これで終わり」断末魔が口を消化物が腹を裂いて飛び出た。正邪は輝夜の顔を踏みにじった。「壊しても壊れない。これほど壊されるに相応しいものがあるか。ああ、明日が楽しみだなんて針妙丸を騙したとき以来だ」正邪は事務所へ向かった。
 特大サイズの真っ黒いゴミ袋を持って戻ってきた正邪は惨状を一纏めに片付けると固く口を結び焼却炉まで運んで放り込んだ。正邪が焼却炉を作動させると死に直面した者の悲痛で無力な叫び声と不規則に響きわたる壁を叩く音、聞く者の狂気を呼び覚ます熱を帯びた笑い声が夜に木霊した。
 ベッドに横たわるフランドールは笑い声の幻聴によって覚醒した。フランドールにとって狂気とは自己である。故に幻は身内であり発狂は趣味である。フランドールは壁を向いたまま発声した。「あなた誰」
「誰とお話しているの」暗い部屋にこいしの無意識が響いた。
「あなただけど」フランドールは霧を巡らせた。「そこにいるのね」
「凄い。どうして分かったの」こいしの嬉しげな声が通った。
 不動一徹のフランドールは意識だけをこいしに向けた。「いつもよりも息苦しかったから。で、何。それにどうやってここまで来たの」
「お姉ちゃんを殺してほしくて未来からやって来たの。お願い」こいしが帽子を脱いでお辞儀をした。
 フランドールは鼻で笑った。「頭がおかしいんじゃないの。それともわたしの頭がおかしいのかな。どこから何しに来たって」
 こいしはベッドに腰掛けた。「一から話すとね、わたしとお姉ちゃんは地底深くを歩いていたの。なんか悪いやつが逃げ込んだらしくて、そいつを探してほしいって偉いひとがお姉ちゃんにお願いしたの。誰だったかなあ、忘れちゃった。わたし他人覚えるの苦手なんだよね」
「どっちも覚えてない」幾分か真面目になったフランドールがこいしを向いてあぐらをかいた。
「うん」こいしは宙に浮いた足を揺らした。「それでね、えーと、どこまで話したっけ」
「なんだろう、わたしも忘れた。待ってて、今思い出すから」フランドールは人差し指をこめかみに当て目を瞑った。「そうだ。人の名前を覚えられないって話だ。わたしもさあ、外のひとの名前すぐに忘れるんだよね、どうせもう会わないだろうって思うとさ」
 こいしはフランドールの目を見た。「ところであなたの名前を思い出せないんだけど、わたしたちって初対面かしら。わたしは古明地こいし」
「フランドール・スカーレットよ」握手を交わした後フランドールはこいしの手首の脈をとった。「知らない鼓動だなあ。でも忘れっぽいし」
 フランドールはベッドから飛び降りた。「どこから入ってきたの。扉に鍵かけてあったはずだけど」
「開いてたよ」確かめてみるとこいしの言うとおり施錠は外れていた。
「わたし寝相悪いらしいからなあ」フランドールは背伸びをした。「館、散歩するけど、来る」
「うん」フランドールが扉に手をかけるとこいしはその後ろに付いた。
 扉を開いた先には紅魔館の壁も天井も床も無かった。不吉な空気が二人の肌を撫でた。こいしが踏み込もうとしたのでフランドールは慌てて扉を閉めた。「ごめんごめん。わたしが外に出て暴れないように細工がしてあるんだった。でも今日は調子良いから出られるはずなんだけど。自分でも判断つかないほど狂ったのかな」
 フランドールは精神を集中させ合言葉を呟き扉を開いたが地下通路との接続は途絶えていた。フランドールは嘆息した。「わたし、もう駄目なのかな」
 フランドールが呆然している間にこいしがふらふらと歩を進めた。「あ、こいし」フランドールはこいしの腕を掴んだ。本気ではなかったとはいえ吸血鬼の腕力を上回る膂力でこいしがフランドールを引き寄せた。二人が地下室を出ると扉が闇の一部と化した。
「助けが来るまでどうしようか」フランドールは扉の仕掛けに掛かっただけだと思っている。
 フランドールはこいしの手を握り辺りを見回した。「ここどこ」動揺していて今まで気がつかなかったがそこはフランドールの知っている空間ではなかった。真なる静寂による魂の牢獄ではなく人の目には深海と変わらぬ地底深層の洞窟だった。怨霊共の怨嗟の瀑布と暗黒を縁取る黴の群れが二人を出迎えた。
 こいしがフランドールの手から離れて飛翔した。「わたし、思い出した」こいしは三叉路を真っ直ぐ進んだ。
 フランドールはこいしの速度に合わせてついていく。「何を」
「この先に殺してもらいたいやつがいる。未来を変えてほしくてあなたを訪ねたの」こいしは縦ジグザグと横ジグザグを進みながら速さを増していく。
「誰それ」フランドールは片手間に怨霊を一匹始末した。
「すっごくおっかないやつ。そいつがお姉ちゃんを殺したの」更に速くなったこいしが人一人分の穴に飛び込んだ。
 フランドールはわくわくした。「やってみる」
「ここよ」フランドールはこいしに続いて着地した。二人の前方には三百六十度に亘る時空の亀裂が最大七日続いていた。それは時間の崖だった。
「絶対、身を乗り出しちゃ駄目だよ」こいしに言われなくてもフランドールはそのつもりだった。最初扉を開いたときに感じた禍々しさの源がこの深淵に横たわっている気がした。
 こいしが向こう側を指して尋ねた。「分かる」
 その時間の闇は吸血鬼の視力でも見通せなかったがフランドールの体に微かに流れるレミリアの血を眼球に集めることで二人分の気配を感じ取れた。
 一人は目の位置まで分かった。だがもう一人が厄介だった。そいつは霞のように掴みどころがなく存在していること以上の情報は現在時刻からでは読み取れなかった。
 とにかくフランドールは分かる限りの情報をこいしに伝えた。識別できた気配の持ち主がさとりだと判明した。
「さとりじゃないやつを殺せばいいんだよね」フランドールはそいつの目を探しはじめた。
 しかしフランドールはそいつを捕捉できなかった。目が見つからないまま一日が経ち二日が経った。時間の闇はその分だけ薄まり先の気配が濃くなっていった。
「捕まえた」フランドールはようやく見つけた目を破壊しようとした。
「待って。そいつじゃない」こいしが叫んだ。「お姉ちゃんよ。殺すのはお姉ちゃん」
「え」フランドールは手を開いてこいしの正気を問い質した。「何を言ってるの」
 こいしは崖の淵まで歩いた。「時間が進んだから選択を変えなきゃいけなくて、今はお姉ちゃんなの」こいしは黙って見守っていたわけではなく未来に関するモデル計算をひたすら繰り返していた。
 レミリアと祖を同じくする者としてフランドールはこいしの言葉を直感で理解した。「よし分かった」フランドールは目を手放し新たに第四の目を手中に収めた。
 こいしはさとりを想った。「殺されても未来ごと消えて無くなるから大丈夫」
 フランドールはさとりの目を万力のように両手で挟んだ。「じゃ、いくよ」
 フランドールが目を破壊するのに一日掛かった。「やっと壊れた。時間の殻がこんなに硬いとは」フランドールは掌をマッサージした。
「ああああ」突然こいしが頭を抱えた。その理由がフランドールにも分かった。向こうにある二つの気配にさとりのものは無い。筋書きそのものではなく役者だけが変わっていた。さとりは未来の分岐点に立つ存在ではなくなっていた。この先の出来事に必要不可欠な人物でないさとりが死んだところで未来は痛手を負わない。地霊殿にて三日振りの大便をひり出していたさとりの突然死は極めて無意味なものだった。さとりが最後に考えた言葉は糞であった。
「お姉ちゃん、ごめんなさい」吸い込まれるようにこいしが崖に落ちた。
「こいし」フランドールは崖の奥底を覗きこんだ。光闇以前の原初なるものが、万物の名を叫ぶものが、吉凶の中央に立つものが、善悪の外に弾かれたものが、古の掟に従順なるものが、矛盾を正すものが、漂い流れる塵の如きものが、轍の上を走るものが、時計の針を回すものが、全貌なる一部を現した。
 輝夜は正邪に呼び出された。輝夜の目に映る満月は輪郭がぼやけていて兎なんて見えやしなかった。あの日からこうなった。狼の遠吠えが輝夜を慰めた。
 正邪は拳で輝夜の頭を三度叩いた。「や、る、気、あんのか」
 輝夜は正邪の手を払いのけた。「やる気はある。集中力が持たないのよ。あんなの誰だって無理」
「でも他のやつはノルマこなしてるんだよな。おまえこの仕事向いてないんじゃないの」正邪の言葉に輝夜は眉を顰めた。「まあ、やる気はあるっていう嬉しい言葉が聞けたし、今夜は緩めにいこう」正邪は処刑用の鞭を取り出した。
 輝夜は両手を突き出して後ろに下がった。「ちょ、ちょっと、言ってる事とやってる事が違う」
「それでこそわたし、と言いたいが今のわたしは至極真面目だ」正邪は鞭で輝夜の太ももを叩いた。
「痛、くない」その瞬間走ったものは強烈な快感だった。輝夜の鼓動が速まった。太ももの皮膚は裂け血が流れ出ていたが恐怖感は無かった。「どういう事よ」輝夜の脚が打ち震えた。
「わたしが虐めるのって、ノルマ割ったときだけって察してるはずじゃないですか。それなのにまた、って。やっぱ姫様こういうの好きなんでしょ」正邪はもう一方の脚に鞭をやった。
 流血のくすぐりに輝夜は立っていられなくなり四つ足を付いた。輝夜は紅潮した顔をからかわれたくなくて俯いた。
「肌見せてね」正邪は抵抗する輝夜を鞭で打ち据えながら服を剥ぎとった。正邪は輝夜の裸体に感嘆した。「まあ、格が違うっていうか、畏れ多いね。おらこっちにケツ向けろ」
 喜びに変換させられた恥辱や苦痛が鼓動に混じってうるさくて輝夜は正邪の言葉を聞き取れなかった。輝夜は恐怖すら奪われていることに戦慄した。寒さなど微塵も感じなかった。
「楽しみは後にとっておくタイプか」鞭が傷跡を叩くと血が糸を引いた。輝夜が落ち着いてから正邪は言った。「おまえ好きなやついる。嫌いなやつでもいいけど」
「あなた嫌い」輝夜は即答した。
「いやわたし以外で。空気読めよ。一応叩いておくか」正邪は輝夜を転がし腹を叩きのめした。隠さぬ反発と隠せぬ快楽が一つの表情を作り上げた。「いい顔してるよ」正邪は指で長方形を作りその中に輝夜の顔を収めた。
「妹紅っていうのは殺すほどよ」輝夜は腕の怪我していない部分を壁について立ち上がった。
「妹紅ねえ、うーん」正邪が余所見しながら鞭を振るったので輝夜は思わず避けてしまった。「あ、避けるなよ」正邪は手を止めて尋ねた。「なあ、そいつ壊したいか」
「それってどういう意味」輝夜は質問の裏を想定して慎重になっていた。
「意味はないよ、今のところ。だからこうやって会話して意味を探ってる」正邪は唐突に鞭を唸らせ輝夜を叩いた。「とりあえず答えてよ。別にいいじゃん、答えるだけなんだからさ」
「壊したいわ、壊せるものなら」輝夜は正邪に挑発的な視線を送った。
「ふーん」正邪は鞭の間隔を速くしていった。「休んだ分、ペース上げるよ」
 正邪は輝夜の表情を見る為顔だけは叩かなかった。その代わり筋肉が見えても背中を骨が折れても胸を筋が切れても四肢を腸がはみ出ても腹を叩いた。輝夜の表情は死と紙一重の悦楽に歪みきっていた。「これもいい顔だなあ」正邪はカメラのシャッターを切るジェスチャーをした。「みんなに見せてあげたいくらいだね」
 意識なんて失っていたと思っていた輝夜が急に正邪を睨んだ。
 正邪は右手でグーとチョキを交互に繰り出した。「びっくりさせるなよ。わたしの言う事為す事を一々真面目に考えるんじゃない。自分でも訳分からんときあるんだから」
 輝夜は瀕死ながらも正気を取り戻していた。「だからこうやって予め睨みを利かせておくのよ」
「なるほど納得」正邪は鞭を持つ手を振り上げた。「そろそろ終わるか。何発ほしい」
 輝夜の肩が一瞬痙攣した。「一発」
 正邪の手に力がこもった。一度反転させたくらいでは絶頂に傅かない輝夜の魂の複雑さに惚れ惚れした。輝夜の肉体はただ一つの到達点に向かって昇りつめているにも関わらず魂は正邪の仕打ちに強がりではなく純粋なる反発で応えている。輝夜の精神構造は三次元以上か。あるいは魂が原点に位置しているのか。正邪は舌なめずりした。
「慎ましいな。よしそれじゃあちゃんといけよ」鞭が輝夜の肉を切り裂き骨を断つ。切断された輝夜の断面から内臓が湯気を伴いこぼれた。
 輝夜は甘い声を正邪に聞かせることなく絶命に達した。今日に限った話ではない。輝夜が輝夜である限り永遠に繰り返されるだろう。
「死者にくれてやる鞭はないが奥ゆかしい姫様はこんなんじゃ満足できないよな。言わなくても分かるよ。とことん付き合ってやる」正邪は事務所から鉄串と鎖鎌とペンチと臼と杵と熱湯と麻薬と札と墨と十字架と鰐と首輪とオセロを運び出した。
 博麗神社にて、「野球、するなら、こういう具合にしやしゃんせ。アウト。セーフ。よよいのよい」霊夢はグー、早苗は必勝のパーを出した。霊夢は下着を脱いだ。
「その気は無いですよ」早苗は敢えてそう言った。
「分かってるくせに。わたしの存在証明を手放すわけにはいかないのよ」霊夢は太ももを閉じ下半身をくねらせた。「ああ、寒。次いくわよ」
「霊夢さんはじゃんけんの勝ち方を知らないみたいですね。それでは絶対勝てませんよ」早苗は両腕を交差させて掌を合わせ祈るように指を組み合わせると手前にひっくり返して両手の隙間から未来を覗いた。
「所詮確率でしょ」霊夢はそのときにその手を出すだけだ。
「確率は支配するものです」早苗は左の掌を天に向け左手の甲の中心に右手の人差し指を当てると指先を見つめ占術を行った。
 次のじゃんけんで霊夢はパー、早苗は神業のチョキを出した。霊夢はリボンを解いた。
「既に勝敗は決しています」早苗は霊夢に向けた掌を握りしめた。
「寒いわ。急ぎましょ」霊夢は手と手を擦り合わせた。
 次のじゃんけんで霊夢はチョキ、早苗は最強のグーを出した。霊夢は靴を脱いだ。
 早苗は手首と指のストレッチをした。「どんな気分ですか。自分が自分でなくなっていくのは」
 霊夢は答えなかった。霊夢の髪が夜風に揺れた。
 それから霊夢はチョキ、早苗は優雅にグーを出した。
 連勝に次ぐ連勝。容易く全裸になった霊夢を見て早苗は言った。「もう負けなんだから律儀に脱ぐ必要はないですよ。博麗の装束は貰っていきますが」
「分かるでしょう。負けるわけにはいかないのよ」霊夢は左腕を千切った。「続けるわよ」
「いいでしょう」早苗は次のじゃんけんを伝家の宝刀のチョキで勝利した。霊夢が左脚をねじ切ろうとするのを早苗は止めた。「さっきは流されましたけど、このデスマッチをわたしが受ける条件として、今回に限りペナルティをわたしに二つ決めさせてください」
「直接殺すのは無しよ」霊夢は体から力を抜いた。
 早苗の禁じ手のチョキが霊夢の両眼を正確に貫いた。「勝負あった」
「次」霊夢は潰れた眼球を抜き取るとじゃんけんの体勢に入った。
 早苗は肩を回した。「あなた本当に人間ですか」
「人間とか人間じゃないとか、今はそんな事どうでもいいのよ。気にしてたら死んでる」霊夢は右腕の動きでじゃんけんを促した。
 次、霊夢はパーを出してそのまま早苗の右グーを掴んだ。「これって、グーよね」
「右手はね」早苗は無敵の左チョキで霊夢の腕に触れた。「喜んでるところ悪いですが、ルールで認められていますよ」
「分かったわ」霊夢は手刀で切腹し腸を引き抜き捨てた。
 早苗は霊夢の赤黒い腹の内を見た。「なんでそんな。異常ですよ」
「今は右腕さえあれば残りはいらない。だから問題が無い」霊夢がじゃんけんの構えをとった。
 次、早苗は諏訪子直伝のパーで勝利した。
 霊夢は握力で頭蓋を割って脳を投げ捨てた。「まだまだやるわよ」
 やってられるか。早苗の手の内にある勝利は有限だった。霊力が尽きる前にどうにか勝負を終わらせなければならない。
 次、早苗の必殺のグーが霊夢の左胸を突き抜けた。「わざとじゃないですからね」
「別に構わないけど、右腕を使えなくしたらわざとじゃなくてもあなたの反則負けよ」霊夢は早苗が開けた穴から肺を抜き取り地面に叩きつけた。
 次、早苗の奥義のチョキが霊夢の首を切り落とした。「死にぞこない、さっさとくたばれ」
 霊夢は背骨を抜き取りへし折った。霊夢は次のじゃんけんを勝手にはじめた。
「え、待って」その素早い動きに早苗は霊夢への攻撃が間に合わず世界のパーで普通に勝ってしまった。霊夢は癌細胞を切除した。
 霊夢はじゃんけんの掛け声を聞き取れないし発せない。だから霊夢の動きは止まらないし止められない。ルール上問題は無い。霊夢が動いた。早苗に失敗を反省する時間的余裕は無い。手を出さなければ負けだ。
「糞が。消え去らせ」早苗の光速のパーが霊夢の下半身を粉にし衝撃が内臓を液にした。霊夢は空中で右肩を切り離し右腕の断面を地面に接着させた。地面から生えた右腕。それが今の霊夢の全存在であった。霊夢の指が動いた。
 早苗はとどめを刺すべくパーを出した。霊夢はチョキを出した。「嘘」そして霊夢が動いた。
 「いてて」焦った早苗はいくらか髪の絡まった髪飾りを投げ捨てた。そして慌ててパーを出した。「どうしよう」早苗は今度こそ下着を脱いだ。霊夢が装束を脱ぐのを嫌がった理由が早苗にも当てはまった。
「どうしようどうしよう」早苗は不安げにパーを出し靴を脱いだ。
 今の霊夢は誰が見ても博麗の巫女とは識別できない。だからこいつは博麗の巫女ではない。ぬいぐるみの綿だ。その綿に何故負ける。所詮わたしも綿なのか。「そんなわけがない」
 早苗はやけくそ気味にパーを出した。
 連敗に次ぐ連敗。早苗は全ての肌を曝け出した。「なんで」ずっと同じ手でも勝つべき者は勝つ。「わたしは負けない」わたしは栄えある勝利者だ。
 霊夢はチョキを出した。早苗は反則ギリギリのタイミングでパーを出した。
「おえ」早苗の口からグーが生えた。
 あなたはもう片方の手を奥から持ってくると固く握りしめた手を開いて早苗の口を内側からこじ開ける。
「あ、は、は」早苗の顎が外れてもあなたを力を緩めない。あなたに敗北し全てを失った霊夢は骸と成り果てている。
「ひや、ひゃ」早苗の口が裂けた。あなたはより力を込める。血しぶきを上げて早苗の顎が胸に後頭部が背中にくっついた。白目をひん剥いた早苗が倒れた。
 あなたは血の海を這い出る。あなたが外の世界で初めに見た者は紫だ。散らばる屍肉を見渡した紫があなたに歩を進めた。わたしは紫とあなたの間に割って入った。
「何も喋らなくていいわ」紫の両腕が跳ね上がった瞬間わたしは八つ裂きになった。
 あなたは紫に背を向ける。行き先は決まっている。紅魔館だ。そもそもあなたが事を起こしたのは目の位置が悟られたからだ。有りえない事だと思っていたが早苗の霊力が尽きたときそれは起こった。
 あなたは速い。紫が動けばその一手先まで逃げる。だからあなたは紫に捕まらない。あなたを追い詰めるものは時間だ。紫の気配が遠のく。紅魔館が見える。
「止」美鈴が何か叫んでいる。「ま」あなたは飛びかかり、「れ」美鈴の胸を蹴る。「えっ」美鈴は門を突き破り真っ直ぐ飛んで行く。玄関にたどり着くまでに美鈴の体が二、四、八、一六、三二、六四、……、と増えていく。先回りした紫が家主の許可無しに死線を張り巡らせていた。あなたの目にフランドールが軽く圧力をかけた。あなたは急いで次の手を考える。
 あなたは正面突破を諦め紅に染まった地面に潜る。あなたの目的は地下室だ。地下通路に出たあなたは開かれたままの扉に飛び込む。空間は地底界の深層に、時間は中から出れば過去側に外から入れば未来側に繋がっている。
 あなたは時間の崖を目指す。あなたは崖の越え方を知っている。そうでなければここに来る意味など無い。
「十秒の遅刻よ」崖の中空には紫がいた。紫は脚を組みかえた。
 崖に立ち入ったあなたは時間の闇に包まれて一時的に刻の数え方を忘れる。あなたは力比べで紫に敵わないことを知っているがそれでもここを通らなければ明日が無い。館にいる咲夜が異常を察知して時間を止めたがここにいる四人には関係の無いことだ。
 紫が扇子を広げるだけの動作でさえあなたには一日が経ったようにも一秒も過ぎていないようにも思える。あなたは動く。あなたは初動に全てを懸けたつもりだが胴体から切り離された首があなたの命令を全身に伝えることはない。落下するあなたは崖の淵に立つ紫を見る。あなたが今まで見ていたのは過去の紫であなたを殺したのは十秒遅れてこの場に到着した現在の紫だった。
 あなたが点になるのを見届けた紫は踵を返した。紫が一人、また一人とこの場から姿を消した。
「帰りますか」博麗の装束を肩に掛けた早苗がその場を去ろうとした。明らかに死んでいた早苗だが明らかに復活していた。これこそ奇跡であった。
「待ちなさい」紫が早苗の肩に手をかけた。
「あーん」早苗は上目遣いで顔半分だけ振り向いた。「勝者の取り分を置いていけってんじゃないでしょうね」
「その逆よ。もっと欲しくない」紫の口元がつり上がった。「わたしの命とか」
「ほう」早苗の顔の向こう半分が笑った。「興味ありますね」
「まずは場所を変えましょう」紫は鼻に手を当てた。「ここは死臭が酷すぎる」
 押し入った空き家の居間で二人は向かい合って座った。早苗は蝋燭を灯した。明かりに照らされたゴキブリが暗闇を求めて逃げ出した。
「勝負を提案する者として説明に虚偽の無いことをここに誓う」紫はスキマから取り寄せた誓約書に血文字で署名し早苗に手渡した。
 早苗は誓約書をよく読み紫に返した。「聞かせてもらいましょう」
 紫は裏向きの二枚の札を袖から取り出し畳の上に並べた。「とっても単純よ。強力な呪いが掛けられた札を引いた方が死ぬ。これだけ」
 早苗には誓約書が生きているうちに聞いておきたい事があった。というか今聞かないと二度と聞けない。「なぜ勝負を挑んだのか聞かせてください」
 紫は扇子で手の甲を叩いた。「まあ政治的な理由よ。体裁とか。あなたに死んでもらえると処理が楽になるっていうのも一つ。席が空くと仕事が増えて面倒なのよ」
「それなら我々に任せて引退するというのはどうでしょう」早苗は左の札を指した。「これとか引いてみたくありませんか」
 紫は声を上げて笑った。「面白いわ。あなたが引かないというのならわたしがそれを引きましょう」
 早苗は本題を切り出した。「呪いが発動するのってそれを見たときですか。勝敗が決したときですか。例えば片方をめくって白紙、その後もう片方を確認、呪符。これどうなります」
「そんな面倒な事しなくても二人同時に引けばいいじゃない」紫は扇子で首を掻いた。
 早苗は札の上に手をかざした。「あなたは座して待っていてください。底が知れませんから」
「まあいいわ。そう言われる理由は分かってるから」紫は目を細めた。「さっきの例えだけど問題ないわ。呪いが発動するのは勝敗が決した瞬間。勝敗を決めるのは言うまでもなく呪符を引いたかどうか」
 早苗は両手を力強く合わせた。「分かりました。わたしが左右のどちらかを宣言すると同時に両方をめくります。いいですね」
「どうぞ」紫は杯を差し出すような腕の動きで早苗の行動を促した。
 早苗は畳と垂直になるように札の位置を整えた。「では壁まで下がって、声を発さず、瞬き一つ行わず、息も心臓も止めて、わたしが引くまでそうしていてください」
 紫は早苗の言う通りにした。早苗の口元が真剣と愉悦をひくひくと往復した。
 早苗は三度深呼吸すると、「右」と叫びながら二枚の札を引っ掴んで畳に叩きつけた。二枚とも呪符だった。
 早苗は紫に掴みかかった。「あれはなんですか。確率が存在していない」早苗の膝が崩れた。
「どちらかにある呪符を引いた方が負けなのではなく、呪符を引くことになったどちらかが負けなのよ」紫は早苗の手を開いて立ち上がった。「日頃の行いに感謝ね」
 倒れた早苗は天井を見た。四隅が異様に暗いのは蝋燭の光量が足りていないからではない。早苗の唇と喉が微かに動いた。
「もっと大きな声で喋ればいいのに」紫は早苗の瞼を閉ざした。
 もう早苗は指一つ動かせなかった。呼吸が一回りずつ細くなる。一匹の蝿が早苗の鼻先に止まった。
 紫は札を拾い集めた。「あなたは一度殺したくらいじゃ死なないと思って二枚用意したのよ」紫が蝋燭を吹き消すと早苗に再びの死が訪れた。二度目の奇跡は無かった。
 肌身離さず持ち歩いていた請求書が無効になったことで正邪は早苗の死をいち早く知った。もうこの仕事をしなくても済むのは嬉しいが輝夜を虐める機会もこれで終いだ。正邪は輝夜の労働原因を突き止めていた。終業時間は過ぎていたがまだ残っていた輝夜を正邪は呼び出した。
「どういうこと。今日はちゃんと仕事したわよ」腕を組んだ輝夜が強い口調で言った。
 おまえがわたしのルールを口にするなと怒鳴りたくなったが正邪は怪しまれない程度に腰を低くした。「もう我慢できないんだよ。その代わりこれで最後。本当。絶対。嘘じゃない」
「どうにも胡散臭い」虐めを止めるというような言葉をこれまで正邪は嘘でも言わなかったのだが正邪の持つ生来の雰囲気が輝夜にそう言わせた。
「じゃあ帰っていいよ」正邪は輝夜を相手に駆け引きをするのが面倒になった。これで駄目ならもういいやと半ば諦めた。
 正邪の心中を知らぬ輝夜は考え込んだ。正邪は四秒待った。ひとつ闇の下で猫が三度鳴き犬と鼠と虫が二度鳴き梟と蝙蝠と鰐が一度鳴いた。
「ちょっと待ってて」何かを思った正邪は事務所から金棒を持ってきた。地獄で働いている知り合いから借りたものだ。妖怪でも扱いに困るほどの代物であったが鬼の端くれとして正邪は根性で振り回してみせた。正邪は地面に突き立てた金棒にもたれかかった。「どうしてもこれが使いたくて呼んだんだよ」
「分かったわ」輝夜は事務所から桶を持ってきて服を脱いでそれに入れた。ここまで来ると裸を見られることより服を汚されることの方が嫌だった。北風が輝夜の芯を冷やした。「さっきの言葉忘れないでよ。明日からは本気で抵抗するから」
 正邪は屈託なく微笑んだ。「ありがとう。姫様大好き」
「やめてよ気持ち悪い」輝夜は少し後悔した。
「それじゃ」金棒が輝夜の右肩から右脚を砕いた。重心を計りそこねた輝夜は右に倒れた。
「普通に痛いわね」輝夜は欠けた右半身を見た。「どうって事ない感じ」
「気が早い。これからこれから」正邪は輝夜の左肩を金棒で叩き潰し、「ふん」左脚を踏み潰した。正邪は仰向けに倒れた輝夜の頭に金棒の先端を合わせ真横に振りかぶった。スイングが直撃すると輝夜の頭は粉々に砕け飛んだ。「ぽーん、とは飛ばなかったな」
 正邪はすりこぎに見立てた金棒に力を込めて輝夜の胸から腹まで左回りでかき混ぜた。金棒に絡みついていた内臓が元の位置に戻りだすと正邪は金棒を引き抜き輝夜の復活を心待ちに見守った。
 復活する以前に六感も意識もはっきりとあった。自分が再生する様子を一から知るのは初めてだった。正邪が金棒を引き抜いたときにあった違和感が何なのか分からなかった。だがすぐに分かった。
 輝夜の魂は再生の過程を真逆の反応として捉えていた。神経が腐れ視界が闇に侵されていく。「正邪おんはわらわたにしに何がおかきした」言語感覚も崩壊していく。前半身にある大きな空洞が上半身と下半身の連携を取らせてくれない。「こんらいまで危ふぬい」喉が渇く。血が足りない。「早けどらたらばね」頭が痒いのに腕が動かない。耳の奥で虫がざわつく。「今っすねん止れれいてとけろ」魂が肉体から追放される。何もかもが恐ろしくなった。「正邪わ聞こそ遊んじゅず逆じゅんざ金棒ちゃいた戻みせれ願くまの光ら遠とう体い重やしが動いのいの分らいから時間でぬ元さわれん笑かいどみすち一線き超うろたっさのいかさびなんて生かんがねわび殺きりち思か思う違えんじゃきに死ぬん必る蘇こだいま蓬莱山輝夜さり鬼人正邪みみきり殺がばす正邪之一語一句呪言也のい怨敵正邪しか憤いと焼ぶむけれ痛しいる刻ととめば無念に味そそえ正邪こん恨ぶる晴んばる不死ば魂ば軽ばいたすたいずから死く以てて知きしきめる正邪安息ど日も二度か訪はいんど心得とと輪廻がちっと限ろううえに救済ぞらぬもせぬうめて今生にうがしの相見んばしよか祈いでおれ正邪此度ん殺気と忘めるや勿へいばなもなんじ傍ならむ正邪月陰わぬば黒髪ににり夜道もたらば鼓動ゆむりり生者もどむざ息吹すすりぎ正邪仇ご討るる日も遠いだらんずかしき満月が夜どどど起床かる正邪うの魂げ今宵んね呪うればんじ卑やっこ死者らどぞぞろ正邪末期ほうとう覚悟すばきき地獄の立でいる正邪果ららいや名らら正邪判決だんも下かしこ処すくるわれじ正邪死も思い断罪ざ始からって正邪感謝せい落にきりばったん刃ろ速ぎ鋭きいちっこ至たたい過程ばそそ贖罪ん宿るとね正邪一切こもって詫にしちれ正邪」
 正邪は腕を限界まで伸ばし金棒の先で物言わぬ輝夜を押した。反応が無かったので少し近づいて強めに突いた。「大丈夫だよな。死んだよな。大丈夫だよな。生き返らんよな」正邪は恐る恐る輝夜に触れ安全を確認すると金棒に腰掛けさせるように輝夜を背負い夜空を駆けた。
 結果は予想通りと言えたが過程が想像以上だった。正邪の体には興奮がまだ残っていた。「これで最後なのが惜しい」
 永遠亭に着いた正邪は輝夜を門の前に降ろすと指切りをした。「おまえの言った事忘れないから治ったらちゃんと遊びに来いよ。約束だからね、姫様」正邪の胸中には輝夜の復讐に対する怯えなど無い。殺されないと確信しているからである。
 正邪は金棒で門を叩き壊し声を張り上げた。「ごめんください」
 焦燥を孕んだ足音の接近を確かめると正邪は飛び去った。正邪は金棒を振り回しながら次の獲物を探し求めた。夜が明けるにはまだ早い。
 自室にいる紫が膝の上に生首を抱えていた。紫はその頬を優しく撫でた。頬肉を摘むと赤蛮奇が声を上げた。「何ですか」
「調子はどう。気になったの」紫は猫背になって赤蛮奇に体重をかけていった。
「結構きついですね。首と違って体の方を動かすのはしんどいです。飛ばすこともできないしで本当に探り探りながらで。力を目として使うのもまだ慣れません。でも耳と鼻を置いてきたのは良かったかもしれません。ここうるさそうで臭そうです。あと口もですかね。怨霊って口から入ってくるイメージがあるので」紫の依頼で赤蛮奇の胴体が地下深層を歩いていた。陰陽玉ではノイズが酷すぎるということで赤蛮奇に白羽の矢が立った。
 紫は姿勢を正し机の上にある書類の山にサインをする。こればかりは藍にも任せられない仕事なのだが紫は一筆書くたびに休むので中々捗らない。
 赤蛮奇は考えても分からなかったことを尋ねた。「異変だったんでしょうか」
「異変じゃない。誰が何を何のためにしたのかが分からないから」紫は赤蛮奇の耳たぶを両側に引っ張った。「でもまあ、認識的には異変でいいんじゃない。新聞にもそう書いてあるし」
「本当に死体有るんですかね。見つかる気がしないんですけど」地下深層の全容を知る者は誰もいないと言われている。赤蛮奇は絶え間なく現れる怨霊共の仲間になりはしないかと気が気でない。
「怨霊でもいいのよ。怨霊なら簡単には出てこれないから」紫はペン先をインクに漬ける。
「実は生きてるとかないですよね。それでわたしが人質になったりしたらどうしよう」場所が場所だけに赤蛮奇の思考は悪い方へと進んでいく。
「そんな事になったら悪いけど見捨てるわ。だからへましないでね」紫は煎餅を半分に割って赤蛮奇にやった。
「あの、そういうときは嘘でも助けるとか言いませんか。お茶ください」赤蛮奇は狭い通路を這って移動した。
 紫は懐から取り出した誓約書を赤蛮奇に見せ空いてる手でお茶を飲ませた。「嘘つくわけにはいかないのよ」
「なんでこんなもの持ってるんですか。饅頭ください」赤蛮奇は斜面を慎重に下っていった。
「そりゃあ嘘をついていないことを証明するためよ」紫は割った饅頭の半分を食べた。「がっつくわね」
「だってこれが最後の晩餐になるかもしれないんですよ、晩じゃないですけど。なにせ見捨てられるような命ですから。ああ言ってて悲しくなってくる。金平糖ください」赤蛮奇は纏わりつく怨霊を追い払った。
「確かに見捨てると言ったけど誰が人質にされても見捨てるわよ。一応手は尽くすけど」紫は七色の金平糖の紫を自分で食べ赤を赤蛮奇にあげた。
「今わたしは安心感が欲しいんです。ここめっちゃ怖いんですよ、分かります。あなたぐらい強いと分からないでしょうけど」赤蛮奇は二叉路を左に折れた。
「分かるわよ。わたしでも怖いもの、そこ」紫は赤蛮奇のつむじに親指を押し当てた。
 赤蛮奇は立ち止まった。「すみません、いいですか。確かあのときはそんな事一言も言いませんでしたよね。不可侵の条約があるから仕方ないって。何とかなるって。え、怖いってどういう。ここってそんなに危険なんですか」
「あのときはあのときよ。一応嘘じゃないし。仕事したくないし。生きてたら嫌だし。怖いし」紫はペンを筆入れにしまうと机にうつ伏せになった。
「嘘です。信じられない」赤蛮奇は後退した。「帰ってもいいですか。いいですよね。もう無理です。こんなところにはこれ以上いられません。心臓止まりそうです」
「もういいわよ。悪かったわね」紫は落ち着きの良い姿勢を探しはじめた。「後で陰陽玉いじるか」
「お姉ちゃん」赤蛮奇の地声ではなかった。
 紫は瞼を閉じた。「今のは何」
「今のはわたしじゃありません。帰ろうとしたら急に何かが入ってきました。ほんとここやばいです。今すぐ帰ります。ていうか帰りぐらい迎えに来てくれませんか」帰路につく赤蛮奇は命綱を手繰る手を止め紫の言葉を待った。
「ごめんなさい。眠いから寝るわ」紫は十二時間の眠りについた。
 静寂に耐えられなくなった赤蛮奇は一人で喋りはじめた。「ひどいよ。ひどいひどいひどい。ひどいひとだ。ああ気持ち悪い。湿度100%だから。気持ち悪い。寒さも相まって。全身が水中にあるのに何故か息ができる感覚。水飲んだ溺れる。違う。汗だ。わたしの頭は無事だ。大丈夫だ。気は確かだ。怨霊だ。怨霊が悪さをしている。駄目だ。わたしだけじゃ狂いそうだ。ほんとにこのひと起きないのかな。起こしたら怒るかな。でもなあ。あの。紫さん。起きてください。朝ですよ。いや朝だから寝てるんだ。夜だぞくそばばあ。たまには早起きしやがれ。これはわたしじゃない。あのう。藍さーん。橙さーん。ちっ。駄狐に駄猫が。呼んでも来ねえじゃねえかくそばばあ。躾はどうなってんだよ。だからこれはわたしじゃない。わたしみたいなのがこんなこと言えるわけないじゃないですか。怨霊が全て悪い。わたしは悪くない。悪いのはどう考えてもこいつ。このくそばばあ。案外こいつが今回の騒ぎの黒幕なんじゃねえか。いや詳しいことはなんも知らんけど。わたしじゃないんだよ。わたしごときがこんなこと口走ったら瞬殺だから。怨霊だよ。怨霊が多くなってきている。このばばあみんなから恨まれてるんじゃねえのか。こいつの悪口言いはじめたら怨霊共が生き生きしだしたぞ。どういうことだよ。ていうかそろそろわたしの身も心配だ。大丈夫なのか。こんなに怨霊の影響受けて。後遺症とか無いだろうな。わたしはあんたらの依代じゃないんだ。嫌だなあ。死にたくないなあ。死にたくないよう。助けて。お姉ちゃん。ごめんなさい。お姉ちゃん。ごめんなさい。お姉ちゃん。ごめんなさい。誰のお姉ちゃんだよ。わたしのじゃないよな。わたしには姉も妹もいない。明らかに怨霊だよなあ。やばいなあ。早く出ないと。でもあと一時間ぐらいあるんだよ。いや帰りはこれ辿るだけだ。でもってやばいよなあ。急がないと。お姉ちゃん起きて。何言ってんだ。これをお姉ちゃんと間違えるなんてとんでもないやつだな。まあ怨霊になるぐらいだしな。逆に言やこんぐらいでないと怨霊に成れないんだろう。嘘。命綱が切れた。誰だよ。絶対怨霊の仕業だろこれ。だってフェムトファイバーだよ。絶対怨霊だろ。お姉ちゃん。ごめんなさい。お前か。お前の仕業か。お姉ちゃんに謝れ。お前のせいでお姉ちゃん帰れないじゃん。わたし地上までの道知ってるよ。わ。馬鹿。勝手に体飛ばすな。頭離れてるから上手く制御できないんだよ。大丈夫わたしに任せて。つーかもうわたしじゃ体動かせないんだけど。本格的に終わったねこりゃ。地獄行き確定じゃん。待て待て待てい速い速い速い。ぶつかる。危ない。止まれ。急に曲がるな。わっ。服が壁に触れた。ぎゃー。うわー。ひえー。死ぬ死ぬ。死ぬー。死ぬー。死んだ。あー死んだー。いやー。光が見えるー。お姉ちゃーん。だからお姉ちゃんはいないって。とうとうこの世とお別れ。いやあれは電灯だ。あの世の道標じゃない。出れた。と言ってもまだ地底上層だけどな。しかし助かった。後はまあ楽勝。余裕のフィニッシュ。やった。地上。生き返る。そういや憑いてた怨霊が消えてる。成仏したか。南無。アーメン。今思えば悪いやつではなかったな。外に出してくれたし。それにしても娑婆の空気は美味い。特に今は格別だな。よし行くか。夜が去る前に」
 体を取り戻した赤蛮奇は報告書を書き終えると紫の頭を二度叩いた。「怨霊のせい、怨霊のせい」
 早苗、わたし、こいし、美鈴が卓を囲んでいる。「ドラは東」「おお、ダブ東でドラ三つ」「最低満貫かよー」「わたしもドラ三つあるよ」「なんで」「この牌と同じのだと勘違いしてるんじゃ。北の次だからドラは東ですよ」「東南西北」「白發中」「あ、そっか」「東って言ったよね、このひとが最初に」「切ります」「あ、うん。はい」「これ」「北切るかあ。刻子だろう」「タンヤオ大好きだから」「わたしは残しますね、安牌としても」「普通はそう。早苗の手早いと思うよ」「そこはひとそれぞれだよね」「チー」「鳴くねー」「テンパった」「言いません」「他人の河見ても待ちとか分からないんですけど、あれって本当に分かるんですかね」「知らん。論外。降りるときは現物切り一択」「わたしは自分の河すら見てないよ。だからたまにフリテンする」「それは別の問題では」「でも染め手とかチャンタは分かりませんか」「国士が分からない」「ポン」「東が残ってるし今度こそテンパったんじゃない」「ぽいね」「でもあれ以上は役が乗らない感じですね」「12000で十分でしょ」「5翻だけ食べてもねー、おかずもないと」「鳴くと流れ変わりますよね」「そういうの信じる派」「ええ」「まあそれなりに」「信じませんね」「わたしも」「鳴きまくっておいてタンヤオのみとかうざくないですか」「いえ別に」「オーラスだとうざい」「それはうざい」「順位変わらなかったりすると槓ドラ裏ドラどっかーん」「いや全然ありですよ。さっさと切り上げて次に移るっていう意味で」「え、やる派」「やりますね」「リーチ」「もうツモる牌無いですよ」「大丈夫。ツモれるから」「とりあえずヤオチュウ切っとく」「そういや途中からベタ降りでしたね」「うん、配牌が即死してて復活は無理だった。てか、よく親満に突っ張れるよね」「まあなんとかなる」「根拠は」「勘」「何も考えていないと同義」「流し満貫消えましたね」「おー」「ほんとだ。北落としはこのためだったか」「違うよ。だって今気づいた」「さっきあんな事言ってたけど、絶対上手いよね」「よく見てますよね」「意識が違うんだろうね」「プロだ」「褒めても東しか出ませんよ」「槓したいです」「何で持ってるの」「今引きました。じゃあ、あえて西で」「海底」「ノーテン」「同じく」「テンパイ」「ノーテン」「ほんとにタンヤオ作ってるし」「三色確定してるのが笑い所ですね」「早苗ノーテンって」「あとひとつが引けませんでしたから。惜しかったなー」「あー、流れ変わったねー」「完全に変わりましたね」「流れとか無いから。そういえば早苗鳴きまくるやつうざいって言ってなかった」「あれは喰いタンの話です。いやー、あれで来ないとか引きおかしいですよ」「流れだね」「そうですねえ」「早苗まで」「てことは」「よろしい、認めましょう」「じゃあ結論としては」「流れはある」「あります」「ありますね」「あるねー」
 初めはさとりに三倍満を振り込ませるつもりでしたけど天和か暗槓でどうしても逃げられてしまいました。わたしには思いつかなかったけど実際にはできるのでしょうか。
ただの屍
作品情報
作品集:
9
投稿日時:
2014/02/08 03:47:23
更新日時:
2014/02/08 12:47:23
評価:
4/6
POINT:
460
Rate:
13.86
分類
Ugoii
Ulloy
簡易匿名評価
投稿パスワード
POINT
0. 60点 匿名評価 投稿数: 2
1. 100 名無し ■2014/02/09 00:17:50
たんやお
2. 100 名無し ■2014/02/09 02:29:12
すばらしーしーがもれました
4. 100 名無し ■2014/02/09 15:21:11
ヤバイ、途中の部分を読んでる内に訳が分からなくなってきた。
何の話だったっけ、コレ?
5. 100 名無し ■2014/02/13 09:01:46
えろすとたなとす
名前 メール
評価 パスワード
投稿パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード