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『自傷癖魔理沙ちゃん』 作者: りょーむ

自傷癖魔理沙ちゃん

作品集: 12 投稿日時: 2015/07/01 10:37:15 更新日時: 2015/07/01 19:37:15 評価: 1/2 POINT: 130 Rate: 10.33
博麗霊夢が死んだ。
死因は自殺だったらしい。少し前にこれまた自殺した、東風谷早苗という巫女の腕を抱き締めて、自らに弾幕を叩き込んで死んだという。
東風谷早苗の死に様は、そりゃあもうひどいものだったという。自らの腕をめちゃくちゃに切り裂き、両の目玉を抉りとった上で、自分の体に弾幕を叩き込んで死んだのだ。騒ぎを聞きつけ駆けつけた私が見たのは、弾幕に巻き込まれてか崩れ落ちた建物と、その残骸に埋もれるようにして四方八方に散った、見るも無残に引きちぎれた彼女の肉体の一部たちだった。
その中から東風谷早苗の腕を探し出し、霊夢に届けたのは、他でもないこの私だ。早苗に恋い焦がれていた霊夢に、盗み出してきた彼女の死体の一部を手渡してやったのだ、そう、ほんの冗談のつもりで。
それがまさか、こんなことになるなんて。
霊夢の死体もまた、片腕を欠損していたらしい。早苗の腕を見たことで、同じようにしようとしたのだろうか。何でも裸だったそうだが、もしかすると彼女は他の部位も切り落とすつもりだったのかもしれない。
そして、彼女の腕を抱き、彼女と同じように弾幕を自らに浴びせ、そして命を断ったのだ。
博麗霊夢の死のうわさは、瞬く間に幻想郷中に広まった。そしてそれを聞いた奴らがまず気にしたのは、博麗の巫女が死んだことによって幻想郷がどうなるか、だった。その点については紫が何とか手を打ち、また新しい博麗の巫女を連れてきたというが――私はそんなことどうでもよかった。
私のせいなのだ、彼女が死んだのは。きっとそうだ。
博麗霊夢。誇り高き楽園の素敵な巫女。幻想郷の守り人。
きっと彼女が本当に心を許し、信頼していたのはこの私だけだった。それなのに、他でもないこの私が――彼女を死なせたのである。
そう考えると無性に悲しくて、なんてことをしてしまったのかとひどく苦しくなった。彼女は私のことをかけがえのない友だと思っていてくれたのに、私はその霊夢を裏切ったのだ。ほんの冗談、なんて言って、彼女を殺してしまったのだ!
「霊夢・・・ごめんな・・・ごめんなぁ・・・」
知らず、嗚咽がこぼれた。しかし答える声はない。あるはずがないのだ、霊夢は死んでしまったのだから。
それにここには私しかいない。霊夢の死の報せを聞いて自宅に閉じこもってしまった私に会いに来る者は誰もいない。きっと皆、私がこうして傷つき苦しんでいるのを察してそっとしておいてくれているのだろう。
ああそうだ、本来かくあるべきなのだ。大切な友人が、まして密かに焦がれていた友人が死んでしまった者に、わざわざその死に様を教えに行く者などこの幻想郷にはいない。そう、私以外には。私だけが、その気持ちを慮ることもできずに霊夢を死なせてしまったのだ。
「ごめんな、ごめん、ごめん霊夢、辛かったよな、傷つけたよな・・・ごめんなぁ・・・」
ああ、何度謝ろうと彼女は帰っては来ない。私を許してはくれない。
どうすればいいのだろう。どうすればこの罪を償えるだろう。どうすれば私は彼女に許してもらえるのだろう。
(・・・死んでしまいたい)
不意にそう思った。死んでしまいたい。死んで彼女に会いに行きたい。死んでしまいたい。そうすればこの苦しみから解放される。死んでしまいたい。・・・・・・死ぬべきだ。私は。
そうだ。死ねばいいのだ。そうすれば彼女に謝ることができるのだ。そうすれば彼女に償うことができるのだ。そうか。・・・そうだ。
嗚呼、どうして気づかなかったのだろう。そうするしか私には無いのだ。私はそうするべきなのだ。
ゆっくりと、自らの腕を持ち上げる。この腕を切り裂こう。そしてその血を彼女の死に水としよう。それで彼女はきっと救われる。彼女が救われたら、きっと私も救われる。
さあ、手首にナイフを当てて。ゆっくり、慎重に、押し付ける。肉が深く沈む。薄い刃が食いこむ。ーーあとは思い切り引くだけだ。それで、それで私と彼女は、救われるーー




「・・・それでな?でもよ、それって違うんじゃないかと思ったんだ。だってよ・・・聞いてんのかアリス?だってよ、霊夢は私が死んだら絶対に悲しむじゃないか。だって私たちは親友だったんだぜ?私が死んで、霊夢が救われる訳ないじゃないか。おい聞いてるかってばアリス!・・・まあいいけどよ・・・。・・・ごほん、だからよ、きっとこれで霊夢に会いに行ったってあいつに叱られるだけだろうなって思ったんだ。私なんかのために死んだりして馬鹿!ってな具合にな。そんで泣くんだ。あいつが死んだ時の私みたいにわんわん泣くんだ。大事な友達にそんな思いさせるわけにいかないだろ?だから私はやっぱり生きることに決めたんだ。あいつの分まで生きてやるのが、私にできる償いだって気づいたから。だから私は生きてくぜ、あいつの分まで幸せに!!・・・なあってば、聞いてんのか、アリス?」






(嫌だ嫌だ死にたくないなんで私が死ななきゃいけないあいつが勝手にしんだんだわたしは悪くないわるくないわるくないしにたくない)
自傷癖シリーズおしまい。すごく遅くなりました。そしてもはや自傷してない。
自分勝手で自己中で自己愛な魔理沙ちゃんが書きたかった。彼女は皆大好きなつもりだし、皆も自分のことが大好きだとおもってる。けど実際は・・・知らぬは本人ばかりなり
りょーむ
作品情報
作品集:
12
投稿日時:
2015/07/01 10:37:15
更新日時:
2015/07/01 19:37:15
評価:
1/2
POINT:
130
Rate:
10.33
分類
霧雨魔理沙
リスカ未遂
馬鹿
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POINT
0. 30点 匿名評価
1. 100 レベル0 ■2015/07/03 09:05:09
おぉ、新作ですか。
そして堂々の完結。
お疲れ様です
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