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『アリスを丸坊主にしたい!!!!!!』 作者: 狼狐
アリスを丸坊主にしたくなったのですることにした。
平和で優雅で和やかな朝。カーテンの隙間から挿しこんでくる太陽の光に照らされた私、アリス・マーガトロイドはゆっくりと起き上がった。
シャッとカーテンを開け、暖かい光を全身で受ける。いい天気、今日もいいことありそうね。
「んん……おはよう、アリス」
部屋に入る日光が増えたからか、私のベッドでいっしょに眠っていた狼狐さんがのそりと起き上がってきた。
「おはよう」
私も彼の挨拶に挨拶で返し、てくてくと近づく。まだはっきりと覚醒していないのか、目がとろんとしている。
くすりと笑いながら、彼の顔の前でパン! と手で大きな音を響かせる。びくっと体を揺らし、彼の目がはっきりと開いた。
「お目覚めかしら」
「あぁ、うん。ありがとう」
そういって、彼はにこりと私に笑いかけた。そのまるで毒気のない笑顔に見とれ、私は思わず自分の唇を彼の顔に近づけた。
あと少しで私の唇が彼の唇に触れる、と目を瞑った瞬間、がちりと何かに顔を掴まれた。
驚いて目を開くと、私の顔を掴んでいたのは他でもない狼狐さんだった。……え? 何? なんで?
頭の中が疑問符でいっぱいになる。突然、何? どうしたの? どうして? 表情はさっきと全く同じ。
でも行動はまるで違う。優しかった彼がするはずのない行動、それを他ならぬ彼がしている! 理解できない!
どんどん混乱が私に襲いかかると同時に、私を掴む手の力がぎゅっと強まった。
「あがががが……」
万力のような力で私の顔がぐにぐにと歪められる。ぴったりと私の顔に張り付いた手は、呼吸を許さない。
手を引き離そうと両手で彼の腕を掴むが、まるで動かない。彫刻のように硬いその腕は、私を逃がす気はないようだった。
段々と、恐怖の質が変わる。何故されているのかという困惑から、何をされてしまうのかという不安に。
このまま私の顔を握りつぶすつもりなのだろうか? 嫌だ、怖い! 愛した男に理由も知らされず殺されるなんて、絶対に嫌!
「わた……し……何か……した……?」
何とか呼吸の軌道を確保し、彼に問い掛ける。何をされることになろうと、とにかく聞かなければならないこと。
昨日までは幸せだったはずなのに。昨日までは何の問題も不安もなくいっしょに過ごしていたはずなのに!
でもひょっとしたら。もしかしたら私が気づかずに何かをしてしまったのかもしれない。だったら聞かなきゃ、謝らなきゃ!!
そう思った故の問いかけだったのだが――
「別に」
にべもなく、切り捨てられる。希望も期待も、全部、ばっさりと。ばっさりと――ばっさ、り?
ばっさりと、何が床に落ちた音がした。音の方に目を向けると――そこにあったのは金色の髪の毛。
それは毎日見てるもの。毎日触れるもの。私の、私の髪の毛!
目を別のところに向けると、彼の私を掴んでいない方の手には、大きな鋏が握られていた。
その刃に絡みつく金色の糸、私の髪の毛! あの鋏で私の髪の毛をばっさりと切り捨てたのは明白だった。
思わず悲鳴をあげたくなるが、更に強まった彼の手のひらはそれすら許さない。それどころか再び鋏を私の髪に近づけている!
魔女の髪の毛には魔力が宿る。長ければ長いほど、貯めておける魔力は多い。……そんなこと何の関係もないッ!!
毎日毎日手入れをした。丁寧に、丁寧に! 自分のために、彼と出会ってからは彼のためにひたすらに!
その髪の毛が、彼によって無常に蹂躙されていく。ばさり、ばさりと切られていく!
ぽたぽたと涙を流す以外、私ができることは何一つなかった。やがて鋏の音が弱くなっていく。
切れる髪の毛の量が減ったからだろう、現に私の視界に入る落ち行く髪の毛は明らかに少なくなっていた。
と、彼が鋏を置いた。終わったの? ……だが、彼が新しく手にもった物を見て、そんな期待は吹き飛んだ。
その手に握りしめていたのは剃刀。彼はそれを私の頭に近づけ――じょりじょりと、残り少なくなっていた私の髪の毛を剃っていった。
時折鋭い痛みが走った。乱暴かつ適当に剃っているからだろう、私の頭の皮膚を彼は傷つけてしまっているのだ。
だが彼の表情はまるで変わらない。楽しそうでもなく、悲しそうでもなく、ただ張り付いたような笑顔のまま作業を進めていく。
と、全部剃り終えたのか、彼は剃刀を置いて、私を掴んだまま立ち上がった。私を引きずりながら、部屋を歩いて鏡の前に立つ。
「はい完成」
突然手を離され、私は床に顔から落下した。鼻を打ったのか、ダラダラと鼻血があふれ出す。
そんな私の首根っこを彼はがちりと掴んで持ち上げた。いつのまにか持っていたタオルでガシガシと私の頭の血をふき取り、
私の姿を鏡に映す。私の頭は――きれいに、ツルツルになっていた。
「なんで、なんでこんなこと「キレイだよアリス」えっ……!?」
「お金がないからこれで我慢してくれないか、エンゲージリングの代わりさ」
そういって、彼は照れくさそうに笑った。私もにっこりとした笑顔で答える。
「ざっけんな」
腹パンチを入れようとしたが避けられカウンターで顔面パンチを喰らい私の意識は真っ黒になった。
これが俺とアリスの馴れ初めです。もう俺アリスしか書かねェ
狼狐
作品情報
作品集:
1
投稿日時:
2009/03/10 12:30:46
更新日時:
2009/03/10 21:30:46
分類
アリスと
結婚
したい
もっとやれ
産廃史に残るな。