白玉楼異変

「ゆゆゆゆゆこさまァ〜〜〜〜〜！！」
「何よ妖夢、次の瞬間主人公に頭を吹き飛ばされそうな魔物のような声を出して」
「大変なんですよぅ、白玉楼の家計が！」
「あーはいはい、赤字ってわけね。……あ、言っちゃったから黒字ってオチかしら」
「家計簿がないんですよぅ！！」
「斜め上！！　ズルい、それはズルいわ妖夢！」
「ちなみに付けてる時点では赤字でした」
「あぁうん、ごめんなさい」
「とにかく！　家計簿がないと白玉楼は崩れ世界は闇に包まれ幻想郷に光輝く黄金の勇者が現れることでしょう！」
「落ち着いて今自分が口走ったことを省みて。恥ずかしいでしょう」
「いいえ！！」
「そっか、刀持ち少女＝全員中ニ病って法則があったわね世界には。それで？
　結局何が問題でどうすれば解決できそうなの？」
「食費を何とかすれば……」
「あれ、家計簿なくなったくだり丸々いらなくない？　家計が赤字でしたでよかったんじゃない？」
「そうとも限りません。一見無意味なシーンは伏線の可能性があります」
「その発言が伏線の可能性を０にしたわね。まぁいいわ。
　実はね、食費を減らししかし食事量は変わらない方法を一つ考えてあるの」
「へぇ」
「興味なさげ！？　お願い、聞いて」
「どうせアリス不老不死にすれば食べ放題じゃね？　とかそんなレベルでしょう？」
「当てられた！！！　一字一句残らず当てられた！！」
「これのお陰です」
「何それ、怖いわね。すっごいこっち見てるわその『目玉』」
「ちょっと借りてきました。穏便に斬り捨てて。地霊殿とかいうところの主から」
「あら、貴方いつのまにそんなに強くなったの？」
「煩悩で頭を満たして不意打ちしました」
「えげつない……」
「ありがとうございます」
「これからも精進しなさい」
「はい！」



「というわけで早速アリスを捕まえてきました。気絶中ですが」
「違うわよ、よく見て妖夢。これパルスィとかいう妖怪よ」
「産廃絵板で人気なのでうっかり連れて来ちゃいました」
「間違いなくうっかりじゃないわね。駄目駄目、帰してらっしゃい」
「はーい。その前に一応『さとりんズ・アイ』！！　心を読み取るッ！！」
「何それスタンドみたい」
「どれどれ　『時々　猫や鴉など自分より強いものを妬むと胸がスっとして気分がいい』
『新作自機の早苗を無理やり妬んでやりたいが自分は二面ボスだからできない』
『よく陰毛が汗でムレ　その毛を弾幕中に拭き取る時　敵に見られやしないかとスリルがあって最高だ』
ズルいな女ですね…　こんなヤツと弾幕ごっこしたらプレイヤーに好かれるに決まってます」
「何よプレイヤーって。メタな発言は芸を狭めるわよ？」
「元々狭いじゃないですか」
「そうね」



「さて、今度こそアリスを」
「違うわルーミアよ」
「そーなのかー」
「そーなんですよー」
「そーなのよー」
「じゃ帰るね」
「バイバイ」
「また遊びにいらっしゃい」



「あと残ってる金髪はっと……」
「いいからさっさとアリス連れてきなさい」



「つれて来ましたー」
「もがー」
「今度は本物みたいね」
「蓬莱の薬は既に飲んでくれました」
「無理矢理？」
「いえ、自主的に」
「あら、思い切ったことするわねこの子。自ら罪を被るなんて」
「正確に言うと無理矢理ですけどね」
「……どうやって飲ませたの？」
「縛って殴って流し込みました」
「それはどんなに時代が変わっても無理矢理ね」
「かもしれません。悲しいですね、移り行く時代って……」
「さては貴方人の話まるで聞いてないわね？」
「答えはＮＯ」
「偉そうね。でもよかった、ちゃんと聞いてるのね」
「これ以上この身をこの魂を血で染める気はありません」
「やっぱ聞いてないわね、或いは貴方の脳みその中では私の言葉は中二変換されてるのかしら」
「そうですね、それじゃそろそろ夕飯ですね」
「聞いてないで正しいみたいね」
「んじゃ早速調理を」
「あれ？　妖夢が料理するの？　料理係が妖夢って二次設定じゃないの？　それ」
「たまにはいいじゃないですか、日ごろの感謝を込めて、ですよ。ゆゆゆゆこ様にはお世話になっていますから」
「ふふふ。……感謝するのは私のほうなのにね。私の傍にいてくれて、ありがとう。楽しみにしてるわよ？」
「任せてください、腕によりをかけて作りますよっ！」