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『さよなら幻想郷』 作者: ぽっきん
幻想郷。幾千年の時を重ね、数々の歴史を気づいてきたその美しい世界は
八雲紫の死を期に終焉をむかえることになった。
彼女の境界を操る力が消えたことにより、所構わず現れた隙間に人間や妖怪は飲み込まれ
幻想郷の形は壊れていった。
迫る幻想郷の消滅の恐怖に、ある者は脅え、ある者は愛するものと心中し、ある者は正気を失いかつての仲間を殺してまわった。
しかし、死を目の前にそれを止めようとする者はいなかった。
屋敷の外から響く悲鳴をBGMに、十六夜咲夜は紅茶を淹れていた。
騒ぐメイド妖精達を外へと追い出した紅魔館の中は驚くほど静かだ。
盆に茶を乗せて歩く彼女の靴の音だけが響いていく。
コンコン
「失礼します、お嬢様、お茶をお持ちしましたわ。」
「え?ああ、もうそんな時間なのね。」
昨晩からずっとその姿勢でいたのだろう、紅魔館の主は体の力を抜き伸びをすると椅子の背もたれにもたれ掛った。
「今日の紅茶はいかがです?新しく見つけたお店でかってきたのですが――」
「ねえ、咲夜」
咲夜は名前を呼ばれ、紅茶から主へと視線を移す。
そこにあるのはいつものとは違う、難しい表情・・・。
「咲夜、わたしの最後の力であなたを向こうの世界に返してあげる。運命をかえてあげる。だから―――」
―――フランを一緒に連れて行ってほしいの。
咲夜は自室で膝を抱えていた。
死ぬ覚悟はできていた。
人間の自分が吸血鬼であるレミリアと共に最後の時間を過ごすことができるなんて、むしろ嬉しいくらいだった。
だから戸惑った。
―――咲夜にしか、頼めないの。
わたし、に、しか・・・
お嬢様・・・・。
次の満月を迎えた夜。
紅魔館の仲間達は大広間に集まっていた。
と言っても、残っているのは美鈴、パチュリー、小悪魔だけだったが・・・。
皆と別れの挨拶を済ませ、昨夜はしっかりとフランの手をにぎりしめる。
「それじゃあ、はじめるわよ。」
そう言うとレミリアは目を閉じ、意識を集中させる。
咲夜の体が光り始め、妙な心地よさと温かさに包まれた。
途端、レミリアの体がシュワシュワと白い煙を上げ始め、少女の柔らかな肌は老婆のように、さらにはミイラの様に干からびていった。
『あぁぁ・・・!おじょうさま・・・!!』
思わずレミリアの体に飛びつこうとするが、光のせいなのか体がうまく動かず僅かに動いた手がレミリアの帽子を掴んだだけだった。
その時、不意にフランが手を離した。
「お姉さま!!・・・咲夜、わたし、やっぱり行けない・・・ありがとう。」
『どうしてっ?!早く、早くしないと間に合わな―――』
―――
気がつくと駅のホームに立っていた。
目からは涙が溢れ続けている。
ふと、今までの事は夢だったのでは、と思ったが咲夜の手にしっかりと握られたレミリアの帽子が夢ではなかったことを証明していた。
何度転んだだろう。
壁に体を擦りつけながらなんとか自宅へ戻ってきた。
とにかく眠りたかった。
夢の中ならもう一度皆に会えるような気がして・・・・。
ポケットに入っていた鍵で玄関のドアを開け、部屋に入った咲夜の鼻に匂いがついた。
幾度となく嗅いだ、この、懐かしい、
お嬢様の元で働いていたときに、よく嗅いだ、
そう、この匂い。
これは――
胸一杯に息を吸い込みながら電気をつけるとそこには
母親がぶら下がっていた。
膝からがっくりと崩れ落ちた咲夜の頭の中を、幼き日に聞いた母親の声が木霊していた。
−おかあさんね、咲夜ちゃんがいなくなったら、寂しくて−
『やめてっ、やめてっ!!』
−死んじゃう―
『嫌、いやっ!!』
「ぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
喉の奥と胃の中からせり上がってくるものを抑えることができずに
咲夜は悲鳴を上げた。
お目汚し失礼します。
無茶苦茶ですが愛は込めました。
ぽっきん
- 作品情報
- 作品集:
- 1
- 投稿日時:
- 2009/03/12 17:32:52
- 更新日時:
- 2009/03/13 02:32:52
……幻想郷と一緒に滅んでた方がちょちょ億倍はマシだったな
ついでに
ここも
ぜひ!
魔界に狼狐さんを派遣しておきますね