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『夢色幻想郷』 作者: タダヨシ
今、私は仕事をしている。
目の前には液体の入った何千もの試験管が並んでいる。
私の仕事はこの膨大な数の試験管を己の目で一つ一つ異常が無いか確かめる事である。
私は自分の肩を揉んだ。そして、私は何度も思う。
つかれたなぁ。体も痛いし。
しかし、それでも私は目の前の試験管に目を向ける。
決して手を抜くことも、投げ出す事もできない。
その理由は幻想郷住民の身の安全に関わっているからである。
私は三千六百二十七番目の試験管を手に取る。
試験管を持ったまま手を上にかざす。中に入っている液体がちゃぷりと揺れる。
私は暫く液体を見つめる。その時間、一分。
試験管の中に異常な沈殿物は?
無し。
液体の色は正常か?
多少色が濃いが、正常範囲内。異常無し。
私は額に生まれた汗を拭き取りながら試験管を元の場所に戻した。
これの繰り返しである。私の行動を見ている者は馬鹿馬鹿しいと思うかもしれない。
だが、この役回りというのは誰かが必ずやらなければならない。
そして、私はそれに志願した。
それに何千本もの試験管を見るだけと言っても決して退屈な仕事では無く、変化に富んでいて私は楽しいと思っている。
試験管の中の沈殿物は異常が無いかどうかを確かめるために見ているのだが、一言に沈殿物と言っても様々な形状があり、その姿の多様さは私の心に飽きという行動を起こさせない。
だが、勘違いしないでもらいたい。決して、私は異常な沈殿を見つけて喜んでいる訳ではない。
正常と判断した試験管の中に含まれる沈殿物を見て、今日も幻想郷の住民は安全に暮らしているなと言う気持ちを噛み締めているだけなのだから。
おっと! つい言葉に熱が入り、話が逸れてしまった。
慌てて本題に話を戻すが、私の仕事の楽しみは沈殿物の形状だけではない。
それは試験管の中に入っている液体の色である。
普通の人間であればどの試験管の中に入っている液体を見ても、全て同じ色だと答えるだろう。
しかし、長年この仕事を続けている私にはどの試験管の中に入っている液体も、すべてが違う色に見える。
とは言っても同系色が殆どなので、一つの色の名前で済んでしまうだろう。
だが、私の目には同系色の色とは言っても、ほぼ無限と言える程の色彩が見えているので、『赤色』や『青色』等の単純な名前では言い表さない。
私は試験管の中の液体の色を『夢色』と呼ぶ。
『夢色』は私に仕事の苦痛を忘れさせ、ほんの一瞬だが心に溢れる楽しさを与えてくれる。この『夢色』が含んでいる楽しみが私の仕事をやりがいのあるものにしていると言っても過言では無い。
ふと気付くとまだ見ていない試験管があと数十本しかないことに気付く。
もうすぐこの作業は終わるだろう。
この話の続きは明日の朝早くにしよう。もう夜も深い。
時計が愉快な音を鳴らす。私は起きた。
まだ太陽はその笑顔を空には覗かせていない。幻想郷の住民も殆どが眠っているのではなかろうか。
私は両手で何とか持つことのできる大きなバケツの持ち手を持っている。自分より幅があるだろうか。
ふらふらしながら目的地へと歩いていく。時間がある程度散歩をすると目指していた場所に着いた。
ここは幻想郷でも数える程しかない大河の一つである。
ふぅ……
私はグッドデザイン賞を無視したバケツを不安定な砂利の上に置いた。
バケツの中の『夢色』が揺れる。私は微笑んだ。
これが終われば私の仕事は終わる。
もう全ての試験管は見終わった。あとは最終段階だ。
私の見た液体――『夢色』は私の手から解放され、自由になるのだ。
バケツを持って大河の縁へと近づく。そしてバケツを改めて置いた。
大きな容器の『夢色』が寂しげにちゃぷりと揺れた。同時に言葉にできない甘い香りが気管と心を優しく撫でる。
ごめんね。
でも、さよならだ。
バケツを傾ける。中に入っていた『夢色』が容器の端から何の音もしないで零れ落ちていく。
大河の水と『夢色』が溶け合った。最初は目に見えない位に小さかったそれが、急激に広がって大河を『夢色』に染めていく。
私はその様子を寂しくじっと眺めていたが、とある変化に気付いた。
空に、輝く金色の珠が見える。
その光を受けて、大河に広がった『夢色』も輝いた。
その様子はまるで、何もかも自由になった世界で見た二つの太陽の様であった。
私は空に輝く太陽の笑顔に手を伸ばし、大河を染めつくした『夢色』を見てただただ思った。
ああっ。
やはり。
幻想郷
少女の
おしっこは
いいなぁ
美しい。
この大河は幻想郷のありとあらゆる河へと繋がっている。だから、幻想郷の全ての住民がこの光景が見ることができるだろう。
だが、今は私しかこの光景を見ている者はいない。この世には私と幻想郷少女の黄金水しかいないのだ。
私はgolden waterが漂う河の中に飛び込んだ。不恰好な私が飛び込んでも幻想郷少女の尿は世にも美しい、心を舞い上がらせる飛沫を描いた。
目の前にはおしっこしかない。
私は幻想郷少女のおしっこと一体になったのだ。
そして、私は思うのだ。
この仕事をやっていて良かった。
検尿士になって良かった。
生きていて良かった。
もう何度頭にこの言葉が浮かんだだろうか。
私は今、『夢色』のおしっこに抱かれている。
それは、大きくて、とてもとても温かくて……
〜おしっことは浴びたり、飲んだりするものじゃあないんだ。愛するものなんだ〜
タダヨシ[紀元後1990年〜この世の生物がおしっこをしなくなるまで]
- 作品情報
- 作品集:
- 1
- 投稿日時:
- 2009/05/19 12:27:04
- 更新日時:
- 2009/05/20 21:22:20
- 分類
- 幻想郷少女が出て来ない
- みんなから毎日生まれるアレ
えぇ、俺もど変態です、お気持ち分からないでもない
悟ってんなー