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『小品』 作者: nekojita
幻想郷に魔女がいた。名は霧雨魔理沙、年の頃十代。
人間。
盗賊も兼任する、見たこともない傍若無人。
でもその若さ、無邪気さ、社交性ゆえにか、沢山の友人を持っていた。
ある日偶々彼女は思い立って、彼女の沢山の友人の一人が巫女をしている山の神社へ行った。
いつものように茶をたかり、あとはその友人、また愉快な神様たちと、話をしたいと思っていたのだ。
山をすっと登って、境内に差し掛かったところで一休み。
いきなり、耳をつんざく天狗の警報。
魔理沙の侵入に山に響いた模様。
赤色の音。
遅すぎるそれを意に介さずずんずんと魔理沙は進むだろう。
進む。そのうちに警告も鳴りやんだ。
表に人の影は無い。
いつもの縁側に人は居ない。
仕方がないから裏口に回る。真新しい木の戸にもたれてもう一休みと立ち止まる。
ノックもしないで引き戸を開けて中に入った。
神社の中ではおりもおり。
緑の巫女が死ぬ人の幸福を、神の言葉で祈っていた。
見渡して魔理沙は見た。
見知った女の横たわるのを。
確かこの山の哨戒天狗であったが名は覚えていない。
近くに、昼間から悲しんでいる、その人にごく近しかった人たちを見た。
そのうち魔理沙がよく知るのはブン屋の天狗くらいである。
幻想郷最速。戦闘に関しては天狗のうちダントツで優秀な彼女。
今日の警告が遅かったのはそのためだろう。
苦悶のうちに亡くなった、女の顔は崩れていた。
ふと、その鼻から顎へ、蛆虫が抜けていった。
よく見ると一匹ではない。
うごめき出ては、這い回っていった。
その様子が。
音は無くてもあんまり劇的だったので、魔理沙は怖くなった。
やがて早苗は祈りを終えた。
短い間だけれど、葬送の会場がしん、と静まったそのとき。
早苗に向かって魔理沙は言った。
「私も死んだらこうなるのですか」
「そうですよそうですよそうですよ」
巫女は言った。
「あなたも死んだら、こうなるのです」
およそ200時間ぶりに家に帰ることができた。
心が折れそうなのに、いや、心が折れそうだからこそ、私はここにいるのだろう。
前にイカロに投稿した時もコンディションはこんな感じだったしな。
というわけでホフマンスタール『Verse auf ein kleines Kind』より…
『君に薔薇色の足が有るのは
太陽の国へ出かけるためだ
(中略)
この太陽の国々には
尊くも神さびた時代が
今もなお たえることなくつづいている!
太陽はひそやかな力でもって
薔薇色の足を 君に作ってくれるのだ
その永遠の国を 踏みしめることができるよう』
ではまたどこかで。
nekojita
http://www.geocities.jp/nekojita756/text.html
作品情報
作品集:
2
投稿日時:
2009/07/11 08:53:19
更新日時:
2009/08/21 00:40:35
おれが全部喰って全部ウンコにしてやる
というか
200時間って出張でも行ってきたんだろうか?
作風多彩で羨ましいです
もっと活動してほしいけどそんな忙しいなら仕方ないね