ありすのともだち

ありすのともだち


あるもりのなか。
まほうつかいのありすというおんなのこがいました。
かのじょはにんぎょうがだいすき。
にんぎょうがいちばんのともだちです。

「わたしはありす、あなたはだぁれ？」
「わたしはまりさ、あなたのおともだち」

にんぎょうにはなしかければ、おもいどおりのへんじがかえってきます。
ありすはうれしくてたまりません。

「ねぇまりさ、わたしのことすき？」
「ありすのことがだいすきだよ」

にんぎょうはうなづいて、ありすにわらいかけました。
ありすはうれしくてたまりません。
でも、にんぎょうにはできないことがありました。

まず、ごはんがたべれません。くちがないから。
そして、あるけません。ほねときんにくがないから。
そして、わらうことも、なくこともできません。めがないから。
そして、おいしいごはんのにおいもかげません。はながないから。
そして、ありすのうたうきれいなうたもきこえません。みみがないから。

ありすはしっています。
まりさはわるいあくまにすべてをとられてしまったのです。
だって、そうまりさがいったのだもの。

だから。

「わたしはありす、あなたはだぁれ？」
「私は魔理沙だ、ここから出してくれ」

ちがう。

「ねぇまりさ、わたしのことすき？」
「大嫌いだ、ここから出してくれ」

ちがう。
ちがう。
まりさはこんなこといわない。こんなのはまりさじゃない。

「もういちどきいていい？」
「うるさい、私はお前が大嫌いだ」

黙れ、黙るのはそっちだ偽物め。
私の魔理沙を汚すな。
魔理沙は私に優しい。私のことを好きといってくれる。
それが魔理沙だ。お前は魔理沙の皮を被った悪魔だ。
悪魔め。
悪魔め。
魔理沙の皮を返してあげないといけない。
目も。鼻も。口も。耳も。心臓も。肝臓も。肺も。腸も。腎臓も。脳も。筋肉も。骨も。
全部綺麗に切り取った。

そして、それをまりさにつけてあげました。
「ねぇまりさ、わたしのことすき？」
「だいすきだよ」
ありすはうれしくてたまりません。
うれしくてうれしくて、まりさとともにそとへとびだしました。
きょうはいっしょにかわでピクニック。

でも、まりさはつかれてねむってしまいました。
しいたしーとのうえに、ごろりとねころがってしまいました。
そのとき、まりさのめだまがころころと、かわへおちてしまいます。
あわててありすは、かわのなかをのぞきこみました。
そこにいたのは。

悪魔でした。