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『早苗がレミリア』 作者: 紅魚群
私の名前は東風谷早苗。
守矢神社で風祝をしている人間です。
これからその私が体験した、不思議な出来事についてお話したいと思います。
でもその前に、
※キャラ崩壊
※グロ、暴力表現
※長文
以上のことが苦手な方は、読むことをお勧めしません。
それでも大丈夫だという方のみ、この先へお進みください。
それでは、はじまりはじまり〜↓
ある日の朝。
私はいつものように起きて、歯を磨いて、朝食の準備をして、境内の掃き掃除をするはずでした。
朝起きて目を覚ませば、一番最初に見慣れた天井が見えるはずでした。
しかし今日見えたのはいつもの見慣れた天井ではなく、ひらひらのレースで飾られた天蓋でした。
私は飛び起きました。どこでしょう、ここは。
私が寝ていた場所はいつもの畳の上の布団ではなく、物語のお姫様が寝るような天蓋つきのベッドでした。
部屋も私の部屋ではありません。それはもう、見事なまでの洋室です。
豪華な机。妙に縦長い窓。壁にかけられた大きな絵画。そして、不自然なくらい赤い壁。―――気味が悪いです。
私は怖くなってベッドから出てみると、どうも体の様子もおかしいことに気付きました。視点が妙に低いのです。
手を見てみると、子供のように小さい、透き通るような白い手でした。
体も同様に、子供みたいにぺったんこな胸、細い足、全身には就寝用のネグリジェを身に着けていました。
これはどういうことでしょう。私はパニックになって、慌てて全身を弄りました。
しかしいくら弄ってみても、以前の私の身体的特徴は一切見つかりませんでした。
体が幼児退行したというわけでもないようです。
ただ、ひとつだけ、人間とは決定的に違う部位を私は見つけました。
背中に手を回したとき、肩甲骨の辺りで何か硬い皮のようなものが指に触れたのです。
それは、コウモリの羽でした。驚くべきことに、真っ黒いコウモリの羽が私の背中についていたのです。
私は、今の自分の容姿に心当たりがありました。
―――レミリア・スカーレット
今の私の姿が、以前宴会で何度か目にした紅い吸血鬼と呼ばれているレミリア・スカーレットのそれと酷似しているのです。
ようやく事態が把握できてきました。どういうわけか、私の体がレミリアさんになっているようです。
この前の七夕で"私が主役の異変が起こりますように"ってお願いしたのが原因でしょうか。
主役かどうかは怪しいですが、異常事態であることは間違いなさそうです。
私の能力のおかげでしょうか?奇跡の力ってすごいですね。でも、これからどうすればいいんでしょう……
『コンコン』
私が思考を巡らせていると、不意にノックの音が聞こえたのでものすごく驚きました。
「お嬢様、お目覚めですか?朝食の用意が整いました」
扉の向こうから、若い女性の声が聞こえます。
この声も知っています。完全で瀟洒(笑)な従者、十六夜咲夜さんのものでしょう。
今朝食と言いましたが、たしかに外も明るいようです。でも、吸血鬼ってたしか夜行性だった気が…
…まあ細かいことはいいとしましょう。私としても明るいうちに行動するほうが好きです。
「お嬢様?」
おっと、何も返事をしないのは怪しまれるかもしれませんね。
とりあえず今はレミリアさんになりすまして、様子をみることにしましょう。
そういえばレミリアさんってどんな口調でしたっけ?この前一度お話したときは、見た目の割りに随分偉そうな印象を受けましたけど。
まあお嬢様口調で問題ないでしょう。こんな感じかな?
「咲夜、もう起きてるわよ。入りなさい」
「あ、はい。失礼します」
問題なかったようです。
返事がするとすぐに扉が開いて、いつものメイド服姿の咲夜さんが部屋に入ってきました。
「おはようございます、お嬢様」
「ええ、おはよう」
咲夜さんがゆっくりとお辞儀をします。
いつも高慢な態度の咲夜さんが私に頭を下げている光景は、なんだかとっても新鮮でした。
まあ頭を下げているのは私に対してじゃなくて、レミリアさんに対してってのは分かってるんですけどね。
それでもやっぱり気分のいいものです。こういうお屋敷のお嬢様って、ちょっと憧れてたんですよね。
「それでは失礼して」
咲夜さんがそう言うと、本当に『パッ』という擬音そのままに、私が着ていたネグリジェがピンク色のドレスに早変わりしました。
お得意の時間停止で着替えさせてくれたのは分かるんですけど、思わず「わぁ」って声を上げそうになってしまいました。
赤いリボンとひらひらフリルの付いたとっても素敵なドレスです。
クルクルっと回ったり、スカートの端を持ち上げて御機嫌ようってしたくなりましたが、怪しまれては困るので我慢しました。
私は咲夜さんについて広間まで行って、朝食を食べるための長テーブルに座りました。
「すぐにお食事の方をお持ちいたします」
そう言って咲夜さんは厨房の方へと消えていきました。
待ってる間、私は広間をぐるりと見渡しました。
天井には大きくて豪華なシャンデリアが見えます。壁にもいくつか肖像画がかけてありました。
まるで映画の"風と共に去りぬ"を思い出しましたが、そういえばあのお話の主人公もスカーレットって名前でしたね。
「お待たせしました」
間もなく、咲夜さんがいい匂いのするトレーを持って戻ってきました。
どんなご馳走が出てくるかと思ったら、出てきたのは紅茶とベルギーワッフルだけと、意外と簡素なものでした。
まあいくらお嬢様の食事でも、朝からローストチキンが出てくるとは流石に思ってません。
本来なら昨日のお味噌汁の残りが朝ごはんの予定でしたから、それと比べたら月とスッポンってやつです。ありがたくいただくことにします。
私はワッフルを頬張りながら、ふとティーカップに注がれている液体を見ました。
紅茶と言うのは透き通っているものだと私は認識していましたが、目の前の液体はなんだかデミグラスソースのように赤黒く濁っています。
大体想像がつきますが、この紅茶の中には人間の血液が入っているんでしょう。
吸血鬼という種族上、血の摂取は至極当然な行為なんでしょうけど、私にはどこの誰とも分からない人間の血なんて、正直気持ち悪くて飲む気になりません。
できることなら普通の紅茶に換えてほしいですが、そんなことをレミリアさんが頼むのもおかしい気がします。
かといって残すのも……
―――私の傍らでは、咲夜さんがにこやかな笑みを浮かべながら立っています。
以前私といるときはいつも人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべているのに、レミリアさんと一緒のときはこんな屈託の無い笑顔をみせるんですね。
全く腹立たしい限りです。正直嫉妬してしまいます。
そんなことを思っていると、なんだかその笑顔をぶち壊したくなってきました。
元々気に入らなかったんですよ。
大した努力もしてないのに、ちょっと能力が強いからって異変解決で英雄気取り。
幻想郷最強のメイドって、そもそも幻想郷にメイドなんてほとんどいないじゃないですか。
そのくせ自分はそんなの興味ないって感じでお高くとまってるんですよ。許せないですね―――
……そうだ、いいことを思いつきました。
これならこの血の紅茶を飲まなくてもすむし、咲夜さんの笑顔もぶち壊せて一石二鳥です。
私は目の前のカップを手に取りました。取っ手越しに、カップの中の紅茶の温度が伝わってきます。
多分相当熱いです。こんなのが顔にかかったら、火傷しちゃうかもしれないですね。
私はもう一度咲夜さんの顔を見ました。相変わらずにこにこと笑っています。
もうすぐこの顔が苦痛に歪むかと思うと、なんだか楽しい気分になってきました。
私は十分狙いを定めた後、手に持っている紅茶を、思い切り咲夜さんの顔にぶっかけました。
「――!?ひゃぁっ!!??」
上手くいきました。クリーンヒットです。
咲夜さんは情けない悲鳴をあげながら、顔を押さえて数歩後ずさりました。
「お…お嬢様…?いきなり何をっ…!?」
必死に顔をぬぐいながら、目を白黒させています。ざまあみろです。
ちなみにこの後の台詞も考えてあります。
私はできる限りレミリアさんっぽく、かつカリスマたっぷりな声で言いました。我ながら上手く言えたと思います。
「ねえ咲夜、ここはいつから主に虫の入った紅茶を飲ませるようになったの?」
無論虫など入ってません。すべてデタラメです。
でも咲夜さんはすぐハッとした表情になって、慌てて私に頭を下げました。
「も、申し訳ありませんお嬢様!すぐに淹れなおして……」
「もういいわ」
咲夜さんの言葉を遮って、私はフォークをそっとテーブルに置きました。
咲夜さんが頭を下げたままチラリと顔を上げます。私の次の言葉を待っているようです。
心の準備はいいですか?咲夜さん。あなたにはこれから最悪な目に遭ってもらいますからね。
私は昂ぶる気持ちを抑えつつ、とっておきの台詞を咲夜さんにプレゼントしました。
「咲夜、今日限りであなたは"クビ"よ。今すぐ荷物をまとめてここから出て行きなさい」
決まった。完璧です。思わず顔がにやけそうになるのを必死に堪えながら、私は冷たい目で咲夜さんを睨みつけました。
咲夜さんにとって、レミリアさんはそれがすべてと言ってもいいくらいの大切な人だと聞きます。
その大切な人に出て行けなんて言われたら、そりゃあもう絶望なんてレベルじゃないですよね。
勿論言葉だけじゃなく、本気で追い出すつもりです。
異変が解決して体が元に戻ったら咲夜さんもここに連れ戻されるんでしょうが、それまでの間追い出された咲夜さんはどんな気持ちでしょうか?
想像するだけでご飯がおいしくなりますね。
などと妄想しながら咲夜さんを観察していましたが、なにやらどうも様子がおかしいです。
青ざめるわけでも、泣くわけでもなく、信じられないことに、なんとくすくすと笑っているではありませんか。
これはどういうことでしょう。あまりに突然の仕打ちで、Mに目覚めちゃったんでしょうか?
「あらお嬢様、また何かご本に影響されたのですか?」
違いました。どうやら私の言ったことを冗談だと思っているようです。
まあ普段のお二人の仲を見ていれば、冗談だと思うのも無理はありません。
私だって神奈子様に突然出て行けと言われても本気にはしないでしょうし、これはある意味当然の反応と言えるでしょう。
兎にも角にも、咲夜さんは私の満足のいく反応をしてくれませんでした。本当に自分がクビになるなど、露とも思っていないようです。
これは本気で分からせないといけませんね。まあそういうのも、嫌いじゃないです。
それで少し考えた結果、口ではいくら言っても無駄のような気がしたので、別の手段をとることにしました。
「咲夜、少し屈みなさい」
「え?あ、はぁ…」
私が命令すると、咲夜さんは言われたとおり膝を折って中腰の姿勢になりました。私と頭の高さが同じくらいになります。
私は席を立って咲夜さんの前まで行くと、鼻と鼻が付くぐらいまで顔を近づけました。キョトンとしていた咲夜の頬が、若干赤く染まります。
「あ、あの…お嬢様?何か…?」
「咲夜、目を閉じなさい」
「…は?……えっ?」
「いいから、早く」
「は、はい!」
咲夜さんがロリコンだって噂も本当だったんでしょうか。何を期待しているのか、咲夜さんは顔を真っ赤にしながら目を閉じました。
目を閉じさせたのは勿論チューするためではなく、時間停止の能力を使わせないためです。
私は目を閉じている咲夜さんの前で握り拳を作ると、それを咲夜さんの頬に向かって、思い切りフルスイングしました。
あんな風に人間が吹っ飛ぶのは始めてみます。交通事故とかあんな感じでしょうか。というか、強く殴りすぎたようです。
咲夜さんはキリモミ回転をしながら10mほど吹っ飛んで、叩きつけられるように地面に衝突しました。
吸血鬼の力ってすごいですね。レミリアさんの体重が軽くなかったら、咲夜さんの首から上がなくなっていたかもしれません。
倒れている咲夜さんのところまで行って顔を覗きこんでみると、頬をありえないくらい腫らして鼻血を吹き出していました。
でも命に別状はないようです。意識もまだあるようで、咲夜さんの瞳がこちらを向きました。
「お…お嬢様。どう…して…」
咲夜さんの瞳から、とろとろと涙が流れ出します。流石にこれは冗談だとは思っていないようです。
やはり暴力にうったえてみて正解でした。
「どうしてもこうしてもないわ。あなたの顔見てるとイライラするのよ」
適当に罵倒してみると、今度は咲夜さんが声を上げて泣き出しました。
やっぱり咲夜さんも女の子です。痛くて、悲しくて、泣いちゃったんですね。ざまあみろです。
でもまだまだ容赦はしません。
「ほら、泣いてないでさっさと出て行きなさい。目障りよ」
足で踏みつけてみると、咲夜さんが小さく呻きました。
「………ぜ……すか……………」
「え?なに?」
「…なぜ……ですか………?」
「だから何度も言わせないで。あなたの存在がうっとおしいの。早くこの館から出て行って」
「………」
咲夜さんはよろよろと立ち上がると、そのまま何も言わずに広間から去っていきました。
もう少し食い下がってくると思っていた分、拍子抜けです。
でもだいぶ堪えたみたいですから、咲夜さんいじめはもうこのぐらいにしといてあげましょう。
そんなことよりも、なんだかこの吸血鬼の体を使ってもっと色々してみたくなってきました。
このまま館の中にいてもしょうがないですし、外に出かけてみることにしましょう。
外は曇りのようです。
玄関口まで行ってみると、いつもレミリアさんが持っている日傘と血の入った小瓶が、通路の真ん中に置いてありました。
誰が置いたんでしょうか?まあいいです。
吸血鬼は日の光が弱点と聞きますから、日傘の方は一応持っていっときましょう。小瓶はいいです。気持ち悪い。
外に出ると、曇り空なのに妙に眩しく感じました。
庭を横切るように走っている庭道を歩きながら、私は傍らに咲いている薔薇やチューリップの花を観賞しました。
どれもよく整備されていて、思わず足を止めてしまいそうになるほどの美しさです。
幻想郷に来てからあまりお花を見ていなかったので、良い目の保養になりました。レミリアさんの目ですけど。
50mほど歩くと、館の門に到着しました。そこには、2人の人影が見えます。
1人は先ほど殴り飛ばした咲夜さんでした。顔の片側が面白いように腫れています。骨が折れてるんじゃないでしょうか?
言われた通り荷物をまとめて出て行くつもりだったようで、珍しくメイド服じゃなくて普通の洋服を着ていました。
もう1人の方は誰でしょう?赤い長髪の、チャイナ服を着た中国っぽい雰囲気の女性です。
「お嬢様が本気で出て行けなんて言うわけないじゃないですか…。考え直してください、咲夜さん」
「ありがとう美鈴……。でも……もういいのよ………」
2人の会話が聞こえてきます。どうやらその中国っぽい人が咲夜さんを引きとめているようです。
それにしても何が『もういいのよ』でしょうか。本当にそうなら、時間でも止めてさっさと出て行けばいいじゃないですか。
ああやって引き止めてもらうのも半ば彼女の作戦なんでしょう。どこまでもずる賢い女性です。
もう咲夜さんには手を出さないつもりでしたが、事情が変わりました。
「あら咲夜、まだいたの?早く出て行けって言ったでしょ?」
私の言葉に2人がこちらを向きます。咲夜さんがたちまちものすごい怯えた表情をしました。
中国の方はというと…
「レミリアお嬢様!冗談にしても悪ふざけが過ぎます!!」
怒りを露わにして怒鳴りつけてきました。
こいつもレミリアさんの部下のようですけど、もはや主に対する態度ではありません。忠誠心の低い奴です。
「冗談でも悪ふざけでもないわ。飽きていらなくなったものを捨てるだけよ」
「何をいってるんですか!?お嬢様は咲夜さんのことを誰よりも信頼してらしたじゃないですか!?」
「信頼してるように振舞ってただけよ。そうしたほうが、よく働いてくれるから」
私もよくもまあ口が回るものです。
そこまでいうと、また咲夜さんがぐずぐずと泣き始めました。
中国は咲夜さんをそっと抱き寄せると、「大丈夫、大丈夫ですよ…」などといいながら、咲夜さんの背中を優しく撫でています。
さながら娘を慰める母親のような図でしたが、そういう茶番に興味はありません。
見かねた私は咲夜さんの襟首を掴んで中国から無理やり引き剥がすと、そのまま勢いよく咲夜さんの体を地面に叩きつけました。
今度はかなり手加減をしたほうでしたが、それでも地面が凹んで咲夜さんの右腕があらぬ方向に曲がったのですから、吸血鬼の力恐るべしです。
「わあああ!!!咲夜さん!咲夜さんっ!!」
「私が帰るまでにそいつを追い出しときなさいよ」
私は吐き捨てるように言ってから、中国の前を通り過ぎます。
背中に痛いほど彼女の視線が突き刺さるのがわかりましたが、私は気にせず紅魔館を後にしました。
紅魔館の門を抜けると、すぐに大きな湖が見えました。
霧がかかっていて全体を見渡すことはできませんが、それが返って幻想的な雰囲気を醸し出しています。
その畔に、見覚えのある妖精の姿がありました。
たまに宴会に紛れ込んでくる悪戯好きな氷の妖精、チルノです。
「…そしたらね、霊夢の奴すごいびっくりしてた!大ちゃんも一緒にやろうよ!」
「うーん、怒られないかなぁ…」
チルノはもう1人の緑色の髪の妖精と楽しそうにお話をしています。
また何か悪巧みをしているに違いありません。
私は以前チルノの悪戯で、守矢神社近くの池の蛙をすべて氷漬けにされたときのことを思い出しました。
諏訪子様は妖精のやることだからと言って何もお咎めはしませんでしたが、死んでしまった蛙を見るときの諏訪子様の悲しそうな顔は、今でも忘れることができません。
そのときは私も風祝という立場上、いくら腹が立とうがただの妖精に手を上げるなんてことできませんでしたが、今は違います。
吸血鬼です。レミリアさんです。赤の他人です。やりたい放題です。
私は2人に気付いてもらえるようにわざと音を立てて後ろから近づきました。
すぐにその気配に気付いた2人がこちらを振り向きます。最初に声を上げたのは、チルノでした。
「誰よあんた!!」
「(チ…チルノちゃん!この人あのお屋敷の吸血鬼だよ…!)」
緑の妖精さんはレミリアさんのことを知っているらしく、途端に顔を青くしてチルノちゃんの服を引っ張っています。
「きゅーけつき?なにそれ?」
「え?えーと、何て言ったらいいのかな…」
「…ねえ、あなた達。何の話をしていたの?」
私はできるだけ物腰柔らかく、妖精達を刺激しないように問いかけました。
いきなり逃げられてしまっては元も子もないからです。
「秘密だよ!神社には私達だけで行くもんね!!」
「神社?神社って、博麗神社のことかしら?」
さっき霊夢さんがどうとか言っていたので、多分間違いないです。
守矢神社に悪戯しに行くつもりだったのなら今この場で殴り殺していたところでしたが、霊夢さんの所なら大目にみてあげましょう。
「なんであんたが博麗神社に行くの知ってんのよ!!」
「(チルノちゃん…もう帰ろうよ…)」
「大ちゃんは黙ってて!」
「うぅ…」
チルノが緑の妖精さんの忠告を無視して、私に噛み付いてきます。身の程を知らない馬鹿な氷精です。つくづくイラつかされます。
何の理由もなくチルノぶん殴ることも出来ましたが、それはさっきやったので今回もう少し遊び心を入れてみましょう。
「私がどうして博麗神社に行くことを知ってたか知りたい?」
「知りたい!!」
「じゃあ博麗神社まで競争して、あなたが勝ったら教えてあげる」
「ほんと!?望むところよ!!」
緑の妖精さんはまだ何か言いたそうでしたが、競争なら危険はないと思ったのか、それ以上なにも言ってきませんでした。
「サイキョーのあたいが勝つに決まってるんだから!!」
そう言うとチルノは、スタートの合図もないのに颯爽と飛び去って行きました。
本当にバカで困ります。でもまあ、このぐらいハンデにもならないでしょう。
案の定、私がかなり遅れて飛び立ったにもかかわらず、ものの数秒で追いつくことができました。
このままぶっちぎりで勝つこともできましたが、それではあまりにも大人気ないので、チルノの少し後を並走して飛ぶことにします。
時折チルノがこちらを振り返ってにやりと笑うのが面白くて仕方ありません。
自分の方が本気で早いとでも思っているんでしょうか?救いがたい馬鹿です。
そうこうしているうちに、ゴールの博麗神社が見えてきました。
残り200mほどのところで、チルノは勝ちを確信したようです。
「全然大したことないわね!あたいの勝ちよ!」
そう言いながらチルノが得意げに後ろを見ましたが、もうそこに私はいません。
とっくの昔に鳥居をくぐって、すでにゴールインしています。
「ほへ!?なんで!?」
先回りしていた私の姿を見て、チルノが素っ頓狂な声を上げました。
「あたいがずっと勝ってたのに!!あんたズルしたでしょ!?」
負かしたと思ったらコレです。どこまでも自分勝手な奴です。
そんな思考回路だから、人が本気で悲しむような悪戯も笑ってできるんですね。
私はここでチルノに制裁を加えることにしました。
境内に霊夢さんの姿も見えませんし、見通しもいいので逃げられる心配もありません。
「そういえばあなたが負けたときの条件を言ってなかったわね」
「あたいは負けてない!!」
私は無視して続けました。
「そうね……顔面100回殴りの刑なんてどう?」
「へ?」
殴ってばかりで芸が無いですが、この体では弾幕やスペルカードは上手く使うことがでないので仕方ないです。
この際痛めつけられれば、なんでもいいです。
「なんであたいがそんなことされなきゃいけないのよ!!」
「あなたが負けたから」
「あたいは負けてない!!」
だんだんイライラしてきました。ラチが明かないので、こうなったら強制執行することにします。
私は地面を蹴って、チルノの方へと飛び掛りました。吸血鬼の神速です。チルノに回避の余地はありません。
そのままチルノを押し倒して、マウントポジションを取りました。いわゆる馬乗りってやつです。
「やだっ!はなして!!」
チルノがじたばたと暴れますが、軽く押さえつけるだけでチルノはもう逃げることができません。
「それじゃ殴るわよ」
「やめろ!バカ!バカ!!しんじゃえ!!」
この期に及んでまだ減らず口を叩きます。
後から来た緑の妖精さんがさっきよりも顔を青くしてオロオロしています。
私はかまうことなく拳を振り上げると、チルノの顔面を軽く殴りました。
『バキッ』
「ぁ…」
さっきまで騒いでいたチルノが、殴ると同時に急に大人しくなりました。
何が起こったのかわからないといった顔で、こちらをまっすぐ見つめてきます。
「う……ぅ……」
チルノの大きく見開いた瞳が、じんわりと潤んできました。
そして、
「う、うわあああああん!!!!」
大声で泣き出しちゃいました。
咲夜さんを殴ったときの10分の1の力も出していないんですけど、そんなに痛かったんでしょうか?
泣き声が耳に障るので黙らせようともう一度右手を振り上げたら、誰かがその手にしがみついてきました。
「お願いします!チルノちゃんを許してあげてください!!」
先ほどの緑の妖精さんでした。
無視して振り払うことも簡単にできましたが、その勇気に免じて少しだけお話を聞いてあげましょう。
「チルノちゃんはほんの遊びのつもりだったんです!どうか許してあげてください!」
「私だって遊びよ。これは負けたこの子への罰ゲームなの。無条件でやめるわけにはいかないわ」
「私にできることなら何でもやりますから!!どうすればやめてもらえますか!?」
「そうね、あなたが代わりに残りの99回殴られるならいいよ」
「えっ…?そんな………」
妖精さんが口ごもります。当然です。
いくら友達のためでも、身代わりになって99回殴られるなんてバカバカしいにも程があります。
しかし仮にそれが当然のことでも、ここで妖精さんが断ればチルノはお友達に見捨てられたと思うでしょう。
そうやって絶望したところをさらに殴ればいいんです。チルノにはそのくらいしなければ薬になりません。
ところがこの妖精さんの次の言葉には、流石の私も驚きました。
「わ…わかりました!私が代わりになりますから、チルノちゃんを放してください!!」
なんて健気なんでしょう。チルノにはもったいないくらいのいい子です。
なんだかこの子に免じて全部許してあげてもいいような気分になってきました。
しかしここで許してしまっては、本来の目的であるチルノの制裁になりません。
かといって条件を反故にしてチルノを殴れば、せっかくの妖精さんの誠意を無下にしてしまうことになります。
チルノに罪悪感というものを教えるにはちょうどいい機会かもしれません。
この妖精さんには悪いですけど、条件通り代わりに99回殴られてもらうことにします。
私は先ほどと同様、チルノと交代して緑の妖精さんに馬乗りになりました。
妖精さんは目をきゅっと瞑ってぷるぷると震えています。かわいいです。ちょっと殴ってみたくなってきました。
「えいっ」
「あぐっ…!?」
一発殴ると、妖精さんの頬が赤く染まりました。
「えいっ」
「ううっ………」
もう一発殴ると、妖精さんの目から涙がポロリと零れ落ちました。
痛いですもんね。泣いちゃいますよね。
「嫌だったらチルノと代わってもいいのよ?」
そう言っても、妖精さんはふるふると首を横に振ります。本当にチルノのことが大好きなんですね。私もこんな風に思われてみたいです。
一方のチルノは、少し離れたところで泣きそうな顔をしながら立ち尽くしています。
さっきの威勢はどこへやら。私のことが恐ろしいのか、ずっと立ったままで妖精さんを助けようともしません。
私はチルノに見せ付けるように、妖精さんを何度も殴りつけました。
殴るたびにどんどん妖精さんの顔が変形していって、次第に呻き声も聞こえなくなってきました。
さっきまでのかわいい顔も無残なことになっています。自分で殴っておいてアレですけど、正直このボコボコになった顔は気持ち悪いです。
まだ30回ほどしか殴ってないですけど、もうこのぐらいにしといてあげましょう。
さて、チルノはどんな顔をしてるでしょうか……って、あれ?
さっきまでそこに立っていたのに、いつのまにかチルノの姿はどこにもいなくなっていました。逃げたようです。
信じられません。友達をおいて逃げるなんて、どこまで薄情な奴なんでしょうか。
今度見つけたら、本当に殺してあげましょう。
「ちょ、ちょっと…どうしたのよチルノ?袖引っ張んないでってば…」
「はやく!こっちこっち!」
どうやら私の早とちりだったようです。チルノが霊夢さんを連れて戻ってきました。
自分で敵わないから霊夢さんを呼んでくるなんて、妖精の癖に結構賢いですね。
「レ、レミリア!?あんた何やってんの…?」
「あらごきげんよう、霊夢」
でも私は動じません。妖精さんに馬乗りになったまま、優雅に挨拶を交わします。
今の私には最強の吸血鬼の力があります。博麗霊夢恐るるに足らずです。
霊夢さんは私を見て、顔面ボコボコになった妖精さんを見て、また私を見ました。2回目に私を見たときの目は、怒りの色に染まっていました。
「レミリア、その子を放しなさい」
「どうして?」
「放しなさいって言ってるでしょ!?」
何をそんなに怒っているんでしょう?
霊夢さんだって妖怪退治のときは、相手を完膚なきまで叩きのめすじゃないですか。今私がやっていることと、何が違うんでしょう?
そりゃあ相手が無抵抗の妖精さんであることや、弾幕ごっこじゃない点は違いますけど、何も霊夢さんが怒ることではないでしょう?
そう反論しようと思った瞬間です。突然小さな御札が飛んできて、私の目の前で爆発しました。
全然痛くはなかったんですけど、あまりに突然のことに驚いてしまった私は、不覚にも転んでしまいました。
その隙にチルノは妖精さんをさらって、一目散に森の中へと消えていきます。見事な連携プレーです。
後には私と霊夢さんだけが、境内に残りました。
「…見損なったわよ、レミリア」
霊夢さんが敵愾心むき出しで睨みつけてきます。
霊夢さんとレミリアさんは結構仲が良かったはずですけど、たかが妖精をいじめたくらいでここまで怒るとは思いませんでした。
所詮は人間と妖怪ということでしょうか。
仲良くしていても、心の底からは吸血鬼であるレミリアさんのことを信用していなかったんですね。
「レミリア、もう二度とあんなことしないと誓って。それか、二度とここには来ないで」
でもやっぱり仲はいいみたいです。霊夢さんが甘〜い2択を提案してきました。
これは言い換えれば、あんなことしないと誓えば許してあげるってことです。
霊夢さんも、多分それを望んでいるはずです。だからこそ、私は逆の選択肢を選ぶことにしました。
「わかった、もう二度とここには来ないわ。さよなら、霊夢」
「え?ちょ、ちょっと!!」
やっぱり霊夢さんがうろたえました。
慌ててこちらに駆け寄ってきて、立ち去ろうとする私の腕を引きます。
「どうしたのよレミリア?あんた今日ちょっと変よ?いいえ、ちょっとじゃない。かなり変。何かあったの?」
さっきまであんなに怒っていたのに、急に優しくなりました。ある意味選択肢を間違えたかもしれません。
霊夢さんが心配そうな、少し寂しそうな顔で私を見つめてきます。
霊夢さんはいっつもなんだか面倒気で仏頂面な顔をしているもんですから、こんな風な顔の霊夢さんは初めて見ます。
そんな霊夢さんの顔を見てたら、なんだか段々ムラムラしてきました。
……あれ?おかしいですね。私にはそんな趣味はないはずですけど…。
しかし、私のムラムラは止まりません。
胸もなんだかドキドキしてきました。緊張からか、口の中も乾いてきます。まさか、これが…恋ですか!?
初恋の人がまさか霊夢さんだなんて…どうしましょう…!
「レミリア?あんた顔赤いわよ?大丈b…って、きゃっ!!」
気付けば私は、霊夢さんに抱きついてしまいました。霊夢さんの胸に顔を埋めると、お線香みたいないい匂いがします。
「れ、レミリア!?離れてってば…!」
霊夢さんが私を離そうと押しますが、全然手に力が入っていません。
逆に私が押すと簡単に霊夢さんは倒れて、地面に押し倒すような形になってしまいました。
「レミリア…」
霊夢さんの頬も、火照ったように赤くなってきました。
「だめよ…レミリア…。こんなとこもし魔理沙に見られたら…」
そんなこと言いながらも、霊夢さんは抵抗らしい抵抗は一切してきません。
私がそんな言葉は無視して腕を回して抱きしめると、霊夢さんの体がびくっと跳ねました。
霊夢さんの心臓の鼓動を感じます。ものすごくドキドキしてます。
しばらくはそのままじっとしていると、霊夢さんはおそるおそるですが、私の背中に手をまわして抱き返してくれました。
すぐ目の前に、霊夢さんのうなじが見えます。私の耳に、霊夢さんの熱い吐息がかかります。
ああ、もうダメです。我慢できません。ムラムラが止まりません。
私は――――――霊夢さんの首に、思い切り噛み付きました。
「きゃああああああああああああああああああ!!!!!」
霊夢さんの布を裂くような悲鳴が、境内に響き渡ります。
私はそんなことにはお構いなく、立て続けに霊夢さんの首に牙を立てました。
口の中に広がる鉄の味が、どんどん私を興奮の最中へと引き込んでいきます。
霊夢さんが暴れながらなにやら喚いているようですが、私の耳にはもう聞こえません。
霊夢さんの血が、おいしくて、おいしくて、しょうがないからです。
もっともっと血がほしかったので、私は霊夢さんの首に爪を突き刺して傷口を広げました。
そうするとすぐにどばっと血が溢れ出てきたので、私はそこにむしゃぶりついて喉を鳴らしました。
血の勢いが思ったよりすごかったので飲みきれない分がドボドボと零れて飛び散りましたが、気にする必要はありません。
血はまだまだ出てきます。どんどん出てきます。
我を忘れて血を飲むこと数分。霊夢さんの血の出が、かなり悪くなってきました。
でも私のお腹ももういっぱいなんで、ちょうどピッタリだったってことでしょうか。まあ大分零れてますけど。
「わあああああああああああああああああああああ!!!!!!」
突然、また誰かの叫び声が聞こえました。霊夢さんじゃありません。背後から聞こえました。
振り返ると、魔法使いの魔理沙さんが腰を抜かして倒れていました。
「あ………ぁ………れみ…り………おまえ…………」
額に汗を浮かべながら、魔理沙さんがガクガクと震えています。何をそんなに驚いているんでしょう?
魔理沙さんの視線を追ってみると、私の目の前に首から血を流して死んでいる霊夢さんがいました。
自慢の巫女服は血で真っ赤に染まって、紅白巫女ならぬ紅赤巫女状態です。
同様に、私のドレスも血で真っ赤になっていました。
口の中にも、血の味がまとわりついてきます。思い出しました。私が霊夢さんを、殺したんでした。
生まれて初めて人を殺してしまいました。でも思ったより大したことなかったですね。
あ、でもレミリアさんの体で殺したんじゃあノーカウントでしょうか?
血がほしかったのも、吸血鬼の体だからってのがありますし。ノーカウントですね。ノーカウント。私は殺してません。
朝に血の紅茶を飲まなかったのが悪かったんでしょうか?一瞬記憶まで飛んでしまうなんて、やっぱり妖怪って恐いです。
腰を抜かしている魔理沙さんの方を見てみると、ドロワーズの股のところが黄色くなってました。
どうやら霊夢さんの死体を見て、おしっこを漏らしちゃったみたいです。結構かわいいとこあるんですね。
「ひ、ひえええええ!!!!」
私が近づいてみると、魔理沙さんはずっこけながら箒に跨って、流星のごとく逃げ去っていきました。
放っておくと面倒なことになりそうですが、追いかけるのも面倒なので放っておくことにします。
私の足元には、相変わらず死体になってしまった霊夢さんが転がっています。
大結界を司る博麗の巫女も、こうやって死んでしまったらただの人です。特に霊夢さんとは仲が良かったわけではないんで、別にいいんですけど。
それより代わりの博麗の巫女は誰がなるんでしょうか?もしかしたら、私かもしれませんね。ある意味チャンス到来です。
そういえば、私の本物の体は今どうなっているんでしょう?
まさかレミリアさんが乗り移っていて、私と同じように好き放題してるんじゃ…
今回の異変は私の能力によるもの(だと思う)ですし、紅魔館やここで鉢合わせにならなかったあたり、その可能性は薄いとは思いますけど。
一応心配なので、見に行ってみることにしましょう。
さすが吸血鬼です。いつもなら20分かかるところを、わずか数分で守矢神社に到着しました。
さっそく境内に降りてみましたが、誰もいません。
いつもは私が1人で掃き掃除をしているだけなので、これは別段不思議ではないんですが、
拝殿にもいません。本殿にもいません。お家の方にもいません。となると、これはおかしいです。
神奈子様も諏訪子様も神社を空けるなんて、こんなこと幻想郷に来てから一度もありませんでした。
2人とも、もとい、3人がどこに行ったのか見当もつきませんが、絶対何かまずいことが起こっています。
それだけは間違いありません。ああ、どうしましょう。どうしましょう。
私が頭を悩ませていると、不意に頭上を影が横切りました。
「誰かと思えばレミリアさんじゃないですか」
見上げると、新聞記者の文さんがこちらを見下ろしています。
文さんはくるんと旋回すると、私の前に降り立ちました。手にはいつものカメラでなく、葉っぱみたいな扇を持っています。
「あなたの方から山に来るなんて珍しいですね。……!?あややや!?その血、どうしたんですか!?」
文さんが私の服を指差して驚いたように言います。
そういえば服に霊夢さんの血がべったりついていました。
これから会う人全員にこの血について聞かれると思うと、少しうんざりします。早く紅魔館に帰ったほうがいいかもしれません。
「ああ、これ…?えーと、熊よ。熊の血なの。さっき襲われて…」
「今の幻想郷に熊なんていましたっけ?怪しいですね…。まさか…人間の血とか…」
私も嘘を付くならもう少しマシな嘘を付けばよかったです。
本当のことを言ってもよかったんですが、あまり騒ぎを大きくするのも私の体を探す上で不自由になるかもしれません。
私が言葉に詰まっていると、文さんが急に輝きだしました。
「え?もしかして本当に人間の血ですか!?"スカーレットデビル再来!吸血鬼レミリア、ついに人間を襲う!恐怖に駆られる人々!"とかそういう―――」
そこまで自分で言った後、ふと何かに気付いたような顔になり、文さんは短く咳払いをしました。同時に輝きはなくなりました。
「失礼、今日は取材じゃないですよ。レミリアさん、悪いですけど早く山から出て行ってください」
「え?どうして?」
「この山は天狗の縄張りです。いくらレミリアさんでも、これ以上長居させるわけにはいきません」
そうでした。彼女は新聞記者でありながら、天狗なのです。
正しくは逆ですけど、私の中の文さんは新聞記者のイメージしかなかったので、気付きませんでした。
もう少しこの辺りを調べたかったんですけど仕方ありません。
文さんには幻想郷のことについて教えてもらったり、新聞で守矢神社を紹介してもらったりと、色々と親切にしていただきました。
いくらここまで非道いことをしてきた私でも、文さんを殴りつけるような真似はできません。大人しく言うことを聞くことにします。
「…わかったわ。神社には誰もいないみたいだし、今日は帰ることにするわ」
「あら?なんだか随分と聞き分けがいいですね」
「そ…そう?」
「神社に用があったんですか?そういえば今朝、ここの神様たちが急々と出て行くところを見ましたね。だから今神社は留守だと思いますけど」
「ほんと!?ど、どこに行ったの!?」
「え?さあ…。出て行くところしか見てないのでわかりませんが、あっちの方に行きましたよ」
文さんの指差した方向は、人里のある方向でした。
もしかしたら人里で色々やらかした私(レミリア)を、神奈子様たちが止めに行ったのかもしれません…。由々しき事態です。
もしそうだったら、私の体を攫って明日までどこかに閉じ込めておきましょう。
明日の朝になれば、多分この異変は終わっています。私の中の奇跡の力が、なんとなくそう教えてくれています。
なんとなくなんで、確信は無いですけど…。
「わかったわ。ありがとう、文」
「は?あ、はぁ……どういたしまして。……なんか今日のレミリアさん、変ですね」
「………」
レミリアさんの顔が妙に広いのも困りものです。
私はそれ以上怪しまれる前に、人里に向かって飛び立ちました。
人里に着いても、私の心配していたような事態は何も起こっていないようでした。
人々の笑い声や、お店の喧騒が心地良い、いつもどおりの平和な光景です。
ただ、どうやらその平和を、私の服がぶち壊しにしたようです。
里の人達はみんな私の姿を見るなり「悪魔だ!」とか「殺される!」とか言って、悲鳴を上げながら家に駆け込んでいきました。
全然そんなつもりはないんですけど、どうもこの血まみれの服はインパクトが強すぎるようです。
「おい」
そうやって騒ぎになっている内に、里の守護者、慧音さんが私の前に立ちはだかってきました。
「何をしに来た、吸血鬼。……っ!?……お前、それまさか人間の血か?」
慧音さんが怖い顔をしてにじり寄ってきます。
幻想郷には妖怪は人間を殺してはいけない決まりがあるので、皆さん人間の血にはやたら敏感に反応します。
とくに慧音さんは人間が大好きらしいので、『これは人間を殺した返り血ですよー』とか言ったら、それこそ殺されかねません。
でもまあそれは普通の妖怪ならの話です。今の私は吸血鬼ですから、間違っても半獣なんかに殺されたりはしません。
だから教えてあげることにします。
「ご名答、これは人間の血よ。慧音」
「な、なんだと!?…誰だ!誰の血だ!!まさか、殺したのか!?答えろ!!」
慧音さんがものすごい剣幕で私の胸倉を掴んできました。こんな恐い慧音さんは初めて見ます。
いつもの私なら、魔理沙さんみたいにちびっちゃうところでした。
でもこの体のおかげか、今は不思議と冷静な気持ちでいられます
むしろマジギレしている慧音さんが滑稽でなりません。
私がへらっと笑うと、慧音さんが腕に力をこめてさらに絞め上げてきました。
流石に苦しくなってきたので仕方ありません。これは正当防衛です。
私は慧音さんの首にすばやく腕を伸ばすと、その首をグイッと絞めました。
「ぐっ…」
慧音さんは私の胸倉を掴んでいた手を離し、私の手を剥がそうと両手を使って抵抗してきました。
一瞬で攻守が逆転です。
私は体を浮かせて、慧音さんを宙吊りの状態にしました。次第にもがく力が弱まってきます。
私がさらに絞め上げると、慧音さんの手から力が抜けて、だらりと垂れました。
顔色も悪くなってきています。人間ならそろそろ死ぬところですが、彼女は半獣なので大丈夫でしょう。
色々お堅いことを言う慧音さんはそんなに好きではなかったので、この機会にストレス発散しておくことにしました。
里の人たちが遠巻きにその様子を見ながら、「慧音先生…!」とか呟いています。
でも誰もあの緑の妖精さんのように助けに来たりはしません。それが当然なので、別になんとも思いません。
そういうわけで誰も助けに来ないと思っていたので、完全に油断していました。
後ろから飛んできた炎弾が、私の背中に思い切り直撃します。
「慧音!!」
この体になってから、初めて痛いと思いました。慧音さんが私の手から離れて、地面にドサッと落ちます。
炎弾を放った犯人は、いつも慧音さんにくっついている自称人間の妹紅さんでした。
妹紅さんは真っ先に慧音さんに駆け寄ると、彼女の体を抱き起こしました。
「慧音!大丈夫か!?」
「ごほっ…ごほっ……。すまん、妹紅……」
「よくも慧音を!!」
すぐさま妹紅さんが怒りに任せてまた炎弾を放ってきます。
ですがちゃんと見ていれば、こんなもの当たりません。
当たらないので負けることはありませんが、よく考えてみると勝つこともできないことに気付きました。
いくらパワーとスピードがあっても、妹紅さんは絶え間なく弾幕を撃ってくるので近づくことができません。
今回はスペルカードが使えないことが仇となりました。
悔しいですけど、ここは敵わないので逃げることにします。
「あ!待て!!」
私が回れ右して逃げ出すと、妹紅さんが追い討ちの炎弾を撃ってきました。
すばやくそれをかわして、森の中へと逃げ込みます。
「二度と人里にくるな!!悪魔め!!!」
最後に妹紅さんの罵声が聞こえましたが、どうやら追ってまでは来ないようです。
気付けば日も大分落ちてますし、この服で出歩くのも得策ではないです。
そういうことで、そろそろ館に戻りましょうか。
館にはあっという間に戻ることができました。このスピードももうお馴染みです。
館の門まで来ると、またあの中国っぽい人が門の前に立っていました。
どうやら門番か何かがお仕事のようです。
中国は私の血まみれで焼け焦げた服を見て一瞬目を丸くしましたが、すぐに私から目を逸らしました。
咲夜さんへの仕打ちが相当気に入らなかったみたいです。
ちゃんと追い出してくれたんでしょうか?聞いてみます。
「咲夜は?ちゃんと追い出してくれた?」
「………」
「答えなさい」
「………。…あの怪我だったんで無理矢理引きとめようとしましたが、逃げられてしまいました」
質問の答えとしては正しくないですが、要するに咲夜さんは出て行ったようです。
それなら何も問題はありません。
「もし戻ってきたら、ちゃんと追い返すのよ」
咲夜さんが戻ってきたときのために、一応釘を刺しておきます。
この人が言われた通り追い返してくれるとは思えませんが、私が本気で咲夜さんを嫌っているという印象は与えられたと思います。それで十分です。
館の中に入ると、玄関口に今度は紫色の髪の毛の変な人がいました。
手に持ってる本やローブから察するに、魔女さんでしょうか?
「レミィ、どうして咲夜を追い出したの?あの子本気でクビになったと思ってるわよ」
本気でクビにしたので別にそれでかまわないんですけど。なんでしょうね、この人達。
悪魔の館に住んでいるくせに、人間1人いなくなったくらいで騒ぎすぎです。
いいかげんうざいので無視します。
「待ちなさい!レミィ!!」
魔女さんが私に命令してきました。この人はこの館に住んでいながら、レミリアさんの部下ではないようです。
何者なんでしょう?血まみれの服についてもつっこんでこないし、謎は深まるばかりです。
「レミィ!!」
いくら呼ばれても無視することにしました。
この人については全く知らないので、下手に会話をしてボロでも出たら大変ですし。
「…ふーん、私を無視するなんて、いい度胸じゃない…?」
魔女さんが意味深なことを言っていますが、まあ恐れることはないでしょう。
もう妹紅さんのときのような不覚はとりません。いくら後ろから弾幕を撃たれようが、避けるだけの自信はあります。
「日符、ロイヤルフレア!!」
魔女さんがスペルカードを発動したようです。
どんな弾幕かと振り返ってみると、魔女さんの頭上に大きな火の玉がありました。
全身が燃えるように熱いです。
加えて身動きもうまくとれません。なんですか?これは?
熱いです
熱い熱い熱い熱い!!熱い!!熱い熱い!!!熱い!!熱い!!熱い!!熱い!!
熱い!!熱い!!熱い!!熱い!!熱い!!熱い!!熱い熱い熱い!!熱い熱い!!熱い!!
やだあ!このままじゃ死んじゃいます!!誰か助けてください!!
…―――
「分かったレミィ?私を怒らせたらどうなるか」
何分経ったか分かりませんが、ようやく魔女さんがスペルカードを解除しました。
実際は数十秒だったかもしれませんが、あまりの苦痛にその何倍もの時間に感じられました。
さっきまであんなに熱かったのに、私の焦げた皮膚は瞬く間に再生して元に戻っています。
そうです、この体は吸血鬼の体。あのスペルカードは、おそらくその弱点の太陽をモチーフにしたものだったのでしょう。
日符とか言ってましたし、間違いありません。
体が回復すると、頭の中にふつふつと怒りが込み上げてきました。
本当に死ぬかと思いました。あの苦痛はちょっとお仕置きなんてレベルではないです。それを分かってて、この魔女は使ったんでしょうか?
分かってないなら許せないです。分かってたとしたら、なおさら許せないです。
流石の私もキレました。この魔女だけは今までの誰よりも許せません。弱点を突いてくるなんて、いかにも魔女らしくて汚い戦略です。
そんな相手に遠慮はいりません。もう手加減は不要です。
「レミィ、聞いてる?今のは、咲夜を追い出した罰の分も…」
魔女さんがまだごちゃごちゃ喋ってますが、チャンスは今です。
さっきスペルカードを発動しているときは、何かの本を開いていました。今その本は、魔女さんの脇に抱えられています。
あの本を開くのと、私が魔女さんを攻撃するのとでは、おそらく後者の方が早いです。
私は意を決すると、床を蹴ってすばやく魔女さんの懐に潜り込みました。
魔女さんは一瞬ぎょっとした顔をして慌てて本に手を伸ばしましたが、遅すぎます。
私は魔女さんのお腹に、全力の3倍くらいのボディーブローをお見舞いしてあげました。
「おげぇ!!!!!」
ミシミシと骨が砕ける感触と、内臓が潰れる感触が手に伝わってきます。
魔女さんはそのまま吹っ飛んで壁に衝突すると、口からものすごい量の血を吐きました。
「あぁ…ああぁ…ぁあ…あぁぁあ…ああ…ぁ…あぁぁぁ……」
魔女さんが変な声を上げながら、体をビクビクと痙攣させています。
口からはゴボゴボと血の混じった泡を吐いています。体の中の血管や内臓が破けているに違いありません。
壁にぶつかった衝撃で背中の骨が折れたのか、体の傾きもなにやらおかしいです。
その様子が面白いのでしばらく観察していましたが、数分経ったあたりからしだいに声が小さくなり、最終的には全く動かなくなりました。
死んでしまったんでしょうか?でも魔女は人間ではないので、殺人にはならないはずです。
とりあえず気分はもうスッキリしたので、レミリアさんの部屋に戻ることにします。
私はレミリアさんの部屋に入ると、着ているものを全部脱いでベッドにダイブしました。
今日は色々あって疲れました。体は全然疲れてないんですけど、精神的にくたくたです。最後のスペルカードには流石に参りました。
結局、私の体はどこに行ったんでしょう?まあ明日になれば元に戻っていると思うんでいいですけど。
…もし戻らなかったらどうしましょう?流石に色々取り返しのつかないことをしてきたので、それは非常に困ります。
でももう考えるのも面倒くさいです。今は眠い。ただひたすら寝たいです。
就寝用の着替えがどこにあるのかわからないので、もうこのまま裸で寝ることにしました。
目を閉じると、すぐに眠気が襲ってきました。異常な睡魔です。
ものの数秒しないうちに、私は眠りのなかに落ちました。
おやすみなさい
おやすみなさい
おやすみなさい
おやすみなさい、レミリアさん………
…
…
…
次の日。
朝、目覚めてみると、私の目の前にはまた見知らぬ天井がありました。
私のお家でもありません。紅魔館でもありません。見たことも無い天井です。
でも、体は私の体でした。手も私の見慣れた手です。髪も私のです。おっぱいもちゃんとあります。ひとまず安心です。
私の口には、何故かプラスチックのカバーのようなものが被せてありました。
邪魔くさいので引き剥がしてみると、それはよく病院の患者さんとかが着けている人工呼吸器でした。
なんでこんなものが私に着けてあるんでしょう?
首を回して横を見てみると、寝ている私の横に、口をポカンと開けている諏訪子様がいました。
「あああっ!!!神奈子!!!早苗がっ!!早苗が目を覚ましたよ!!!」
「えっ!?なんだって!?」
すぐに神奈子様もとんできて、私の顔を覗きこんできます。
「さささささ早苗!?私のことわかるかい!?」
「え…?か、神奈子様ですけど」
「私は!?私は!?」
「諏訪子様です。忘れるわけないじゃないですか」
「ああよかった!よかった!先生、早苗が目を覚ましました!!」
神奈子様と諏訪子様が泣きながら喜んでいます。意味が分かりません。
先生と呼ばれて出てきたのは永琳さんでした。
永琳さんは私の体温を測ったり、胸に聴診器を当てたり、心拍数を数えたりした後、真剣な顔つきで私に語りかけました。
「あなた、昨日から丸一日植物人間状態だったのよ。原因もわからないし何をやっても起きないから、ずっとそのままかと思ったわ」
ええ?そうだったんですか?
なるほど、私がレミリアさんの体に入ってるときは、私の体はカラッポだったんですね。とんだ取り越し苦労でした。
すると、レミリアさんの精神はどこに行ったんでしょう?まさかそこらへんを漂っていたわけでもあるまいし…
…まあ、今となってはどうでもいいことです。
「早苗!」
「早苗〜!」
神奈子様と諏訪子様が抱きついてきます。点滴の針が変な風に抜けてチクリとしましたが、別に気になりませんでした。
なんだか、神奈子様と諏訪子様の顔をものすごく久しぶりに見た気がします。
私の体の奥から、いままで溜め込んできた感情がどっと押し寄せてきました。
私は、いつのまにか泣いていました。
自分でもなんで泣いてるのかわかりません。でも、涙が止まらないんです。
私達は抱き合ってオイオイ泣きました。本当に意味がわかりません。
多分永琳さんも呆れ顔で見ていることでしょう。でもなんだか、ものすごく幸せな気分になりました。
結局あれが何だったのかは、いまだに分かっていません。
私の能力だった可能性が高いですが、あれから同じような現象は起こらないですし、そもそも何が目的だったのかもわかりません。
もしかしたら、本当に異変だったのかもしれません。あるいは、誰か他の人の能力だったのかもしれません。
本当に何も分からないのです。
でも、新たに分かったこともありました。
あの日以来、神奈子様、諏訪子様と一緒にいる時間が多くなりました。
食事のときも、里に行くときも、そして、寝るときも一緒です。
その仲の良さがウケたのか、最近は人里の方々も大勢信仰してくれるようになりました。
なんでもオシドリ神様なんて呼ばれているらしいですよ。夫婦でもないのに、なんだか恥ずかしいですね。
分からないことだらけの今回の体験でしたが、これだけは自信を持って言えます。
神奈子様も、諏訪子様も、私の大切な家族だということです。
HAPPY END
おまけ
その日のうちにレミリアさんは紫さん達の手によって捕まり、磔にされていました。
レミ「くそっ…放せえええ!!!」
紫「条約違反、博麗の巫女殺害…。レミリア・スカーレット、いい加減自分の罪を認めなさい」
レミ「何言ってるのよ!?霊夢を殺すなんて……そんなこと私がするわけないでしょ!?」
紫「目撃者もいます」
魔理沙「み…見たんだ!!あいつが…霊夢の首を突き刺して…血を…!」
レミ「何言ってんのよ魔理沙!?デタラメ言わないで!!!」
永琳「報告します。霊夢の体の傷口とレミリアの爪型、歯型が完全に一致しました」
紫「ありがとうございます。ほら、まだ言い逃れする気?」
レミ「そんな…う、嘘よ!私は何もしてない!!そ…そうだ!昨日はずっと咲夜と一緒にいたわ。咲夜が証人よ、連れてきて!」
美鈴「それはおとといのことですお嬢様。それに咲夜さんはもういません」
レミ「は?いないって何よそれ!?」
美鈴「……お前が……追い出したんだろうが!!!!」
『ドカッ』
レミ「!?がはっ…!!め…美鈴!?何をすr」
『ドカッ バキッ グシャッ』
レミ「痛い!痛い!やめてえええ!!!」
美鈴「……昨晩咲夜さんの遺体が見つかりました。ナイフで喉を刺しての自殺だったそうです。パチュリー様の遺体とあわせて、今朝の内に埋葬しておきました」
レミ「へ?咲夜とパチェが…?な、なんで…!?」
『ボコッ ドカッ グシャッ』
レミ「ぐえぇ…!」
紫「紅美鈴、気持ちは分かるけど落ち着いて。彼女が憎いのはあなただけじゃないわ」
美鈴「……はい、すいません」
紫「それでは皆さん、銀の槍は持ちましたか?幻想郷を脅かす悪しき吸血鬼に、血の制裁をお願いします」
美鈴「咲夜さんの仇!」
魔理沙「よくも霊夢を…」
文「レミリアさん、残念でなりません」
妹紅「おまえなんかいなくなればいいんだ」
早苗「うふふ、悪いことしたら相応の罰を受けなきゃ駄目ですよ?レミリアさん」
レミ「なんで!?どうして!?私何も悪いことしてないのに!!やだ!!やめろ!!やめろ!!」
紫「狙うは心臓です。準備はいいですか?それでは皆さん構え――――刺せ!!!」
レミ「う、うわああああん!!!!やだぁ…やだよぉ!!助けて!!フラン!!!!咲夜ぁあああ!!!!!」
『ドスッ!ドスッ!ドスッ!』
レミ「がはっ…!!ぐぁあああ……」
『ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!』
レミ「おえ゙っ……げぼぉ……!……あ゙っ……が…………」
早苗「えいっ、えいっ、とおっ」
レミ「……ぁ………。な゙………ん…………………で………………」
紫「はい、皆さんありがとうございます。もうそのくらいでいいですよ」
早苗「え、でもまだ生きてますよ?吸血鬼ってすごいタフですけど、これでちゃんと死ぬんでしょうか?」
紫「後は日の当たる場所に置いておけば、それで完全に死ぬはずです」
早苗「あー、なるほどー」
後で分かったことですが、レミリアさんは自分の大変さも誰かに分かってほしいなんてことを、事件の数日前から愚痴っていたそうです。
最強の戦闘力を誇る吸血鬼ですが、日光に弱いことや、流れ水を渡れないこと等は、彼女にとってものすごく嫌なことだったらしいです。
紫さんたちはそれを今回の事件の動機として片付けたようですが、もしかしたら私がレミリアさんになったことと、何か関係があるかもしれませんね。
TRUE END
大好きなレミリアと早苗さんを併せた結果がコレ。レミリア分はあんまり出てきませんが、その分早苗さんのキャラがえらい事になってます。
相変わらず調子こきまくりの早苗さんに対してなんの処罰もありませんが、許してくだしあ…
Thank you for reading!
8/20:追記
こんなに沢山コメントがいただけるとは……感謝っ…感激っ…!
読んでくださった方々、コメントしてくださった方々、本当にありがとうございます。
相変わらず早苗さんは大人気ですな。非や星で早苗分が増し増しなんで、次書くのも早苗さんかもしれません。
ホントかわいいなぁチクショウ
>>36
うわ、なんということだ…。ご指摘ありがとうございます、修正しました。
紅魚群
- 作品情報
- 作品集:
- 2
- 投稿日時:
- 2009/08/13 12:44:16
- 更新日時:
- 2009/08/21 02:37:15
- 分類
- 早苗
- レミリア
- その他数名
- グロ注意
そろそろ償いを受けなきゃならないな、うん。
そしてレミリアがすげー可哀想
相変わらず紅魚群さんの文章はテンポがいいですね、サクサク読めました
○レミリア
さかな
○早苗
早苗がレミリア
○早苗
1勝2敗
とりあえず苦しんで死ねよ
そんなことより誰か銀のリング持って来い。早苗が入ったまんまのレミリア拘束して日光に晒すから
取り敢えず早苗は低級妖怪と入れ替わって評判落とせば良いw
こんな素敵なシチュエーションが残っていたのか、と
早苗は本当に産廃のアイドルですね
早苗いじめがもっと欲しいなぁ
このゴミが苦しむ続きが楽しみだよ
その辺のレミリア苛めの比じゃない
お前の執筆の中に落とすんだ……!!
ここまで本気で怒りを感じたのは久しぶりだ
紅魚群さんにはその素晴らしい文才をこれからも遺憾なく発揮して頂きたいです。
>早苗「えいっ、えいっ、とおっ」
レミリアの処刑シーンでも早苗さんノリノリだなwwww
ははは、それもまた愛の一つだよ。
レミリア愛の方で。
これは早苗ざまぁwで終わる続編を期待したいなぁ
TRUEENDでノリノリな早苗さんには感動すら覚える
まあイタズラの一環ですよね
あと最後誰にも名前呼んでもらえないパチュリー哀れ
人生ってこんなだよ
>吸血鬼の体だからってのがありますし。ノーカウントですね。ノーカウント。私は殺してません。
さすが現人神、思考が人間じゃねえw
あと、誤記指摘。
ロイヤルフレアのあたり、一部早苗さんがパチュリーのことを名前で呼んでいます。
早苗のお株急上昇。
死ねよ、この屑
より一層早苗が輝いて見える
弾幕戦無視すれば勝てる奴ほとんどいないし
評価にもあるけど、中だるみせず一気に読ませられるのは文才あるとしか…
読んでるあいだワクワクが止まらなかった
脳内映像でしばらくフラフラになっちまったぜ・・・
深いな
レミリア好きなので早苗さんが終わってほしい。
続きが書きたいので勝手に書かせて貰います。いつか、書き終わったらURL貼っときます。書くんじゃねぇーよ!ってことなら即刻やめます。
これからもがんばってください。長文失礼いたしました。
勿論書いていただいても大丈夫ですよ。むしろ大歓迎です。
応援ありがとう!