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			『残酷幻想少女地獄掌編三本勝負』 作者: nekojita		 
	
	
	
  
 
 
 
 
 
■力 
 
 
 
 その存在は何事か呟くと出し抜けに、魂魄妖夢の小躯を横一文字に切り裂いた。 
 一撃はちょうど第七胸椎を砕ききったから、ずると上半身が崩れ落ちた時には人体の肺、心臓肋骨三尖弁、乳頭筋、下行大動脈の配置と構造と働きが、誰にでもよくわかるようになった。 
 
 所は人里、花屋の表。時刻は午後の三時、あたりは騒然となる。 
 未熟とはいえ達人のはしくれ、妖夢が不意討ちに対して咄嗟に抜いていた刀は指から離れず、がらんと音を立てて半身ごと地面に落ちた。 
 
「畜生」 
 
 言って事切れる。 
 しかし顔に張り付いていたのは怒りというよりはむしろ驚きであった。 
 
 さてその歩む三歩先から見返り、従者が死ぬのを見守っていたのは冥界の姫たる西行寺幽々子。 
 半霊の方も大気に溶けるように姿を消し、妖夢の魂も然るべき所へ還る。ざり。草履が地を擦った音である。この死の一部始終を横目に確認してから、やがて姫君はゆっくりと体ごと、その下手人の方へ向き直った。 
 
 彼女の表情にも怒りは無い。ふうわりとした笑みには従者を思う悲しみも、憂いも微塵も無かった。ただ魂魄妖夢を事も無げに撫で斬りにした、かれの太刀筋に対する好奇心だけが有った。 
 
「名は?」 
 
 かれは答えず刀を納めた。抜刀術の一刀のもとに彼女の従者を沈めた猛者が相手である。戦意を喪失したのでなく、臨戦体勢に入った事はその場の誰にもわかった。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
■恐怖 
 
 
 
 
 ついに射命丸文の黒い羽根は根本からぽっきりと折られて、全く飛行も不可能な痛々しい状態となっていた。 
 いかに天狗とはいえこれは回復しない。痛々しい。回復しても、飛行能力には著しい後遺症が残るだろう。彼女が幻想郷最速のスピードで空を舞うことは、多分もう二度と無い。 
 
 そもそもが室内である。羽根が十全でも天狗の最強の武器たる圧倒的スピードは最初から役に立たなかった。身を守る弾幕も呪術用の道具となる扇や、詠唱時間の貯めが許されなければ撃つことができない。 
 そんな天狗が今奮えるのは、己の鍛えぬいてきた弁舌のみだった。この闘争はその当初から、一方的な虐殺としての性格を持っていた。 
 
「あ、あああ焦っちゃいけません。焦っちゃだめ。どうどう。は、はは話し合い! 話し合いましょう! 
 何についてお怒りですか、どの記事ですかどの勢力の刺客ですか。ててててて訂正記事を書きます。すぐに! 本当に早急に! 十分とお待たせしません。 
 あなたが受けた不当な評価はたちどころに解消され、それを見届けてからでも私を殺すのは…… 
 そ、そ、そうだあなたを褒め称える記事を出しましょう。 あなたはス、ススススター! 天才! 救世主! だ、だから、ゆ、許してうっひゃあっ!」 
 
 それでもまだ射命丸文が致命傷を貰わずにからくも逃げ回っているのは生来生まれ持つ、または鍛えぬいてきたその実力による所が大きい。 
 今、土下座する女の脳天に降り下ろされたのは女の体全部と同じくらいの重量の有る斧。 
回避が零コンマ一秒でも遅れていたら文の頭が上半身ごと消し飛んでいたのは想像に難くない。 
 
 
 健気にもべらべらと色々を言いながら烏天狗は狭い自室の中を逃げ回ったが、男はそれをいっこうに気にしないで斧を大振りに振り続ける。 
 それで反撃できる隙が見えないのは不思議なものだ。机ごと投げつけてみた所紙飛行機を払うみたいに防御される。 
 
「ご、ごめんなさい! ごめんなさい! 今のは、決して傷つけるつもりじゃあなかったんです。ただ手がすべ、滑って」 
 
 そんな文の弁明さえ、かれは全く聞く気がないようだった。 
 
 
 ずんずんと距離を詰めてきて、ついに壁際に追いやられると、女は、神経が限界に来たのか、泣き出した。 
 
「ひどい! ひどい! あまりにひどい! 私に何の咎が有ったかも言わないで、おっしゃらないで、殺すなんて! 
 ふ、不当だ! 合理性に欠く! 何事も冷静に対処して殺人行為すべきだ」 
 
 殺人者が斧を振り上げたのに対して、天狗はやがて何か思い付いたようだ。 
 早口ながら、言葉に着実に艶を持たせて、言う。 
 
「わ、わたしを抱いて、お、犯してからでも、こここ殺すのは、ぜんぜん遅くないでしょう? 
 わたし、わたしお願い、お願い、あ、あなたに抱かれたいです、抱かれたいです、はっ…はっ……」 
 
 昔よくやった尻軽取材。乱した服装、汗。一抹の狂気を孕んだ目線は、上目遣いの凶悪な角度。 
 スカート、ホットパンツと、続けていそいそと脱ぎ捨てると、彼女の秘所があらわになる。 
 右手の人差し指と中指を器用に使って桃色の肉までも見せつける。M字に開脚して必死に男に訴えかけるさまはむしろ憐れを感じる。 
 しかし彼女は真剣なのだ。なんとかして助かりたいその一心。笑ってはいけない。あなた方は欲情すべきだ。 
 
 かれは少し躊躇ったように見えたが、その実この獲物を仕留めるのに斧を縦に振り下ろすべきか、または横薙ぎで使うべきかとちょっと考えていただけのようで、やがて横薙ぎに決定したと見えると、その武器を右後方に、M字開脚に照準をつけて振りかぶった。 
 
「ぎゃあ」 
 
 直前で見切りを付けて這って逃げた彼女はなんとか左腕の肩口から先を砕かれるだけで済んだ。 
 蛇口を捻ったように鮮血が流れるが気にしていられない。 
 今、烏天狗の関心事は、破れた壁から見える外の景色だけだった。 
 
 羽根はやられても、体のバネは死んじゃいない、チーターのようにそれをしならせたかと思うと、一瞬のトップスピード。 
 ビルの四階程度の高さから、踏みきって飛び降りた。必死に羽根を動かしてもやはり空は飛べないが、逃げ切った満足感だけは有った。 
 こぼれる笑みを抑えきれない。部屋を見上げる。見下ろすかれと目が合った気がしたが、かれの目線はいくばくかの侮蔑を纏っていた。 
 
 
 三十秒あまり地面に張り付いていた、左手が無い、下半身は裸の烏天狗の女は、やがてむくり、と起き上がった。 
 
 ゆらりゆらゆら、四歩歩いて倒れた。絶命した。彼女の死の表情は、大変な屈辱にまみれていた。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
■理不尽 
 
 
 ある日霊夢と魔理沙が博麗神社の縁側でお茶を飲んでいた。 
 霊夢はふと、神社の敷地の端っこに、ひとつの理不尽が現れるのを見た。長身のかれは、ひどくつまらなさそうな顔をしていた。 
 
 かれは右手に鎚のような武器を手にしていた。音は無いが存在感は有る。土足で縁側に上がってきて、これに気づいた様子も無く下らない話を続ける霧雨魔理沙の真後ろ、博麗霊夢の正面に止まった。 
 そのまま理不尽は武器を振りかぶり――― 
 
――この時霊夢は理不尽と目が合ったが、声を発することはしなかった―― 
 
 かれは躊躇わず魔理沙を叩き潰した。 
 
 彼女の姿は目の前から消えた。床ごと叩き潰したからだ。理不尽は、魔理沙に降り下ろした鎚を持ち上げた。 
 かれは一旦、その場で膝を折って、下を向いた。 
 魔理沙のために祈ったのかもしれない。 
 
 霧雨魔理沙は死んでいた。 
 
 彼女の死は第一にその場に盛り上がった赤い肉の塊である。 
 第二にてんでばらばらの方を向いて天につき出される四本の肢体である。 
 第三に、一時天高く在り、その後周囲六メートル四方にぶちまけられた全身の血液である。 
 すぐ隣にいた霊夢は、その血を隈無く全身に浴びた。改造巫女服は襟から袖までべったりと汚れてしまう。 
 今まで体内を勢いよくめぐっていた、その血潮は熱湯のように熱かった。 
 血液の温度というものを、霊夢はこの時はじめて経験として知ったのだ。 
 
 
 
 やがて理不尽は立ち上がって、縁側から降りた。 
 相変わらず正座してお茶を飲んでいる、いや、というよりは、赤黒い鮮血でみちみちた湯飲みを握りしめたまま茫然と固まっている博麗霊夢の横を通りすぎる。赤い血のついた鎚をひきずり、人里の方へ向かっていった。 
 
 静かに、静かに向かっていったので、霊夢にはかれを、止めることができなかった。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
	作品情報 
			作品集: 
		2  
			投稿日時: 
		2009/08/18 06:16:11  
			更新日時: 
		2009/08/21 00:39:32  
	 
	
		分類 
					魂魄妖夢   
					射命丸文   
					霧雨魔理沙   
					ほか   
					グロ描写のみ   
			 
	
犯罪自慢しなさい
文のところはちんこたった
それである程度ログがたまったらニコニコで気持ち悪い動きをしながら踊ってみたをする。
三本くらい投稿したら他人の振りして「これこいつのブログじゃね?」ってコメントする。
タグ付けでもいい。
この時ブログの至るところに広告を付けまくっておくとニコニコの再生数が伸びる上に小金稼ぎも出来てハッピー。
あってもなくても凄い想像を掻き立てる文章ですね
生々しい恐怖の前によく頭が回るものだ
そして、それを無慈悲に殺す“誰か”に萌える。
大好きです!
デモンズソウルの黒ファントム
俺にも新聞買わせろ!
筒井康隆の「死にかた」を思い出しました