こいしちゃん

むかしむかし、あるところにこいしちゃんというおんなのこがいました。

こいしちゃんはみんなのこころがわかるようかいでした。

こいしちゃんはようかいなので、みんなからきらわれていました。

こいしちゃんはみんなからいじめられるのがいやなので、へやにとじこもってしまいました。

もうだれのこえもきこえません。

たのしいこえもかなしいこえもこわいこえもぜんぶなくなりました。

けれどもあるひ、またあのこえがきこえてきました。

さびしいよ、さびしいよ。

こいしちゃんはなきながらおこりました。

「五月蝿い！お前の寂しさなんて私の孤独からすればちっぽけなものじゃないか！」

それでもこえはきこえてきます。

さびしいよ、さびしいよ。

こいしちゃんはこえがどこからでてくるのかさがしました。

いちにちさがしてもみつかりませんでした。

いっしゅうかんさがしてもみつかりませんでした。

いっかげつさがしてもみつかりません。

そしていちねんかんさがしてようやくみつけました。

そのこえはこいしちゃんのこえだったのです。

こいしちゃんはみみをふさぎました。

それでもこえはきこえてきます。

こいしちゃんはひらめきました。

じぶんのこころをころしてしまえばきこえないはず。

そしてこいしちゃんはじぶんのこころをころしてしまいました。

さびしいこえはきこえてきません。

こいしちゃんはよろこびませんでした。

こころがしんだから。

でももうさびしいこえはきこえてきません。

よかったね、こいしちゃん。

めでたしめでたし。