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『心を込めて作りました。焼いただけですが。あ、タレも塗ったよ。』 作者: 大崎屋平蔵
ある日のこと。
それは、どんよりとして日の差さない曇りの日。
しかし、雨は降らず風も弱い、薄暗さ以外は穏やかな日のこと。
何故か、フランドールと美鈴はハイキングなんぞをしておりました。
というのも、フランドールが昼食を用意したので一緒に行きたいとのこと。
断る理由もないし、普段から本を借りたり(例・ヘルシング)している間柄、遠慮するほど疎遠でもなかった。
何より、外出を止めているはずのレミリアでさえ、たまの散歩には肯定的だったのだ。
「……運動不足で猫背近眼太めの妹は見たくないのよ」
「なんの番組見たんですか」
「監禁事件特集」
「あー」
美鈴もついつい納得の出来事であった。というか一緒に見てた。
どうにもその影響で、適度な外出を望んだようであります。
そこで一人歩き回るよりは、当然保護者があった方が良い。そこで美鈴は大変丁度良かったのでありました。
そんなわけでフランドールと美鈴は、遠くもないが近くもない紅魔館の周辺を彷徨っていた。
「どこまで行くんです?」
「美鈴がお腹空くまで」
「はぁ?」
食事を作りたい。
それがフランドールの気持ち。
それを美味しく食べて貰いたいという為の散歩となれば、まさに目的は美鈴の空腹であった。
良く判らない美鈴は、自分のお腹を撫でる。
「そういえば、確かにお腹空いてきましたねぇ」
そう呟けば、フランドールの瞳はキラリと光る。
「お腹空いた? 判った、ちょっと待っててね♪」
「はい?」
フランドールは待ちに待ったという様な輝いた瞳で、ばたばたと駆け回って薪を集める。そしてその上に、肉を焼く為の機材を用意した。
「ようし、やるか」
袖を捲る。
何作るのだろう。美鈴はフランをじっと見ていた。
フランドールは袖を捲ると、右手で左手首を掴み、ストレッチの体勢を取る。
「よいしょっと」
ブチリ
腕引き抜いた。
ぽたぽた垂れて水たまり。
「いっ!?」
美鈴が歯を剥いて驚いた。
「んっしょ、ちょっと待っててね」
一方、気にした様子もないフランドールは魔法で火を付けると、肉を焼く機械に自分の腕を刺して、そのままゆっくりと焼き始めた。丁寧にタレまで塗っている。どう止めたのかは不明だが、既に血は止まっていた。
良い香りがする。
だが、そんな匂いを楽しむ余裕は美鈴にはない。
止めねばと思いながら、掛ける言葉が見つからず、結局はその場に硬直していた。
やがて、硬直が解ける頃に美鈴はどうにか声を絞り出す。
「ふ、フランドール様?」
「できたー!」
と、声を掛けた途端、フランドールは焼いていた串を持ち上げて、己の焼けた腕を天にかざす。
「うるとら上手にっ、焼っけまっしたー!」
満足げ。
「はい、美鈴」
そして何事もなく差し出してきた。
またも硬直していた美鈴だが、フランドールがぐいっと肉を差し出して我に返った。
「いただけませんよ!」
「えー、なんで!? 美味しいよ!」
「ではなく!」
困惑した美鈴がフランドールの肉を拒絶すると、フランドールは悲しそうな顔になる。
思わずビクリと美鈴は震えてしまった。
「ぶー。折角焼いたんだよ! 焼きたてなんだよ!」
「うっ」
「美鈴のために腕もいだんだよ!」
「あっ、えっと……判りましたよ」
涙目で迫るフランドールに負け、美鈴はつい肉をを受け取ってしまう。
見れば見るほど、それはフランドールの腕だった。焦げているが、今にも動き出しそうな風格を醸し出している。
指とかリアルどころの話じゃない。
「わくわく」
しかしキラキラ目線の攻撃とあらば、食わないわけにはいかない。
えぇい、ままよ!
美鈴は囓った。
肌を裂く触感。口に広がる肉の味。そして、芳醇な血の甘味。
「……あ、美味しい」
「でしょ!」
吸血鬼故か、血が酷く甘い。喩えるなら、それは濃厚なステーキソースの様に肉に染み、肉自体の甘味を増している。
悪いが、フランドールのソースの味なんて比べものにならないほど、この手の肉と血の相性は最高だった。
思わず夢中になって、美鈴はフランドールの腕を食べる。
指の先から肩の付け根の部分まで、丁寧に囓って肉を刮ぐ。
その貪り食う様を見て、フランドールはキラキラとした目をより一層強めて美鈴を見ていた。
「美味しい? 美味しい?」
「えぇ、すごく!」
「やったぁ!」
無邪気に跳ねるフランドール。
最後には骨まで舐めて、完食と相なった。
「あぁ、美味しかった」
「えへへ、お粗末さまでした」
「あの、これお代わりってないんですか?」
「えっと、お代わり作ると焼けなくなります」
「あ、そうですね。残念」
あははと頭を掻く美鈴。
『……はっ。畏れ多いこと云った』
気付くのちょい遅め。
「美鈴って美味しそうに食べてくれるね」
「あ、あははは。すみません、一人で全部食べちゃって」
「ううん、美鈴に食べて貰いたかっただけだから。じゃ、戻ろう。あんまり遅くまで遊んでると、お姉様たちが心配しちゃうから」
「あ、はい」
こうして、二人は紅魔館へと帰っていった。
道中、さすがに腕がないとまずいということで、見た目それっぽい腕を魔法で作って事なきを得たのであった。
数日後
紅魔館は遅めの昼食を終えた。
珍しく昼から肉料理であった。
咲夜が食器を下げていく中で、美鈴は満足そうに椅子にもたれていた。
「いやぁ、美味しかったです」
そう言うと、ふと思い出されたのはフランドールの腕だった。
「そういえば、フランドール様美味しかったなぁ。また食べたい」
ぼんやりと呟く。
ピシリと、空気の凍る音がした。
「そんなに気に入った? ならまた今度食べさせてあげようか?」
「本当ですか?」
と、嬉しそうに立ち上がった途端、美鈴は自分の左右に、咲夜とレミリアが挟むように立っていることに気付いた。
「……な、何か、アーカードの旦那とアンデルセン神父の間に挟まれた婦警さんの気持ちに……」
「それは言い過ぎ」
「あ、でも心境的には近いと思いま」
「美鈴」
「はい!」
低い咲夜の声にビクリと震える美鈴。
「美鈴……今の、どういう意味?」
「フランがなんだって言った……美鈴?」
明らかな殺気のサンドイッチ。
そこで初めて、美鈴は自分の失言に気付いた。
「……あ」
そして美鈴のその言葉に、フランドールもようやく自分の失言に気付いた。
「あ、えっと、その」
「美鈴? どうしたの?」
「答えなさい美鈴」
顔面蒼白になる美鈴。
「え、何されたの? 何、どんな特殊なプレイ?」
嬉々としてフランドールに訊ねるパチュリー。
この後美鈴の命に関わるレベルでの問答が繰り広げられたが、手料理を食べただけだということでどうにかこうにか事なきを得た。
美鈴の命が危ないところであった。
この後も、たまに美鈴はフランを食べた。
ちなみにその食事、フランが肉を差し出したものか、美鈴が襲って喰らったのかは……
……内緒である。
作品情報
作品集:
3
投稿日時:
2009/09/05 13:37:43
更新日時:
2009/09/05 22:37:43
分類
ほのぼの
紅美鈴
フランドール=スカーレット
とりあえずパチュリー自重でw
他にいるのか?
何かすごいほのぼのしてるから不思議なものだなあ。
「いい日きんたま」
「お前今日本っ当に頭悪いな」
の流れを見て以来あなたのファンですww
しかしこれはこれで
ちゅっちゅしたい
スカーレット姉妹食べたいに゛ょ゙ お゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙お゛ぉ゙(レーヴァテイン
これはレミィも美味しいフラグ!