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『神聖モコモコ王国 act2』 作者: 木質
神聖モコモコ王国のその2
【第三話 アポビオーシス】
夕暮れ。今日一日の授業を終えた寺子屋
教室に設置されたオルガンの椅子に慧音が腰掛ける
「さて、みんな準備はいいか?」
横一列に並ぶ生徒たちに目配せをする
生徒たちの合唱に臨む真剣な面持ちを見届けてから、オルガンの鍵盤に白魚のような艶やかな指を乗せ、緩やかな力でキーを押した
どこか懐かしさを感じる温かなオルガンの音色が教室に響き渡る
生徒たちは音に合わせて体を揺らしリズムを取る
みんなが一斉に大きく息を吸った
『一年生になったら♪ 一年生になったら♪ ともだち100人できるかな♪
100人で食べたいな♪ 富士山の上でおにぎりを♪ パックンパックンパックンと…』
「一人足りないモコオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
突然、寺子屋の校庭から叫び声が上がった
それにより子供達の歌が中断させられる
「友達が100人できたら、自分も入れて合計で101人モコ!! それなのに富士山に登るのが100人とかおかしいモコ! 一人ハブられてるモコ!!」
藤原妹紅が窓から教室に身を乗り出して抗議の声をあげる
「ま、まさか。その一人というのは岩笠モコかっ!? 妹紅が富士山で突き落としたから一人足りないモコかっ!? だったら…」
直後、慧音の拳が妹紅の顔面を捉えた
「さて。みんな続けよう。もう一度はじめから」
手についた妹紅の鼻血をハンカチで拭いながら、慧音は元の位置に戻った
放課後、生徒達が遊ぶ校庭の隅に慧音は妹紅を連行した
「何しに来た?」
「輝夜抹殺にある植物が必要モコ。それを探しているモコ」
「どんな植物だ?」
妹紅は落ちていた木の枝を拾い、地面に絵を書き始めた
「種子を植えつけた生き物に幻を見せて、そいつの養分を死ぬまで吸い取るモコ」
頭から木の枝が生えた棒人間が気色の悪い泥人形に抱きつかれている絵
「これを植えつけたら輝夜は死ぬに死ねないから、私の幻影とエンドレスに殺しあうインスタント生き地獄に発展リーチモコ」
「どこかの妖怪(兄)の末路みたいだな」
「いみわかんねぇコト言ってじゃねーモコ! モッコロスモコよ!?」
両手を広げて体を少しでも大きく見せることで慧音を威嚇する
「ただちょっとこの植物の名称がちょっとわからんモコ。だから慧音の生徒の花屋の餓鬼に店で扱っているか訊きに来たモコ」
「待て」
踵を返して子供達のもとに向かおうとする妹紅の手を掴む
「なにするモコか?」
慧音はポケットから手錠を取り出すと、一つ目の輪は今掴んでいる妹紅の手に
もう一つの輪はすぐ近くにあった登り棒に掛けた
「なんで手錠なんて持ってるモコか! このエロ教師! これなんかの教材モコか!!?」
「邪念樹の有無は置いておいて、お前の存在は子供に悪影響だ」
「ンだとモコォ!」
手錠についての疑問は流された
「子供達が全員帰るまで、そこで大人しくしていろ。私は試験の添削が残ってるから教室に戻る」
彼女をその場に残し、慧音は寺子屋の方に歩いて行った
それから妹紅は手錠を外そうと何度も試みたが、それも虚しくいたずらに時間だけが過ぎていく
「このままじゃ棒の周りをグルグル回っていつかバターになってしまうモコ・・・」
「あなた、さっきからうるさいわよ」
「モコ?」
ふいに声がした方を振り向く
風見幽香が日傘をさして校庭で遊ぶ子供達を眺めていた
「今夜の生贄の選定ですかモコ?」
「あ゛あ゛?」
「すみませんモコ。なんでもないモコ」
規格外の威圧感に妹紅はただ萎縮するしかなかった
「ご、ごゆるりと舌なめずりして餓鬼共の鑑賞をお楽しみくださいモコ」
「失礼ね。私は人里で買い物をした帰りに偶然見かけたから、ちょっと立ち寄っただけだったよ」
「子供が好きモコか?」
「ええ。とっても」
「村人ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! サスマタ持って集合するモコぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉゴふァ!!」
傘でわき腹を突かれる
「と、ところで植物を探してるモコ。寄生して死ぬまで幻覚見せる植物モコ。ゆーかは持ってないモコか?」
痛む腹をさすりながら尋ねた
「その植物は魔界にしかないわね。でもシマネキ草の種くらいなら自分の力で作れるわよ」
指先から小さな種子を生み出してそれを見せる
「いらねーモコ。花と樹木じゃ価値が天と地モコ。用があるのは木で花はお呼びじゃねーモコ」
「あ゛あ゛っ!?」
片手で妹紅の胸倉を掴み、軽々と持ち上げる
「なぜに私を殺そうという方向に感情が流れてるモコか! いつのまに妹紅ゲームが始まってるモコ!? まずいモコ、縁日さんに脚本の変更を・・・・・え?駄目モコか?」
幽香の背後、地面から巨大なオジギソウが複数本現れる
「そんな最強オプションがあるなんて聞いていないモコ! タイトーの隠しコマンドモコか!? がやあああああああああああああ!!!」
この時、校庭で遊ぶ子供たちの何人かが地面が小さく揺れたのを感じた
「よし、終わった」
夕日が半分沈んだ頃。添削を終えた慧音はおおきく伸びをした
鞄に教材をしまい外に出る
「さて。妹紅の奴は大人しくしていただろうか・・・・・うわっ!!」
彼女が見たのは、体の所々が齧られ痣と血まみれの状態で手錠に繋がれている妹紅の姿だった
「何があった!? 野良犬にでも襲われたのか?」
「ちょっとし、た、耐久スペルに、出くわしたモコ・・・しかしな、ぜか、そのスペ、ルには制限時間がなかった、モコ」
「大丈夫か? 死ぬ一歩手前の顔をしてるぞ」
「けーね、けーね」
手招きして慧音に近づくように促す
「なんだ?」
慧音の耳元に顔を近づける
「・・・・勝ったぜ」
そう言い残して妹紅は死んだ
(何に?)
真実は誰にもわからない
【第四話(前編) レトリック】
上白沢邸の風呂場
「はーなーすーモーコー!!」
「こら、暴れるな!」
「妹紅さん、ほんの少し切るだけですから。落ち着いてください」
妹紅を取り押さえる慧音と、鋭利な先のクナイを握り締める藍
「なんで家畜ごときに血をやらねばならんモコか!? お前等のどっちかがあげればいいモコ!」
「藍さんは妖獣、私は半獣。あの子に人間の血を提供出来るのは学術的に見てもお前が適任なんだ」
姉から受けた制裁で衰弱したフランドールの体は、定期的に血液を摂取しないと生きていけない体になっていた
そのため二人は以前から、妹紅にこのような形で強引に献血をさせていた
ちなみに風呂場にいる三人とも全裸である。過去、妹紅が暴れてクナイが血管を深く刺さり返り血を浴びて服を一着だめにした前例があるせいだ
芳醇な胸、程よい肉付きの胸、幼さの残るスレンダーな胸が絡み合う
男が見れば楽園のようなその光景は当事者にとってはただの押し合いへし合いだった
そんな時、どこかから乾いたタオルで風を叩いた時の音がした
「きゃがっ」
激痛が走った箇所に妹紅は手を触れる、手に血がべったりと付着した
腹部に突然空いた穴から血がこぼれだす
脈拍の鼓動に合わせて血がポンピングして、あっという間に床に血の水溜りをつくり慧音達の足を真っ赤に染めあげて彩る
「な、なんじゃモコぉぉ」
そのまま妹紅は自らがつくりだした血溜まりに崩れおちた
「・・・・・」
「・・・・・」
二人は無言で見つめ合う
藍のクナイには血は付いていない。妹紅の腹に空いた傷は刃物でつけたものの類(たぐい)では明らかになかった
二人は視線を風呂場の小窓に移す
小窓から黒光りする筒が覗き込んでいた
「お邪魔しました」
鈴仙・優曇華院・イナバが小窓から拳銃を引っ込める。皮手袋をして拳銃の先に取り付けたサイレンサーを外し、安全装置を掛ける
「姫様の命により、妹紅さんを射殺させて頂ました」
「でかした」
「協力感謝する」
「?」
想定外の言葉に首を傾げる
「いまのうちにさっさと血を抜いてしまおう」
「そうですね。あ・・・」
「し、死ぬかと思ったモコ!!」
血を採取しようとして妹紅は起き上がった。腹の傷口は完全に塞がっている
任務を終えて帰ろうとする兎を呼び止める
「もう一発お願いしたいが弾はあるか?」
「できれば今度は心臓に近い位置を狙ってほしい」
「? ? ?」
なぜ仲間を撃ったのに感謝されるのか? なぜ三人は一糸纏わぬ姿なのか? なぜまた撃てと要求するのか?
そんな疑問が鈴仙の頭を堂々めぐりする
「仕損じるなよ。すぐに復活されたら意味ないからな」
「間違っても私たちに当てないように」
この一発を外したら自分はエライ目に合わさるということだけは理解できた
言い知れぬ重圧が鈴仙に圧し掛かる
「ちょっ! なにモコ!? なにモコ!? 反乱!? 謀反!? 下克上? いつのまにかウナルさんワールドに迷い込んでしまったモコか!?」
復活したばかりの妹紅はいまいち状況が理解できていない
鈴仙の手が震える
(こ、ここまで緊張したのはいつ以来だろうか・・・・)
〜〜〜〜 〜〜〜〜
「あ〜〜。またタワシだわ」
「依姫も? どうしましょう、ダーツは残り1本よ」
ウォールクラッシュから始まり、お笑い芸人とのガチンコエアホッケー対決までで辛うじて3勝。メダルを三枚得た
だが肝心のダーツで失投に続く失投
「だから質屋にメダルを持っていって換金しようって言ったのよ」
「姉さまがそれは邪道だと仰ったんじゃないですか」
タワシの入ったバケツが二人の戦利品だった
「お願いレイセン。タワシ以外を当てて。このままじゃなんのために穢れた地上に来たかわかったものじゃないわ」
依姫がペットにすべてを託す
「はいこれ。優秀なあなたならいい結果を出せると信じているわ」
豊姫から受け取ったダーツに、質量以上の重量を感じた
定位置につくと的が回転を始めた
「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」
「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」「パ・ジェ・ロ」
歓声の中、鈴仙は平常心を保とうと努力する
(地上と月の重力は違う。だからお二人は投擲を誤った・・・手を離す角度を下に8°修正、横風の計算は無し。的に真ん中を避けるために左に4°修正)
訓練を思い出す。成功している自分を強くイメージする
浮かんだのは失敗のイメージ。落胆した飼い主の顔
(違う違う違う! マイナス思考は捨てる)
胃の中のモノがせり上がってくる感覚を、下っ腹に力を入れることでおさえる
今度こそ、成功した自分の姿が脳裏に浮かんだ
自分を信じ、彼女はダーツを持つ手をイメージした通りの軌道で振るった
ダーツは明後日の方向へ飛んで行った
〜〜〜〜 〜〜〜〜
(うん。ムリだ)
プレッシャーに負けた鈴仙は妹紅に向けていた拳銃の先を自身のこめかみに当て、そして引き金に力をかけた
「なっ!?」
「え?」
「モコ!?」
小窓から鈴仙の姿が消えた
慧音と藍は体にバスタオルを巻いてから、靴を履き鈴仙のもとに駆け寄る
「心が迷ったから撃つのをやめたモコか!? 自分を撃って新しい世界に行く気だったモコか!? イエス様の声が聞こえたモコか?」
小窓から妹紅が興奮気味に問いかける
「妹紅、頼むから黙ってろ! 藍さん、容態は!?」
「それが・・・」
藍は拾った拳銃を慧音に見せた
「弾は、出て、いません。驚いて気絶しただけかと」
『LOCK』と書かれている部分につまみが向いているのを指差す
「恐らく妹紅さんを撃った後、無意識のうちに安全装置を」
「そうか」
慧音は安堵して地面に座り込む
「とりあえず運びましょうか」
「そうだな」
気絶した鈴仙の衣装を奪い妹紅は着てみた
―――【鈴仙・優曇華院・モコウ】―――
モコウは脱走兵である
地上と月が戦争になると知り脱出ポッドで宇宙に飛び出した
途中、機械の故障に見舞われて不時着した星は猿が人間を支配する惑星だった
猿達の支配を逃れた地で、倒壊した18mガンダムを見つけ、ここが未来のお台場だったことを知り絶望する。
軍にいたころは訓練に見せかけて仲間のアバラを折るのが趣味だった
―――【鈴仙・優曇華院・モコウ】―――
「スカートとか落ち着かねぇモコ」
「じゃあどうしてそんなのを着る?」
妹紅は拳銃を手に取る
「リベンジに行って来るモコ。兎に化けて隙をつくモコ」
「速攻で気付かれるぞ」
「上官の藤原海軍中将殿のモッコラー氏に見つからなければ問題ないモコ。脱走兵は軍法会議で銃殺されるモコ」
「意味がわからない」
迷いの竹林を抜け、永遠亭の玄関をモコウはくぐり、輝夜の部屋のまえまでやってくる
「帰ったモコ」
「おかえりなさいイナ・・・・・・いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
モコウを見るなり、輝夜は絶叫した
「どうしました輝夜!」
輝夜の叫び声を聞いて、新薬の精製をほっぽり出して永琳がやってきた
「えーりん! イナバが妹紅に見える!!」
従者に縋りつく
「落ち着いて輝夜。良く見なさい、ブレザーにスカート。MADE IN MOON の拳銃。どう見ても・・・・妹紅ね」
永琳まで騙すのには流石に無理があった
「オッス艶女(あでーじょ)気取り。今日もせっせとチンコが生える薬つくてるかモコ?」
「作ってないわそんなの。で、ソッチに行った優曇華はどうしたの?」
「無限に続く黄金長方形の回転に入り込もうとしたけど失敗してたモコ」
「・・・・・」
彼女の発言の8割は聞き流すのが正しいことを天才である永琳は知っていた
「私は鈴仙モコ」
「今さらそんな嘘ついてどうするの」
「さっきの言葉は冗談モコ。実は狂気の目で二人をアレして自分を妹紅に見えるようにしてるだけモコ」
「ほ、本当なのねイナバ?」
恐る恐る、輝夜はモコウに近づく
「待って輝夜、行っては駄目よ!」
「来るモコ。来るモコ。そして一緒に料理教室を開くモコ。ぷぷさんに全面プロデュースしてもらうモコ。食材になって贖罪するモコ」
好機とばかりに拳銃を輝夜に向ける。そこであることに気付いた
「安全装置はどうやって外すモコ?」
モコウには銃の知識がなかった
鈴仙・優曇華院・モコウはいい加減な女である
銃は弾が出れば良いと考えているし
車は走れば良いと考えていて
コマンド投げには下段蹴りで抵抗したら良いんじゃないかと思っている
「貸して、ほらここ。このツマミを降ろすの。簡単でしょ」
永琳が拳銃を預かり、モコウの目の前で丁寧に指導してくれた
「ありがとうモコ。返して欲しいモコ」
モコウは手を出して永琳から拳銃を受け取ろうとした、だが彼女は銃口をモコウに向けることで返事をした
【第四話(後編) サイレントマジョリティ】
午後の人里。慧音と妹紅は歩く
「輝夜抹殺には隠密性が必要モコ。堂々としては前みたいに返り討ちにあうモコ」
先日、永琳に撃ち抜かれた眉間を撫でる
「そうだな」
買い物カゴを手にした慧音は夕飯の献立を考えながら返事をした
「誰にも気付かれずに永遠亭に侵入して、サクッと輝夜をモッ殺せるくらいのアサシンが欲しいモコ」
「ああ。私もそう思うぞ」
八百屋の大根を品定めをしながら適当に彼女の言葉に同意する
「稗田ん家の娘に忍者の末裔とか書かれてるけど、全然ちげーモコ。うちのオヤジは貴族っぽいなにかモコ」
「それはすごいな」
ガマ口のサイフを開けて持ち金を確認しながら言った
「あっちの通りで古道具屋の店主がおっぱいパブでチンコだした罪で磔刑に処せられてるモコ。本人は『女の子の方から着物を捲くってきただけで自分の意思じゃないって』訴えてるモコ」
「そうなのか、知らなかった」
「もごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
慧音の反応の味気無さに耐え切れず妹紅は憤慨した
「話しを聞けモコ! 原作どおりに敬語つかわねーとスネるぜ。そして巨大化して機械化するモコよ」
「そうだな」
「ああああああああああああああああ!!!!」
結局。会計を済ますまで慧音は一度も妹紅を見ることはなかった
買い物を済ませて家路を進む。話す話題は最近入手したある植物について
「まさかあれだけ探していた邪念樹が、ああもあっさり見つかるとは思わなかったモコ」
「それには私もびっくりしたな。妖狐つながりで藍さんに何か知ってるかと思い訊いたら、まさか数日で魔界から取り寄せてくれるとは」
妖怪狐のネットワークを侮ってはいけないとつくづく痛感する
「あとは河童やガンツメンバーも真っ青なステルス能力だけモコ。誰にも気付かれず永遠亭に潜入、輝夜に気付かれず種を植え付け、誰にも気付かれずに帰宅、誰にも気付かれずに夕飯」
「寂しいな」
「忍者とはそういうものモコ。とにかく、早急に暗殺上等な特殊工作員をスカウトするモコ。」
「そんな都合良く見つかるもの・・・・ん?」
会話の途中で慧音は足を止めた
「ところで『種付け』って響きがなんかエロ…どうしたモコか?」
慧音の視線の先、建物と建物の間の狭い路地に妹紅も目を向ける
「誰か倒れてる」
妹紅にカゴを預けて、慧音は路地に入って行った
「おい、何があった」
倒れていた少女を抱き起こす
「すごい熱だ。妹紅、運ぶのを手伝ってくれ」
里の医者がいる庵に連れて行くよりも慧音の自宅の方が近いためそちらに運んだ
〜〜〜〜 〜〜〜〜
古明地こいしはいつも通りに、ふらふらと無意識に身を委ねて放浪を続けていた
人里のはずれまで来ると無意識の瞳は、小さなあばら屋を見つけ、そこを今夜の宿にしようと思い中に入った
土壁がところどころ剥がれ老朽化が進んでいたが、中の床はそれほど汚れてはいなかった
歩きつかれたということもあり、こいしは横になるとすぐに眠りについた
こいしは知らなかった。このあばら屋は見世物小屋として人知れず活用されていることを
違和感を感じ夜中にこいしは目を覚ました
目を開けると自分はうつ伏せの状態で寝ており、麻縄で両手足の自由を奪われていた
解こうともがいたが縄はビクともしない
なぜこいしが拘束されているのか。意図的なのかはたまた何かの手違いか、それとも無意識の力がこいしにとって都合の悪いように働いているのか。理由はわからない
「あ、あなたたち一体だれ!!?」
その問いには答えず男の一人がこいしの近くに座る。そして彼女の服を捲り上げた
幼い背中の素肌が大勢の見物客の目に晒される
「いやあ!!」
この見世物小屋は幼い容姿の者をいたぶる嗜好を持つ者向けの内容が多々執り行われている
誘拐・親によって身売りされた人間の子もいれば、捕らえられた幼い姿の妖怪もいる。種族もここにいる理由も様々であった
見世物の内容は裸にして羞恥心を煽るものから、拷問・強姦といった暴力行為、時には人体改造や人体破壊といった残虐行為なものまである
見慣れない道具が仰向けて縛られるこいしの目の前に並べられる。針状のものとたくさんの小瓶に入った塗料
「何!? 何!? 何!?」
串のようなものを握った男は、それをこいしの背中に浅く刺して、すぐに抜いた
「ぃっぅ…」
弱くとも鋭い痛みが彼女の背中を襲う
今度は違う串を刺される
「いぎゅ!!」
先程よりも痛みが強かった。剃刀で擦られたようなじんわりとした深い痛みが肌一面に広がる
ここまでされてこいしは自分の体に何をされているのかを理解した
「や、やめてよ!! そんなことされたら、みんなに会えなくなっちゃう!!」
見世物小屋。本日のショーは幼女への刺青だった
皮膚の下に塗料を流し込まれる、まったく体感したことの無い痛みが、これからこいしを延々と苦しめることになる
「ばハぁ・・・・・ばハぁ・・・・・・」
作業は進み、白かった背中の半分に望まぬ彩りが与えられる
連続する痛みに頭を朦朧とさせたこいし。口をだらしなく開き、痛みで絶叫した際に歯で傷つけた舌から血が流れる
眼球は反転するかしないかの位置を黒目が行ったり来たりしている
痛みを耐えるために硬く握られた拳は、手の平に爪が深く食い込んだために血が流れている
全員がそんな彼女の姿に釘付けになっていた
夜はなかなか明けなかった
〜〜〜〜 〜〜〜〜
見世物小屋で刺青を入れられたこいしは終わったあと、そのまま放置された
脳の神経が焼け切れそうな痛みに耐えながらなんとか立ち上がりあばら屋を出て、助けを求める意味で人里のほうに向かい足を進めた
なんとか人里の中に足を踏み入れるが、周囲の人間を無意識にしてしまう能力が災いして、なかなか気付いてもらえず
途中、刺青のせいで熱に見舞われ裏路地で倒れた
そこへ偶然通りかかったのが慧音と妹紅である
「この子は古明地こいし。地霊殿の主の妹です」
間欠泉の一件でこいしのことを知っている藍が説明をした
「熱はそのうち下がるから良いとして。問題はこの背中だな」
こいしの背中に彫られているものを見て一同が息を呑む
「なんですかこれ? 悪趣味にも程がある」
「うう・・・・」
藍は顔をしかめ、フランドールは近くにいた妹紅にしがみつき腹に顔を埋めることでそれを見ないようにした
描かれた赤グロい男性器と女性器の絵が彼女の尊厳を背中ごと踏みにじっていた
「なんてことを・・・」
「妹紅も昔、悪女に憧れて太ももにトカゲの刺青を入れようとしたことがあるモコ、三色ボールペンで。次の日風呂場で落ちたモコ」
「慧音殿の能力で消すことはできませんか?」
「永夜の人里ときのように見えなくすることは出来るが、刺青そのものを消すのは無理だ」
「そうですか」
藍は桶の水をかえるために立ち上がり、いったん部屋を離れた
「妹紅も昔、悪女に憧れて太ももにトカゲの刺青を入れようとしたことがあるモコ、三色ボールペンで…」
「それはさっき聞いた」
「しかしこの餓鬼の能力は使えるモコ。今妹紅が欲しい能力とジャストミートしてるモコ。あたり判定小さいのに」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ。今回は永遠亭の力を借りなければならない、だから輝夜抹殺は当分諦めろ」
「いーやーモーコー。いーやーモーコー。絶対輝夜モッ殺すモコー」
(ブレイクダンサーみたいなハイレベルなだだのこね方だな・・・)
もの凄い勢いで畳みの上を転げ回る妹紅を見てそう思った
「我が侭言うんじゃない。時間は腐るほどあるんだから一回くらい見送ってもいいだろう」
「・・・・・じゃあ100歩譲ってこうするモコ」
何時の間に書いたのか、慧音に画用紙を渡す
こいしが輝夜に種を植える→永琳を脅して刺青を消させる→こいしが喜ぶ→桶屋が儲かる→第三次世界大戦勃発→地球滅亡
「最後のみっつは理解に苦しむが、それ以外は概ね良い作戦だと思う」
「照れるモコ」
数日後
「ありがとうございました」
永琳に向かい、こいしは頭を大きく下げた。その行動に深い感謝の念が篭められていることを誰もが感じた
「いいのよ。地霊殿のお姉さんによろしくね」
「うん」
永琳も彼女に微笑み返す
その様子を遠巻きに眺める二人
「よくよく考えたら。別に脅さなくても永遠亭の面子なら無償で手術とかしそうだな、貸しを作る目的で」
「種がムダになったモコ・・・・」
波長を操る鈴仙の能力のせいでこいしは簡単に探知されて捕まった
こいしがことの顛末を話すと、永琳が無償で治療すると申し出た。しかしその申し出に打算は一切無く、同じ女性として力になりたいという意思だった
「ド畜生モコ!! あれだけ苦労したのにこうも簡単に頓挫するとはモコ!!」
家に帰るなり両手を挙げて絶叫する
「慧音の提案が…」
「あの、妹紅さん」
「どうしたモコか財務大臣。今は話しかけるなモコ」
気落ちして愚痴ろうとした妹紅に藍が綺麗な字で書かれた提案書を渡してきた
「例の見世物小屋の一件が里の治安に一石を投じることになったのはご存知ですよね」
慧音の通報で見世物小屋が摘発され経営者が捕まり、捕らえられていた子も保護され、事が明るみになった
「知ってるモコ」
「これを機に妹紅さんが個人でやっている自警団を里の治安維持活動に一環に組み込んでもらってですね、里から活動費を支給してもらうというのはどうでしょう」
「それはいいことモコか?」
「良いことだと思うぞ、国内の財源が増える!」
慧音がややオーバ気味に頷く
「マジモコか!?」
妹紅の表情がすこし明るくなった
「ああマジだ」
「マジモコか!? マジモコか!?」
テンションのギアも徐々に上がっていく
「もしかしたら家も増築できるかもしれないな。作戦会議室とか司令室とか」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお、すごいモコ!! 千載一遇モコ!!」
「い゛ーい゛ー!」
フランドールが無い手のかわりに背中の羽を擦り合わせて喝采を送る
「里の長に私からも思案してもらうよう提案しようか」
「絶対モコか? 絶対モコか?」
「ああそうだ。だからさっきまでのことは全部忘れろ。いいな?」
「オッケーモコ! 過去のことは覆水盆にかえらずモコ」
妹紅の曲がったヘソはなんとか元通りになった
(はぁ・・・)
藤原妹紅の扱いに段々と慣れていく自分に嫌気が刺す慧音だった
縁日様。ウナル様。藤原海軍中将様。ぷぷ様。
勝手に作中でお名前をお出ししてしまいすみません。
魅力的なもこたんを見て、いてもたってもいられませんでした。
私のような拙い文章に使われ、不快に感じる方もいらっしゃると思います。
その時は遠慮なくおっしゃって下さい。削除致します。
≪あとがき≫
紅魔館が没落して、フランちゃんがオークションに出されて
自分がそれを落札する妄想をたまにする
メイド服着せて床をぞうきんがけさせて、お尻を上げてぞうきんがけをしてる時にスカートまくってエッチな悪戯をしたい
フランちゃんを凄く従順な子に育てたい
この子と120パーセントの信頼関係を結びたい。懐かれたい
シングルサイズのベッドで毎日ギュッて抱き締めて眠りたい。暑い日も寒い日も関係ない
フランちゃんの甘ったるい香りのせいできっと2日に一回はベッドの中でSEXなことしちゃうと思う
眠そうな目でうとうとするフランちゃんのオマタ指でなぞるとビクッてなっちゃって。「するの?」みたいな目で見てくる
「するよ」って目で返すと。フランちゃんは小さく頷いて、無言で下着を脱いで夜の相手もしてくれて・・・・
他にも粗相をした時のお仕置きとか、マンネリ解消の特殊なプレイとか・・・・
この妄想は、まだ満足に文章に出来ない
でもいつか完成させたい。文章の勉強をもっとせねば
木質
作品情報
作品集:
3
投稿日時:
2009/09/13 14:32:10
更新日時:
2009/09/13 23:32:10
分類
神聖モコモコ王国
滅茶苦茶な内容
意味不明
もっと見たい
前半の幽白ネタラッシュで笑ったw 邪念樹とかなつかしーなー。
>三色ボールペンで。次の日風呂場で落ちたモコ
そりゃ落ちるよ、モコww
何故だろう、敗北した気がする
最初幽香が出てきてどんな虐めをされるのかと思ったらいじめる側で安心した
なのでタイトル見た瞬間、すげえ興奮しました。
今回はフランちゃんの出番が少ないなーと思っていたらあとがきでラブが溢れていたw
次回も期待です!
プリザだ!これからはプリザと呼ぶッ!!
こういう笑える話書けるセンスは正直羨ましい。
なんかぷにぷにしたいよね、かわいい。
寧ろ自分みたいなちくわの名前を出していただき光栄です。
キャラの掛け合いがすごく楽しいですね。こんな文章書けるようになりたい…。
フランちゃんウフフ!
このシリーズは癒されるのでこれからも続いて欲しいです
あとあとがきで不覚にもおっきした
作中の会話のボキャブラリーとテンションが凄まじいです。
ここの妹紅は人格破綻者でアホの子なのに、包容力のある周りの人たちのおかげで不思議とほのぼのするなあ。
ナマケモノとかアリクイのポーズじゃないかw