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『蛇腹は満たぬ』 作者: 司馬漬け
(とある方のグロ絵を見て勢いで書いてみただけのものです。当然、相応の描写があります。小傘が大変なことになる上、早苗が化け物と化していますので、ご注意ください)
******本分******
東風谷早苗がいなくなった。
そう聞いて、傘を落とした日のこと。多々良小傘は、初めて、雨に濡れた。
異変のときに知り合っただけで終わる関係だったはずだが、早苗は雨乞いなども引き受けているとかで、小傘が現れる場所で出会うことは多かった。
早苗は妖怪ほど不遜ではなかったし、人間ほど傲慢でもなかったから、小傘が馬鹿なことを言っても、よく笑ってくれた。びっくりさせることは今のところできていなかったが、そんなのはどうでもよい。
雨が降ると、早苗に会える。そう思うようになっていたのに。
山の神社の神様はどうしたのだろう。気になったが、まさか足を運ぶわけにもいかない。良い顔をされるとは思わなかったし、山にいる天狗も怖い。
早苗がいなくなって、一ヶ月も経つと、ようやく小傘の耳にも神社のことが耳に入った。早苗は、死んだことになっていた。神様は自分で自分の世話をしていて、天狗も「それならそれで」程度に片付けているらしい。
やっぱり、あいつらは怖い。小傘は友人がいなくなった悲しみが、自分だけのものでしかないという、孤独さにも、耐えることになった。
秋雨が降るようになった頃のこと。早苗がいなくなって、三ヶ月。
小傘は孤独を抱えながら、夜道を歩いていた。ぱしゃんぱしゃん、泥道を下駄で踏みながら、暗闇をやぶ睨みする。
ばしゃん、と大きな音がして、小傘は傘の足を抱き寄せた。
なんだろう。傍にある池に、動物でも落ちたのだろうか。泥道を真っ直ぐいけば、薄情な人間達の里だった。
小傘はしばらく迷ったが、ふと、早苗の顔が脳裏を過ぎった。
普段なら浅い上に魚もいないような、つまらない池。そこは今や、どこまでも深いものに、見えていた。
雨が当たっているはずなのに、波紋も見えない。しかしどこからか、どこからでも、水音は聞こえる。
動物が落ちたなら、もっと暴れているはず。自分の勘違いを笑って、立ち去ろうとしたとき、ジャバア、と水から上がる音が聞こえた。
「だ、誰?」
水の妖怪の類だと思ったのだ。相性自体はいいはずだから、話ぐらいはしてもいいだろう。
油断だったともいえるが、彼女は表情を明るくした。
池の縁に、人影が跪いていた。
緑色をした、長い髪の毛に目が留まった。
早苗だ。良かった、無事だったんだ。
神隠しにでもあって、ようやく解放されたのかもしれない。ここいらじゃ、ありえる話だった。
だが、小傘はもっと冷静になるべきだった。
もっとありえる話があることを。
大きく一歩を踏み出して、早苗の名を叫ぼうとした瞬間だった。
ずるりと、足が滑った。
踏み出した右足が持っていかれて、そのまま仰向けに転ぶ。泥で体中が汚れたが、失敗したという気持ちが大きかった。
恥ずかしいなあ、やっと再会できるのに。
そう思って立ち上がろうとして、また転んだ。
暗闇に、自分の右足が浮いていた。その足は、本当に持っていかれたのだった。
「――え、あ、あああっ!」
痛い。ようやく感覚が頭を抜ける。妖怪だからこそ失神しないで済んでいるが、膝の辺りからを完全にもがれていて、泥水に血が流れる。
なんだ、なにが。
そうだ、早苗は無事だろうか。
「早苗!」
やった、声が出た。ちゃんと言えた。
そう思ったのも束の間、小傘は息を呑んだ。
暗闇に浮いた足に、何かが絡まっていた。尾の先端だった。トカゲや蛇のもののようだったが、色自体はナマズのようだった。鱗もある。
徐々に徐々に、暗闇から尾が現れる。
大きい。尾だけで、人間二人分ぐらいはあるだろうか。太さも相当で、あんなので叩かれたら、あっという間に頭が取れてしまうだろう。
そして、その尾の付け根がようやく見えた。
人の、肌だった。そこからすぐ上には乳房が二つ。最後に、人の顔が現れた。
長い、緑色の髪を垂らして。
あるはずのない瞳が、額の真ん中に穿たれている。太い角が頭の両側から突き出て、禍々しく捻れている。
早苗はにたりと口端を裂くようにして笑うと、長細い下を垂らした。
途端に、右足が砕けた。
小傘の出した答えは簡単なものだった。
慌てて振り返り、逃げようとする。逃げようと、した。落とした傘を掴めば、なんとか空に逃げられる。
早苗はすかさず小傘の左足を絡め取る。それは巧みなもので、膝をがっちりと咥え込んだ。これほどのことが出来るなら、力加減も巧みなはずなのに、早苗は乱暴に引っ張って、やはり膝から下を千切ってしまった。
その勢いで地面から跳ね飛ばされた小傘は、頭から池に落ちた。
両足が無い状態で溺れさせるつもりか。浅いとはいえ、このままでは溺れる。
小傘は両手をばたばたともがいて、何とか水面に出た。
そこを待ち伏せていた早苗が、小傘の左腕を尾で包んだ。
「やめっ」
て、とは言えず、肩口が砕けた。
ギュボボギャッ!
顔に血がかかるほどの圧力が加わっていた。根元を無くした、左腕は池の中に落ちた。
このまま死ぬんだ。小傘が自分も池の中に落ちかけたとき、意外にもそれを支えたのは、あの忌まわしい尻尾だった。
胴体をがしりと持ち、早苗がゆっくりと、尾の腹を這わせて近寄ってくる。推進は一メートルも無いらしい。
「あ、あはは、私、びっくりさせちゃったのかな?」
これくらいなら、妖怪の自分なら、まだ冗談で済む。
早苗はどうか知らないが、むしろこれからはずっと一緒にいられるような、そんな気がしていた。
もちろん、気がしただけなのだが。
尾は胴体を支えるどころか、巻き付いてきた。ゆっくりと、しかし着実に、小傘の肉と骨を軋ませる。
ぎぎぎぎ。
ぎち、ぎちぎちち!
ぼぎっ!
ばぎばギッ、バギ!
肋骨が砕けていく。頭の後ろで何かが爆発してるような感覚に襲われる。
早苗はほとんど寄り添うような位置まで来ると、囁いた。
「あはは、もう歩けないわよね、これじゃ」
「がふっ、ふっ……」
上手く声が出ない。やっと声が出せたと思ったとき、それは血溜まりだった。
早苗が、背骨を砕き、下腹部から下を千切ったのだった。
ボチャン、ボチャ、ボチャチャチャッ、ボチャ!
妖怪とはいえ、便宜上の内臓はある。腹に収まっていたほとんどが潰れ、足や尻の肉と共に、池に落ちる。
軽くなった上体だけの小傘を喜ぶように、早苗は瞳を輝かせた。
いや、瞳だけではない。腹の内側からは、欲望そのものといっていい刺又が、現れた。蛇と同じ、性器だった。
肉が裏返って、じゅくじゅくとした肉が表になる。少女の腕ぐらいはあるものが、二本。先端から白い液体を飛ばしていた。
「ねえ、これでこれから、おなかの中かき回しちゃうからね? おまんこやお尻の穴も楽しみたかったけれど、それじゃ小傘を楽しませるには不足だもの」
「が、や……がぶ……やめへ……」
「あはは、腸が絡みついてくるっ!」
聞かずに、早苗は肉の真ん中に両方とも突っ込んだ。
外科医でもない限りはかき回さないであろうそこを、好き勝手に上下させる。
その度に肺は心臓が圧迫されて、小傘は喉の奥から叫びたいぐらいだった。それが、できるものなら。
じきに上下させるだけでは楽しめなくなったのか、何かを探るようにして、尾の力加減を調整し始める。
「うげべぇぇぇぇえええええっ! ボ、ガボボゲ! ゲ、ヘ……」
小傘が再び、血を吐いた。早苗の性器が、胃から上の食道を、突いていた。
笑みを深めた早苗は尾だけでなく両腕でも小傘を抱き締める。すると、もう血も出ない小傘の口から、ひゅうひゅうと命の灯火が聞こえるのだった。
「死ぬの? 死ぬのね? いいわよ、存分に死になさい。死んだら丸呑みにして、おなかの中でもファックし続けてあげる!!」
「ゲッ、ゲ、ゲ……」
蛙のような悲鳴が、僅かに鼻を鳴らす。
早苗は今度こそ躊躇無く小傘の体を上下させ始めた。
反動で腸の一部が裂かれて、くそみそが皿に池を汚す。ただ引っかかっていただけの部分は落ちるしかなく、またある部分は無様にも早苗の性器にへばり付いた。
そして、とうとうそのときがきた。
早苗の一突き、いや二突きが、胃袋を破った。
ビュシャッ。
血と胃液が弾けると、その中に白い液体が混ざった。
「アヒィイイイイッ! 小傘のなひゃあったきゃいよぉおおおお!」
「ギ、ガギギギギギ……ギ……イッ」
しゃっくりのような音がして、喉の奥から精液があふれ出す。可愛らしかった唇は唾と血と、濁った白で汚されている。鼻の穴も同様で、両方で色の違う瞳は、そもそもの光を失いつつあった。
「ああ、素敵! 素敵よぉおお! やっぱりやめた! このまま精液便所にして、苗床になっちゃえぇ!」
それを聞いて、僅かに残っていた小傘の理性が、死滅した。
早苗はそんな小傘こそが伴侶だと認めたように、唇を奪う。
舌と舌を絡め、更には喉の奥に侵入して、自分のものが小傘と交わったことを味わう。
尾は小傘の小ぶりの胸を弄り、削り、乳首を赤く染める。
そうする一方で、自分の口から妖力を注ぎ、小傘の命を繋ぎ止める。
翌朝には、子宮からではなく、腹の肉から卵をひり出す歪な生物が出来上がる。
それまでじっくり、じっくり、大切に楽しもう。
早苗は性根まで蛇となっていたが、それを後悔するような感情は、もう持ち合わせていなかった。
ネチョロダ時代以来のグロSSです。至らない点があると思いますが、生暖かく見守ってください。
司馬漬け
- 作品情報
- 作品集:
- 3
- 投稿日時:
- 2009/09/18 17:19:57
- 更新日時:
- 2009/09/19 02:19:57
- 分類
- 東風谷早苗
- 多々良小傘
- グロ
- 蛇
- 人外
コレせめて早苗は幸せになれたんだよね?よね?(´・ω・`)
まだ小妖怪を糧にしてるんだ、と…
いつか来るんじゃないかと思ってたぜ!!
この文体と独特の雰囲気が大好きです
>排気ガスさん
蛇になっちゃらめぇぇ!
蛇はネズミ食うから、あなたの愛も食欲になっちゃう!
気持ちいいぐらいの虚しさです。
あとこれ書くか迷ったんですがやっぱり書いておく事にします。
漢字間違ってると思います。
×長細い下を垂らした。
○長細い舌を垂らした。