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『実践式神製造法』 作者: もくりこくり

実践式神製造法

作品集: 3 投稿日時: 2009/09/20 17:23:17 更新日時: 2009/09/21 02:23:17
 はい、こんにちはー。皆さんようこそお集まり下さいました。

 それでは、実演で学ぶ、講座“素敵な幻想郷ライフ”の第十七回講義を始めたいと思います。
 えーと、後ろの方の方、聞こえますかー。聞こえたら手を挙げて下さい。あ、大丈夫そうですね。それから、これからここで色々お見せします。ちゃんと見える所に座って下さいねー。


 こほん、前回お知らせしたように、今日の題材は式神の製造法でーす。皆さん、式神の便利さはご存じですよね。この世に生まれたら是非とも体験してみたい楽ちんライフ。アンケートでも常に上位に来ていますよ。
 でも、みなさんこう考えてはいませんか。式神を扱えるのは強力な力を持った妖怪や特別な人間だけ、どうせ自分には式神なんて扱えない、と。でも諦める必要なんて無かったんです。今日この講義を受けて、そんな認識は綺麗さっぱり忘れちゃってください。
 さあさあ、もし手軽に式神を製造できるとしたら? しかもその式神が可愛いネコミミ娘だったら? なんだかわくわくしてきませんか? さあて、今日の内容は実に画期的、皆さんを失望させないと信じています。期待していて下さいね。

 ところで、式神を自分のものにするためには、自分で製造せずとも、出来合のものを買ったりもらったりすることもできなくはありません。しかし、きわめて高価ですし相性やら家筋やら何かと面倒なことも多いのです。ですから、ちょっとした手間を惜しまないのが自分に合った式神を得るためのポイントです。

 ではいよいよ実演に移ります。素材や必要な道具についてはその時その時に説明します。あ、これ持ってない、という方も講義が終わった後にちゃんと相談に応じますので、安心してくださいね。
 さてと、本当は子狐でやるとかなり強力な式神が得られるのですが、中々入手が難しいですので、今回は猫を使います。すなわち、狐と比べると少々格は落ちますが猫の式神、俗に猫鬼、あるいは紅娘緑郎なんて呼ばれているものを製造しちゃいたいと思います。

 用意するものは活きの良い黒猫です。出来るだけ沢山あった方が良いですね。ほーら、今日はたくさんの橙ちゃんに集まってもらいました。

「あ、あれ?」
「藍さま〜、藍さま〜」
「ここ、どこ?」
「狭いよ〜、怖いよ〜」

 これを選別して行く訳ですねー。はい、ここに用意したのは水桶です。今日は結構沢山の橙ちゃんを集めることができましたので、水桶も大きなものを用意しました。
 ここに出来るだけ冷やした水を張りまして、橙ちゃんたちを漬けまーす。猫は水が嫌いですが構わず漬けちゃって下さいね。

「ふぎゃー」
[冷たいよー」
「えーんえーん」
「がちがち……」
「ら、藍さ…まぁ、助けて」
「手足の感覚が、な、無くなっちゃう」
「出してぇー」
「うげぇ、ごぼごぼ」
「がぼっ、ぶくぶく」
「かふっ、―――――」

 暫く置いておくと、弱い者から順に死んでいきます。半分くらいに減るまで待ちましょう。
 時間が無いので、三日間水に漬けたものを予め用意しておきました。あ、五匹がまだ生きているようですね。

「うえーん、冷たいよー」
「寒い寒い寒い寒ぃぃ」
「凍えちゃう……よぉ」
「藍さま藍さま藍さま……」
「……………」

 次には密閉できる丈夫な甕を準備します。そして生き残った五匹をこれに詰めます。

「やだぁっ。暗いよぉ、怖いよぉ」
「出して出して!」
「しくしく」
「藍さま藍さま藍さま……」
「……………」

 そして食べ物を入れずに放置します。こうやって甕を時々振って刺激を与えてあげるのも良いでしょう。やがて中で橙ちゃんたちは喰い合いを始めます。ほら、中から悲鳴が聞こえるでしょ、ね。このように、二段階の作業で最終的に一匹を選ぶわけです。この甕は今詰めたばかりなので、これは一回下げまーす。

 さあ!遂に一匹になるまで選抜を終えました。ここまで来れば、後は最終段階を残すのみです。素敵な式神ライフは目の前ですね!!
 ……あ、一匹になった甕の準備がまだ、ですか。どうも裏方の不手際ですみません。それではこれ以降は橙ちゃんの代わりにこんな事もあろうかと用意しておいたお燐りんで実演します。はいはい暴れない暴れない。

「なにすんの!」
「ねぇ、お姉さんやめてよ」
「そんなの聞いてないよぉ」
「ごめんなさい、もう巫山戯たりしないから、ね」
「助けて助けて! ……あ、痛い痛い痛い、嫌嫌嫌ぁ!」

 あ、こらこら。しょうがないですね。

 バチィッ!!

「ぎゃぁあああぁ」
「あが、ぎ……ぎぎ…、お姉さ………ん……お…ね………、……ううう」

 失礼しました。さて、正式には地面を掘って首まで埋める訳ですがー、お燐りんはじめ金華猫や火焔猫など、大きな猫の場合は穴掘りが大変です。そこで便利なのがこの種の拘束具ですね。この場合は単純に動けなくすれば良いのでオプションも不要ですし。はい首輪に腕に脚っと。流石に首輪だけでは心許ないので四肢もしっかり固定しましょう。もちろん姿勢はお好みでどうぞ。
 はい出来ましたー。上級者はこの段階で様々な術式をアレンジしてみましょう。バリエーションに富んだ式神を生み出せますよ。ただしその場合は素材にしっかりしたものを選ぶことが大切です。例えば橙ちゃんではあんまりハイレベルなものは望めません。

 さてと、お燐りんを拘束したら、その目の前のあとちょっとで届きそうな所に水や食べ物を置きます。ぎりぎりに置くのがポイントですよ。食べ物は特に好物を選んでやると良いでしょう。時々食べ物を取り替えながら一週間も経てばいよいよ準備は完成です。あ、頑強な素材の場合は念のために更に数週間様子を見た方が良いかもしれませんね。ここは各自での慎重な判断が求められます。初めての場合や自信が無い場合には、必ず経験者に相談しましょう。

 さあ、ここに約一ヶ月間放置したお燐りんを用意してあります。大丈夫、げっそりしているように見えますが、まだ生きていますよ。ご覧下さい、この生への執着と絶望、食べ物への念、これが大切なのです。この感じをよく見ておいて下さいね。

「ぐす…」
「さとり様ぁ……。お空ぅ」

 この後の工程にはちょっとコツが必要です。後ろに回って、刃物を使って首を切り落とすのですが、一発で決めることを強く推奨します。失敗すると出来上がる式神の質が落ちてしまうんですね。折角準備した素材を無駄にしないためにも、しっかりコツを掴んでから実行しましょう。刃物の取り扱いに慣れていない方は、この講座の過去のトピック「上手な首の落とし方」を参考にすることをお奨めします。

 じゃじゃーん。ここで、どーしても上手く首が切れないとお悩みの方に、耳よりの情報です。遂に最近、白玉楼の妖夢さんと紅魔館の咲夜さんが首切り代行サービスを始めました。式神製造のためと言えば、喜んで仕事を受けてくれるはずです。二人の腕は確かで、リーズナブルな代価で確実な仕事をしてくれます。ただし、咲夜さんはナイフを使いますので、素材の大きさに制限があります。注意しましょう。なお、原則として予約は不要とのことですが、斬るべき時期にきちんと作業できるように予約をしておく方が良いでしょう。ちゃんと予約さえしていれば首切り人を待っている間に素材が餓死してしまったなどという残念な事故を防ぐことが出来ます。

 さて、今日はお手本ということで辻斬り妖夢さんに実演をお願いしてあります。ではどうぞー。

「えっ……?」
「う、嘘だよね……」
「お姉さんお願い助」

「えいっ」

 おー、流石!お見事です。
 ところで、以後の作業に必要なのは首だけです。胴体部分は、ああ、まだ動いてますね。これは単なる反射みたいなもんですね。頭のない虫が動いてるのと同じです。
 さて、胴体の後始末ですが、食べたり薬の材料としたりもできますが、素人には処理が色々面倒です。また、ゴミとして出すには産業廃棄物扱いしなければならずこれまた面倒です。実は一番楽ちんな方法は妖怪が出没する所に放置することなのです。三日もすれば綺麗に骨だけに、事によると骨も残さずに片づけてくれるでしょう。

 本題に戻ります。繰り返しますが大切なのは頭の方です。こんな風に適当に血が抜けたら、乾燥させて干首とします。まあ所詮依り代なので、余り気を使う必要も無いのです。ただし、どちらかと言えば陰干しの方が良いでしょう。直射日光に当てすぎると色々傷んじゃいます。実は乾かす前に目玉や脳を取り出しておいた方が確実なんですが、残しておいても失敗することは滅多になく、普通はただ丸ごと乾燥させるだけで大丈夫です。
 はい、これが乾燥させたものですね。意外と小さくなっちゃうでしょ。あ、これはあげませんよ、私のお気に入りですから。

 さあ、いよいよ最後の仕上げですね、完全に乾燥したらこうして箱に納めて完成です。箱の代わりに小さな壺でもOKですが、蓋は忘れないで下さい。あとは呪文を唱えてそれを祀れば、すぐに式神となった橙ちゃんやお燐りんがあなたの元へと来てくれます。それを使って何をするかは、もうあなた次第!!!
 必要な呪文は開始前に配ったレジュメに書いてあります。皆さんあとで確認して下さい。呪文は間違えると面倒なので、事前に数回練習しておくのがベターです。
 あっと、完成した首入りの箱は決して他人に渡したり盗まれたりしてはいけませんよ。それだけは注意して下さい。

 さあ、皆さんも今日の講義を参考にして、傍らに可愛い式神のいる素敵な幻想郷ライフを実現させて下さい!!
 そして「うまく行った」、あるいは「こんな式神ができた」なんて話を是非聞かせて下さいねー。

 それでは今日の講義はここまで、次回は講座“素敵な幻想郷ライフ”の第十八回目、一家に一匹子悪魔を!「賢い奴隷の作り方―いかにして使い魔と有利な契約を結ぶか―」を開催しようと思っています。詳しい日時は決定次第発表しまーす。楽しみにしててね。
 ご静聴ありがとうございましたー。稗田阿求でした。

[注意]内容につきましては万全を期しておりますが、実際の式神製造は御自分の責任において行って下さい。(稗田)
この駄文には一部に真実が含まれている場合があります。

はじめまして。
式神欲しいです。でも外法頭持つのは微妙。
そんな妄想を形にしようとしていたら、訳の分からぬモノが出来上がりました。
人生至る所に猫あり。きっと私たちの数だけ橙は存在しているのです。

所詮この世は嘘ばかり。騙り賺して幻見るのもまた一興。
もくりこくり
作品情報
作品集:
3
投稿日時:
2009/09/20 17:23:17
更新日時:
2009/09/21 02:23:17
分類
すぐに使えない雑学
1. 名無し ■2009/09/21 02:39:30
犬神じゃねーか!
2. 名無し ■2009/09/21 17:11:51
あれ?これどっかで見たな・・・
ってこれ犬神の作り方じゃねーか!
3. 名無し ■2009/09/21 18:35:43
早苗さんかと思ったらあっきゅんだったでござる
4. 名無し ■2009/09/21 23:33:31
なぜかサナエーかと思った。

寿命短いのは式の呪いじゃないか?
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