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『神聖モコモコ王国 act3』 作者: 木質
【第五話 エネミーライン】
妹紅は自分の体を大きめのダンボール箱の中にすっぽりと収めていた
「どうしたんだ一体?」
「今の妹紅はシュレディンガーの猫なんだモコ」
「え・・・・ん?」
「シュレディンガーの猫は観測問題の説明によく使われる例え話で。放射線検知器と毒ガスが入っている箱に詰められた猫の生存率の話です」
眉をひそめる慧音に家計簿を眺めながら藍が説明した
「“半死半生の状態の重ね合わせ”ってことだろう? 詳しくは知らないが。私が訊きたいのは何故シュレディンガーの猫なのか、だ」
「輝夜完全抹殺に必要モコ。この状態で輝夜に取り憑くモコ」
妹紅には憑依能力があったりなかったりする
「とりあえずお前がシュレディンガーの猫の意味を理解していないのはよくわかった・・・・・で、取り憑くとどうなるんだ?」
指摘したいところは多々あるが、説明の続きを促す
「そしたら輝夜はドコにも『居る』しドコにも『居ない』状態になるモコ。その矛盾によって奴は消滅するって寸法モコ」
「どこかの吸血鬼(命大量保持者)の倒し方みたいだな」
「知らないモコ。答弁を終わりますモコ。さっそく作戦に移るモコ」
―――【 曖昧モコウ 】―――
外殻をダンボールで覆った妹紅
虚数展開カタパルトから射出されて猛スピードで地面に落下・衝突する
箱を開けるまで妹紅が生きているのか死んでいるのかは分らない(多分死んでる)
「人間が生き物の生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね?」
と、本間先生がそれを見て結構他人事のように言っていた
―――【 曖昧モコウ 】―――
箱の底から足を生やしてヒョコヒョコと移動する
「それじゃあ、永遠亭に行って来るモコ」
「一つだけいいか?」
おぼつかない足取りで外に出る妹紅を呼び止めた
「なにモコ?」
「さっきの理論だと。お前も輝夜と一緒に消滅しないか?」
「・・・・」
何も言わずだんだんと小さくなっているその箱を、慧音はただ見送った
洗濯物を抱えた因幡てゐは輝夜と談笑しながら永遠亭の廊下を歩いていた
「しかし、洗濯機でしたっけ? あれは本当に便利ですね」
先日、香霖堂で購入した外の世界の道具のおかげで家事だ大分楽になったとてゐは喜んでいた
「ん?」
その洗濯機の前まで来ると、そのすぐ近くに奇妙な箱が置いてあった
「なんでダンボール箱が? 姫様なにか知ってますか?」
「さあ・・・私もちょっと。これなんか微妙に動いてない?」
人が余裕で入れる大きさのダンボール箱を前にして二人は戸惑う
「輝夜、大変です」
後ろから従者が早歩きで追いついた
「どうしたの永琳?」
「永遠亭に何者かが侵入しました、優曇華の部屋にあったはずの銃が盗まれてます。万が一を考え早く自室に・・・この箱は?」
「わからないわ。でも中になにか入ってるみたい」
三人の視線が箱に注がれる
永琳が箱を持ち上げた
「う〜〜?」
箱をどかすと宝石のような不思議な羽を持つ手足の無い少女が現れた
「これは妹紅じゃないわ、紅妹よ!」
「フリィィィィィィズ!! 両手を挙げるモコォォォォォォォ!!」
洗濯機のフタが勢い良く開き中から妹紅が現れる。その手には鈴仙の部屋からくすねた拳銃
取り憑いたら自分も消滅するため、いろいろ考えた結果いつもの実力行使に変更した
囮によって完全に意表を突かれた三人
「いやああああああああああああああ妹紅がきたあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「あなたも懲りないわね」
パニックを起こす輝夜と冷静な永琳、われ関せずを決め込むてゐ
「もう前回のようにセーフティが外せないなんてヘマはしないモコ。だから死ねモコ!」
問答無用で妹紅は引き金を引いた。カチリと頼りない音が手元からした
「うお。弾が無ぇモコ!!」
「当たり前でしょう。暴発の恐れもあるから、使わないときは弾を抜いておくのが常識よ」
呆れ顔で永琳は説明してやる
「・・・・・」
妹紅は無言で洗濯機の中に入り、フタを閉めた
「立て篭もったわね」
「妹紅はいいとして、この子はどうしますかお師匠様? 体の所々が欠損してるんだけど」
「とりあえず優曇華が待機してる手術室まで運んでちょうだい」
「はい」
てゐはフランドールを抱え上げてその場を離れた
「こちらモコウ、敵に囲まれた。指示をくれ元帥。モッコラー元帥!? 畜生、留守電だモコ!」
「優曇華の銃を返しなさい」
妹紅の入った洗濯機に永琳は歩み寄る
「これで見逃して欲しいモコ」
洗濯機のフタが僅かに開き、そこから食べかけの羊かんが出てくる
「いらないわ。大人しく投降しなさい」
「このあと妹紅を捕獲・監禁してレイプする気モコね。エロ同人みたいに」
「なにもしないから出てきなさい、洗濯機が壊れるから」
妹紅を追い詰めたのと同時に、洗濯機という人質に取られているため下手に手が出せない永遠亭の二人
事態は膠着状態になるかと誰もが予想した
しかし
「輝夜、ちょっと聞いてもいいモコか?」
「なにかしら?」
「竹から生まれたということは、誰かが竹に精子ぶっかけて受精してお前が出来たってことモコか?」
「永琳、洗濯機のスイッチを」
「御意」
永琳の指が洗濯機のスイッチに置かれる
「最後通告よ。出てきなさい」
「嫌モコ。マッチョな兎にれいぷされるなんて死んでも御免モコ」
「いい加減にしないと回すわよ(洗濯機的な意味で)」
「やっぱり輪姦(まわ)す気モコか!? このエロ女医! 包茎手術で切り取った皮をホルマリン漬けにしてコレクションしているという噂は本当だったモコね」
かくして、スイッチは押された
「もこおおおおおおお!!」
洗濯機が止まるまで、洗濯機の中には死んでいる妹紅と生きている妹紅が存在している
蓋を開けるまで妹紅の生存は誰にもわからない
数日後
麦わら帽子を被り、虫取り網を携えた妹紅が泥だらけになって帰って来た
「つ、ついにシュレディンガーの猫を捕まえたモコ! あとはなんとかしてコイツを輝夜と合体させれば」
中で何かが暴れている麻袋を同居人に見せる
ちなみにフランドールは永琳と慧音が話し合った結果、完治するまで永遠亭で治療を受けることになったため、この場にはいなかった
「藍さん、こいつにわかりやすく教えてやってほしい」
「いいですか妹紅さん、シュレディンガーの猫というのはですね・・・・・」
藍が懇切丁寧に解説をする
「するってぇとコノ生物は一体・・・?」
今なお動き回る麻袋の中を覗き込む
「なんでその行動力をもっと他の部分に活かせないんだお前は」
【第六話 エピキュリアン】
「輝夜モッコロォォォス!!」
妹紅は輝夜を殺害するために全速力で迷いの竹林を駆け抜けていた
永遠亭まで残りわずかというところで、妹紅は真横に吹き飛ばされた
「モゴォ!」
衝撃を感じた方向を見ると、道の端から竹の束が飛び出していた
道から少し離れた竹薮を睨む
「そこに居るのはわかっているモコ!」
「な、なんでわかったの!? 罠とは反対方向の位置で、私自身の気配も完全に消していたのに!?」
隠れていた因幡てゐは驚嘆する
「うぉっ。本当にいたモコ!!」
「え、直感で言ったの?」
「ゴホン・・・武器を捨てて大人しく出てくるモコ。さすれば危害は加えないモコ」
「くっ」
てゐは観念して両手を肩の高さまで挙げて姿を現す
「わかった、降参す…」
「オラァ!!」
「うわああっ!!」
妹紅はコブシ大の弾幕を一つ放った。弾はてゐの顔の真横を通過した
てゐは驚き、竹薮に飛び込んで再び姿を隠した
「かすった!? 今、私の頬かすった!!?」
「誰が動いても良いと言ったモコか?」
「自分で言ったよねぇ!? 『大人しく出てくるモコ』って!?」
必死に抗議する
「そんなの知らんモコ」
「もう怒った、これでも喰らえ!!」
てゐは足元の紐を引いた
鋭い風切り音の後、太い竹の豪快なスイングが妹紅の顔面に直撃した
切った長い竹を寝かせて底の部分を固定し極限までしならせたブービートラップだった
「モガハァ!!」
計算か偶然か、殴られ吹き飛ばされた先にはちょうど人が腰掛けることの出来る大きさの岩が存在していた
「ぎゅごっ!」
その岩にしたたかに後頭部をぶつける
「だ、大丈夫?」
やりすぎたと思い、心配して妹紅に近づく
「うう、やってくれたモコね」
ゆっくりと起き上がる
「輝夜じゃないからと手加減してたモコが、もう許さんモコ。本気でいくモコ」
「あの。か、体が・・・」
てゐは申し訳無さそうな顔で妹紅の足元を指差す
「モコ? ・・・モコォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!
自分の足元を見て絶叫した
そこにはなぜが“自分の体”があった。後頭部がパックリと割れておびただしい量の血を流している
妹紅は幽体離脱していた
「し、しっかりするモコ自分! 立て! 立つんだモコ!! 立ったら立ったで問題有るような気もするけど!!」
動く気配がなかったので、妹紅はそのまま自分を担いだ
「自分で自分の体を引きずってる・・・」
「クソッ、覚えておくモコ!!」
捨て台詞を吐き捨てて妹紅は帰った
モコモコ王国(旧上白沢邸)
「一時はどうなることかと思ったモコ。危うく半人半霊の蓬莱人とか意味わかんねー肩書きを持つことだったモコ」
「本当に滅茶苦茶な体だな」
「幽霊になって思いついたモコ。これからのトレンドは呪術モコ」
「呪うのか?」
「そうだモコ。だからちょっと呪いのエキスパートの家に行ってくるモコ」
魔法の森
その中にひっそりと佇むアリス・マーガトロイド邸
家主のアリスは人形に打ち込んだ術式に間違いが無いことを確認していた
「これなら魔理沙の時よりも遠くにいる相手と通話できるはず」
『魔理沙の時』というのは地霊殿での騒動の際、人形を介して通信していた事を指している
これからアリスは人形を媒介として、遠くにいる相手との交信を図ろうとしていた
編みこんだ術式を指でなぞり、魔力を注ぎ込む
見覚えある色に魔方陣が光だし通信が成功したことをアリスに知らせた
「よし」
電話をするのと同じ要領で人形を顔にくっ付けて会話を始めた
『はい。こちら魔界でございます』
アリスにとって聞き慣れた声が帰ってくる
「あ、おがさん? わたすわたす、ありすだぁ。ほんっにひっさしぶりやなぁ」
『あんれまぁ、ありすちゃん? さいきん手紙がけぇへんくて心配しとったとよぉ。ご飯まいにぃ食べと?』
「ちゃんと食べとっよぉ。夢子ねえたちげんきしとっと?」
『みんなげんきたい、しんぱいなか』
「そっかぁ、えがえが・・・・・?」
母親との会話中、アリスは背後に気配を感じ振り向いた
「どうして人形を顔にくっつけて話しているモコか? ドッピオごっこモコ?」
妹紅が部屋に勝手に入ってきてアリスを不思議そうに見ていた
アリスは人形の顔を手で押さえて、妹紅との会話が聞こえないようにしてから声を出す
「今ちょっと実家に電話してるから、終わるまでそこの椅子に座って待ってて頂戴」
テーブルの横の指差す。不法侵入については言及しなかった
「ああごめん、今ちょっと友達きとっと」
『ともだちおるん? それはよかたい、ありすちゃんひっこみじあんじゃけん、みんな不安やっとんよぉ』
「友達ぎょうさんこさえたべぁ心配なか」
『さびしぃなったらいつでも帰ってきや、みんなまっとるよぉ』
「うん、盆と彼岸にもそっちぃ戻るばい。それじゃあ・・・・・・・・・・ふぅ」
最後に一息吐いてから人形を棚に戻した
「今のは何語を話していたモコか? 妹紅には意味がまったくわからなかったモコ」
「魔界の言葉よ」
「すげーモコ。アリスはバイリンガルだモコ」
羨望の眼差しを向ける
「ふふ、おだてても何も出ないわよ。紅茶でも飲んでく?」
「飲みたいモコ」
アリスが振舞う紅茶と手作りの洋菓子に舌鼓を打つ
「今日はどうしたの? あげた人形の服がほつれたの?」
「アリスに訊きたいことがあって来たモコ。呪いの掛け方を教えて欲しいモコ」
「呪い・・・・ねぇ」
紅茶のカップを置き、指を口元に当ててアリスは考えだした
「どのくらいの規模の呪いをかけたいの? 相手が風邪をひく程度? 引いたおみくじをワンランクを下げる程度?」
「一日に一回のペースで死ぬ呪いがイイモコ」
「それは大規模ね。でもそれは魔界の上位アイテムでもないかぎり不可能よ」
「魔界に行けばなんとかなるモコか?」
「でも妹紅は魔界語を喋られないでしょう?」
「そうだったモコ、妹紅は魔界の言葉がわからないんだモコ・・・」
シュンとうな垂れてしまう妹紅
「pnpさんが『神社に死体を持って来れそこの神様が喜ぶ』と言ってたけどそれを実践すべきモコか?」
「どうせ行くなら地底はどうかしら?」
アリスは一つ提案をした
「 あそこは負の要素が蔓延(はびこ)っている。あなたの望む呪いがあるかもしれないわ」
「おお、早速いって来るモコよ」
紅茶を一気に飲み干して皿の上のクッキーをかきこみアリスに礼を述べると、妹紅は足早にその場を後にした
地底
「嫉妬の楽園『ジェラシックパーク』にようこそ。私がここの支配人。水橋パルスィよ」
―――――ジェラシックパーク―――――
地底に建設された大型レジャー施設
古今東西、嫉妬にまつわるものが展示されており
幻想郷の嫉妬はここですべて見ることが出来る
施設の最深部に巨大嫉妬炉が存在し、それを動力としてパークの機械は動いている
嫉妬炉とは、嫉妬を注入することでエネルギーを生み出す気色の悪い炉である
この嫉妬炉は元々“幻想郷嫉妬大戦”で使用された主力戦艦『しがらみ』に搭載されていたモノで
大戦後は特に使い道が無かったためジェラシックパークにしょうがなく寄贈された残念な一品
嫉妬炉が無いころは屈強な肉体を持つ男たちが、人力で発電しており
いやらしいボンテージ姿のパルスィが男たちを乗馬用のパドルで叩くことで発電のON/OFF制御をしていた
―――――ジェラシックパーク―――――
「入場料は大人は600SHIT。子供は300SHITよ」
「なんの通貨モコか? そんなの持ってないモコ」
「はい、確かに頂戴しました」
受付嬢は微笑んだ
「妹紅まだ何も払っていないモコよ?」
「いいえ。ちゃんと頂きました。こちらパンフレットです」
よくわからないが、中に入れた妹紅
「人を殺せる呪いのアイテムは無いモコ?」
売店の店員をやっているヤマメに尋ねた
「あることはあるんですけど、お高いですよ」
「いくらモコか?」
「3千万SHITです」
「高ぇモコ。他には無いモコか? 相手を死に追いやれるモノなら何でもいいモコ」
「かしこまりました」
ヤマメは店の引きだしから黒い装丁の本を見せた
「妬ましいと思った相手を報酬しだいで始末してくれる嫉妬ギルド『ハッピーバスターズ』の料金表です。お客様が現在お持ちのSHITで雇える者もおります」
「つまり殺し屋モコね。というか妹紅が所持しているSHITっていくらモコ? それはスカウターかなんかで見える数値モコか?」
「こちらの本は希望する方に無料配布しております。どうぞお持ちになってください」
「そんな危険な物をタウンワークみたいなノリで配ってるモコ?」
地底を出てモコモコ王国に戻った妹紅はその本に目を通した
「こいつは刺激的モコ」
殺し屋のリストを読みふける
「『妖精ヒットマンズ』・・・・・おぎ@暇同氏に12000SHIT払えば受け持ってもらえるモコか。魅力的な価格モコ。しかしだモコ」
通貨制度と依頼方法がわからなかった
「SHITってどうやって払うモコか? そもそもどこに? 河童の研究はどこまで進んでるモコ?」
妹紅は本を放り投げた。やる気がダダ下がりになった
「どうしたんだ妹紅、壁とタンスの間に挟まって?」
「いともたやすく行なわれるえげつない行為だモコ」
「どういう意味だ?」
「縁日さんの世界へ行って輝夜放浪記を見て落ちたテンションを取り戻してきたモコ。あっちの世界の輝夜は気の毒レベルは半端無いモコ」
(妹紅は時々ワケのわからないことを言うな・・・いや、普段からか)
慧音は時計を見る
「今日はフランが退院して帰ってくる日だ。お祝いするから夕飯つくるのを手伝ってほしい」
迎えには藍が行っている
「面倒臭いモコ」
「妹紅、お前今晩なにが食べたい?」
「・・・・・やきとり食いたいモコ」
「それは残念だ。私は忙しくて献立にやきとりを追加する余裕が無いんだ。誰かが手伝ってくれたらやきとりも夕飯に出来るんだが」
横目でちらりと妹紅を見る
「じゃあ手伝うモコ」
「まずは井戸まで行って水を桶に2杯分汲んできてほしい。転ばないように気をつけてな」
「了解したモコ。行ってくるモコ」
「ありがとう」
モコモコ王国の一日は、今日もこうして過ぎて行く
おまけ
「うるさいねぇ。誰だい、賽銭箱の上にあるガラガラを高速でシェイクしているヤツは?」
境内から神奈子は外を覗き込んだ
その場にいた妹紅と目が会う
「ここの神様モコか?」
「いかにも。私が守矢神社の神、八坂神奈子さね」
賽銭箱の横にこしかけ、神奈子はあぐらをかいた
「願いごとがあって来たモコ」
「苦しゅうない、申してみよ」
「抹殺したい野郎がいるモコ。だから邪神を呼び覚ましに来たモコ」
「ブッ!」
神奈子は思わず噴き出した
「お前さん神聖な神社でそんなことを言うとバチが当たるよ」
「バチは嫌モコ。怖いモコ」
両手で頭をおおい妹紅は怯え出した
「案ずるな神は寛大だ悔い改めれば許そうぞ」
威厳に満ちた声でそう言い、妹紅に耳を傾けた
「なぜそう願うか我に話してみよ。迷える者に道標を授けるは神が勤め、相談に乗ろう」
「復讐したいヤツがいるモコ」
簡潔に述べた
「なるほど、それで抹殺などと物騒な言葉が出たわけか」
得心いったと頷いて見せる
「復讐の方法にも正道と邪道がある。邪道は汚い手を使い相手を貶める行為。正道は正々堂々、相手をまっこう勝負で打ち勝つ行為」
「達成できるなら汚い手でも全然かまわないモコ」
「たわけ。人ならば5尺の道は5尺の歩け。それが人道ぞ」
「どうすればいいモコか?」
「相手の不幸を望むのではなく、自身の研磨を望め。わかるか?」
妹紅の理解力に一抹の不安を感じたので訊いてみた
「とりあえず『輝夜死ね』じゃなくて『強くなりたい』的なことを願えば良いモコか?」
「よろしい。努々(ゆめゆめ)信仰を忘れるではないぞ。ゲン担ぎと甘く見るなかれ、信仰があれば願いは具現することを約束しよう」
「わかったモコ。明日から実践するモコ」
翌日
守矢神社の長い長い階段を妹紅は駆け上がっていた
階段を上り終えると賽銭箱の前まで行って手を合わせる
「13回、あと87回モコ」
踵を返して階段を駆け下りていった
階段の一段目まで戻ると再び駆け上がり始める
「今時お百度参りなんて珍しいね。まだ先は長そうだけど」
諏訪子は鳥居の上から汗をかきながら走る妹紅を見ていた
「あと86回・・・・」
「ご苦労さま」
「モコ?」
何時の間にそこにいたのか、目玉のついた奇抜な帽子を被る少女が真後ろにいた
「そんなに必死になって、一体なにが望みなの?」
諏訪子は是非とも訊いてみたかった
神奈子の神徳で叶えられるものかどうかを知りたかったのだ
「筋肉が欲しいモコ」
「え、あ・・・・・うん。叶うといいね」
諏訪子は返答にもの凄く困った
終わり
ワタクシごとですが、『木質』とかいて『もくしつ』と呼びます
最後に、話の中で使わせていただきましたた
藤原海軍中将様。pnp様。おぎ@暇同様。縁日様。
に感謝の意を
本当にありがとうございます。
木質
作品情報
作品集:
3
投稿日時:
2009/09/27 06:54:19
更新日時:
2009/09/27 15:54:19
分類
神聖モコモコ王国
イミフ
どんどん書いて欲しいモコ
とっても楽しみにしてるモコ!
あとバチに怯えるモコかわいい
最後まで笑いながら読んだけど、とにかく神奈子様がまともで安心した……
あなたの文章は毎回すばらしいです。
あなたのような文章が書けるようになりたい・・・。
アリスとお母さんの仲がとても良さそうで
フランドールは治って帰ってくるのでしょうか
しかし前から思ってたが永遠亭の面々がすごいまともだから妹紅が悪役にしか見えないw
リアルでジュラシックパークを観ていた自分
次回も楽しみにしちょんけん
どんな世界にも顔を出せる辺りも含めて
ところで、次辺りでとんでもないマッシブボディを手に入れて欲しいと思いました
鬼(大)や風見幽香とも殴り合える位の・・・
ここで不覚にも
向こうの感想欄で馬鹿笑いしてたやつが何を言うか!
とりあえずアリスのところで爆笑したw