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『射命丸とハンバーグ工場と工場長』 作者: ヨシナミ

射命丸とハンバーグ工場と工場長

作品集: 4 投稿日時: 2009/10/08 07:59:56 更新日時: 2009/10/08 16:59:56
文々。新聞 ◯月×日(△)の記事

人里のちびっ子達にアンケート!
〜今夜の晩ご飯何が良い?〜
「「「にとり印ハンバーグ!!」」」

河城にとりの起こした【幻想郷安価精肉プロジェクト】によって“あるもの”を精肉に加工することに成功。
幻想郷の質素な食事に安くて美味しいというニトリミートをにとりはもたらした。
今ではにとりの個人宅の小さな工房から、規模が著しく発展し、妖怪の山に雨後の筍の如く精肉・食品工場が建てられることが決定した。
中でも人里の子供達の中で“ハンバーグ”が大人気。
今回このハンバーグを大量生産するハンバーグ工場に独自の精肉加工工場を隣接した大規模な工場が第一号工場として稼働する事が決まった。
次回の文々。新聞は、射命丸記者によるハンバーグ工場突撃取材!
企業秘密の“あるもの”の謎に迫る!!

〜〜〜

「あやや、意外と大きいものですね……」
妖怪の山の山中に灰色の建造物が出現した。
河城にとりの工場だ。
前回の天狗の新聞の記事から工場の建造は大勢の河童によって急ピッチで進められ、無事竣工し精肉・製品の制作が稼働した。
これによって幻想郷の人々は本格的にニトリミートの恩恵を受ける事ができた。
しかしこれまでの精肉は一体何を加工して如何に作られた物か?
疑問に思う幻想郷の有識者は多々大勢いたが、特に害も無く、美味しく、格安で提供される物に文句を付ける者はいなかった。
だが射命丸文だけは違った。
自らのポリシーである貪欲な探究心に従ってどうしてもその“あるもの”の謎を解明し記事にしたい!
それだけを思い、工場の敷地内へ足を踏み入れた。



「こんにちは、文! 待ってたよ」
建物の中でにとりが笑顔で出迎えてくれた。
「こんにちは、にとりさん。今日は記者としてこの工場の全貌を解き明かしますよ!」
文も今回の意気込みを声高々に宣言する。
「あはは、そう簡単に知られちゃ困るね。言っとくけど勝手にうろちょろしないでよね〜」
じと目で文を見つめるにとり。
それに対して文はへらへらと笑い返した。

白いマスクとどこぞの吸血鬼のお召し物のような帽子を装着し、いよいよそのハンバーグ製造ラインに足を踏み入れた。

〜〜〜

「へぇ、従業員には妖精を雇っているんですね〜」
長蛇の如く延びるベルトコンベヤー、その上に点々と置いてある肉を妖精たちがこねてはこねるを繰り返している。
「妖精たちでも数日間の研修期間を与えればこんな芸当もしてくれるのさ。まぁこれも私の教育方法の賜物だけどね」
えっへんと胸を張るにとり。
形が整えられた肉は様々な工程のラインに流れ冷凍されたのち人里へ出荷される。
「手元に届けば後はお湯でもどすだけ!これを“れとると製法”というんだよ! 山の巫女に教えて貰ったんだけどやっぱり外の技術ってすごいなぁ〜」
「今度新しい製品をここのラインに加えようと思うんだ! これも巫女から聞いたんだけどはんばーがーと言ってね……」
(あややや…完全に自分の世界に入っちゃてますね…これでは“あるもの”について聞き出すのは難しそうです…)
ペンを走らせながら思う射命丸。
意を決して“あるもの”について問い掛ける。
「あ、あのにとりさん? この肉は何の肉なんでしょうかね…?」
恐る恐る問い掛ける。
今まで楽しげに話していたにとりが突如顔をしかめた。
「それについては一切喋る事は無いよ」
先程より声のトーンを低くし喋るにとり。
「そこをなんとか…ねっ?」
「駄目」
即答だった。
(やっぱり何か裏があるようですね…なんとしても聞き出さなければ!)
「お願いしますよ〜!ねっ?ねっ--------

「あっ!!」

べちゃ

排泄物を踏んだ様な間抜けな音と声がすぐ隣で聴こえた。
どうやら文たちが対談していたすぐ横のラインで妖精が肉を落としてしまったようだ。
「文、ちょっと待ってて」
それだけ言うとにとりは神妙な顔つきのまま妖精の元へ発った。
「ごっごめんなさい工場長っ」
妖精が肩をすくめ涙目で答える。
「いいんだよ。それよりちょっと向こうへ行こうか」
がたがたと震える妖精の肩を持ちながら奥の小部屋へ入るにとり。
「…………」
「……!……!」
「……」
「…!!」
微かだが2人のやりとりするような会話が聴こえてくる。

パンッ

突如乾いた音が工場内の爆音に遮られながらもわずかに聴き取れた。
程なくしてにとりだけが部屋からでできた。
「い、今の方は…?」
「ん、研修のし直し」
「じゃあ、案内の続きを再開するよ!」
それだけ言うといつもの笑顔で先程の文との会話も無かったかのように工場の案内を始めた。
文は音については聞かなかった。

〜〜〜

激しい騒音が支配するラインエリアを抜けて別棟の“精肉工場”へ赴く。
「ここは精肉加工工場だよ。と言っても専ら大半は事務、研究などの部門が表向きだけどね。」
「屠殺される家畜の舎らしきものが見当たりませんが…?」
「…企業秘密だからね。畜舎と屠殺場は私と一部の幹部しか知らないよ」
精肉とは通常家畜を屠殺、解体する事によって精製されるものだがその内容はグロテスクな場面を隠すという事以外では秘匿される必要性は無い筈だ。
そもそも何を屠殺しているのだろうか。
文の疑問と好奇心は益々膨らむばかりだった。
「おや…この扉は何でしょう?」
長い廊下の幾多の扉の中で一つだけやけに厳重に施錠された扉があった。
「…! そこは何もないよ!」
明らかな同様を見せるにとり。
(しめた! ここに“あるもの”があるのですね!!)
内心でしめしめと嘲笑う文。隙あればいつでも入ってやろうと魂胆だ。
「とっとにかく向こうの部屋で! これから出す新製品案について特別に教えるよ!」
新製品案どころではないこの扉の奥だ! 文曰くの記者魂は扉の奥の大スクープだけにはせていた。

〜〜〜

淹れたてのお茶が湯気を上げている。
にとりに半ば無理矢理、応接室に押し込められた文は差し出された茶には手も出さずにチャンスを伺っていた。
にとりが山の巫女と編み出したと思われる新製品案も殆ど耳に入らない。
とにかくあの扉の奥ををあばく事だけを考えていた。
そして幸運にも好機は訪れた。
いや、これは不運だったのかもしれない。

ジリリリリリリ

突如耳をつくけたましい警報が鳴り響く。
「ひゅい?! なにが起きたの!?」
応接室に河童が滑り込む様に入室する。
「工場長! オーブンラインにて機械トラブルによる火災が…!」
「あ文! 絶対にここから出ないでね! 絶対だよ!」
それだけ言うと飛ぶ様に去るにとり。
無論じっとしていろと言われその通りにする射命丸文では無かった。

〜〜〜

バキン

今文は先程の施錠された扉の前にいる。
しかし扉の施錠はたった今文によってすべて力による解錠をされた。
扉の奥は薄暗く、階段が続いていた。
「大スクープですよぉ〜!」
今まさに絶頂の文は落ちる様にその階段を下って行く。
そして再び扉が姿を見せた。
「きっとこの奥に“あるもの”が…!」
未知なる生物を加工した物か? 河童の技術の結晶の肉を作り出す機械か?
様々な憶測の答えがこの扉の向こうにある!
大スクープの予感に歓喜しながらその扉をいよいよ開いた。

〜〜〜

「こら〜!ここから出せ〜!」
「チ、チルノちゃん落ち着こうよ…!」
そこに居たのは未知なる生物でも不思議な機械でも無かった。
見なれた氷精と緑の妖精。その他大勢の妖精たちが檻の向こう側にいた。
「え…これはどういう…まさか…」
「『好奇心烏をも殺す』か」
振り向くとそこには銃を構えたにとりと何人かの河童がいた。
「だからあれ程言ったのに。人のいう事は聞くもんだよ?」
にとりを見た瞬間チルノが喚き始めた。
「こら〜!河童!あたいたちを早くここから出」

パンッ

先程微かに聴こえた音が今はハッキリと聴こえた。
額に風穴を開けたチルノがばたりと倒れる。
「嫌ぁああああ!!!!  チルノちゃ」

パンッ

「うるさいな今私は文と喋ってるんだけど」
他の妖精たちは隅っこに固まる様に寄り添って怯えている。
「おっといけない。なるべく新鮮な状態にしとかないと」
「にとりさん…あなた妖精たちを…」
「そうだよ。冥土の土産に教えてあげるよ」
「あの肉は妖精を加工した物だ。妖精なんて一回休みになるだけだからね。無くなったらすぐまた調達すればいいんだ」
「でも一応妖精も人の形をした物だからね。こんな事をしてるなんてバレたらお終いだよ」
「だからね文、あなたを生きてここから帰すことは出来ないな」
その瞬間文の後頭部に衝撃が走り、文の意識はそこで一旦途切れた。

〜〜〜

「う…ん……ヒィッ!」
文が目を覚ました時、苦悶に満ちた表情のチルノと目があった。
しかしその首から下は無く、辺りを見渡せばいくつもの手足が生えた桶や臓物が目一杯入った容器、そして血に塗れた牛刀を持つ屠殺人とにとりの姿があった。
「お、お願いですにとりさん…ここであった事は私は何も見てないし聞いてないです…」
「あんたの二枚舌なぞ信用出来ないよ。いいよ、やっちゃって」
にとりの命の下、屠殺人が文の腕を掴む。
「うあわぁあわ、お願いです!! 記事なんかにしませんから!!!頼むおねがい-----

ザシュ

「…ひ、いぎゃぁぁぁああああああ!!!!」
鍛錬された屠殺人の技はいとも簡単に文の肩から腕を切り離してみせた。
「あうぅああ!!やめてぇええええ!!!!」
足を掴み、次の作業に移ろうとする屠殺人。
残った左手で必死に地面を足掻き、偶然何かを掴んだ。
「うぅぁ…えぇい!」
「うわ」
鷲掴みにしたチルノの首を思い切り投げつけた。
それによって屠殺人がひるんだ隙に猛スピードで近くのダストシュートの様な穴に飛び込んだ。
「…馬鹿だねぇ。そっちに行っても変わらないのに」
にとりが呆れた様に呟いた。

〜〜〜

ドスン

「うぅ…ここは…?」
文が落ちた先はベルトコンベヤーの上だった。
しかしその上に流れているのはかつて人の形をとっていた妖精の胴体だけだった。
「え…もしかして…」
コンベヤーの流れ行く行き先をみる。
シューシューと蒸気を吹き上げ稼動する機械。
そこに肉が流れ込み、粉砕しミンチ状にしていた。
「そんな…そんな…いや…」
逆走し逃げる事も出来ない。もはや文の運命は轟音をあげる鉄の怪物に食い殺されるだけだった。
「いやぁぁああ!!!!助けて!!!にとりさぎゃぶべぉ」
頭から丸呑みされ、その体も粉々に飲み込まれた。
残ったのは辺りに舞う黒い羽だけだった。

〜〜〜

「咲夜、今日の晩の御飯は何かしら?」
「はい、今人里で話題沸騰中の河童特製のハンバーグをお持ちしました」
「え!?ほんと!?あれ一回食べてみたかったのよね!」
「どうぞ御召し上がり下さい」
「いただきまぁす!」
「むぐむぐ…う〜? 何これ鳥の羽?」
「あら、これはいけませんわ。直ちに代わりの物を」
「まあ、味はイケるわね!美味しいわ!」
にとりが鬼畜過ぎます。
自分が書くのこんなのばかり。
そしてこれからもこんなのばかり。

余談ですが、秋姉妹のお話以降はPCがキュッとしてどかーんされた為、某林檎社の携帯にて執筆、投稿しております。
その為、行が不自然に短いと思われるのをこの場を借りて謝罪させて頂きます。
早く治ってくれッッ!
ヨシナミ
作品情報
作品集:
4
投稿日時:
2009/10/08 07:59:56
更新日時:
2009/10/08 16:59:56
分類
射命丸
にとり
カニバリズム
惨殺
グロ
1. 名無し ■2009/10/08 19:29:30
ハンバーグ工場ってだけで嫌な予感しかしなかったけど、(良い意味で)予想通りw
大ちゃんのお肉なら俺も食べたい!
2. 名無し ■2009/10/08 19:59:34
タグのカリバリズムで食人描写があるのかと思ったが、別にそんなことはなかったぜ!
3. どっかのメンヘラ ■2009/10/08 20:06:14
GTA2のホットドックの奴思い出しちまった・・・。
4. 名無し ■2009/10/08 20:14:44
ついさっき、ゆっくり系でそれ関連の見たばかりだったりする……ウプ
5. 名無し ■2009/10/08 20:51:49
命乞いするあややほどエロイ物は無いと再認識した
6. 名無し ■2009/10/09 00:18:52
新でもよみがえるし、下手に家畜を飼うよりは効率的ないい方法だな。
でも、規模がでかくなればなるほど隠し通すのは難しくなる・・・
文を消した以上天狗も動くだろうし
この内容が幻想郷中にばれた後、みなはそれを受け入れるのか、拒絶するのか。
7. 名無し ■2009/10/09 01:10:44
夢にまで見た文ちゃんハンバーグうっひょひょーう!!!
8. risye ■2009/10/09 11:32:35
この後椛が文探しに行ってミイラとりがミイラで缶詰に詰め込まれるところまで幻視した。
9. 名無し ■2009/10/09 15:28:34
なにこのあやちゃんかわいい
10. のび太 ■2009/10/09 20:17:41
芥川の小説だと、河童は共食いしてるしな…「それも職工の肉ですがね…。」

よし次はうどんげとてゐで、ミートパイだ…。
11. 名無し ■2009/10/09 23:48:42
大ちゃんはとばっちりが似合うなあ。
もはや様式美か伝統芸能の粋だ。
12. 名無し ■2009/11/01 18:12:00
幻想郷のソイレントシステム・・・
13. 名無し ■2010/01/17 00:12:53
さっきハンバーグ食べた
14. ふすま ■2014/06/14 19:06:53
好奇心猫を殺す。
世の中には知らない方がいい事もあるのです
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