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『紅色の幻想郷―――その2』 作者: 螺旋
「――――――なの?」
「――――――ですわ」
霞がかった頭が晴れていく。
周囲の情報が一気に流れ込む。
まず復帰したのは聴覚。どこからか声が聞こえる。近くで、しかし反響してはっきりとはわからない。
次に触覚。感じるのは足裏と手首の冷たさ。
嗅覚。嗅ぐのは埃とカビのにおい。
味覚。口の中に鉄の味。口内が切れているのだろうか。
最後に視覚が追いついた。
薄暗い部屋を四隅に備え付けられた松明が部屋を照らし、眼前に二つの影を浮かび上がらせていた。
「……ここ、は―――」
「お嬢様。目が覚めたようです」
私の呟きに反応したのはメイド服姿。その隣、お嬢様と呼ばれた影が一歩進み出る。背は私やメイド服よりも小さい。身長に不釣合いな大きな羽根が揺れた。
相手の前進から距離をとろうとした。ジャラ、という金属の擦り合わさる音。
「え?」
音源は私の頭上、天井から下がり、手首を縛り冷たい感覚を与える鉄の鎖。私の身体はそれによってほとんど爪先立ちになるように吊り上げられていた。
足裏の冷たい感覚は裸足の足に伝わる石の床。
下を向き、気付く。布を纏っていないのは足だけではなく、全身だと。
「な、なにが……えぇっ!?」
口から漏れるのは断片的な疑問符。
「ねえ」
「……っ!?」
目の前の小さな身体が口を開いた。身長差があり、さらに吊り上げられているため見上げられる形になる。
「あなた、リュウグウノツカイなのかしら?」
「……?」
目的の分からない問いに一瞬黙り、落ち着いて答える。
「……ええ。そうです」
ほら、と声をあげたのはメイド服。
「言ったとおりでしょう? レミリアお嬢様」
「でも、パチェが言うにはリュウグウノツカイはもっと大きいはずなんだけれど」
「まだ成長途中なのでしょう。ビラビラの羽衣もついていましたし、間違いありません」
「あら咲夜。あなたにもビラビラはついているでしょう」
「……それにはどう答えればいいのでしょう。というかセクハラですか? セクハラですよ?」
目の前で繰り広げられるやり取りから得られる情報は二つ。レミリア、咲夜という名前と、少なくとも人違いでこんな状況になっているのではないらしいという事。
「あの……」
「ん?」
「とりあえず、状況の説明をお願いしたいのですが」
少なくとも私がこんな目に逢うようなことをした覚えはない。あえていうなら約一名のとばっちりということだが、
「んー、別に、ただリュウグウノツカイって珍獣を見たかっただけなのよね」
「珍獣……。ともかく、見たでしょう、身体の隅々まで。ならば早く解放してください」
「無理」
即答された。
「こんな珍獣を野放しにするのは勿体ないわ。だからウチで飼うの」
私は閉口。
「本当は水槽かなんかに入れたいところだけれど丁度いいものがなかったのよね」
身勝手な物言いに既視感を覚える。
「ああ、別に鎖で?ぎっぱなしにはしないから安心しなさい。ただ、ちょっと持ち主である私の印をつけるだけよ」
どうしてお嬢様というのはこう我が侭なのだろうか。この娘といい、総領娘様といい。
「どう? 理解したかしら」
だが、その我が侭に付き合う義理はない。
「……雷鼓弾っ!」
声に応じ、空中に現われる雷の弾。目を焼くような眩しい光を放つそれはレミリアに向かい飛翔。
部屋に風が起こった。空気の揺れによって起こった風。
空気を揺らしたのは、目で追うことのできない、軌跡を残す速度で振られたレミリアの腕。
殴り、消し飛ばしたのだ。超高温のプラズマの塊を。
「は、……なん、えっ……?」
「御無事ですか、お嬢様!?」
「問題ないわ。少し、熱かったけれど」
遅まきながら反応した咲夜の問いに平然と返すレミリアの小さな拳にはやけど一つない。ふぅ、と息を吐き、三歩を進み私の背後に回る。
軽い衝撃。首に巻きつけられる腕。耳にあたる吐息。
「な、なにを―――ひぐっ!?」
首筋に硬い感触、皮膚が破られ牙が食い込んでいく。牙と皮膚の間から零れる紅く熱い液体。
こくっ、と喉を鳴らす音と共にレミリアの顔が離れた。
途端、糸が切れたように身体から力が抜ける。
「咲夜」
レミリアの呼びかけにメイド服が前に立つ。同じ程度の身長、目と目が合う。紅い瞳に私の瞳が、合わせ鏡のように互いの瞳が映し出される。
す、と掲げる手が握るのは、千枚通しのような巨大な針。
「ねえ、これ、何に使うか分かるかしら」
「……っ、や、やめて……」
針の低い温度を感じるのは、むき出しの胸部の先端。
「なにをやめて欲しいの? ま、言ってもやめないけれど」
背筋が凍るサディスティックな笑み。脊髄反射的に私は叫んだ。
「雷鼓弾!」
ぴくっと咲夜が肩を震わせ―――しかし何も起こらなかった。
「怯えなくていいわ。それとも、吸血鬼の能力が信用ならない?」
「いえ……」
「なんで―――『竜の光る目』!」
叫び、しかし目を焼く閃光は発生しない。
「無駄よ。あなたの能力は封じた。そうしないと安心して作業ができないから。―――咲夜」
針を構えなおし、乳首にあてる。だが、そこで咲夜は針を引いた。
「このままでは印をつけにくいですね。……起たせましょう」
針を床に置き、両手で包み込むように胸を包む。そのまま強く揉み、
「ひぎっ!?」
親指で頂点を押し込み、
「ひ、ひゃ!?」
ぴん、と指で弾く。
「起ってきたけど……もう少し」
「や、やめ……ひぐっ」
乳首を摘まれ、指の腹で捏ねられる。血があつまり、熱を帯び始める。
「ふふ、顔が真っ赤よ? 敏感ね。乳首だけでイちゃうんじゃない?」
頭が霞がかる。熱に浮かされるようにくらくらする。身体を揺らすが、咲夜の手から逃れる事はできずに空しく鎖が鳴る。
ゆっくりと、かとおもえば激しく、緩急をつけて、胸を、乳首を責められる。
「や、め……やめれぇ……」
目の端に温度を感じた。口元に垂れる塩の味の液体。
「あら、泣くほど気持ちいいのかしら」
捏ねられ、充血した乳首の先端。取れそうなほどに硬く勃起したそこを、
「それっ」
咲夜の人差し指が下から跳ね上げた。
「ひぎいいいいいいいぃぃいぃぃ!?」
一瞬で達し、食いしばった歯の間から悲鳴が漏れる。同時、ぷしゅ、と吹き出た液体が太ももを濡らす。
「あら、本当に乳首だけでイってしまいましたわ。ともあれ、これで針を通しやすくなったわね」
再度針を構え、片手で体積と硬度を増した先端を引き伸ばしつつ針を当てる。ぷつ、と表層の防御を抜き、内部へ侵入する。
「っつ……!」
目と歯をきつく閉じ、
「っつ、あああああああぁぁぁぁぁぁ!?」
一瞬で視界が紅に染まった。噴出す脂汗にまぶたを濡らしつつ下を向けば、血にまみれた千枚通しの貫通した右の乳首。
「ひぎっぃぃぃぃ!?」
咲夜が刺さったままのそれを軽く動かす。その度に脳天を貫くような痛みに視界が染まる。
咲夜が針を引き抜くと、全身に鳥肌が立ち、ビクビクと痙攣した。
「打ち上げられた魚のようね」
「まあリュウグウノツカイですし。さて、次は左よ」
血に濡れた針を、今度は左に当てる。
「いやぁ!お願い、やめ……ぁあぐがはああああぁぁっぁぁぁぁ!?」
「あら、大きな声をあげるから……そのまま突いちゃったじゃない」
さも驚いたような顔を作り咲夜は手元を見る。千切れる寸前のところで繋がっている血まみれの乳首。
「よし、と。あとは……」
ひゅぅ、と風を切る音と共に赤い軌跡を残しつつ針を抜き取る。噴出す鮮血がエプロンにとび、新しく模様をつけた。
種無し手品で手のひらに現われるのは悪魔の紋章の彫られた銀のプレートのついたリングピアス。
「これをプレゼントしてあげる。レミリアお嬢様の所有物の証。……嬉しいでしょう?」
答える声はない。汗の滴をたらす髪を掴み、うなだれた顔を持ち上げる。
「嬉しいでしょう?」
端に泡を浮かべ、だらしなく半開きになった口からはよだれと、ひゅうひゅうという風の通る音がするばかり。
「…………」
髪を離すと、咲夜は左手を血の流れ出る胸の先端に添え―――摘み、引いた。
「ひゃぎいいいいぃぃぃぃぃっ!?」
電源が入ったように起き上がる顔。
「嬉しいでしょう?」
「あ……痛い、いや、やめて、お願いいたいのいやいたいののいいいいたいいたいいたいいたいいいいぎゃああああああああ!」
「ねえ、嬉しいでしょう?」
「やめておたいいたいいたいちくびひっぱらいたいやめていやあいたいいたいいたいいいいいいいいいい!」
「嬉しいでしょう? 嬉しいわよね? 嬉しいっていいなさい」
「うれ、うれし、う、うれしいですっ……うれしいからいたいのもういやあああああがががががあががgggggあああ!!!!」
最後に乳首を弾くと、衣玖は顎が外れそうなほど口を開いて絶叫し―――沈黙した。
「そう、喜んでもらえて私も嬉しいわ」
手早く穴にピアスを通した。ちゃら、という音。部屋の明かりを映し、プレートが光る。
「お嬢様、終わりましたわ」
「ご苦労様。なかなかに楽しい劇だったわ……この後は?」
「そうですわね、やはり鑑賞のために水槽にでも入れておきますか? パチュリー様に頼めば……」
「……いや、待って、もっと簡単な方法があるわ。しかも一石二鳥よ」
目を開いて最初に見えたのは光。
眩しさというより痛みを感じて目を閉じ、ゆっくりと開いていく。
見覚えのない場所だった。
第一印象として、紅い。まるで鮮血を撒き散らしたかのように壁が、床が、調度品までもが紅い。天井から釣り下がるのは煌々と灯る豪奢なシャンデリア。
ぎぃ、という木材と木材の擦れあう音。紅い扉を開いて入ってきたのは吸血鬼とその従者。
痛みが蘇る。
叫びかけ、裸の身体を抱こうとして―――しかしそれは果たされなかった。
動かした肩の先にはなにも、なかった。
「――――――!?」
声にならない叫びとして肺の空気が吐き出される。
視線を動かす。大きくぶれる視界に映る、『足のあったところ』と『腕のあったところ』。
身体をよじると臀部からの鈍痛と熱。
ふと見ると、目の前に姿見が現われていた。
いつの間にという疑問よりも先、思考を奪うのはガラスに映る自らの全身。
「いやああああぁぁぁぁぁぁ!?」
今度こそ、衣玖は絶叫した。
腕は二の腕の先からが。
足は太ももの先からが。
四肢を切られ、ずいぶんと『小さくなった』衣玖が映っていた。
「なに、これ、うそ……!?」
乳首の先、プレートを揺らしながら何度確認しても、存在しない手足。
「さすがですわ、お嬢様。確かにこれなら水槽も鎖も要りませんし」
「調度品も増えて一石二鳥ってね」
衣玖さん可愛いよ衣玖さん。
なんというか、世界の基準は衣玖さんにすべきだ。
長さの単位は1衣玖さん、重さの単位は1衣玖さん、美しさの基準は1衣玖さん、地震の規模の単位も1衣玖さん。
衣玖さんオブザワールド。
衣玖さんは世界のために、世界は衣玖さんのために!
さて、難しい話はおいておいて。
前回の投稿から作品集丸々一つあけて、しかも今までで一番短いってどーゆーことですかね。スランプってヤツでしょうか。PCの前に座ってもまったくキーボードを叩けないまま三週間ほど過ぎました。
欝。
ちなみに私の身長は1.3衣玖さん、体重は1.5衣玖さんくらいでしょうかね。
螺旋
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2009/10/15 01:05:07
更新日時:
2009/10/15 10:05:07
分類
衣玖さん
193
イクサン
バイク乗りじゃない方ですよ?ってか個人的にあのMSは(以下略
レミリア最強設定
ドゥカー・イクサンって言いたいんか
イクサンカワイイヨイクサンイクサンイクサンイクサンイクサン